ひら、ひらり。

はぁて

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「作った本人が言うのもあれだけど、美味しいね」

 相良さんは子どもみたいに無邪気に笑う。あ、写真の中の彼もこんなふうな笑顔だった。よかった……そういう笑顔が見たかったから。俺は嬉しくなって、テーブルの下で足を跳ねさせた。静かに、相良さんにばれないように。

「ほんとうに……こんなに美味しいローストチキン初めて食べました」

 本音だった。相良さんはかしかしとこめかみを指でかく。最近わかるようになった相良さんの癖。恥ずかしがっているときにやる動作だ。



「ごちそうさま」

 相良さんが両手を合わせる。僕も真似して手を合わせた。

「ごちそうさまでした。……ほんとうに美味しかったです。食事に呼んでくれてありがとうございます」

 僕はお腹がいっぱいになるほど食べさせてもらった。ローストチキンが予想通り2人では食べきれなかったので明日にまわすらしい。洗い物を手伝おうとしたら、相良さんにだめだと言われてしまった。相良さんの言うことは絶対なので、それに反抗するのはやめにした。

 僕は最近ハマっているスマホゲームをやることにした。僕がやっているのは育成ゲームと呼ばれるジャンルらしく、あざらしの赤ちゃんを育てるゲームだ。赤ちゃんあざらしを育て上げ、水族館でナンバーワンの人気者にする。それを目指して、餌やりやスキンシップなどをとるほのぼのとしたゲームだ。僕は動物に弱い。特に赤ちゃんとなるとなおさらだ。このゲームにはかなり癒されている。実はこれは、先月電話相談をした女の子が教えてくれたゲームだった。このゲームをしていると、ストレスが少なくなるよとおすすめしてくれたのだ。最近仲良くしてくれている職場の金森さんにも教えたら、相当ハマってしまったらしく、プロのトレーナーレベルにまで上がったんだとか。僕はまだ新人トレーナーレベルなのに。そうこうしていると、僕はふと強い視線を背後から感じて後ろを振り返った。
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