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第 六章 貴族稼業の準備そして・・・・。
第 90話 貴族稼業と生活準備⑦。
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ベッドの有る方に皆で寄って行くと、ベッドから熱にさらされているが、しっかりとした口調の声が発せられた。
「お父様、その方はオオガミ様ですか?」
思わず一同ぎょっとする。
(え、なんで俺の名を?)
「ああ、そうだよ。彼はオオガミ伯爵だ。良くわかったね?」
「はい、先程眠っている時に主神アマテル様から夢でお告げを受けました。
『もうすぐ、父親がオオガミという黒髪若者を連れて部屋にくる。オオガミによって、そなたは苦しみから解き放たれるであろう。そしてその時は彼の力になってくれ。』と仰っていました。そこにお父様がやって来たのでお告げの通りだと思いまして、お聞きしたのです。
貴方はオオガミ様ですか?」
「初めまして、ショウイチ・オオガミです。」
「まあ、あの夢はやはりお告げだったのですね。」
顔を熱で赤くしながら、興奮している王女。
「これ、あまり興奮するでない。体にさわるぞ。オオガミ君、早速治療を頼む。」
「お願いしますわ。」
部屋に入った時から感じていたが、この王女やたらと魔力量がデカイな。この年で普通の魔法使いの三人分くらいありそうだ。
まずは症状を知らないと。
王女に鑑定をかける。
(鑑定結果・名前ソニア・カンザキ フォン ウェザリア。ウェザリア王国第一王女。現在この子は『魔力熱』にかかっているわよ。エルフ等の妖精族に多い病だね。このままだと、半年後にはお亡くなりになるわよ。『職業・王女』身体レベル三。スキルは〈魔導師の心得〉〈魔力回復〉〈宮廷儀礼〉早く治してあげてね。)
「〈オーケー・検索〉」
ピポ♪音と共に検索画面が現れる。
(検索ワードは、『魔力熱の治療法』と、『実行』と。)
(検索対象は魔力が四十必要です。『実行』しますか?)
(よし、『実行』をタップ)
(検索結果・『魔力熱』とは、体の成長と共に伸びる魔力量が器の体が耐えられない位に増えた為、発熱をおこし、衰弱していく病。
治療法としては、多すぎる魔力を体が耐えられる位にまで常に減らして、体に負担がかからない様にするか、毎日魔法を使って魔力量を減らすか、身体レベルを二十位まで上げるかのいずれかね。私は身体レベルを上げるをお奨めするわよ。)
(鑑定に続いて検索まで人格を持ち始めたな。神様に早いとこ聞いておかないとな。)
「どうやら王女様は『魔力熱』という病にかかっています。」
「なに、『魔力熱』とは聞かない病だな。でどんな病なんだ?」
「『魔力熱』は人間には非常に珍しい病です。エルフ等の妖精族に多い病でして、生まれながらに魔法の才能が高いとなりやすい病です。体が成長する時、魔力量も自然に増える訳ですが魔法の才能が高いため、器の体が耐えられない程の魔力量になってしまうと発症する病です。治療法は身体レベルを二十位まで上げるか、からだが耐えられるまで、常に魔力を減らし続けるかして体の負担にならないようにするかです。ただ王女を鑑定した時に、スキル〈魔力回復〉を持っているのがわかったので、少し減らした位では直ぐに全快してしまい、また負担になりやすいので、身体レベルを上げるのが根本的に治せるので良いかと。それまでは魔道具などで継続的に魔力量を減らし、症状が収まっている間に魔物狩りをして、身体レベルを上げるのが確実かと。後の判断はお任せします。」
「つまり、魔力が強すぎて、魔力量が体の許容量を越えてしまうから病気みたいな症状が出るわけか。」
「そうです。なので、どこが悪いというよりも、能力が良すぎて体がついていってない状態なんです。」
「魔力を使わせて、体に負担がかからない様にすれば当面は症状はおさまるのだな?」
「はい。しかしそれでは病は完治出来ないので、症状が治まっている内に身体レベルを上げて魔力の強さに体が耐えられる様にしないとまたいつ発症するかの不安が消えません。」
「なるほどな。しかし医者達はなんで分からなかったのかな?」
「ああ、それはまず普通の人間はかからない病だからで、実際どこかが悪い訳ではないからだと思いますよ。彼らを責めないで下さい。エルフ達の病気を知っている人間の方が少ないでしょうから。」
「うむ、判っている。で、ツール伯爵具体的にはどうすれば良い?」
「魔法を使って魔力を減らして下さい。魔法はつかえますか、王女様?」
「魔法は覚えておりませんわ。」
「早速、魔法を覚えてもらい、まず自分で調整出来るようにしましょう。生活魔法は簡単に覚えられるので良いかと思います。」
「うむ、わかった。誰か、宮廷魔術師長を呼べ。」
「はっ!」
宰相が呼びに部屋から出ていった。
「それにしても、ツール伯爵に診てもらったら、すぐに病の元が解るとは、本当に有り難う。親として改めて礼を言わせてもらうよ。」
「私からも、礼を言わせてもらうよ。オオガミ君。」
「陛下も公爵も顔を上げて下さい。俺は出来ることをやっただけですから。」
「いや、そうであっても患って長くなるにつれて、治せないのかと諦めかけていたのを、助けられたのだ。この礼は改めてさせてもらうよ。」
「いえ、お構い無く。それと王女様は大変な魔法使いとしての才能があります。病状がおさまったら、是非、魔法使いとしての修練をお奨めします。類い希な魔法使いとなるでしょう。」
「オオガミ様、私をお助けくださり有り難うございます。もう、治らないものと諦めかけていました。でも、お告げの通り治る手立てがつきました。このご恩は生涯忘れませんわ。」
部屋に、明るい声が響いた。
(良かったね、娘さん。)
「お父様、その方はオオガミ様ですか?」
思わず一同ぎょっとする。
(え、なんで俺の名を?)
「ああ、そうだよ。彼はオオガミ伯爵だ。良くわかったね?」
「はい、先程眠っている時に主神アマテル様から夢でお告げを受けました。
『もうすぐ、父親がオオガミという黒髪若者を連れて部屋にくる。オオガミによって、そなたは苦しみから解き放たれるであろう。そしてその時は彼の力になってくれ。』と仰っていました。そこにお父様がやって来たのでお告げの通りだと思いまして、お聞きしたのです。
貴方はオオガミ様ですか?」
「初めまして、ショウイチ・オオガミです。」
「まあ、あの夢はやはりお告げだったのですね。」
顔を熱で赤くしながら、興奮している王女。
「これ、あまり興奮するでない。体にさわるぞ。オオガミ君、早速治療を頼む。」
「お願いしますわ。」
部屋に入った時から感じていたが、この王女やたらと魔力量がデカイな。この年で普通の魔法使いの三人分くらいありそうだ。
まずは症状を知らないと。
王女に鑑定をかける。
(鑑定結果・名前ソニア・カンザキ フォン ウェザリア。ウェザリア王国第一王女。現在この子は『魔力熱』にかかっているわよ。エルフ等の妖精族に多い病だね。このままだと、半年後にはお亡くなりになるわよ。『職業・王女』身体レベル三。スキルは〈魔導師の心得〉〈魔力回復〉〈宮廷儀礼〉早く治してあげてね。)
「〈オーケー・検索〉」
ピポ♪音と共に検索画面が現れる。
(検索ワードは、『魔力熱の治療法』と、『実行』と。)
(検索対象は魔力が四十必要です。『実行』しますか?)
(よし、『実行』をタップ)
(検索結果・『魔力熱』とは、体の成長と共に伸びる魔力量が器の体が耐えられない位に増えた為、発熱をおこし、衰弱していく病。
治療法としては、多すぎる魔力を体が耐えられる位にまで常に減らして、体に負担がかからない様にするか、毎日魔法を使って魔力量を減らすか、身体レベルを二十位まで上げるかのいずれかね。私は身体レベルを上げるをお奨めするわよ。)
(鑑定に続いて検索まで人格を持ち始めたな。神様に早いとこ聞いておかないとな。)
「どうやら王女様は『魔力熱』という病にかかっています。」
「なに、『魔力熱』とは聞かない病だな。でどんな病なんだ?」
「『魔力熱』は人間には非常に珍しい病です。エルフ等の妖精族に多い病でして、生まれながらに魔法の才能が高いとなりやすい病です。体が成長する時、魔力量も自然に増える訳ですが魔法の才能が高いため、器の体が耐えられない程の魔力量になってしまうと発症する病です。治療法は身体レベルを二十位まで上げるか、からだが耐えられるまで、常に魔力を減らし続けるかして体の負担にならないようにするかです。ただ王女を鑑定した時に、スキル〈魔力回復〉を持っているのがわかったので、少し減らした位では直ぐに全快してしまい、また負担になりやすいので、身体レベルを上げるのが根本的に治せるので良いかと。それまでは魔道具などで継続的に魔力量を減らし、症状が収まっている間に魔物狩りをして、身体レベルを上げるのが確実かと。後の判断はお任せします。」
「つまり、魔力が強すぎて、魔力量が体の許容量を越えてしまうから病気みたいな症状が出るわけか。」
「そうです。なので、どこが悪いというよりも、能力が良すぎて体がついていってない状態なんです。」
「魔力を使わせて、体に負担がかからない様にすれば当面は症状はおさまるのだな?」
「はい。しかしそれでは病は完治出来ないので、症状が治まっている内に身体レベルを上げて魔力の強さに体が耐えられる様にしないとまたいつ発症するかの不安が消えません。」
「なるほどな。しかし医者達はなんで分からなかったのかな?」
「ああ、それはまず普通の人間はかからない病だからで、実際どこかが悪い訳ではないからだと思いますよ。彼らを責めないで下さい。エルフ達の病気を知っている人間の方が少ないでしょうから。」
「うむ、判っている。で、ツール伯爵具体的にはどうすれば良い?」
「魔法を使って魔力を減らして下さい。魔法はつかえますか、王女様?」
「魔法は覚えておりませんわ。」
「早速、魔法を覚えてもらい、まず自分で調整出来るようにしましょう。生活魔法は簡単に覚えられるので良いかと思います。」
「うむ、わかった。誰か、宮廷魔術師長を呼べ。」
「はっ!」
宰相が呼びに部屋から出ていった。
「それにしても、ツール伯爵に診てもらったら、すぐに病の元が解るとは、本当に有り難う。親として改めて礼を言わせてもらうよ。」
「私からも、礼を言わせてもらうよ。オオガミ君。」
「陛下も公爵も顔を上げて下さい。俺は出来ることをやっただけですから。」
「いや、そうであっても患って長くなるにつれて、治せないのかと諦めかけていたのを、助けられたのだ。この礼は改めてさせてもらうよ。」
「いえ、お構い無く。それと王女様は大変な魔法使いとしての才能があります。病状がおさまったら、是非、魔法使いとしての修練をお奨めします。類い希な魔法使いとなるでしょう。」
「オオガミ様、私をお助けくださり有り難うございます。もう、治らないものと諦めかけていました。でも、お告げの通り治る手立てがつきました。このご恩は生涯忘れませんわ。」
部屋に、明るい声が響いた。
(良かったね、娘さん。)
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