雄っぱい野郎に迫られてます

キトー

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3.雄っぱいはキスしたいらしい

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 大きな手のひらが俺の胸を揉む。揉みごたえなんて全くないだろうに真剣な顔して揉み続ける。

「おいって、もう良いだろ! 男の胸なんか揉んで何が楽しんだ……」

「男の胸じゃなくてカオルの胸だから楽しい……」

「知らん離せっ!」

 片手で俺を押し倒したまま右手は未だに俺の胸の上を這う。

「んっ………!」

「カオル……ここ、気持ちいい?」

「ちっがう……っ、くすぐったいだけだバカ!」

 男の俺がそんな所で感じるわけが無い。感じないはず。感じてたまるか!
 だと言うのにダイチはしつこいぐらい胸の突起をいじってくる。

「ここ、立ってきた……かわいい」

「お前、が……いじくるからだろ……っ!」

 ゴツゴツした指で摘まれてクリクリともてあそばれたら、男の乳首だって嫌でも立つだろ。
 決して感じてるから立ってる訳じゃない!

「ひっ……! おまっ、やめ……っ」

 段々と熱くなる体を誤魔化しながら必死で声を抑えていたら、胸にヌルリとした熱い感触が襲う。
 驚きで出てしまった声と共に目を見開けば、手で弄ってない方の胸をダイチが舐めているのを見てしまって、卑猥な光景にビクリと体が震えた。
 止めろと伝えたつもりだったのに、ダイチの口の動きは更に大胆になる。
 舐められて、吸われて、咥えられて、甘噛されて、また舐められて。

「ひん……やっ、んん──っ」

 馬鹿な事をするなと怒鳴りたいのに、口を開けば意図しない声が出てしまいそうで、下唇を噛んで体を震わせる事しか出来ない。
 そんな俺の顔をダイチは上目遣いで覗きながらも、息を荒らげて舐めるのを止めない。

「か、かわいい……っ、カオル……我慢してる顔、めちゃくちゃクる……!」

 うるせぇアホと言う思いを込めて睨んでやったら、太股に感じていた硬いものがビクンと脈打った気がした。
 それが何かなんて考えたら駄目だ。と思っていたのにこいつはそれをぐりぐり押し付けてきやがった。

「カオルっ、カオルっ……!」

「もっ、いい加減に……──っ!?」

 調子に乗りすぎてるダイチに何とか文句を言おうとしたら、いつの間にか息の荒いダイチの顔面が目の前に迫っていて唇をベロリと舐められた。

「な……!?」

「カオル、キスしていい……?」

「駄目に決まってんだろ! てか舐める前に訊け!」

 キスは駄目でも舐めるのは良いのか? 犬かよ。
 こいつの中の常識はどうなってるんだと呆れていたら、顎に手を添えて親指で唇をなぞられた。
 背中をぞくぞくと駆け上がる感覚を無視して顔をそらそうとしたが、ダイチの大きな手がそれを許さない。
 熱い息を吐きながら今すぐにでも喰らいつきたいと言わんばかりの目がしっかり俺の口元に向いていて、ゴクリと喉を鳴らす。

「カオル……」

「そ、そんな目で見られても無理なもんは無理……」

 野獣のように目はギラつかせているくせに声は情けなくて、こんな時だってのについ「しゃきっとしろ!」なんて思ってしまう。

「お願い……一回だけ味あわせて?」

「食いモンじゃんだよねぇよもぉ……っ、好きにしろ馬鹿……!!」

 やけくそになってしまったのは、面倒くさくなったからかダイチの眼差しが強すぎたからか情けない声に苛ついたからか。
 ただね、人間やけくそになると後々必ず後悔するからいつでも冷静な思考を持つことは大切だなって俺は思ったよ。

 
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