分かってるよ、僕は当て馬だから。キミも真実の愛を見つけるんでしょう?

キトー

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3.当て馬道まっしぐら

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 それでも一応さ、当て馬の運命に抗おうとはしたんだ。
 僕が恋をしなければ当て馬にもならないし、もう傷つかなくてすむ。
 なのにあの金髪チャラ男、名前は修一しゅういち。「シュウちゃんって呼んで」と自己紹介してきたが、こいつがなかなか厄介だった。

「ユーキちゃん。ひとりー? 一緒にランチしよーよ」

「……いいけど」

 人懐っこいゴールデンレトリバーみたいな男は、何かと僕にかまってきた。
「ユキちゃんかわいー」なんて言いながら抱きついてきたり「ふわふわの髪かわいー」なんて指を絡めてきたり「今日も服かわいー」なんて毎日褒めてくる。
 歩く時は手なんか繋いできて「ちっちゃい手かわいいよね」なんてさ。
 元から好きになりかけてたんだ、そんな事されたらチョロい僕は簡単に沼に落ちていく。
 ダメだって、どうせまた傷つくって、分かっちゃいたんだけど。
 だけどどうしてもどうしても我慢出来なくて……

「……ねぇ、僕たちさ……付き合わない?」

「えーもちろん良いよ良いよ! やったね!」

 はいこれで、当て馬道まっしぐらだ。

 
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