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第1話
第1-4話 こちら用語説明回です
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~このお話は大体こんな感じ~
開初の話をまとめると、
1.同僚の女性社員の無断欠勤が続いている。
2.家を訪ねるとインターホン越しに、「こないで」と言われる。
3.色々試したが収穫は無かった。
4.最後の頼みの綱で佐々垣の所にやって来た。
…ということらしい。
その話の後に佐々垣は一つだけ質問をした。
「どこでオレのことを知ったの?」
アンケートのテンプレみたいな質問。
「その同僚が言ってたんです。佐々垣さんの所で『おまじない』がどうとかって」
答えを聞いた佐々垣はなるほどねと、腑に落ちた顔をし、「じゃあオレは準備してるから。透ー、説明よろしゅうー」右手をヒラヒラさせながら部屋を出ていってしまった。
… 気まずい …
沈黙 … … …
… 重々しい
… …人見知り
… … …
「えーーっと、何か聞きたい事とか、あります、か?」
一方的に説明役に任命された新月が静かな空気をおずおずと破ると、開初は物語の根幹を突いた。
「あっ、じゃあ、さっきから出てくる『おまじない』って何なんですか?」
「んー、何なのかと言われると難しいんですけど…。個人の欲望の最果て、みたいなものらしいです。」
「欲望の…最果て?」聞き慣れない言葉が出たのか、開初は身を乗り出して聞き返した。
「はい。人間には誰しも欲望を持っていると言われています。無いと思っている人でも食欲や睡眠欲をもっているはずです。それで、欲望が発散されず大きくなりすぎるとその欲望が表側に出てくる…らしいです。まぁ、全部先生から聞いた話なんですけどね」頬を少し赤らめながら自嘲気味に新月がはにかむ。新月の説明を聞き終えてから開初は次の質問を始めた。
「佐々垣さんの『はらい』ってなんですか?」
「んーと、『おまじない』は大きく三つに分かれるんです。おまじないをかけた『掬び』、かけられた『憑れ』、おまじないを取り消すのが『祓い』なんです。加害者、被害者、刑事みたいなイメージですかね。これも先生の受け売りですねー」いつもの癖で愛想笑いを繰り返す。
あはは…。
あは…。
再び訪れた静かな空気を開初が努めて明るく変えた。
「そっ、そういえば、新月さんって佐々垣さんの事を先生って呼んでますけど、どういうご関係なんですか?」
「あっ、あー、先生っていうのは僕が勝手に呼んでるだけです。教師とかやってるとかそういう話は聞いたことないですけど。関係は…なんだろ、先生と助手って感じですかね。」助手も自称で勝手なんですけどねー、と笑う新月だが内心はもはや限界寸前で泣きそうになっていた。
(先生ぇー!早くしてー!もう間が保ちませーん!)
ガチャッ。
それは、どこにでもあるドアノブの音なのだが、新月にとっては救いの福音に聞こえたという。
「お待たせーぃ。とりあえず準備はできたから明日から調査始めよか」軽々とした口調の佐々垣の言葉に面喰らったのは開初。佐々垣に詰め寄り小噴火の勢いでまくしたてた。
「あっ、明日ですか!?どうして!彼女は今も苦しんでいるかも知れないんですよ!」
唐突に感情が剥き出しになった開初を、冷静そのものな目で見つめる佐々垣は同様に冷静な声色で返した。
「落ち着きなって。今日はもう遅いし、こっちは情報の整理したいし、そっちも見るからにくたびれモードだから休んだほうがいい。」
諭された開初は小さく、わかりました、と言っていたが口をキュッと結び、不満を悟られないようにしていた。
「それじゃあ、今日は帰ります。依頼、引き受けて下さってありがとうございます。失礼します。」
開初は社会人らしくお辞儀と挨拶を済ませ帰っていった。後ろ姿が見えなくなるまで見送った新月が部屋に戻ると、佐々垣がだらけていた。それはもう夏空のアイスクリームのように。だらけていた。だらだらと。それでもこの二人にとってはいつもの事なのである。
「今日も依頼来ましたね」「ぬーん」
「明日の放課後は俺も手伝いますよ」「あーい」
「冷凍庫のダーゲンハッツ食べていいですか?」「絶ッッッッッッッ対にダメ」
…いつもの事なのである。
「しかし、何が目的なんですかね。今回の『掬び』は。」
「それは調べてみないと分からんちんだって。あーあ。あの依頼人が『掬び』だったりしないかなー」
「先生には人の心が無いんですか???あの人は友達だから心配して依頼しに来たんですよー?そんなこと言っちゃいけないんですよ」
「だってー面倒くさいんだもーん、考えるのー」
「ははっ、そんな理由で決めつけられたらたまったもんじゃないですね」
空がオレンジ色に染まってきた頃、明日の準備があらかた終わった新月は自分の持ち物もまとめ、自宅へ戻ろうとしていた。
「そろそろ俺も帰りますねー。先生、また明日」
はあぁーい。気の抜けた佐々垣の声を背中に受け、新月は帰路についた。
「友達を心配して、ねぇ」(透はホントにイイコだなぁ。)
一人に戻った部屋で佐々垣は半笑いをこらえつつ呟いた。依頼人の素性、欠勤続きの同僚、おまじないをかけた掬び、その他諸々の調査、やる事が山積みとなった明日以降にちょっぴり辟易しながらも、同じくらいちょっぴり楽しみにしていた。
「早く明後日になんねーかな」
開初の話をまとめると、
1.同僚の女性社員の無断欠勤が続いている。
2.家を訪ねるとインターホン越しに、「こないで」と言われる。
3.色々試したが収穫は無かった。
4.最後の頼みの綱で佐々垣の所にやって来た。
…ということらしい。
その話の後に佐々垣は一つだけ質問をした。
「どこでオレのことを知ったの?」
アンケートのテンプレみたいな質問。
「その同僚が言ってたんです。佐々垣さんの所で『おまじない』がどうとかって」
答えを聞いた佐々垣はなるほどねと、腑に落ちた顔をし、「じゃあオレは準備してるから。透ー、説明よろしゅうー」右手をヒラヒラさせながら部屋を出ていってしまった。
… 気まずい …
沈黙 … … …
… 重々しい
… …人見知り
… … …
「えーーっと、何か聞きたい事とか、あります、か?」
一方的に説明役に任命された新月が静かな空気をおずおずと破ると、開初は物語の根幹を突いた。
「あっ、じゃあ、さっきから出てくる『おまじない』って何なんですか?」
「んー、何なのかと言われると難しいんですけど…。個人の欲望の最果て、みたいなものらしいです。」
「欲望の…最果て?」聞き慣れない言葉が出たのか、開初は身を乗り出して聞き返した。
「はい。人間には誰しも欲望を持っていると言われています。無いと思っている人でも食欲や睡眠欲をもっているはずです。それで、欲望が発散されず大きくなりすぎるとその欲望が表側に出てくる…らしいです。まぁ、全部先生から聞いた話なんですけどね」頬を少し赤らめながら自嘲気味に新月がはにかむ。新月の説明を聞き終えてから開初は次の質問を始めた。
「佐々垣さんの『はらい』ってなんですか?」
「んーと、『おまじない』は大きく三つに分かれるんです。おまじないをかけた『掬び』、かけられた『憑れ』、おまじないを取り消すのが『祓い』なんです。加害者、被害者、刑事みたいなイメージですかね。これも先生の受け売りですねー」いつもの癖で愛想笑いを繰り返す。
あはは…。
あは…。
再び訪れた静かな空気を開初が努めて明るく変えた。
「そっ、そういえば、新月さんって佐々垣さんの事を先生って呼んでますけど、どういうご関係なんですか?」
「あっ、あー、先生っていうのは僕が勝手に呼んでるだけです。教師とかやってるとかそういう話は聞いたことないですけど。関係は…なんだろ、先生と助手って感じですかね。」助手も自称で勝手なんですけどねー、と笑う新月だが内心はもはや限界寸前で泣きそうになっていた。
(先生ぇー!早くしてー!もう間が保ちませーん!)
ガチャッ。
それは、どこにでもあるドアノブの音なのだが、新月にとっては救いの福音に聞こえたという。
「お待たせーぃ。とりあえず準備はできたから明日から調査始めよか」軽々とした口調の佐々垣の言葉に面喰らったのは開初。佐々垣に詰め寄り小噴火の勢いでまくしたてた。
「あっ、明日ですか!?どうして!彼女は今も苦しんでいるかも知れないんですよ!」
唐突に感情が剥き出しになった開初を、冷静そのものな目で見つめる佐々垣は同様に冷静な声色で返した。
「落ち着きなって。今日はもう遅いし、こっちは情報の整理したいし、そっちも見るからにくたびれモードだから休んだほうがいい。」
諭された開初は小さく、わかりました、と言っていたが口をキュッと結び、不満を悟られないようにしていた。
「それじゃあ、今日は帰ります。依頼、引き受けて下さってありがとうございます。失礼します。」
開初は社会人らしくお辞儀と挨拶を済ませ帰っていった。後ろ姿が見えなくなるまで見送った新月が部屋に戻ると、佐々垣がだらけていた。それはもう夏空のアイスクリームのように。だらけていた。だらだらと。それでもこの二人にとってはいつもの事なのである。
「今日も依頼来ましたね」「ぬーん」
「明日の放課後は俺も手伝いますよ」「あーい」
「冷凍庫のダーゲンハッツ食べていいですか?」「絶ッッッッッッッ対にダメ」
…いつもの事なのである。
「しかし、何が目的なんですかね。今回の『掬び』は。」
「それは調べてみないと分からんちんだって。あーあ。あの依頼人が『掬び』だったりしないかなー」
「先生には人の心が無いんですか???あの人は友達だから心配して依頼しに来たんですよー?そんなこと言っちゃいけないんですよ」
「だってー面倒くさいんだもーん、考えるのー」
「ははっ、そんな理由で決めつけられたらたまったもんじゃないですね」
空がオレンジ色に染まってきた頃、明日の準備があらかた終わった新月は自分の持ち物もまとめ、自宅へ戻ろうとしていた。
「そろそろ俺も帰りますねー。先生、また明日」
はあぁーい。気の抜けた佐々垣の声を背中に受け、新月は帰路についた。
「友達を心配して、ねぇ」(透はホントにイイコだなぁ。)
一人に戻った部屋で佐々垣は半笑いをこらえつつ呟いた。依頼人の素性、欠勤続きの同僚、おまじないをかけた掬び、その他諸々の調査、やる事が山積みとなった明日以降にちょっぴり辟易しながらも、同じくらいちょっぴり楽しみにしていた。
「早く明後日になんねーかな」
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