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仕組まれていた
しおりを挟む「…正直、貴女が彼の名前を呼んだ時心臓が止まるかと思ったよ。まだ彼に気持ちが残っているのかと思ったから…。」
ロメオが連れ去られ、再び和やかな音楽が流れ始めたホールを六人で抜け出し、場所を移動していく最中にエディオにそう告げられたメアリーナはふわり、と微笑んだ。
「…そうですね。
先程までは、心のどこかで彼に淡い期待をしていたのは事実です。子どもの頃、私が好きだった、傍に居たいと思えた優しくて明るく屈託のない彼は今でもどこかにいるにではないかと。
…招待状もない夜会に侵入してくるとは思いませんでしたけど、会って、最後に言うことが出来て良かったです。スッキリしました。」
「そう…それなら、良かった。」
六人は侯爵家の客室へと案内され、そこで先程の話の続きをする事となった。一旦男性達は窓際の席へと移動し、女性陣のみでソファー席へと座る。
ティアラがパッと顔の前でお祈りのポーズをすると、上目遣いでメアリーナの顔を見た。
「先に謝っておくわ、ごめんなさいメア。」
「ワタクシも。ごめんなさい。」
「え?二人とも、どうしたというの?」
メアリーナの両隣に座ったティアラとカレンデュレアは彼女越しに顔を合わせると実は、と話し始めた。
元々この夜会はメアリーナの多種多様な異性と知り合う為の場として開催したのではなく、エディオとの出会いの場として開催したとのこと。
「え?え?」
「ライからずっと相談を受けていたの。メアに恋をして研究も手につかなくなってる『大バカ野郎』がいて、と。」
「えっ?!」
「でも、その頃の貴女には先程のクソムシみたいな婚約者がいらっしゃったでしょう?だから、ワタクシからは何も伝えることが出来なくて。」
大バカ野郎、クソムシ…こんなに美人で色っぽい侯爵令嬢の口からそんな言葉を聞ける日が来るとは、と、カレンデュレアの言葉にメアリーナはポカンとしながら、今度はティアラを見た。ティアラはパチッとウインクをすると可愛らしく微笑んだ。
「でも、キモクソムシは居なくなったし、そこで今回のことを思いついたのよ。」
「キモクソムシ…。」
キモがついた。
「ラルバイン様は研究ばっかりに冒頭してしまう所があるみたいだけど、メアに恋をしてその研究に手がつかなくなったって聞いて。二人をどうしても一度出会わせたかったの。」
ごめんね、と再び頭を下げる少女達に、メアリーナは慌てて首を横に振った。
「二人とも謝らないで。私、本日の夜会に参加してよかったと思っているわ。」
「「本当?」」
「ええ。ラルバイン様の事は…ま、まだ分からないけれど、これから知っていけばいいと思うの…。」
「!!是非そうしてください!」
窓際の席にいてこちらの話をじっと聞いていたエディオが、ばっと立ち上がってそう叫ぶのを、ライオネルとアルトがどーどーと言いながら宥めている。
メアリーナはそんな彼の姿に頬を赤く染めた。そして、躊躇いがちに小さく頷いたのを見て、エディオはハッと硬直して、その後頭を抱えて座り込んでしまった。
「大丈夫よ、メア。あれは貴女の可愛らしさにただノックアウトされて鼻血が出そうになっているのを止めようとしているだけの姿よ、気にする事はないわ。」
「え、鼻血…?」
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