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第 七章 ツール移動準備とやはりあったお約束。
幕間2Ⅰ話 とある代官の皮算用。
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私はアシリー・アクダイクン。ウェザリア王国の王室直轄領の港町ツールの代官である。
着任してそろそろ十五年近くになるな。今では代官と言うよりも、ツールの町の王である。
町の表も裏も私の一存でなんとでも出来るのだから。
もちろん、着任当初は真面目に仕事をこなしていたが、私の前の代官が闇ギルドや商会と繋がっていたらしく、暫く経つとそいつらが手を伸ばしてきた。初めは挨拶だと言って手土産を持ってくる様になり、その土産も次第に高価な物になり、物だった土産が現金になり、違法奴隷の女になった頃には闇ギルドとも繋がっていた。
王宮は、その頃には派閥争いに入っており、地方の都市行政は代官に一任することが多かった。よっぽど王宮に提出する予算執行報告書に不審や問題が無ければ、一読して終わりであった。私も馬鹿ではない。その辺は上手く書いて王宮に提出していた。
そんなこんなで、十年以上この町の実質支配者としてあったが、今年の五月にあったクロイセン帝国との戦い、所謂『リーラ平原の会戦』において、王国側が圧勝した事が事の発端だった。
リーラの町はツールから見れば王国の南方つまり、反対側の事で正直言うと王国側が負けなければ後はどうでも良かった。まあ、戦時物資でポーションの買い占めが有った位で、全く興味もなかったな。だが、この戦いでリヒト公爵に従軍して功績を上げた十五の若僧が、王宮から伯爵に敍爵されてこの町の領主として赴任して来ると言われたら、もう他人事ではない。当然、自分の領地なら色々と調べて、私のやっていた事などバレてしまうだろうから非常に不味い。
私的に一番良い結果は、ツールの町に若僧が来れなくなることだ。
そこで、ツールに来るまでの間に死んで頂く事にした。普段から、あれこれ裏の仕事を頼んでいる闇ギルドの支部長に金を渡して、暗殺をたのんだ。どうやら、闇ギルドの方でも、この若僧には何かあるらしく、丁度良いといって即依頼を受けてくれた。
これで、懸念材料は無くなったと安心していたら、一回目の襲撃に失敗したと報告があり、支部長に大丈夫なのかと聞くと、失敗したのは、王都の周辺の町の闇ギルドに情報を流して襲わせたが、相手を侮った為に失敗したので、次は俺自身が指図して襲うから、大丈夫だと説明された。支部長に頼むぞと念押しした。
だが、そのあと支部長に会うことは無かった。
暫くして、町にツール伯爵の先触れと言う騎士が来た。
クソ、てっきり暗殺が成功するものと思っていたから、全く受け入れの準備をしていない。
まあ、相手は十五の若僧が相手だ。適当な理由を言えば、丸め込めるだろう。
仕方がない、こうなっては十五の若僧を操っていくか、バレそうになったら、全財産を持って逃げればいい。
この町の領主という若僧がやって来た。
「初めまして、わたくし当ツールの町の代官をしておりますアシリー・アクダイクンと申します。遠路お疲れ様でした。こちらが、ご領主一家が過ごされます、領主館でございます。何分普段は使っておりませんで、来客のもてなしに使われる程度でしたので、古びたまま申し訳有りませんでした。建て替えるにも財政が赤字でして、とても予算が出せず、誠に申し訳有りません。」
(これなら、間違いなく納得するだろう。実際王宮に提出している報告も改竄して、赤字経営で報告して、国から補填予算を着服しているから、ちょっと見でバレる事はないはずだ。)
私の言い訳を聞いて若僧が、
「いや赤字で予算が無いのなら仕方ないさ。気にしなくとも良いよ。じゃあ綺麗にしますか。〈コンプリートリホーム〉。ブラウニーさんよろしく。」
(はーい。え~と、敷地内の塀とか建物とか家具、絨毯もろもろ全てでいいの?全部だと魔力二千はかかるわよ?)
「わかった。やっちゃって下さい。」
目の前で、建物敷地全てが突然に光り輝きだした。いきなりの事で、私も驚きの声を出してしまった。
まあ、周りの人間全てが驚いていたから、問題ないだろう。
側にいたエルフの子供が、若僧に何か言っていたが、周りの驚きの声で聞こえなかった。
「サウル、ガトー、クラリス、メイドの皆。中の様子を確認してきてくれ。」
若僧の指示で、使用人たちが館に入っていく。
暫くして戻ってくると若僧にいう。
「旦那様、建物や家具絨毯など、全てが新しくなっていました。たた、生活するには、足らない物も多いので、至急用意しませんと。」
と、執事が答える。
「敷地内の兵舎、厩舎や使用人用の別館はどうだった?」
「そちらも同様ですわ。」
年長のメイドが答えた。
「わかった。なら、初めに手分けして、王都の屋敷の様に全ての建物に魔道具を設置してくれ。それが終わったら、必要な機材や食糧を買ってきてくれ。さあ、開始だ。」
若僧が、玄関に入り、何かの道具をマジックボックスからいくつも取り出していた。
余りの出来事の連続で、あっけに取られているところに、若僧が言ってきた。
「済まないね、アシリー君。今日は荷物の運び込みで忙しいから、仕事の話は明日朝九時に来てくれ。すまないが、よろしく頼むよ。」
取り敢えず、明日に説明するために、今日は一旦引いて、作戦を練ろう。まあ相手は若僧だからね、何とでもなるさ。そして、私の王国は続くのさ。
着任してそろそろ十五年近くになるな。今では代官と言うよりも、ツールの町の王である。
町の表も裏も私の一存でなんとでも出来るのだから。
もちろん、着任当初は真面目に仕事をこなしていたが、私の前の代官が闇ギルドや商会と繋がっていたらしく、暫く経つとそいつらが手を伸ばしてきた。初めは挨拶だと言って手土産を持ってくる様になり、その土産も次第に高価な物になり、物だった土産が現金になり、違法奴隷の女になった頃には闇ギルドとも繋がっていた。
王宮は、その頃には派閥争いに入っており、地方の都市行政は代官に一任することが多かった。よっぽど王宮に提出する予算執行報告書に不審や問題が無ければ、一読して終わりであった。私も馬鹿ではない。その辺は上手く書いて王宮に提出していた。
そんなこんなで、十年以上この町の実質支配者としてあったが、今年の五月にあったクロイセン帝国との戦い、所謂『リーラ平原の会戦』において、王国側が圧勝した事が事の発端だった。
リーラの町はツールから見れば王国の南方つまり、反対側の事で正直言うと王国側が負けなければ後はどうでも良かった。まあ、戦時物資でポーションの買い占めが有った位で、全く興味もなかったな。だが、この戦いでリヒト公爵に従軍して功績を上げた十五の若僧が、王宮から伯爵に敍爵されてこの町の領主として赴任して来ると言われたら、もう他人事ではない。当然、自分の領地なら色々と調べて、私のやっていた事などバレてしまうだろうから非常に不味い。
私的に一番良い結果は、ツールの町に若僧が来れなくなることだ。
そこで、ツールに来るまでの間に死んで頂く事にした。普段から、あれこれ裏の仕事を頼んでいる闇ギルドの支部長に金を渡して、暗殺をたのんだ。どうやら、闇ギルドの方でも、この若僧には何かあるらしく、丁度良いといって即依頼を受けてくれた。
これで、懸念材料は無くなったと安心していたら、一回目の襲撃に失敗したと報告があり、支部長に大丈夫なのかと聞くと、失敗したのは、王都の周辺の町の闇ギルドに情報を流して襲わせたが、相手を侮った為に失敗したので、次は俺自身が指図して襲うから、大丈夫だと説明された。支部長に頼むぞと念押しした。
だが、そのあと支部長に会うことは無かった。
暫くして、町にツール伯爵の先触れと言う騎士が来た。
クソ、てっきり暗殺が成功するものと思っていたから、全く受け入れの準備をしていない。
まあ、相手は十五の若僧が相手だ。適当な理由を言えば、丸め込めるだろう。
仕方がない、こうなっては十五の若僧を操っていくか、バレそうになったら、全財産を持って逃げればいい。
この町の領主という若僧がやって来た。
「初めまして、わたくし当ツールの町の代官をしておりますアシリー・アクダイクンと申します。遠路お疲れ様でした。こちらが、ご領主一家が過ごされます、領主館でございます。何分普段は使っておりませんで、来客のもてなしに使われる程度でしたので、古びたまま申し訳有りませんでした。建て替えるにも財政が赤字でして、とても予算が出せず、誠に申し訳有りません。」
(これなら、間違いなく納得するだろう。実際王宮に提出している報告も改竄して、赤字経営で報告して、国から補填予算を着服しているから、ちょっと見でバレる事はないはずだ。)
私の言い訳を聞いて若僧が、
「いや赤字で予算が無いのなら仕方ないさ。気にしなくとも良いよ。じゃあ綺麗にしますか。〈コンプリートリホーム〉。ブラウニーさんよろしく。」
(はーい。え~と、敷地内の塀とか建物とか家具、絨毯もろもろ全てでいいの?全部だと魔力二千はかかるわよ?)
「わかった。やっちゃって下さい。」
目の前で、建物敷地全てが突然に光り輝きだした。いきなりの事で、私も驚きの声を出してしまった。
まあ、周りの人間全てが驚いていたから、問題ないだろう。
側にいたエルフの子供が、若僧に何か言っていたが、周りの驚きの声で聞こえなかった。
「サウル、ガトー、クラリス、メイドの皆。中の様子を確認してきてくれ。」
若僧の指示で、使用人たちが館に入っていく。
暫くして戻ってくると若僧にいう。
「旦那様、建物や家具絨毯など、全てが新しくなっていました。たた、生活するには、足らない物も多いので、至急用意しませんと。」
と、執事が答える。
「敷地内の兵舎、厩舎や使用人用の別館はどうだった?」
「そちらも同様ですわ。」
年長のメイドが答えた。
「わかった。なら、初めに手分けして、王都の屋敷の様に全ての建物に魔道具を設置してくれ。それが終わったら、必要な機材や食糧を買ってきてくれ。さあ、開始だ。」
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