好きだと言ってくれたのに私は可愛くないんだそうです【完結】

須木 水夏

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サラの娘【テューダーズ伯爵視点】3

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【注意⚠️気持ちの悪いおじさんの告白です。】















 学園に行けなくなった俺は、それまでやった事のなかった父の仕事であるワインの製造販売を手伝いを始めた。いずれは継ぐ予定だったのが少し早くなっただけだと自分の心を誤魔化したが、それでも腹ただしかった。

 まず仕事だが、元々母が隣国の伯爵家の出で、その関係で隣国とのワインの輸出入に融通をきかせてもらえていたが、それが父が母と離婚したことにより出来なくなった。隣国での取り扱いが激減し、自国でもテューダーズ伯爵産のワインを卸してくれる商家が減り、テューダーズ伯爵家の資産はどんどんと目減りしていった。

 そして俺は、学園に通えなくなったことでそれまで何不自由なく行えていた女性との関係も簡単にはいかなくなった。だが、後継の為に何とかして子どもを産む相手を見つけなくてはいけない。出来れば美しい女が良かった。俺に似合うような。
 けれど国内で見つけるのは難しいと考えた俺は、母の国とは反対方向にあるマゲンダル国へと一ヶ月行くことにした。金は以前女遊びの為にくすねておいた母の宝石を換金して作った。

 我が国よりも小さな隣国では出来るだけ身綺麗な格好をし、いつも通りにこやかに過ごしていると、何人かの子女と知り合いになれた。そして一人の子爵令嬢が金髪に緑色の瞳で、容姿も申し分なかった。
 この瞳の色を気に入った俺は彼女を一ヶ月かけて口説き落とし、結婚をすると頷かせて身体を奪った。
 その後に彼女の父が調べたのだろう。俺が本国で何をしたのか聞いたは震え涙を零しながら俺を問いつめた。
 その涙を見ても、ああ、良かった。知られる前に子を産ませる相手を見つけられて、と俺はただ思っただけだった。けれど相手を安心させ、納得させなくてはならない。


『私を騙したのですか…?』

『騙してなどいない。君に会うまでの私が愚かだっただけの事。君に会ってを知ったんだ。』

『信じて、良いのですか…?』

『勿論だ。愛しているよ。』



 愛などなくても愛は囁ける事をとうに知っていた俺は、彼女に薄っぺらな言葉を送ったが、彼女はそれを信じ俺に付いて国へと帰り、男の子を二人産んだ。
 その二人目の息子がロメオだった。母譲りの金髪に俺譲りの青い瞳、顔立ちも美しかった。

 マゲンダル国とのパイプとまではいかなかったが、娘が可愛い子爵はワインの輸出入の手助けをしてくれた。売り上げを徐々に戻し、何とか慰謝料を払い終え、また昔のように少し裕福になった頃に、フルバードに一人娘が出来ていた事を知った。


『サラが産んだ娘か…。』


 俺は口実を作り、フルバードに合いに行った。自分にそっくりな我が子を連れて。

 サラとサムエルの娘を見た時、まだ幼い娘だったが成長すればサラと同じように美しくなると確信した。ロメオとその娘の婚約を無理やりに押し進めた。娘も息子の事を気に入ったようで喜んでいたが、ロメオは友だちが増えた程度にしか思っていないようだった。

 だがそれで良かった。いずれ、娘を自分の物にするつもりだった愛妾にするつもりだったから。
 幸いにもロメオは成長しても娘に関心を示すどころか、どんどんと距離を空けていった。結婚をしたところで白い結婚で終わるだろうと予想した。三年待ち、美しく成長したまだ若い娘を自分の物にし、子どもを孕ませてあの時自分を貶めたフルバードに復讐してやろうと決めていたのに。何故このようなことになってしまったのか。

 全ては出来の悪い息子のせいだと、テューダーズ伯爵は怒り心頭で机の天板を思い切り叩いた。







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