上 下
13 / 572
第 二章 冒険者ギルドとやっぱりのお約束

第 13話 戦闘訓練(二回目)と魔法訓練②

しおりを挟む
    今日はまだ半日しか経ってないけど、もう充分な気分になったのはしょうがないなと思うよ。

    息を整えて立ち上がり、べとつく汗を〈クリーン〉でさっぱりさせる。
フウッとため息をつきながらこの後どうするか考えた。近接戦闘は良くなったが、魔法は属性魔法を一通り覚えただけだ。本番までに練習しておきたい。よし、午後は魔法訓練をしよう。

    午後の予定を決めて、さあ動こうかとした時、マスターがすれ違い際に声をかけてきた。

    「あー、お前ランクEからのスタートな。」
「はあ?何ですって?」

と思わず素で聞き返したよ。

    「なんで新人の俺がEスタートなんですか?まだ一件も依頼をこなしてないんですけど?」
「ああ、マスター権限だ。お前の力量で、Gからスタートじゃもったいないからな。この後受付で処理してもらえ。」
「ギルドのランクは実力とは、
無関係だと受付で聞いたのだが?」
「ああ、それは立前だな。実際の所は実力が無いと上には上っては行けないからな。」

そう言い残して、その場に茫然としている私をその場に残し、とっとと建物に入るマスター。私は心の中でただ一言叫んだよ。

(なんじゃそりぁー!)

    予想外の事にシオシオとギルド内に戻ってくると、言われた通り受付に向かった。昼間は空いていたので、直ぐに受け付けてもらえた。

    「こんにちは、どういったご用件でしょうか?」
「ギルドマスターからランクアップの手続きをしておけと言われたのだが。」
「オオガミ様ですね?聞いております。受付を致しますので、ギルドカードをお貸しください。」

    受付嬢にギルドカードをわたすと、カウンター下にある道具に差し込みボタンをいくつか押し暫く待つとカードが道具から出てきた。

(おお、何かポイントカードみたいだな。)

と驚いていると、受付嬢からカードを返してもらった。

    「これで今日からショウさんはEランクになります。引き続き頑張って下さい。」
「ありがとう。」

    礼をいい、ギルドからでた。昼飯を食べるため、屋台に向かった。昨日の串焼きが旨かったので、また食べたくなったからね。

    「オッチャン、串焼き二本おくれ。」
「おう、昨日来た坊主か。二本かい、今日もありがとよ。焼きたて渡すから、ちと待ってくれよ。」
「美味しい所頼むよ。」
「バカ野郎、ウチの串焼きはどれもみんな旨いんだよ。(笑)」

ガハハと笑いながら串を焼き始める。

    「ハイよ、お待ちどう様。」

    差し出され二本の串焼きを貰い、銅貨五十枚を渡す。

    店の脇に回り込み、ハグハグと熱い肉にかぶり付き、たちまち二本共に食べきった。運動の後だけに、旨さが身に染みるぜ。

    腹が膨れ人心地がついた所で、魔法の練習をしに街の外に向かった。
    街の出入り口の門につくと、そう言えば入場料でお金払ってたな。確か身分証持ってくれば返してもらえるって言ってたし、ちと言っておくか。

    「少しよろしいか?一昨日入場料金を払ったが、身分証を作ったので払い戻して欲しいのだが?」
「ああ、君の事は聞いてるよ。手続きするならこっちに来てくれ。」

門の脇にある建物に連れて行かれる。中に入り椅子でまたされると、目の前に書類を差し出された。

    「悪いが、この書面を良くよんで、間違いないなら署名してくれ。し終わったら、身分証と一緒に渡してくれよ。」
「わかった。」

    書類に眼を通し間違いない事を確認して署名した。ギルドカードと書類を渡すと、銀貨五枚とカードを返してもらった。
    銀貨を懐に入れるフリをして、インベントリィにしまう。

「ありがとう。」

守衛に礼を返して建物からでて、そのまま門から外に出る。

    「仕事かい?」
    門番の衛兵にギルドカードを見せて言う。

    「ちょっと魔法の訓練をしにね。」
「そうか、なら街の近くで大きい魔法を使うなよ。」
「わかったよ。」

    門を出ると左手に曲がり暫く真っ直ぐ北に向かった。街の北側は私が転生で現れた森林地帯が広がっている。周りに魔物の気配がないのを確認する。

    まず体内の魔力を感じるために座禅を組みお腹の下辺りに意識を集中する。特に理由はないがこの方が集中出来るかなと思ってのことだ。

    すでに魔力感知のスキルを持っているからか、『それ』は直ぐに感じ取れた。
オヘソの下の微妙な場所にグルグル渦巻く温かい塊を。これが魔力かと認識すると、スキルのレベルが上がるチャイムがした。

    今度はその熱の塊を、血管を通して身体中に巡らす様にイメージして魔力を身体中に巡ららせる。
    やはり初めは全く動く気配がなかったが、何度も繰り返しているうちに、少しづつ動く様になった。そうすると、また頭の中でチャイムが何度か鳴り、魔力操作のレベルが上がった。それにつれて少しずつだが、スムーズに巡らすことが出来るようになった。

    (『魔導の極み』により〈無属性魔法〉のレベルが上がりました。新しい魔法を覚えました。)

    何か色々上がったが、ひとまずは後回しだ。夜寝る前に纏めて確認だ。今は訓練を優先させる。

    立ち上がり実際に魔法をつかってみる。火属性から順番に使っていく。
    強く現象をイメージすることが大事なので、意識して魔法名を唱えた。

    「ファイアーアロー」

魔力感知、魔力操作が上がったためか、以前に唱えた時より僅かだが威力・スピードが増していた。
    的にした岩に火の矢が以前より速くぶち当たった。

『ドーン!』と大きな音をたてて着弾と共に破裂して岩に穴が出来た。予想外に大きな音をたてるのでビックリしたよ。

    三時間程検証しながら、魔法を使っていると、幾つか〈職業・魔法使い〉のレベルが上がった。

    そろそろ夕方になるので、終了して帰るこてにした。フッと息を吐くと一度に大量の魔力を消費したためか、急に頭がクラッときた。これは慣れるしかないなと、頭を振りながら帰途につく。門番にギルドカードを見せて街に入る。

    今日は心身共に疲れたなと飯屋に向かう。この疲れは旨いものを食べるしか癒せないだろう。足が『猪鹿亭』に自然に向かって行った。









    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

若返ったおっさん、第2の人生は異世界無双

たまゆら
ファンタジー
事故で死んだネトゲ廃人のおっさん主人公が、ネトゲと酷似した異世界に転移。 ゲームの知識を活かして成り上がります。 圧倒的効率で金を稼ぎ、レベルを上げ、無双します。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

【完結】転移魔王の、人間国崩壊プラン! 魔王召喚されて現れた大正生まれ104歳のババアの、堕落した冒険者を作るダンジョンに抜かりがない!

udonlevel2
ファンタジー
勇者に魔王様を殺され劣勢の魔族軍!ついに魔王召喚をするが現れたのは100歳を超えるババア!? 若返りスキルを使いサイドカー乗り回し、キャンピングカーを乗り回し!  経験値欲しさに冒険者を襲う!! 「殺られる前に殺りな!」「勇者の金を奪うんだよ!」と作り出される町は正に理想郷!? 戦争を生き抜いてきた魔王ババア……今正に絶頂期を迎える! 他サイトにも掲載中です。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ

Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_ 【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】 後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。 目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。 そして若返った自分の身体。 美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。 これでワクワクしない方が嘘である。 そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

処理中です...