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第 七章 ツール移動準備とやはりあったお約束。

第109話 再出発と魔法書作成。

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    オリジナルの魔法書を作るのは良いが、魔力ギリギリまで使うのはなるべくやめておこう。魔力欠乏の症状で気持ち悪くなるし、今回初めて気絶しましたよ。起きたときは、空に星が瞬き始めたのでかなりの間気絶していたみたいですね。

    その間に町の衛兵がやって来て襲撃者の数が多いのに驚いて、衛兵だけでは手が足りないとなり、家からも騎士を手伝いに出して町まで護送していって、先程帰ってきました。
その間レナードが仕切ってくれたらしく、特に問題は無かったそうです。

    話だと闇ギルドのメンバーや盗賊、山賊の幹部は処刑で、他は全て奴隷落ちだそうです。奴隷として売ったお金や賞金のかかっていた者の賞金はエチゴヤ商会の口座に入金する段取りにしたと報告がありました。
グッジョブだレナード君。

    さて、私が作った魔法書はソニアに渡されて早速勉強しているようですね。まあ、気絶してまで作った甲斐があったと思いたいです。

    私はと言うと、目覚めてから先程食事だと呼ばれるまで、スキル〈瞑想〉を使ってひたすら魔力の回復に努めていましたよ。お陰で魔力は千を越えましたが、満タンの四分の一なので、しっかり寝ないと全快は厳しいですね。まあ、瞑想のお陰で気持ち悪さは消えましたがね。

    焚き火の周りに座って皆に、心配をかけた事と、レナードに任せっきりで済まなかったねと詫びた。

「いえ、閣下はお一人で百人の賊を倒されたのですから、後始末くらい我らにお任せ下さい。」
「そうか、済まないな。有難う。明日の早朝から出発して、行ける所まで進むとしよう。明日は屋根のある場所で休みたいものだね。」

    皆と話ながら、夕食を食べる。今晩のメニューは、保存食用の乾燥野菜を使った野菜スープと、久々の黒パンだった。パンをちぎってスープに浸して食べると、スープと黒パンの酸味が合わさり、旨かった。リヒトでの親父さんの料理を思い出した。あの頃はまだただの冒険者だったのに、たった二、三ヶ月でえらい変わりようだなぁ。女将さんに『俺、伯爵になったよ』と言ったらどんな顔をするかなぁ。
『なにバカなこと言ってんだい、この子は。そんな事を言っている間があるなら、早く仕事に行って稼いで来な。』
と、どやされるかな。そんな事をニヤニヤと考えながら食事をすませた。

    テントを組み立て、寝る前に、〈シェルター〉の魔法を魔力を多く使い、焚き火を中心に、テント、馬車や馬を含めて、収まる程に大きく展開した。
これで、敵性の者が近づくと分かる様になる。

    テントに入り、マイカーペットを敷いてマントにくるまって、寝ました。

「あー疲れる一日だった。明日は暇でありますように。お休みなさい。」


    「旦那様、旦那様。お時間です。お起き下さい。」
「もう朝かい。ふむ、天井がテントだ。」

いつもの、起きがけの天井ボケをかますと、なんとサウルが予想外なことに、初めて突っ込み返してくれた。

「テントなんですから、天井があるわけ無いです。」

思わずニヤリと笑ってしまうのは、仕方ないよね。

    起き上がり、自身に〈クリーン〉をかけて身だしなみを整える。さすがに、夜営なので着替えることはないがね。あーつくづく冒険者時代が楽だった。

    皆が焚き火の周りに集まっていたので、朝の挨拶を交わす。

「お早う皆。朝から準備ご苦労様。」
「閣下お早うございます。体調は如何ですか?」
「うん、しっかり寝たから魔力も多分全快していると思うよ。」
「今日は少し急ぎますが、宜しいですか?」
「ああ、ペースは任せるよ。」
「有難うございます。」

    「「「ショウ様お早うございます。」」」
「ああ、三人ともお早う。」

騎士も含めて皆集まった所で、朝食を始める。昨日の野菜スープに鶏肉が入っており、チキンスープになっている。これに黒パンだ。味は保存食の割には旨かったよ。食べ終わると、四台ある馬車の座席部分に暗黒属性魔法レベル四のレビテトを全ての座席にかけた。

    「皆聞いてくれ、馬車の座席に座ると少し浮く魔法をかけた。多少馬車が上下しても痛い思いはしないと思うから、驚かないで座ってくれ。以上だ。」

    皆に説明して、レナードに馬車が痛まない程度に速度を上げてくれて大丈夫だと伝える。
その甲斐もあり、一日でドラクル伯爵の領都、ドラクルの街についた。
    王女殿下もご一緒しているのを知っているらしく、是非屋敷に泊まっていきなさいと言ってきて、王女殿下も挨拶をしておきたいと言うので屋敷に寄らせて貰った。

    「初めて王女殿下に御意を得ます。ドラクル伯爵のテリオス・エバートンでございます。本日は我が屋敷に王室の方にお越しいただき、大変な名誉でございます。大した物は用意出来ませなんだが、ごゆるりとおくつろぎ下さい。
    また初めましてツール伯爵。それがしドラクル伯爵テリオス・エバートンである。お見知り置きを。」
「ご丁寧な挨拶、痛みいります。この度ツール伯爵を拝命したショウイチ・オオガミです。今後も宜しくお願いします。」
「おお、セイラ嬢もお久しぶりですな。お父上はお元気かな?」
「はい、相変わらずですが。」
「ハハハハ。相変わらずとは酷い言い方ですな。そして、そちらの二人は今年の武闘会の優勝兄妹だね。兄妹揃って優勝とは、素晴らしい。おめでとう。」
「ドラクル伯爵様、お言葉有難うございます。」

レナードが礼を言う。シーラも兄に倣ってお辞儀をする。 

「さあ、皆さん大したものではないが、家の領地の産物を味わって行ってくれ。」

    なんか、私への挨拶がおざなりな感じだな、この爺さん。まあ、成り上がりだし、若造だからかな。最低限の礼儀は尽くすが、親しくなる気は無いと言うことかな。

    うーん、山鳥の肉が旨かったな。翌日、礼を言い出発する。やはり、私への挨拶は王女のついでだったな。ま、そっちがそうなら、こちらも最低限の付き合いで済ませるさ。領地も隣り合っている訳でもないしね。

    途中の町や村に泊まり、食料や水を補充しながら、ペース良く進み、ロドレス子爵の屋敷に泊まる。 

(ここは、普通に対応してくれたよ。良い人だったな子爵は。)

数日後ついにリヒトの町に着いた。

    公爵の屋敷に先触れを出して、屋敷に向かった。三ヶ月ぶりの街は相変わらずだが、皆の顔を早く見たいなと思いながらも、馬車は屋敷に進んで行った。

    今、公爵一家とセバスさん達はまだ王都の屋敷なので、セイラが指図して私達を迎える形になった。
セイラに頼んで二日間泊めて貰う様に頼んだ。

    カイラ、女将さんに親父さん、ギルドマスター他みんな元気かな。

    (早く会いたいな、皆に。)

 
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