勇者召喚されたのですが、わけあって【巨大神竜】となり、異世界都市を踏み潰してます!~魔物はちまちま討伐するより、踏み潰す方が楽だし早い~

Saida

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いざ、突撃!

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アマシア姫が答える。

「今更こんなことを言うのは申し訳ないのですが……大丈夫、でしょうか?」

「というと?」


アマシア姫が都市の方を指差して言う。

「まさかあれだけの瘴気が満ちているなんて……もう私たちの街は、完全に魔物の巣窟です。

どれだけ強力な魔物が棲んでいるか」

華奢な肩が、小さく震えている。


「うーん、実際に行ってみないと分かりませんが……まぁやれることだけでも、やってみましょう」

俺はとりあえず笑っておいた。

「大丈夫」という言葉と「とりあえず笑顔」は、社会人の標準装備だ。


すると姫が、決意したように顔を上げる。

「私も連れていってください」

「……へ?」

「勇者様に比べると、魔力で劣っているのは分かります。ですが、私はこの国の姫です。

瘴気にまみれた街にユウト様を送り込んでおきながら、自分だけ安全な場所で待っていることなどできません」

と言われましても。

一人で行った方が正直楽だと思うんだけど……

しかし、真っ直ぐに俺を見つめる姫の瞳に迷いなどない。どうやら意志はかたそうだ。

しょうがない。中でどれだけの余裕があるかは分からないけれど、とりあえず姫様を連れていくことにしよう。

俺だけに危険を押し付けてはいけないと考えてくれた、その気持ちが嬉しいからね。

「分かりました。その代わり、危なくなったら迷わず撤退しますし、私の指示に従ってもらいますけれどいいですね?」

「もちろんです、よろしくお願いします!」

あら、いいお返事。ここまでピュアにお願いされると無下にはできないよなぁ。

それで、うしろのおじさんたちは?

俺が見ると、臣下たちはお互いの顔をきょろきょろと見た。

おい。俺に乗るときは迷わず姫の後に続いたくせに。ドラゴンの背に乗りたかっただけかよ。


姫は振り返って言う。

「あなたたちはここで待機していてください。もし私が帰ってこなかったら。あとのことは、頼みましたよ」

そう言うと、臣下は「はっ!」と威勢よく言って、「心得た」という顔で頷いた。

いや、堂々と胸を張っているけど、あの瘴気まみれの都市に入らずに済んだって、全員ちょっとホッとしてるだろ。


まぁいいや。

「じゃあ、行きましょうか。アマシア姫」

「はい!」

俺は神竜に姿を変え、姫をのせて飛び立った。

いざ。魔物に乗っ取られた異世界都市に突撃だ……!
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