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第 二章 冒険者ギルドとやっぱりのお約束

第 12話 戦闘訓練(二回目)と魔法訓練①

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    「あー良く寝た!」
    
    朝七時、開口一番思わず呟いた。久々に深い眠りを堪能して頭がスッキリと起きられた。ベッドから出て身だしなみを整えると体に〈クリーン〉をかけた。そして顔を洗いに宿屋の裏にある水場に向かう。

    途中女将さんに朝の挨拶をして水場で、顔を洗いタオルで拭き取るとさっぱりした。拭いたタオルは水で洗い流して〈クリーン〉をかける。部屋に戻りながら今日の事を考えた。

 今日も九時からまた訓練だったな。やや憂鬱な気持ちになりそうだったので、気合いを入れる。

(そうさ、これでまた強くなれるはずだと。)

無理にでも、自分に言い聞かせたんだ。
    
    一段落すると腹の虫が鳴ってきたので、隣りの飯屋に出掛ける。

    「いらっしゃいませ。」

カイラの元気な声に迎えられる。

「モーニングセットと果実水を頼むよ。」
「お父さん、モーニングセット一丁。はい、果実水です。合計銅貨七十五枚です。」

    銀貨一枚渡しお釣りを貰う。
今日のメニューはメインがベーコンエッグで他は昨日と同じだ。ベーコンがバターでしっかり焼かれていてカリカリだった。また玉子焼きは味付けが塩味とバターの甘味だったが、朝からしっかり満腹にさせてもらった。親父さん相変わらず良い腕してるぜ。

    時間が八時を回っていたので、そろそろギルドへ向かった。
    ギルドに入ると朝ということでやはり込み合っている。昨日、訓練で使った練習場に向うと訓練場に明らかに新人らしい冒険者が所在気なしにたむろっていた。人数は六人居て皆前衛らしく剣を装備しいる。
    彼等を横目にみながら準備運動して時間が来るのを待っている。するとギルドの建物から昨日のマスターともう一人の冒険者風の男が出てきた。

    「おはよう、諸君。俺は冒険者ギルドのマスターでゲオルグだ。こっちは元A級冒険者のクロードだ。これから新人冒険者に対しての戦闘訓練を行う。改めて言うぞ。お前達は素人だ。
    どんなに事前に訓練を積んでいたとしても、実際に敵と直接対峙して戦かったことなどほぼ無いだろう。   そこで依頼で屋外に出る前に、お前達に戦いの基本を叩き込むことが目的だ。これから三時間みっちりやるから覚悟しておけ。では、各自そこに用意した模擬剣を持って横に並べ。」

    新人達は各自用意してある模擬剣を手に取り、一列に横に並んだ。
「剣を持ったな。ではまず各自、自由に構えてみろ。」
    新人達は思い思い剣を構えた。自分は昨日と同じように半身で少し腰を落として左手で盾を前に構えて右手は 軽く剣を握り力を抜いて構えた。

    マスターは一人一人の構えを確認して悪い所を直していった。
    自分の番だ。マスターはじっと見た後、何も言わず元の位置にもどる。

    「今の姿勢が基本の構えだ。忘れるなよ。次そこからの打ち込み三十本、始めろ。」

    マスターの言葉通りに打ち込みを始める。いつもの修練と同じように、目の前に敵がいるのを想像して一振りづつ確認して振り切る。
    中には早く済ませば良いと勘違いして、ただ早く振っている者もいたが、そいつは直ぐにマスターから修正されて、最初からやり直しになった。

    「お前達良く聞け、ただ振り回す剣では角ウサギにも当てることは難しいぞ。一振りを大事にしろ。外したら次は無いと思え!」

    途中何度か剣筋を変えさせ、その度にマスターから修正される。
一時間程続けたら、他のみんなは膝に手をついて息があがっている。

    「おいおい此の程度で息があがっていてどうする。これで疲れているのは、動きに無駄な力が入っているからだ。相手を斬る瞬間に力をこめるだけで、無駄に力を入れるなよ。
    じゃあ、一息ついた所で次は二人一組で撃ち合え。」

    ここで何故かスゲー嫌な予感がしてくる。だって、マスターが笑いながら大剣持ってこっちに来るし。勘弁してよ。

    「解っていると思うが、お前の相手は俺がする。クロード、そっちの面倒は頼むぞ。」
「解ったが、ゲオルグもやり過ぎるなよ。新人を壊したら、またサブマスにどやされるぞ。昨日も説教くらっただろ。」
「うるせぃや。コイツは別格なんだよ。」

    嫌~な事を叫びながら目の前に立つ。

    「マスター何で私の所に来るんですか?」
「いや、お前の相手をするためだ。他の新人じゃお前の相手にならんからな。さて、昨日の続きといこうか。今日は攻撃できる様に頑張れよ。」
「・・・・努力します。」

    お互いに剣を構えて対峙する。先手必勝と今回は自分から打ち込む。大剣で左に払われたが、態勢を崩さない様に剣を引く。その動きに合わせた形で踏み込み大剣が振り降ろされる。盾を前に右足を引き半身になってそれを避ける。しかし大剣が下から斜めに跳ね上がった。避けられないタイミングなので、盾で飛ばされない様にしっかり止めた。

    「ほう、昨日よりもやるな。続けていくぞ。」

    既に何度か頭の中でチャイムが鳴っていたが、とてもじゃないが気にしている余裕などない。とにかく攻撃していかないと一方的に攻められる。

    足を使って回り込む。左にフェイントをいれてから、右から斜めに斬り下ろす。大剣で払われたが、初めから想定済み。払われた勢いのまま裏拳と同じ様に一回転して左から横に切り付ける。

    「おっと、今のは意表をついた良い攻撃だ。」
「誉められても当たらなければ意味が無いですよ。」
大剣で私の払いを受け止めながら笑いながらマスターが言う。
「良いモノを見せて貰ったから今度はこちらからいくぞ。頑張って凌げよ。」
    言い捨てた途端に、マスターの雰囲気が変わり、大剣のスピードが更に増した。
今までとは桁の違うスピードに守備一辺倒になる。ひたすら盾で止め、剣で受け流がし、避ける事に集中する。時間を忘れて没頭していると声がかかる。

    「時間だ。それまで。」
と終了時間の合図である。
マスターは大剣を下ろし、一息吐く。
「昨日よりも良くなったが、まだまだヒヨコだ。これからも訓練を積め。よし、今日の訓練を終了する。各自今後も訓練をつめよ。以上だ解散。」

    マスターの号令と共にヘタリ込む。汗がどっと吹き出し、感じてなかった疲労もどっと押し寄せてきた。
ゼーゼー息をしながら模擬剣を返して、大きく一息ついた。

    今日はまだ半日しか経ってないけど、もう充分な気分になったのはしょうがないと思うな。うん。




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