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本編
22 エリウ神殿
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魔王のいるスミアにだいぶ近づくだけあり悪魔の強さが増していくのがいやでもわかった。
ラーフはうんざりしながらも道を通り現れる悪魔を退治していった。
レンジュの傍にはマホを配置させ、ギーラとラーフは十体の悪魔たちを退治していった。
ようやく片付いたと思った時に叢から別の悪魔が現れる。
マホは持っている火の力でそれを倒そうとした。しかし、マホの炎にあたっても悪魔は動じずにいた。それにマホは驚き慌てた。
予想しない事態にラーフは仕方なくギーラに任せ、二人の元へかけよった。
悪魔が二人に襲いかかろうとすると同時に悪魔は突然大地からあふれ出た水に勢いよく飛ばされた。
宙へ飛ばされた悪魔に追い打ちをかけるように別の場所から水の竜巻のようなものが現れ悪魔を攻撃した。
それによりようやく悪魔は消滅した。
「だめよ。あれは火の属性の悪魔。いくら火の神の力でも、火対火では意味のないことよ」
後ろから女性の声がした。マホとレンジュはぽかんとした表情で女性を見つめた。
黒く長い髪をポニーテールにまとめあげ、それでも髪は腰ほどの長さであった。
青色の石のちりばめられた黒の腰帯をつけ、美しい蒼の布で身を飾りたてていた。
年はラーフと同じころ、18程の女性であった。
女性はにこやかに笑みをたたえ、レンジュに近づいた。
「はじめまして、救世神の聖女。ご無事で何よりです」
自分を聖女と知った上で助けた女性にレンジュは慌てて表情を戻し礼を述べた。
「えと、ありがとうございます」
「サーシャ・ナージャ、私のことはサーシャと呼んで」
そしてサーシャはちらりとラーフの方へ視線を移した。
ラーフはサーシャの顔をじっと見つめていた。
どうやら自分がだれかわかっているようだとサーシャはつっと口を吊り上げ笑った。
「久しぶりね。ラーフ」
「ああ」
どうやら二人は知り合いのようである。
レンジュは興味深く感じ、二人の関係について尋ねた。
「ただの幼馴染です。私は彼の妹・シャロンの親友でした」
サーシャは一時期淑女としての礼儀作法と学問をおさめるため、アーシェ・グラド寮に入っていた。
そこはアーシェ寺の修道女が教鞭をとる国一の女学校であった。
アーシェ・グラド寮はラーフの故郷であるアーシェ領内に存在していた。
ラーフの妹・シャロンも一時期そこに入っていたのだ。
そこで休日の日シャロンはサーシャを連れて帰省していた。
ラーフはそういう経緯でサーシャとは顔見知りであったのだ。
「それでナージャ一族の総領娘がここに何故いる」
「救世神の聖女を迎えに来たのよ」
「私?」
レンジュはきょとんとし自分を指さした。
あどけない少女の仕草にサーシャは微笑ましさを覚えた。
「ええ、私は今縁あってエリウ神殿で厄介になっているの。そこの神官の話では聖女がそろそろ近くにやってくる頃だから迎えに行ってほしいって」
衣食住の恩があり、サーシャは快く引き受け今にいたる。
エリウ神殿に何故サーシャが厄介になっているのかラーフは理解できなかった。
だが、エリウ神殿までの道案内を得ることができたのでよしとしよう。
◇◇◇
この世界は病魔が蔓延し大地は枯れ果てた荒廃した世界であるが、それでも何度か再生を繰り返している。今回が何度目の荒廃だったか。
はじめ世界を再生に導いたのはエリウという初代救世神の聖女であった。
彼女は自分の足で腐敗した大地を浄化していった。
そして病魔に苦しむ人々を治癒していった。
最終的にたどり着いたハスラ山で持ち得る浄化の力をすべて解放し世界を再生へと導いた。
その時の眷属と彼女を慕う信者の手で造られたのがエリウ神殿である。
ここには初代救世神の聖女の霊魂がまだ存在していると言われている。
魔王の到来により被害を特に受けている地域にあるというのに、エリウ神殿は無傷を保っていた。
そのため、自分の土地が腐敗し病魔に怯えている人たちはこの神殿に参拝しているという。
エリウ神殿に迎えられたレンジュたちはそのまま女神官に連れられ禊の間へ入った。
今からエリウの霊魂が眠るとされる間へ案内されるのだ。外の気でついてしまった穢れはここで落とすように言われたのだ。
レンジュは禊の水の中に入る。
かつての聖女の加護を得たといわれる神殿の水だけあって清浄で心地よかった。穢れだけでなく疲労も振り落されるような気分であった。
「はふ、幸せ」
水は冷たくなくほどよい温度で肌になじんできた。
レンジュはゆったりとした気分で水の中に身を沈めていった。
「レンジュ」
少女に声をかけられてレンジュははっとした。
自分しかいないと思っていたためかなりだらしない恰好をしていただろう。
レンジュはそれを恥じいすまいを正した。
奥の方に自分と同じ年の頃の少女がそこにいた。
少女はレンジュと同じ薄着の姿で同様に禊をしているようであった。
「あ、あの……こ、こんにちは」
レンジュは顔を真っ赤にして少女に挨拶をした。それに少女はにこりと笑った。
「この水はあなたに合うかしら?」
そう質問され、レンジュはこくりと頷いた。
「はい。こんなきれいな水、はじめてかも……」
「よかった」
少女はにこりと笑った。
そしてレンジュの方へ近づき、レンジュの両頬を両手で包み込んだ。
その瞬間とても暖かな気分に満たされるのを覚えた。
「あの……」
「とても疲れている。力の使い過ぎね」
そう言われレンジュはばつの悪そうな顔をした。
隠し事が親にばれた子供の気分であった。
「十分な休息をとらず大きな力を連続で使っている。このままじゃスミアにたどり着く前に倒れてしまうわ」
「え、と……あなたは」
レンジュはちらりと少女の瞳をみて、ようやく彼女が何者かを理解した。
「エリウ様?」
レンジュと同じ空色の瞳をしていた。
それは清浄を象徴したような色であった。
それに少女はにこりと笑った。
「しかとこの水で疲れを癒しなさい。ここから先、さらに空気は汚されてあなたは力をたくさん使うことになるでしょうから」
「あ、ありがとうございます」
先輩の聖女から気にかけてもらいレンジュは感激してしまった。
「それと……、ひとつ忠告していいかしら」
「はい」
「ラーフを眷属から外しなさい」
その瞬間レンジュは目を大きく見開いた。
「その様子では知っているはずよね。ラーフの正体を……ここで彼には任を下ろしてもらいなさい」
レンジュは何も言えなかった。
「彼の代わりにサーシャがあなたの眷属になります。彼女は竜神の末裔と言われるナージャ一族の総領娘。水と風を操る能力はかなりのものです。彼女には事情をすでに話し了承してもらっています」
レンジュは後ずさった。エリウは追い打ちをかけるように言った。
「聖女の地位を利用しラーフをあの時処刑から救ったことは大目にみましょう。ですが、眷属として傍に置く必要はなかった」
それ以上聞きたくなかった。レンジュは耳を両手で塞いだ。
「あなたはまだ人としても、聖女としても幼すぎる。彼を救いたいという気持ちはわからなくもありません」
唯一心許せた妹を無残な死に目に合わせたバラクのラバナ将軍に復讐し、その末が処刑であるのはあまりに悲しすぎであった。
それにラバナ将軍を殺した後のラーフは生気の抜け落ちた姿をしていた。
まだ若い身空でありながらあのように虚無の姿をするのはあまりに辛すぎた。
仮に処刑を免れてもこのままの彼では生きていけないと考えた。
まるで弱った雛をみるような心地であった。
だからレンジュはしばらくラーフの気が安定するまで使命を与えた。
レンジュを守る眷属として。
そして、ラーフは旅の途中に生気を取り戻していくのを感じた。
今の彼であればレンジュがいなくても生きていける。
本当はもうレンジュは彼を眷属から外しておかなければならないというのはわかっていた。
だが、レンジュはそれができなかった。
力を使った後弱ったレンジュを看病するラーフの優しい手があまりに恋しすぎるのだ。
「あなたは救世神の聖女。世界を救い、魔王から世界を守ることが使命、わかっているでしょう? 辛くなるのはあなたなのよ」
優しく言い含ませるその声の裏には厳しさがあった。
レンジュが聖女としての責任を負わなければならないと改めて言っているのだ。
そのためにレンジュはラーフとここで別れなければならない。
世界を救うために必要なことなのだ。
ラーフはうんざりしながらも道を通り現れる悪魔を退治していった。
レンジュの傍にはマホを配置させ、ギーラとラーフは十体の悪魔たちを退治していった。
ようやく片付いたと思った時に叢から別の悪魔が現れる。
マホは持っている火の力でそれを倒そうとした。しかし、マホの炎にあたっても悪魔は動じずにいた。それにマホは驚き慌てた。
予想しない事態にラーフは仕方なくギーラに任せ、二人の元へかけよった。
悪魔が二人に襲いかかろうとすると同時に悪魔は突然大地からあふれ出た水に勢いよく飛ばされた。
宙へ飛ばされた悪魔に追い打ちをかけるように別の場所から水の竜巻のようなものが現れ悪魔を攻撃した。
それによりようやく悪魔は消滅した。
「だめよ。あれは火の属性の悪魔。いくら火の神の力でも、火対火では意味のないことよ」
後ろから女性の声がした。マホとレンジュはぽかんとした表情で女性を見つめた。
黒く長い髪をポニーテールにまとめあげ、それでも髪は腰ほどの長さであった。
青色の石のちりばめられた黒の腰帯をつけ、美しい蒼の布で身を飾りたてていた。
年はラーフと同じころ、18程の女性であった。
女性はにこやかに笑みをたたえ、レンジュに近づいた。
「はじめまして、救世神の聖女。ご無事で何よりです」
自分を聖女と知った上で助けた女性にレンジュは慌てて表情を戻し礼を述べた。
「えと、ありがとうございます」
「サーシャ・ナージャ、私のことはサーシャと呼んで」
そしてサーシャはちらりとラーフの方へ視線を移した。
ラーフはサーシャの顔をじっと見つめていた。
どうやら自分がだれかわかっているようだとサーシャはつっと口を吊り上げ笑った。
「久しぶりね。ラーフ」
「ああ」
どうやら二人は知り合いのようである。
レンジュは興味深く感じ、二人の関係について尋ねた。
「ただの幼馴染です。私は彼の妹・シャロンの親友でした」
サーシャは一時期淑女としての礼儀作法と学問をおさめるため、アーシェ・グラド寮に入っていた。
そこはアーシェ寺の修道女が教鞭をとる国一の女学校であった。
アーシェ・グラド寮はラーフの故郷であるアーシェ領内に存在していた。
ラーフの妹・シャロンも一時期そこに入っていたのだ。
そこで休日の日シャロンはサーシャを連れて帰省していた。
ラーフはそういう経緯でサーシャとは顔見知りであったのだ。
「それでナージャ一族の総領娘がここに何故いる」
「救世神の聖女を迎えに来たのよ」
「私?」
レンジュはきょとんとし自分を指さした。
あどけない少女の仕草にサーシャは微笑ましさを覚えた。
「ええ、私は今縁あってエリウ神殿で厄介になっているの。そこの神官の話では聖女がそろそろ近くにやってくる頃だから迎えに行ってほしいって」
衣食住の恩があり、サーシャは快く引き受け今にいたる。
エリウ神殿に何故サーシャが厄介になっているのかラーフは理解できなかった。
だが、エリウ神殿までの道案内を得ることができたのでよしとしよう。
◇◇◇
この世界は病魔が蔓延し大地は枯れ果てた荒廃した世界であるが、それでも何度か再生を繰り返している。今回が何度目の荒廃だったか。
はじめ世界を再生に導いたのはエリウという初代救世神の聖女であった。
彼女は自分の足で腐敗した大地を浄化していった。
そして病魔に苦しむ人々を治癒していった。
最終的にたどり着いたハスラ山で持ち得る浄化の力をすべて解放し世界を再生へと導いた。
その時の眷属と彼女を慕う信者の手で造られたのがエリウ神殿である。
ここには初代救世神の聖女の霊魂がまだ存在していると言われている。
魔王の到来により被害を特に受けている地域にあるというのに、エリウ神殿は無傷を保っていた。
そのため、自分の土地が腐敗し病魔に怯えている人たちはこの神殿に参拝しているという。
エリウ神殿に迎えられたレンジュたちはそのまま女神官に連れられ禊の間へ入った。
今からエリウの霊魂が眠るとされる間へ案内されるのだ。外の気でついてしまった穢れはここで落とすように言われたのだ。
レンジュは禊の水の中に入る。
かつての聖女の加護を得たといわれる神殿の水だけあって清浄で心地よかった。穢れだけでなく疲労も振り落されるような気分であった。
「はふ、幸せ」
水は冷たくなくほどよい温度で肌になじんできた。
レンジュはゆったりとした気分で水の中に身を沈めていった。
「レンジュ」
少女に声をかけられてレンジュははっとした。
自分しかいないと思っていたためかなりだらしない恰好をしていただろう。
レンジュはそれを恥じいすまいを正した。
奥の方に自分と同じ年の頃の少女がそこにいた。
少女はレンジュと同じ薄着の姿で同様に禊をしているようであった。
「あ、あの……こ、こんにちは」
レンジュは顔を真っ赤にして少女に挨拶をした。それに少女はにこりと笑った。
「この水はあなたに合うかしら?」
そう質問され、レンジュはこくりと頷いた。
「はい。こんなきれいな水、はじめてかも……」
「よかった」
少女はにこりと笑った。
そしてレンジュの方へ近づき、レンジュの両頬を両手で包み込んだ。
その瞬間とても暖かな気分に満たされるのを覚えた。
「あの……」
「とても疲れている。力の使い過ぎね」
そう言われレンジュはばつの悪そうな顔をした。
隠し事が親にばれた子供の気分であった。
「十分な休息をとらず大きな力を連続で使っている。このままじゃスミアにたどり着く前に倒れてしまうわ」
「え、と……あなたは」
レンジュはちらりと少女の瞳をみて、ようやく彼女が何者かを理解した。
「エリウ様?」
レンジュと同じ空色の瞳をしていた。
それは清浄を象徴したような色であった。
それに少女はにこりと笑った。
「しかとこの水で疲れを癒しなさい。ここから先、さらに空気は汚されてあなたは力をたくさん使うことになるでしょうから」
「あ、ありがとうございます」
先輩の聖女から気にかけてもらいレンジュは感激してしまった。
「それと……、ひとつ忠告していいかしら」
「はい」
「ラーフを眷属から外しなさい」
その瞬間レンジュは目を大きく見開いた。
「その様子では知っているはずよね。ラーフの正体を……ここで彼には任を下ろしてもらいなさい」
レンジュは何も言えなかった。
「彼の代わりにサーシャがあなたの眷属になります。彼女は竜神の末裔と言われるナージャ一族の総領娘。水と風を操る能力はかなりのものです。彼女には事情をすでに話し了承してもらっています」
レンジュは後ずさった。エリウは追い打ちをかけるように言った。
「聖女の地位を利用しラーフをあの時処刑から救ったことは大目にみましょう。ですが、眷属として傍に置く必要はなかった」
それ以上聞きたくなかった。レンジュは耳を両手で塞いだ。
「あなたはまだ人としても、聖女としても幼すぎる。彼を救いたいという気持ちはわからなくもありません」
唯一心許せた妹を無残な死に目に合わせたバラクのラバナ将軍に復讐し、その末が処刑であるのはあまりに悲しすぎであった。
それにラバナ将軍を殺した後のラーフは生気の抜け落ちた姿をしていた。
まだ若い身空でありながらあのように虚無の姿をするのはあまりに辛すぎた。
仮に処刑を免れてもこのままの彼では生きていけないと考えた。
まるで弱った雛をみるような心地であった。
だからレンジュはしばらくラーフの気が安定するまで使命を与えた。
レンジュを守る眷属として。
そして、ラーフは旅の途中に生気を取り戻していくのを感じた。
今の彼であればレンジュがいなくても生きていける。
本当はもうレンジュは彼を眷属から外しておかなければならないというのはわかっていた。
だが、レンジュはそれができなかった。
力を使った後弱ったレンジュを看病するラーフの優しい手があまりに恋しすぎるのだ。
「あなたは救世神の聖女。世界を救い、魔王から世界を守ることが使命、わかっているでしょう? 辛くなるのはあなたなのよ」
優しく言い含ませるその声の裏には厳しさがあった。
レンジュが聖女としての責任を負わなければならないと改めて言っているのだ。
そのためにレンジュはラーフとここで別れなければならない。
世界を救うために必要なことなのだ。
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