ひら、ひらり。

はぁて

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「ここのジャム、手作りらしいからおすすめ」

「ありがとうございます」

 そう言って、マーマレードと苺ジャムを小皿に取って渡してくれる。焼きたてのバターロールとカフェラテを持って席に着く。ホテルの外が見える窓際の席に腰掛けた。

「いただきます」

「……いただきます」

 外でも、ちゃんと食事前の挨拶するんだ。相良さんに対しての好感度が上がっていく。僕も手を合わせてカフェラテの入ったカップに口をつける。ああ、甘くていい香り。ふと、目線を上げれば同じカップに口をつける相良さんの姿が目に入った。匂いでわかる。ブラックコーヒーだ。相良さんによく似合う。

 バターロールをちぎって、マーマレードを付けてみる。ゆっくりと口に含んだ。オレンジの甘酸っぱさが舌に染み付いて……美味しい。皮がアクセントになっていて、ほんのり香る苦味もまた一口食べたくなる。僕は相当腹が減っていたのか、3分と経たずにバターロールを2つ完食してしまった。苺ジャムは、苺狩りで採った採れたてみたいな味がしてこれも好きになった。相良さんはがっつく僕を見てはいなかった。スマホを見ていて、その傍らでバターロールを食べているようだった。なんか、忙しそう。俺は邪魔にならないように、声をかけた。

「おかわり、もらってきます」

「うん。行っておいで」

 返事をするときだけは、こっちを見てくれて。少しほっとした。無視されでもしたら僕のメンタルが持たない。
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