王都にアンデッドが大量発生!!~不遇「解毒士」でしたが、国を救ったら人生逆転しました~

Saida

文字の大きさ
26 / 38

ここまでの物語(あらすじ)

しおりを挟む
【作者saidaより、読者の皆様へ】

しばらく更新の期間があいてしまい、申し訳ありませんでした。(休止理由については近況ノートに書かせていただきましたので、そちらもあわせてご覧いただければと思います)

ここまでの物語のあらすじを書かせていただきましたので、参考にしていただければ幸いです。

明日、新話、更新いたします。

更新を待ってくださっていた方、本当にありがとうございました。

もしよろしければ、この先もお付き合いいただけると嬉しいです。


【ここまでの物語(あらすじ)】

成人になり、「解毒士」という珍しいスキルを授かったマルサス。

「毒を抽出し、その解毒薬をつくることができる」というスキルの力を活かし、解毒ポーションの精製に明け暮れるマルサスだったが、契約している薬屋の女主人にポーションを買い叩かれ、生活は貧しい。


ある日、王都で謎の伝染病が発生。「アンデッドに噛まれた人が、アンデッド化する」という奇病によって、街は一夜にしてアンデッドで溢れかえる。

未曾有の危機の中、王都の防衛を任されている騎士団長(冒険者ギルド長も兼任)のサラ・ラフィーネは、マルサスの持つ「解毒士」スキルに解決の糸口を見出し、緊急招集する。

呼び出されたマルサスは、アンデッドに噛まれた人々の惨状を目の前にして、自身のスキルを活用した解毒治療を開始する。


マルサスが尽力した結果、王都は伝染病の危機を無事に乗り越えることができた。騎士団長のサラは、国を救ったマルサスに感謝し、遠慮する彼を説き伏せて、金貨1000枚という報奨金を手渡した。

自身が5万日働かないと得られないような大金を手に入れたマルサスは、その金貨を使って、薬屋を立ち上げることにした。

強欲な薬屋の女主人と交わしていた、呪いのような契約を解除したマルサスは、晴れて自分の薬屋となる自宅兼店舗となる物件を確保し、薬屋をオープンする準備を始める。

自分が精製することのできる「解毒ポーション」だけでは品揃えとして弱いと考えたマルサスは、所属している商人ギルドに求人を出すことにした。


求人を見てやってきたのは、同じく商人ギルド所属、錬金術師のリミヤ。

フードを被った15歳の少女から差し出されたポーション鑑定書を見ると、「解毒ポーション」しか精製できないマルサスとは違って、売れ筋の回復ポーションも含め、なんと8種類ものポーションを精製することができる錬金術師だと分かった。


「これは良い人が来てくれたぞ」と思うマルサスだったが、鑑定書をより詳細に確認し、愕然とする。

Sを最高ランクとし、A~Dで表されるポーションの質だったが、彼女が精製したポーションはどれも、「F」ランクポーションーー売りものにならない、「欠陥ポーション」だった。

ギルドが作成したポーション鑑定書の備考欄には、彼女のポーションを飲んだ時に起こる副作用の数々が事細かに記載されている。

マルサスの表情の変化を読み取ったか、「やややっぱり、だめなんですよねぇぇぇぇぇぇ!!!!」と号泣し始めるリミヤ。

しかしマルサスはあることを思いつき、彼女が落ち着くのを待って実行に移す。

それは、自身のスキルを使って、彼女の精製したポーションから「毒」(副作用)を取り除くというアイデアだった。

結果は大成功。商人ギルドに持っていき鑑定してもらうと、彼女の欠陥ポーションは、全てAランク以上のポーション(内一本は付加価値を持つSランクポーション)に生まれ変わっていた。

マルサスの薬屋、契約第一号は、錬金術師のリミヤに決まった。


無事、ポーション精製者を一人確保することのできたマルサスだったが、リミヤ一人だけでは精製できるポーションの量に限りがあった。
彼女に聞くと、ポーションをつくるための素材集めにとにかく時間がかかるという。

マルサスと同じく魔物を倒す実力を持たないリミヤは、王都周辺の弱い魔物しか出ない場所でしか素材を調達することができない。そのために、素材集めの効率が悪いという難点があった。


『やはりもう何人かのポーション精製者と契約するしかないか』

そんなことを考えながら、騎士団長のサラに紹介された酒場で絶品の魔物肉定食を食べ、一息ついていたマルサスだったが、そんな彼の耳に気になる会話が飛び込んできた。


近くのテーブルで話をしていたのは、四人の冒険者。
どうやら一人の男が、パーティーから外されるという会話らしかった。

盗み聞きはよくないと思いつつ、ついついその会話が耳に入ってきてしまうマルサス。

男がパーティーを外される理由は、彼の持つ「威圧者」という特異なスキルにあるという。

魔物が容易には近寄って来なくなるというそのスキルによって、冒険者パーティーは魔物と遭遇する機会を失い、魔物との戦闘で得られるものがなくなってしまったという問題を抱えていた。

パーティーメンバーの訴えを受け、男はパーティーから外れることを承諾する。

潔く店を去る男。マルサスは頭に閃くものがあって、彼のことを追いかけた。


店の外に大きな男の背中を見つけると、マルサスは彼に声をかけ、話を盗み聞きしたことを打ち明け、謝罪する。

それから、「ぜひ自分と一緒に仕事をしてもらえないだろうか」と誘った。

『リミヤが素材調達に行くとき、「威圧者」のスキルを持つこの人にいてもらえれば、魔物と遭遇するリスクがぐっと減り、より効率の良い場所で素材集めができるに違いない』

事情を話すと、男は契約を結ぶことを承諾してくれた。

斯くしてB級冒険者のアーガスが、マルサスの薬屋で働く二人目の契約者となった。


アーガスに護衛として同行してもらうことで、魔物が多く出る森にも潜ることができるようになり、マルサスとリミヤの素材調達効率は格段に上がった。

これなら、ポーション精製者が自分とリミヤだけだったとしてもなんとか薬屋を開けるかもしれないと希望を抱くマルサスだったが、一つ、大きな問題が。

それは、錬金術師のリミヤが、異様にアーガスを怖がるということだった。


リミヤ曰く、大きな図体にスキンヘッドという厳つい容姿のアーガスが、本能的に怖いのだという。マルサスと三人でならまだしも、アーガスとリミヤの二人だけでの素材調達はどうやら難しそうだった。

二人だけでの素材調達が任せられないことになると、薬屋を開店してからどうすればいいだろうとマルサスは頭を悩ませることになった。

店を開けているときは、マルサスは店番もしなくてはならない。その間、2人だけで素材調達に回ってももらうということができないのであれば、素材調達に行ける日は限られてしまう。

必然的に、精製できるポーションの量も少なくなってしまうのだった。

素材調達の回数を重ねる中で、なんとか2人の壁がなくなればと考えていたマルサス。しかし結局、アーガスを怖がってしまうリミヤに変化は見られず、2人だけで素材調達に行ける状態にはならなかった。


そんなある日の夜。

気晴らしにマルサスが王都をぶらついていると、道端で誰かが倒れているのを見つけた。

近寄ろうとしたマルサスは咄嗟に、さきの伝染病のことを思い出し、「アンデッドか……?」と警戒する。

その呟きを聞くや否や、倒れていた人はゆらゆらと起き上がり、「この見目麗しき乙女の、どこがアンデッドなの--!!!!」とマルサスに飛びかかってきた。

倒れていたのはアンデッドではなく、ただの酔っぱらいお姉さんだった。

酔っ払いお姉さんは飛びかかってきたかと思うと、マルサスの目の前で倒れ、そのまま眠ってしまった。
彼女を放置するわけにもいかず、マルサスは一旦、自分の薬屋に彼女を運ぶことに。

彼女が目を覚ますのを起きて待っているつもりだったマルサスだが、昼間の素材調達の疲れもあり、睡魔に負けて、店のカウンターで眠ってしまった。


声をかけられて目を覚ますと、すっかり朝になっており、目の前にいたのは、素面に戻った昨晩の女性だった。

女性はファシアと名乗り、昨晩に迷惑をかけたせめてものお詫びとして、マルサスに朝食をご馳走させて欲しいと提案する。

マルサスは『それでこの人の気がすむなら』と考え、彼女の提案をありがたく受けることにした。


彼女がマルサスを連れて来たのは、薬屋の近くにあるとても感じの良いカフェだった。

出てきたコーヒーとパンの美味しさに驚きながら会話をしていると、ファシアがつい昨日、仕事をクビになったのだという事実が明らかになる。

彼女がやめた職というのは、開拓者ギルドの受付嬢。

ファシアは、ギルドに来ていた迷惑な開拓者(若い女性だけのパーティーにちょっかいをだしていた)を思わず突き飛ばしてしまい、それで仕事を辞めることになったのだという。


マルサスは、彼女が仕事を辞めてきた経緯や話ぶり、そして何よりギルドに何年も勤めていたという確かな職歴から、「新しく開く薬屋の店番をしてもらえないか」と彼女にオファーする。

ギルドの元受付嬢といえばかなり信頼される職歴だから引く手あまただろうと考えて、「仮の契約からでも」と話を持ちかけたマルサスだったが、彼女は即答で「契約させて欲しい」と答える。

「どうしてこうすんなりと引き受けてくれたのだろうか」と疑問に思うマルサス。

すると彼女はマルサスの前で、落ち着いた緑の瞳を、燃えるような赤に変えてみせた。

彼女の持つスキルは、「鑑定士」。長年、ギルドの受付をしていた経験もあって、人を見る目には多少の自信があると語った彼女は、マルサスを信頼できる人物だと判断し、一緒に働きたいと考えたのだと告げた。

マルサスは薬屋で、彼女と契約の話を進めることになった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

捨てられた前世【大賢者】の少年、魔物を食べて世界最強に、そして日本へ

月城 友麻
ファンタジー
辺境伯の三男坊として転生した大賢者は、無能を装ったがために暗黒の森へと捨てられてしまう。次々と魔物に襲われる大賢者だったが、魔物を食べて生き残る。 こうして大賢者は魔物の力を次々と獲得しながら強くなり、最後には暗黒の森の王者、暗黒龍に挑み、手下に従えることに成功した。しかし、この暗黒龍、人化すると人懐っこい銀髪の少女になる。そして、ポーチから出したのはなんとiPhone。明かされる世界の真実に大賢者もビックリ。 そして、ある日、生まれ故郷がスタンピードに襲われる。大賢者は自分を捨てた父に引導を渡し、街の英雄として凱旋を果たすが、それは物語の始まりに過ぎなかった。 太陽系最果ての地で壮絶な戦闘を超え、愛する人を救うために目指したのはなんと日本。 テンプレを超えた壮大なファンタジーが今、始まる。

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...