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本編② 協力者の登場
21 ベルタ宮の王太后
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ベルタ宮は王都の外に存在している。
そちらにも城壁を囲んだ街が存在しているが王都のにぎやかさに比べると静かな落ち着いた雰囲気の街である。
引退した国王一家が住んでいる場所であった。
馬車で3時間はかかるので、朝方準備してすぐの出発が必要である。それに合わせてアルバートが例の呪いを引き取りに来るとは思わなかった。
「あんなに朝早くに課題を受け取りに来るなんてアルバート様も教育熱心ですね」
説明するのも面倒なのでドロシーとアルバートに合わせる他ない。
「本当は宿泊されても良かったのですけど」
是非と王太后からの希望があったが、他の花姫を差し置いて王太后の元へ訪問するだけでも色々噂にされそうなのに宿泊するとなれば何を企んでいるのだと言われそうだ。特にヴィクター王太子にはネチネチと探りを入れられそうだ。想像しただけでうっとうしい。
ベルタ宮へ訪れた時に思った以上の歓迎を受けた。まさか、王太后自らお出迎えをするとは思わなかった。
アリーシャは長い馬車移動でうたた寝していたので、眠気が一気に冷めてしまった。
「ようこそおいで下さいました。アリーシャ様」
おっとりとした笑顔を浮かべた綺麗なおばあさまであった。
「アリーシャ・クロックベルと申します。王太后様にロマ神の加護があらんことを」
この方が王太后、テレサ様か。あの、夜になれば侍女に子守唄や物語の読み聞かせをねだるという。
アリーシャの目の前にいる女性がとてもそうとは考えられない。
「あなたが来るのを楽しみに待っていたのよ。さぁ、さぁ、自慢の庭園でお茶をいたしましょう」
テレサ王太后自らアリーシャを案内してくれた。
庭園を訪れてアリーシャはうわぁと声を出しそうになった。
色んな花が植えられているが、その植物の特質に合わせて植えてある。自然のままに植えているような印象を受けるが決して雑多にしておらず。
王宮内の整然とされた庭園とは違う魅力があった。
「少し田舎っぽい感じがするでしょう」
「いえ、とても素晴らしいです。私は好きです」
「私の生まれ育った屋敷の庭師の子を雇って、作らせたのよ」
王太后は上機嫌に庭園内のテーブルへと案内した。そこで見たことある顔がありアリーシャの顔をみてはっと何かを言いたげな表情を浮かべた。
「久しぶりね、エリー」
彼女はアリーシャに礼をとり、椅子へと案内した。とても丁寧に、以前の王宮にいた頃は違う扱いで慣れない。
ベルタ宮でよくやっているようだ。
「来る時間がお昼頃だからランチを用意したのよ。おさかなは好きかしら」
「はい。嫌いなものはありません」
ベルタ宮の料理人は随分と腕がいいようである。王宮の味付けは濃いものが多かったが、ここではあっさりとした味付けである。少し塩をつけただけで旨味が増すように作られていた。
「夫が亡くなられてからここの料理はすっかり私好みのものに変わってしまって若い子には物足りないのではと思ったの」
「そんなことありません。とても美味しいです」
お昼を食べるアリーシャの姿をみて王太后は笑顔を絶やすことがなかった。もっと食べてちょうだいと次から次へと料理が運ばれてくる。
彼女が悪意は感じられない。誰かと一緒に気を張らずに済むのは久々かもしれない。
「今回突然の便りなのに迎え入れてくださり感謝しています」
「いいのよ。私も退屈でお話し相手が欲しかったの」
アリーシャのことは以前から噂で聞いていた。
「どんなお嬢さんかと思ったら、とても可愛らしい方でドロシーの言った通りだわ」
悪い噂も聞いていただろうに彼女はアリーシャのことを好意的にみていた。王太子、王妃ですら自分に敵意をむき出しにしているというのに意外である。
「あなたがアリアの話を聞きたいと来てくれたのが嬉しいの」
王太后の方から本題に入ってくれて助かる。
「私は侯爵家の養女でアリア様とは直接の縁はありません。ですが、どうしても知りたくて」
「そうよね。花姫だった方ですし」
何故と聞かれればどうしようと思ったが、相手の方から話を合せていただいて助かる。というより花姫だったのか。
「え、ええ……そのなのよ。でも、それ以上のことは知らなくて」
花姫だったというのは今知ったが、あえて口にしないで話を繋げてみる。
「アリア様は王太后様と同時期の花姫だったのでしょうか」
「いいえ、私の夫の兄の花姫だったの」
しまったと顔を伏せてしまう。こんなことも知らないのかと思われただろうか。
「若い子からすると混乱しちゃうもの。無理はないわ」
王太后は特に気にした様子はなく話を続けてくれた。
「アリアは現王の伯父にあたるニコラス様の時代の花姫よ。妃になったのは別の花姫なんだけど、ニコラス様が夭折されて御子もいなかったのでニコラス様の弟であるサイラス様が王位につき、急遽新しい花姫を集い選ばれたのが私だったの」
アリーシャは頭の中で簡単な家系図を作って、アリアと王太后の関係性を確認する。
「王太后様とアリア様は交流があったのですね」
「ええ、ええ」
王太后は懐かし気に嬉しそうに昔を思い出していた。
「アリアは私の姉のような存在だったもの」
そちらにも城壁を囲んだ街が存在しているが王都のにぎやかさに比べると静かな落ち着いた雰囲気の街である。
引退した国王一家が住んでいる場所であった。
馬車で3時間はかかるので、朝方準備してすぐの出発が必要である。それに合わせてアルバートが例の呪いを引き取りに来るとは思わなかった。
「あんなに朝早くに課題を受け取りに来るなんてアルバート様も教育熱心ですね」
説明するのも面倒なのでドロシーとアルバートに合わせる他ない。
「本当は宿泊されても良かったのですけど」
是非と王太后からの希望があったが、他の花姫を差し置いて王太后の元へ訪問するだけでも色々噂にされそうなのに宿泊するとなれば何を企んでいるのだと言われそうだ。特にヴィクター王太子にはネチネチと探りを入れられそうだ。想像しただけでうっとうしい。
ベルタ宮へ訪れた時に思った以上の歓迎を受けた。まさか、王太后自らお出迎えをするとは思わなかった。
アリーシャは長い馬車移動でうたた寝していたので、眠気が一気に冷めてしまった。
「ようこそおいで下さいました。アリーシャ様」
おっとりとした笑顔を浮かべた綺麗なおばあさまであった。
「アリーシャ・クロックベルと申します。王太后様にロマ神の加護があらんことを」
この方が王太后、テレサ様か。あの、夜になれば侍女に子守唄や物語の読み聞かせをねだるという。
アリーシャの目の前にいる女性がとてもそうとは考えられない。
「あなたが来るのを楽しみに待っていたのよ。さぁ、さぁ、自慢の庭園でお茶をいたしましょう」
テレサ王太后自らアリーシャを案内してくれた。
庭園を訪れてアリーシャはうわぁと声を出しそうになった。
色んな花が植えられているが、その植物の特質に合わせて植えてある。自然のままに植えているような印象を受けるが決して雑多にしておらず。
王宮内の整然とされた庭園とは違う魅力があった。
「少し田舎っぽい感じがするでしょう」
「いえ、とても素晴らしいです。私は好きです」
「私の生まれ育った屋敷の庭師の子を雇って、作らせたのよ」
王太后は上機嫌に庭園内のテーブルへと案内した。そこで見たことある顔がありアリーシャの顔をみてはっと何かを言いたげな表情を浮かべた。
「久しぶりね、エリー」
彼女はアリーシャに礼をとり、椅子へと案内した。とても丁寧に、以前の王宮にいた頃は違う扱いで慣れない。
ベルタ宮でよくやっているようだ。
「来る時間がお昼頃だからランチを用意したのよ。おさかなは好きかしら」
「はい。嫌いなものはありません」
ベルタ宮の料理人は随分と腕がいいようである。王宮の味付けは濃いものが多かったが、ここではあっさりとした味付けである。少し塩をつけただけで旨味が増すように作られていた。
「夫が亡くなられてからここの料理はすっかり私好みのものに変わってしまって若い子には物足りないのではと思ったの」
「そんなことありません。とても美味しいです」
お昼を食べるアリーシャの姿をみて王太后は笑顔を絶やすことがなかった。もっと食べてちょうだいと次から次へと料理が運ばれてくる。
彼女が悪意は感じられない。誰かと一緒に気を張らずに済むのは久々かもしれない。
「今回突然の便りなのに迎え入れてくださり感謝しています」
「いいのよ。私も退屈でお話し相手が欲しかったの」
アリーシャのことは以前から噂で聞いていた。
「どんなお嬢さんかと思ったら、とても可愛らしい方でドロシーの言った通りだわ」
悪い噂も聞いていただろうに彼女はアリーシャのことを好意的にみていた。王太子、王妃ですら自分に敵意をむき出しにしているというのに意外である。
「あなたがアリアの話を聞きたいと来てくれたのが嬉しいの」
王太后の方から本題に入ってくれて助かる。
「私は侯爵家の養女でアリア様とは直接の縁はありません。ですが、どうしても知りたくて」
「そうよね。花姫だった方ですし」
何故と聞かれればどうしようと思ったが、相手の方から話を合せていただいて助かる。というより花姫だったのか。
「え、ええ……そのなのよ。でも、それ以上のことは知らなくて」
花姫だったというのは今知ったが、あえて口にしないで話を繋げてみる。
「アリア様は王太后様と同時期の花姫だったのでしょうか」
「いいえ、私の夫の兄の花姫だったの」
しまったと顔を伏せてしまう。こんなことも知らないのかと思われただろうか。
「若い子からすると混乱しちゃうもの。無理はないわ」
王太后は特に気にした様子はなく話を続けてくれた。
「アリアは現王の伯父にあたるニコラス様の時代の花姫よ。妃になったのは別の花姫なんだけど、ニコラス様が夭折されて御子もいなかったのでニコラス様の弟であるサイラス様が王位につき、急遽新しい花姫を集い選ばれたのが私だったの」
アリーシャは頭の中で簡単な家系図を作って、アリアと王太后の関係性を確認する。
「王太后様とアリア様は交流があったのですね」
「ええ、ええ」
王太后は懐かし気に嬉しそうに昔を思い出していた。
「アリアは私の姉のような存在だったもの」
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