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番外編SS
ダイヤの誕生日.2
しおりを挟む「──ぁ……っ」
零が隠そうとする中心に強引に手を絡ませれば、零はビクビクと体を跳ねさせて耐えられなかった声を上げる。
触れられただけで達してしまった事を恥じたのか、零はポロポロと涙を流した。
「な、なんで……」
一度達したのに一向におさまらない熱に戸惑う零を、ダイヤは抱きしめる。
「大丈夫だ零……零の体がおかしいのは薬のせいだよ」
そう言って安心させるように額に口付ければ、ぼんやりとした瞳がダイヤを見上げる。
「くすり……?」
「そうだ。クラブからもらった物はそういう薬だよ……もうクラブから物を受け取ってはいけないよ?」
「んぁっ!! やあっ、あっ」
ダイヤは再び手を動かす。
今度は布越しでは無く直接手を滑り込ませ、先端を親指でいじめればまたあっけなく果てた。それでも熱は零を襲い続ける。
「も、やだっ……あついぃ」
ぐすぐすと泣きながら懇願する姿も、ダイヤにとっては興奮材料にしかならなかった。
「零……大丈夫、大丈夫だ……全部私に委ねてくれ……っ」
「んっ……ん、ぅん……っ!」
とうとう耐えられなくなったダイヤが零に口づける。
いつもより熱い口腔内を舌で犯し、快楽から無意識に逃げようとする体を強く引き寄せた。
その間も性器をかわいがる手の動きは止まらない。
先端からは止めどなく白濁が溢れ、零は堪らずダイヤにしがみついていた。
「うん……ふぁ、ンクぅ……」
降りられない絶頂に零の頭は痺れ、いつの間にかダイヤの体を引き寄せキスをねだる零がいた。
その愛らしさにダイヤは更に口づけを激しくする。
キスに夢中になるあまり、気がつけば横抱きにしていたはずの零をベッドへ押し倒していた。
お互い荒い呼吸のまま唇を離し、そのまま下へと舌を這わせて胸まで辿り着く。
「あ、ん……っ、やぁあっ」
胸に吸い付きながら、性器をかわいがっていた手で蕾を探る。
期待するようにひくつくそこに、誘われるまま指を差し入れた。
「はあっ、んん、あっ、ダイヤ、さま……っ」
零の溢れる精液で濡れたそこは簡単にダイヤの指を飲み込む。
奥へと誘って締め付け乱れる。ダイヤは胸を愛撫しながら乱れる零を目に焼き付けた。
「ふぁ、あ……も、やだ、ダイヤ様ぁ……!」
「何が嫌なんだい? 体はこんなに悦んでいるのに」
「んあっ! あ、あ、あ……っ」
指を増やし、緩く動かしてわざと焦らせば、熱に浮かされた飴色の瞳がダイヤをとらえる。
その期待する瞳だけで我慢が効かなくなりそうだったダイヤに、さらに爆弾が落とされた。
「はやく、欲しいぃ……っ」
「…………っ! くそっ!!」
せつなげに見つめて懇願する姿に、ダイヤの最後の理性が切れる。
「────っっ、ぁあ……っ!!」
痛いほどに張り詰めたものを挿入させたかと思えば、ダイヤは乱暴に腰を叩きつけた。
挿入した直後にまた零が果てたが、かまわず腰を突き上げる。
「やっ、だめぇっ、まって、まっで……んあぁああっ!!」
こんなひどい抱き方は良くないと頭の片隅で考えても、腰の動きは止まらない。それどころか、零から欲しがられた事実といつもに増して乱れる姿に更に動きは激しくなる。
接合部からはぐちゅぐちゅという水音が響いた。
「んあっ! あぁっ、あ、あっ、んんっ!」
「零……っ! 私が欲しかったのだろう!? もっとあげよう……もっと、欲しがってくれっ!」
媚薬が己を狂わせる。我を忘れるほど零を求めてしまうのも、全て媚薬のせいなのだ。
そう言い聞かせて、ダイヤは自分の欲望のままに零を抱いた。
「ふぁっ、あ、んん……っ、だ、いや……んっ──!」
零は丸めた体をびくびくと震わせる。しかし白濁を飛ばすことは無く、体だけが快楽に震えた。
そしてダイヤも、張り詰めていた欲を零の最奥に吐き出した。
数回腰を押し付けてからズルリと抜いたダイヤは、荒くなった息を整えながら力なく横たわる零を見下ろす。
やり過ぎた、いくら媚薬に侵されたからと言っても、こんな乱暴に抱いてしまうなんて。
熱を吐き出し少し冷静になった頭で己の失態を恥じる。
「零……すまない、大丈夫か……?」
額に張り付く前髪を指で除けてやり、汗ばんだ頬に触れる。その手に擦り寄ってきた零の瞳はまだ虚ろで、早い呼吸を繰り返す唇は赤く濡れていた。
薄く開けて赤い舌をのぞかせる唇に誘われそうになって、ダイヤは我に返り頭を振る。
駄目だ駄目だ。これ以上はさすがにまずい。ただでさえやり過ぎたと言うのに、薬を言い訳にして更に零に無理をさせる訳にはいかない。
媚薬のせいで再び完全に立ち上がった己のものに叱咤して、もう終わりにしなければと手を離した時だった。
「……ゃ」
弱々しい声と共にダイヤの腕にすがりつく細い腕。
「まだ、足りない、熱い……もっと……欲しい……」
「……っ!? よっ、喜んでッッ!!!!」
薬が悪い。媚薬が悪い。
ダイヤはしっかり言い訳をして、ギンギンに滾ったもので貫くと同時に零の体を引き上げた。
「んぁああっ!」
胡座をかいた上に零を乗せ、下から激しく突き上げる。
ダイヤは激しく腰を振りながら、零の唇に喰らいつき強引に舌を引き出して絡め味わった。
零を激しく揺さぶるたび、汗ばんだ茶色の髪がパサパサと揺れた。
「んくっ、ん、んぁ、ふぅっん!」
揺さぶられながらも必死にダイヤにしがみつきながら、零も自分から腰を動かしていた。いつもは見られない積極的な姿に興奮は更に高まる。
唇を解放した後も、ダイヤは過ぎる快感に涙をためて喘ぐ零から目を離さずに突き上げ続ける。
「はぁっ、あ、あっ……また、くるぅ……っ!」
「はぁ……零、零っ」
ダイヤの興奮した声を聞きながら、零は激しく体を痙攣させて絶頂をむかえた。
イッた余韻できゅうきゅうとダイヤを締め付けるが、零のものからはやはり白濁は出なかった。
「はは……っ、零、すっかり女の子のイキ方を覚えたようだね……!」
ダイヤが、歓喜の声を上げた。その言葉に零はぼんやりと頭を上げたが、自分の体が精液を出していない事に気がついていないようだった。
そんな零をダイヤはうっとりと見つめ、興奮を隠さず続けた。
「あぁ……すごいな零……とても可愛くて、綺麗だっ……!」
そう言って、ダイヤは自分のものを抜くこともなく零の体を回転させベッドにうつ伏せに倒した。
「んあっ!! や、ダイヤさまぁっ!」
「零、大丈夫、もっとあげるよ……もっと、私だけの零にしてあげようっ」
背後から覆いかぶさり、誰にも渡さないと主張するように腕の中に零を隠す。
そして水音と肌がぶつかる音を響かせながら、ダイヤは後ろから獣のように攻めた。
「はんっ! あ、ぁあっ! やぁああっ!!」
愛しい人への想いを何度も囁きながら、ダイヤは自分の腕の中で乱れる零へと精を放つ。
熱い奔流を受け止めた零の体はびくっと震え、その瞬間にまた絶頂を迎えたようだ。
間を開けない絶頂にぐったりとする零の体を抱きしめたまま、ダイヤはその耳に囁く。
「まだ、まだだ……いっぱいあげるからな零……」
「ふぁ……あ、ぁぁ……」
楽しそうな声と共に再び動き出す腰。
「もう、むりぃ……」
零がうわ言のようにギブアップを示しても、ダイヤは目をギラつかせて零を抱き続けた。
※ ※ ※
明るい光に誘われて、零の思考が浮上する。
ゆっくりまぶたを開くと、ステンドガラスからはキラキラと明るすぎるほどの陽の光が差し込んでいた。
「え……もう昼っ!?」
いつも日が昇ると共に起きていた零は、大寝坊だと慌てて起き上がろうとした。そして、失敗する。
「いっ! ……つぅ……」
動こうとした途端に襲う全身の痛み。特に腰から下はまったく動かせない。
いったい自分に何が起こっているのか、いや、昨日自分に何が起こったのか。
考えを巡らせて、とんでもない事をしている自分を思い出してしまった。
「……う、嘘でしょ……っ」
嘘であってほしかった。
昨晩はダイヤと他愛ない話をのんびり楽しんでいた。なのに、自分が勝手に動物のように発情してしまったのだ。
訳も分からず熱くなる体を持て余し、はしたなくダイヤに助けを求めた。
そこからの記憶は曖昧だ。曖昧なはずなのに、自分から「まだ足りない」とダイヤをねだったり、挙げ句には自分から腰を振った記憶だけは思い出せてしまった。
どうせならその記憶も曖昧なままでいたかった。
「もうやだ……死にたいっ」
零は両手に顔を埋め、顔を真っ赤にしたまま深く息を吐く。
ダイヤは薬のせいだと言っていたが、それが何なのかを確認もせずに飲んでしまった己の責任でもある。
幸いダイヤはもう部屋には居らず、少し寂しさを覚えるがそれ以上に安堵もした。
あんなみっともない姿を見られた後で、どんな顔をしてダイヤに会えば良いのだ。
せっかくの誕生日だったのに、急に下半身に熱をためて悶えだした恋人をダイヤはどう思っただろうか。
出来るだけ早く忘れて欲しいと願いながら、今後クラブからもらったものは必ずジンラミーに報告しようと零は心に決めた。
一方のその頃、ダイヤは
「落ち着けラミーっ! 私も被害者なんだ! 私も媚薬を飲んでしまって仕方無く──」
「えー、でもダイヤは焼き菓子に入ってるやつだろ? あれ熱に弱いから効果ねぇはずだけど」
「クラブ貴様ぁあっ!!」
クラブと並んで庭に埋められた。翌日回収されたが、ダイヤのポケットから新しい媚薬が見つかり、今度は海岸に埋められたそうだ。
end
【お知らせ】
書籍化に伴い、アルファポリス様の規定により12/11に作品の引き下げ作業を行います。
詳しくは近況ボードをご覧ください。
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