ひら、ひらり。

はぁて

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「次は、もう1回台の上に乗ろうか」

 なんで。全部飲み干したのに、零したものも舐めたのに褒めてくれない。僕は不安になって、体の熱がスっと消えていくのを感じた。僕のかちかちになった身体を抱っこして相良さんが台の上に下ろす。

「Show your stomach《お腹を見せて》」

 身体が勝手に仰向けになる。お酒のせいで手足はだらんと伸びてしまう。口元も力が入らない。目の前がぼやぼや揺れていく。やばい……ほんとうに苦しい。

「ズボンと下着を脱いで」

 そんな……。下半身丸出しにしろってこと? 僕の手はおそるおそる自分のズボンに向かう。ずり、という布ずれの音。ズボンは下ろせた。でも、下着は……羞恥が勝って手が動かない。やらなきゃ、やらなきゃと思うとさらに身体が動かなくなる。はぁ、という相良さんの大きなため息が耳について悔しい。相良さんの期待に答えないと……はやく、動け、身体。

「雛瀬くんは猫だから仕方ないね。俺が脱がすよ」

「っ」

 間髪入れずに下着を下ろされる。足のほうにいる相良さんからは、きっと僕のことがよく見おろせるはずだ。今僕、どんな顔してるんだろう。ふと、そう思った。ひやりとした空気が下半身を包む。これから、何をされるんだろうなんて考える余裕はもう僕にはなくて。

「っぁ」

 無遠慮に触れてきた相良さんの手。僕の閉じた場所を何度も撫で回す。キッチンの台の下にある引き出しから何かを取り出すと、僕の腹の上にかけた。とろり、溢れる茶色の液体。甘い香り……これって……。

「これね、俺のお気に入りのメープルシロップ。いつもは朝食のパンケーキにかけるんだけど、今日は特別ね」

 べとべととした感触。腹の上からみだらに零れていく液体を見るのは、かなり危うい。相良さんはメープルシロップを手で集めると僕の蕾に塗りたくった。排泄器官としてしか機能してこなかったそこを触れるのはなんだか嫌だ。僕は少しでも抵抗したくて、自然と足を閉じていた。それを相良さんは目ざとく手で抑えてくる。ああ、目が黒く、深く色を帯びていく。怒ってるんだ……僕に。
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