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お笑い番組が終わったところで、相良さんがテレビを消した。訪れる沈黙に僕はいたたまれなくなる。
「雛瀬くんに話したいことがあるんだ」
相良さんの表情は真剣だ。僕は姿勢を正して話を聞くことにした。
「この間のこと、いきなりで驚かせてしまったよね。ほんとうにごめん」
僕は、あのときのことを思い出して顔を赤らめた。自分の恥ずかしい姿が頭に焼き付いて離れない。
「雛瀬くんは、あのときどんな気持ちになった?」
憂うような視線。僕はその目に見つめられると、言葉を隠すことができなくなる。
「気持ちいいとか、怖いとか、褒められて嬉しいとか……色んな感情がごちゃまぜでした」
相良さんは少しほっとした表情をしたが、すぐさま表情を曇らせた。
「俺のこと、嫌いになった?」
僕の目線に合わせるために背を屈めてくれる優しさが……僕には嬉しいんだ。
「嫌いだなんて思いません。相良さんは僕にとって大切な友達ですから!」
相良さんを安心させようとして放った言葉だったが、逆に嫌な思いをさせてしまったのかもしれない。相良さんの眉毛がぴくりと反応する。
「ほんとうに友達だと思ってる?」
笑っているはずなのに、目の奥が冷え冷えとしている。相良さんのスイッチ押しちゃったかもしれない……。
「友達はこういうことするのかな」
ふに、と右手で頬を掴まれて。すりすりと撫でられる。相良さんの手、熱い……大きくて安心する。ぼーっと相良さんの顔を眺めていたら、相良さんが吹き出した。この顔、初めて見る。お腹を抱えて笑っている。
「あはは……雛瀬くん、やっぱり面白いね」
しまいには涙まで出る始末。そんなに面白いことしたかな? 訝しんでいると相良さんがもう一度傍に寄ってきて。
「こうすれば、伝わるのかな?」
ちゅ、とおでこに熱いものが触れた。何? 今の。相良さんの高い鼻が目の前に来て、ゆっくり離れていった。
「雛瀬くんに話したいことがあるんだ」
相良さんの表情は真剣だ。僕は姿勢を正して話を聞くことにした。
「この間のこと、いきなりで驚かせてしまったよね。ほんとうにごめん」
僕は、あのときのことを思い出して顔を赤らめた。自分の恥ずかしい姿が頭に焼き付いて離れない。
「雛瀬くんは、あのときどんな気持ちになった?」
憂うような視線。僕はその目に見つめられると、言葉を隠すことができなくなる。
「気持ちいいとか、怖いとか、褒められて嬉しいとか……色んな感情がごちゃまぜでした」
相良さんは少しほっとした表情をしたが、すぐさま表情を曇らせた。
「俺のこと、嫌いになった?」
僕の目線に合わせるために背を屈めてくれる優しさが……僕には嬉しいんだ。
「嫌いだなんて思いません。相良さんは僕にとって大切な友達ですから!」
相良さんを安心させようとして放った言葉だったが、逆に嫌な思いをさせてしまったのかもしれない。相良さんの眉毛がぴくりと反応する。
「ほんとうに友達だと思ってる?」
笑っているはずなのに、目の奥が冷え冷えとしている。相良さんのスイッチ押しちゃったかもしれない……。
「友達はこういうことするのかな」
ふに、と右手で頬を掴まれて。すりすりと撫でられる。相良さんの手、熱い……大きくて安心する。ぼーっと相良さんの顔を眺めていたら、相良さんが吹き出した。この顔、初めて見る。お腹を抱えて笑っている。
「あはは……雛瀬くん、やっぱり面白いね」
しまいには涙まで出る始末。そんなに面白いことしたかな? 訝しんでいると相良さんがもう一度傍に寄ってきて。
「こうすれば、伝わるのかな?」
ちゅ、とおでこに熱いものが触れた。何? 今の。相良さんの高い鼻が目の前に来て、ゆっくり離れていった。
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