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第 八章 領主就任と町の掃除。

第133話 驚愕!虎娘、ある朝の衝撃。

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    国軍の部隊長をシバいてその根性を叩き直してから五日後。

    (う、またお腹の上が重いな。しかしアルメイダにしては小さいな。何なんだ?)

いつものごとく、朝眠りから覚めると、またアルメイダが私のお腹の上に乗って寝ているのかと思い、掛け布団を捲ると、まずこれもいつも通りの抱き付きハイエルフの頭が見え、更に捲ると丸くなったアルメイダの頭が頭が頭が子供の虎になっている!

「なぁにぃー!!」
「うるさいわねぇ。」
「うるさいのにゃ。」
「さらに、なぁにぃー!」

    今わたくし、大変に驚いております。驚き過ぎて硬直しています。そりゃぁ驚きもしますわ。いつもならアルメイダが腹の上に丸まっているのが、代わりに白虎の子供が、丸まっているのだから、しかも虎が人の言葉を喋っているのだから、驚きもしますがな。
    先にアイリスが起きて文句を言っていたのが、私のお腹の上にいる子虎をみて、私と同じく固まっていました。

    「なんにゃ、もう朝ご飯かにゃ?」
「・・・アルメイダ・・・なのか?」

「そうにゃ、アルはアルにゃ。ショウ兄ちゃん、もうご飯かにゃ?」
「あ、ああ、そろそろ朝ごはんだと思うが、な、なあアルメイダ、お前はいつから虎になったのかな?」
「アルは前から虎にゃ。猫じゃないにゃ。」
「ああ。それは分かっている。その、質問が悪かったな。いつから虎の姿に変われるようになったのかな?」
「うにゃ?虎の姿ってなんの事にゃ?」
「自分の手を見てごらん。」
「うん?にゃ!なんにゃ、これは?」

(ピロ~ン♪メールが届きました。ユーガッタメール♪)

「おっと。」
「ショウさん、どうしたの? 」
「ああ、神様から連絡が届いた。」

    早速、神様メールを見る。

(おはよう、オオガミ君や。驚いたであろう?白虎の娘にはシェイプチェンジのユニークスキルを与えた。いわゆる変身能力じゃな。虎になれと思えば虎になるし、人になれと思えば人になる。オオガミ君からあの子に教えてやってくれんか。すまんのぅ。よろしく頼むのじゃ。
                                神より。)

    (おいおいおい、爺さん頼むよってなんじゃい。
まずはアルメイダに教えないとな。)

「アル、落ち着いて良く聞けよ。神様から今連絡があって、アルが虎の姿になったのは神様が与えた能力だってさ。人の姿に戻りたいときは、頭の中で人に戻れって強く思いなさいだって。虎になりたい時は、同じ様に虎になれって思うとなれるそうだよ。まずは人になれって思ってごらん。」
「分かったにゃ。人になれー!」

私とアイリスの見ている前で、虎の子供の姿がぼやけたと思ったら次にはいつものアルメイダが私の上に乗っていた。

「戻ったのにゃ。アルの姿に戻ったのにゃ!よかったにゃ。」

腹の上で喜ぶアルメイダ。

「なあ、皆そろそろ起きようか。」

    すっかり目が覚めてしまい、身だしなみを整えて、アルに向かい話始める。

「アル、神様からの連絡でな、アルはいつでも虎になったり、人になったり出来るそうだ。さっきみたいに虎になれって思うと虎にまたなれるってさ。まあ、私のお腹の上に寝るなら、小さくなってくれると嬉しいな。苦しくなくて助かるからね。(笑)」
「分かったにゃ。アル夜寝るときは、虎になるにゃ。」
「そうかい。ありがと、アルメイダ。」

    朝っぱらから、衝撃的なことがあってすっかり目が覚めたため、いつもより早目に食堂に向かった。

「おはよう、皆。」
「お早うございます。閣下。」
「「「お早うございます、ショウ様。」」」

許嫁ズの三人が見事にハモって返事をする。

「旦那様、今日はお早いお目覚めでしたね。」

一番最後にサウルが挨拶を返す。

「ああ、朝っぱらから衝撃的なことがあってね。すっかり目が覚めてしまったよ。」
「おや、何事がございましたか?」
「食後に話すよ。先に食事にしよう。よし、やってくれ。」

私の合図と共に、メイド達がスープ皿にスープを順に入れていく。皆に行き届いたのを見てから、

「「いただきます(にゃ)。」」

私とアルメイダは合掌して、他は其々の流儀でお祈りをしてから食べ始める。

    細かく刻んだ野菜のスープで塩味だが、魚介の出汁を使ってある。流石、港町だ。味は十分美味しいのだが、醤油や味噌がやはり欲しい所ですな。
他にもパンもコッペパンだけでなく、食パンやロールパンといったバリエーションが欲しいな。不味くないからこそ、変化が欲しい所だな。まだまだ改良点は多いなと感じつつ、食事を終える。

    「さて、食事も済んだので、皆に話がある。まず、今朝あったことだが、アルこっちにおいで。」
「にゃ?」
「実は今朝、驚くべき事があった。私が起きたとき、また腹の上が重かったのでアルメイダが乗っていると思ったら虎になったアルメイダが丸まっていた。アルちょっと虎に変わってみて。」
「分かったにゃ。虎になれぇ~。」

    アルが言葉を発した途端にその姿がぼやけ、次には虎の子供が椅子の上にちょこんと座っていた。

「「「まあ、可愛い~い!」」」

許嫁ズの三人が一斉に抱きつこうとした。

「にゃ。」

慌てて椅子から飛び降りて、私の膝の上に飛び乗った。

「あーん、残念ですわ。」

ソニアが呟き、セイラとシーラがブンブンと頷いている。レナードは目を見開いて口を開けたまま固まっているし、サウルも同様だ。

「ということで、この白虎の子供はアルメイダが変身したものなので、皆承知してくれ。アルもう戻っていいぞ。」
「もう暫くここにいるにゃ。ここは気持ちいい場所にゃ。」
「まあ、チョッとならいいか。おーい、レナードとサウル。戻ってこ~い!」
「はっ、申し訳有りませんでした閣下。」
「わたくしも、あまりの事で呆然としてしまいました。すみません、旦那様。」
「ああ、気にするな。それが普通の反応だからな。私もさっきは驚いたよ。」

軽く笑いながら、二人に気にするなと宥めた。

    「あと、アルの件の他にな例の新しい執政官が今日明日頃に着く予定だ。宰相閣下との約束で三人が来ると思うから、住宅として、家族で住める官舎の用意をしてくれ。三家族分だ。サウル頼むぞ。」
「承知しました。旦那様。」
「それと。お嬢様方にも特にセイラにだけど、この屋敷の家具とか寝具とか一通り新しく替えたいから、王都の屋敷の様に見繕ってくれないかな。私はどうも美的センスが無くてね。専ら実利できなのか、絵や美術品を見てもさっぱり良さが分からない程だ。豪華にとは言わないが、王都の様に落ち着いた感じで頼みたいのだが、お願い出来るかな?」
「分かりましたわ。お父様の商会でならお安く揃えられると思いますわ。ですので、近い内に王都へ連れて行ってくださいまし。」
「そうだね。明後日でいいかな?」
「ええ、今日明日で調べておきますわ。」
「よろしく、セイラ。」
「承知しました。」

    執政官が来てくれれば、やっとやりたいことに、手が出せるよ。

(あー、平穏な日々は何時来るのやら。)

    なんて事を思いながら、アルメイダの喉をかいている私だった。うーん、ゴロゴロいっているねぇ。


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