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誤送信には気をつけて!
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『ずっと前から好きでした。付き合ってください』
タカシから突如として送られてきたメッセージに私の心臓が跳ね上がる。お風呂上がりの楽しみのアイスを危うく落とすところだった。セーフ!
好きな人から告白されるなんて小説や漫画、ドラマでしか見たことない。
私は嬉しさと緊張の混ざった気持ちの中で、どう返信するかを考えていた。
だけど、その必要はなかったようだ。直後に送られてきたメッセージによって、そのことを思い知らされた。
『ごめん! 間違っておくつた! わすへてく」!』
おそらく、「ごめん! 間違って送った! 忘れてくれ!」と送りたかったのだろう。フリック操作のミスが多いから、相当焦って打ったのだろう。
告白のメッセージを忘れてほしいということは、本当に告白したかった相手は、少なくとも私ではないということだ。
こんなに残酷なことってあるだろうか。好きな人と両想いになれたと思ったら、それは間違いでした、なんて。口にするアイスがやけに冷たく感じる。
『誰に送るつもりだったのー? 同じクラスの子とか?』
私は悲しみを紛らわせるかのようにタカシをからかう。
『別に誰だって良いだろ! それよりこのこと誰にも言わないでくれ! 頼む!』
メッセージからは必死さが伝わってくる。
『じゃあ、告白が成功したら一番最初に私に教えてよ。そしたら告白が終わるまで黙っててあげる』
『え? なんでそんなことを? まあ、いいや。わかったよ』
私がこの要求をした理由は一つ。早くこの気持ちを忘れてしまいたいから。
私はスマホを閉じ、アイスの棒をごみ箱へ投げ捨て、ベットに横になり顔を枕にうずめる。
私は今までのことを思い出していた。
きっかけは些細なことだったな。「タイプのイケメンがいる―!」なんて思ってさ。積極的に会話したり、お昼を一緒に食べたりして仲良くなろうと頑張った。一緒に過ごすうちに、外見だけじゃなくて内面も含めてタカシのことを好きになった。
でも、私には告白する勇気がなかった。告白しようとして打ったメッセージを全部消す、なんてことも一度や二度じゃない。そんな風にもたもたしていたからチャンスを失ってしまった。初恋だったんだけどな……。
目の奥が熱くなる。家族に聞こえないように、私は声を噛み殺すように泣いた。
――――――
ピロリンという音で目が覚めた。メッセージの受信を知らせる音だ。どうやら泣き疲れて寝てしまったらしい。スマホの時計には「0:00」と表示されている。
そういえば今日はタカシの誕生日だ。失恋した相手でも、おめでとうくらいは送ろうかな。メッセージの確認と誕生日のお祝いのためにメッセージアプリを開く。
この二つの用事は一つのチャットで済んだ。送られてきたメッセージはタカシからのものだった。
『ずっと前から好きでした。付き合ってください』
「ふふっ」
送られたのは「0:00」ちょうどだった。また間違ってるよ。悲しみを通り越して笑ってしまった。誕生日早々何をしてるんだか。
『送る相手また間違ってるぞー。それと誕生日おめでとう。プレゼント何が良いー?』
意外にも返信は早かった。
『プレゼントは特にいらないよ。その代わり電話してもいい?』
こんな夜中に? 家族が寝てるけど少しなら大丈夫か。
『いいよ』
メッセージを送ってすぐにタカシから電話がかかってくる。
「もしもし。なんでわざわざ電話なの?」
「うん。直接伝えたくてさ」
「何を? っていうかまた間違えてた私に送ってたよー」
「いいや、間違ってないよ」
「へ?」
素っ頓狂な声を出してしまった。
「え? でもさっき『間違って送った』って……」
「うん。送る時刻を間違えたんだ。誕生日になってからお前に告白するつもりだったんだ。誕生日に恋人ができたらロマンチックだろ。だけど、手がすべっちゃってさ。ははは」
「よかったあ……」
私の頬に涙が流れた。でも、さっきとは全然違う涙だった。
タカシから突如として送られてきたメッセージに私の心臓が跳ね上がる。お風呂上がりの楽しみのアイスを危うく落とすところだった。セーフ!
好きな人から告白されるなんて小説や漫画、ドラマでしか見たことない。
私は嬉しさと緊張の混ざった気持ちの中で、どう返信するかを考えていた。
だけど、その必要はなかったようだ。直後に送られてきたメッセージによって、そのことを思い知らされた。
『ごめん! 間違っておくつた! わすへてく」!』
おそらく、「ごめん! 間違って送った! 忘れてくれ!」と送りたかったのだろう。フリック操作のミスが多いから、相当焦って打ったのだろう。
告白のメッセージを忘れてほしいということは、本当に告白したかった相手は、少なくとも私ではないということだ。
こんなに残酷なことってあるだろうか。好きな人と両想いになれたと思ったら、それは間違いでした、なんて。口にするアイスがやけに冷たく感じる。
『誰に送るつもりだったのー? 同じクラスの子とか?』
私は悲しみを紛らわせるかのようにタカシをからかう。
『別に誰だって良いだろ! それよりこのこと誰にも言わないでくれ! 頼む!』
メッセージからは必死さが伝わってくる。
『じゃあ、告白が成功したら一番最初に私に教えてよ。そしたら告白が終わるまで黙っててあげる』
『え? なんでそんなことを? まあ、いいや。わかったよ』
私がこの要求をした理由は一つ。早くこの気持ちを忘れてしまいたいから。
私はスマホを閉じ、アイスの棒をごみ箱へ投げ捨て、ベットに横になり顔を枕にうずめる。
私は今までのことを思い出していた。
きっかけは些細なことだったな。「タイプのイケメンがいる―!」なんて思ってさ。積極的に会話したり、お昼を一緒に食べたりして仲良くなろうと頑張った。一緒に過ごすうちに、外見だけじゃなくて内面も含めてタカシのことを好きになった。
でも、私には告白する勇気がなかった。告白しようとして打ったメッセージを全部消す、なんてことも一度や二度じゃない。そんな風にもたもたしていたからチャンスを失ってしまった。初恋だったんだけどな……。
目の奥が熱くなる。家族に聞こえないように、私は声を噛み殺すように泣いた。
――――――
ピロリンという音で目が覚めた。メッセージの受信を知らせる音だ。どうやら泣き疲れて寝てしまったらしい。スマホの時計には「0:00」と表示されている。
そういえば今日はタカシの誕生日だ。失恋した相手でも、おめでとうくらいは送ろうかな。メッセージの確認と誕生日のお祝いのためにメッセージアプリを開く。
この二つの用事は一つのチャットで済んだ。送られてきたメッセージはタカシからのものだった。
『ずっと前から好きでした。付き合ってください』
「ふふっ」
送られたのは「0:00」ちょうどだった。また間違ってるよ。悲しみを通り越して笑ってしまった。誕生日早々何をしてるんだか。
『送る相手また間違ってるぞー。それと誕生日おめでとう。プレゼント何が良いー?』
意外にも返信は早かった。
『プレゼントは特にいらないよ。その代わり電話してもいい?』
こんな夜中に? 家族が寝てるけど少しなら大丈夫か。
『いいよ』
メッセージを送ってすぐにタカシから電話がかかってくる。
「もしもし。なんでわざわざ電話なの?」
「うん。直接伝えたくてさ」
「何を? っていうかまた間違えてた私に送ってたよー」
「いいや、間違ってないよ」
「へ?」
素っ頓狂な声を出してしまった。
「え? でもさっき『間違って送った』って……」
「うん。送る時刻を間違えたんだ。誕生日になってからお前に告白するつもりだったんだ。誕生日に恋人ができたらロマンチックだろ。だけど、手がすべっちゃってさ。ははは」
「よかったあ……」
私の頬に涙が流れた。でも、さっきとは全然違う涙だった。
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