この世界で姫と呼ばれている事を俺はまだ知らない

キトー

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21.分からせられた

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 ベッドの上に座った先輩に背中から抱き込まれ、大きく足を広げさせられている。

「ひん……っ、は、あっ……も、やだぁ……」

 ぐじゅぐじゅと音が響くのはいったいどっちのせいだろう。

「もっ、せんぱ……同時、いやだ……っ」

「何が嫌なんだ? どっちも可愛く感じてんじゃねぇか」

 そう言って振り向いた俺にキスをする先輩の手は、俺の竿と穴を同時に攻めてまた体が大きく跳ねた。

「や、また……出る……っ!」

 入れられた三本の指が激しく動き、腹側を刺激すると同時にもう片方の手で先をぐりぐりと嫐られる。

「良いぞ、出しちまえ……」

「~~~っ!」

 両側から俺を抱え込む先輩の腕にしがみつき、湧き上がってくる快感を派手に身体を痙攣させる事で逃がす。
 先輩の手のひらに吐き出された白濁は、今日で二度目だ。
 荒い呼吸をくり返しながらくたりと背後のたくましい胸に倒れ込む俺に、先輩は甘やかすように目尻に口づけた。

「もぉ……しつこい……ですよっ」

 俺が苦言を呈しても、当の本人は聞く耳持たずで俺の首筋や背中に口づけるだけだ。
 腰に当たるモノは立派に主張していて自分だって苦しいはずなのに、散々焦らして何がしたいんだ。

「好きだ……」

「ひえ……!?」

 何がしたいんだって思ってたら突然の好意の意思表示に体が強張る。
 何だよ、ほんとに何がしたいんだよこの人。
 俺は顔に熱が集まるのを感じながらおろおろと挙動不審になってしまって、そんな俺を見て先輩が笑う。

「顔真っ赤だぞ?」

「うっ、うるさいっ!」

 誰のせいだと思ってるんだと思いながら恥ずかしさと悔しさと、ほんの少しの嬉しさを隠すため背中を丸めたら、大きく体を引かれ仰向けにされて押し倒された。
 真っ赤な顔を隠す術を失った俺は突然何するんだと文句を言おうとしたが、その前になだめるように優しく口づけられて何も言えなくなる。

「……俺がどれだけお前を好きか、お前にはまったく伝わって無かったみたいだからな……これからしっかり分からせてやるよ」

「へ? あ……」

 肩に担がれる両足。下半身からすでに固く勃起したものを取り出し俺の穴にスリスリと擦り付ける。
 期待するようにひくつく穴が恥ずかしくて、だけど散々弄られたそこはやっぱり期待してしまって、腕を伸ばして先輩に抱きついた。

「……っ、ルイ、好きだ」

「んん……っ!」

 熱ぽく囁かれると同時に熱く昂ぶるものが俺を貫く。
 形を馴染ませるように数回上下に動いたら、すぐに前後の動きに変わる。

「ひぅっ、まっ、あぁあっ!」

 野獣のように激しく突き上げるくせに、強い快感を生む場所を擦るのも忘れない。
 俺を狂わせる腰使いにまともな言葉も紡げないまま、悲鳴のような喘ぎ声だけが口から溢れた。

「好きだ、ルイっ、好きだからな……っ」

「わかっ、あぅっ! まって……っ、わかったか、らぁあっ!」

 粘ついた水音と肌のぶつかり合う音が卑猥に感じて耳を塞ぎたくなるが、先輩はそれを許さない。
 大きくて太い腕に俺を閉じ込めて、切羽詰ったような声で愛を叫ぶ。
 もう、色々といっぱいいっぱいだった。
 分かったから、先輩の思いは十二分に理解したから、だから少し手加減してくれ。
 そう思うのに熱烈すぎるほどぶつけられる腰と先輩の思いに俺は完全にキャパオーバーだ。

「ぅあっ、あっ、あぁっ……! せんぱ……っ、先輩っ!!」

「好きだっ、ルイっ……ルイ好きだっ」

 もう何度も果てたはずの俺のものが自分と先輩の腹に擦れて、強く突かれる奥への刺激も相まって嫌でも高まっていく。
 ルイルイと俺の名を呼ぶ声すら熱すぎて内側から火傷しそうだ。

「もっ……だめ、いく……っ」

 狂わせる快感に、とうとう欲が弾けて己と先輩の腹を白濁で汚した。

「──っ」

 果てた事で収縮した俺の穴に刺激されたのか、少し乱暴な動きで腰を押し付けた先輩もドクリと最奥に熱を吐き出したのを感じて体を震わせた。

「はぁ、はぁ……ぅあ……?」

 先輩の息づかいと温もりを感じながら余韻に浸ろうとした矢先、腰を揺らされて目を見張る。

「え、ひぁ!?」

 出したばかりだと言うのにもう固くなりかけているもので擦られたら、達したばかりで敏感になった体にはたまらない。
 ムリムリムリと声の代わりに体を逃がそうとする事で意思表示したら腰を引いてくれて安堵する。
 しかし、そんな事で先輩が諦めるはず無かったんだ。

「逃がすかよ……」

「ひゃうっ! まってもぉっ、や、あぁっ!」

 逃げようと完全にうつ伏せになった所を見計らったように再び背後から先輩が覆いかぶさってきて、遠慮無しに貫かれた。
 寝そべった状態の俺の両手をベッドに押し付けて、体を完全に密着させたまま腰を上下させる。
 こんな体勢では抵抗なんて一切出来ず、なすがままに俺の上で動かれてただただ喘いだ。

「はっ、やべ……この体勢良いな……っ」

「な、何がいい……あぅっ、や、あ……っ!」

 激しく中を突かれる度に自分の体で下敷きになったものも擦れるから、それだけで達してしまいそうだ。
 そんな中で意味が分からない事を言う先輩に何とか疑問を呈すると、先輩は息を荒らげながら答えた。

「逃げられねぇお前後ろから食うの、なんつーか、征服欲ってやつか? とにかくめちゃくちゃ良いっ」

 そう興奮した声で言いながら、腰だけを動かして首筋をべろりと舐める先輩は甚だ獲物を食らう野獣のようだ。
 そのまま本当に食べられてしまうんじゃないかと言う錯覚に陥るものの、たくましい胸の中に居る安心感も確かにあって、この野獣にすがってしまいたくなる。
 先輩の下で快楽に溺れる俺に、先輩は更に言葉を続けた。

「柔らかい尻を堪能出来るしな……それに──」

 楽しそうに話す先輩だったが、そこで一度言葉を切っり、

「──お前を絶対に逃さないですむ……」

 と、俺の耳元で囁いた。
 俺の手を握る先輩の手に、力が入った気がした。

「ぅあ、あ、あっ……に、げない、から……んぁっ」

 相変わらず俺の中を好き勝手動いているくせに何を言っているんだと思いながら返事をしたら、予想外の言葉が返ってきた。

「不安なんだよ……俺のもんだって、感じとかねぇと……」

「ぁん……ぁ、先輩……?」

「……お前は、ふらっと俺の前からどっかいっちまいそうで、なっ」

 どくりと、只でさえ強く脈打つ鼓動がさらに高鳴った。
 背後から覆いかぶさって、俺の両手も体もベッドに押し付けて、体をすべて密着させて、自分の存在を示すように俺の中に快感を植え付けて……
 まるで、逃さないと言うように。逃げないでと、懇願するように。

「………ん……す、きです」

 こんな自分勝手な野獣をつい可愛いと思ってしまったんだ。
 無意識に出てしまった言葉は、しっかり先輩にも届いて、ピタリと先輩の動きが止る。
 だけどすぐに動きは再開され、今度は腰を密着させたままグラインドさせて俺の中をかき混ぜた。

「ふぁっ、それ、や……っ」

「……もっかい」

「ぁう、ん……え……?」

「もっかい言えよ……っ」

 荒い息で言われ、俺が理解出来なかったら同じ言葉を繰り返された。
 それは、どこか焦りを含んだような余裕の無い声だった。

「す、き……好きです、先輩が、好き……っ」

「……っ! くそ……っ」

「……う、ぁあっ!」

 俺の腕ごと絡め取るように抱きしめ、最奥を連続で突き上げる。
 強烈な刺激にどこが快感を拾っているのかさえ分からなくなって先輩の腕の中で淫らに鳴いた。

「ルイっ! 言え、好きって、何度も言え……!」

「んぁっ! すきぃっ! あ、あっ、す、きっ……好きすき……っ!」

「~~俺も好きだっ!!」

 俺は果てた。何度も果てた。
 中にも幾度となく熱を吐き出されたのに、それでも先輩の腕の中からは開放されなくて、意識が朦朧とするまで愛を囁かれ、愛の言葉を求められ、気がつけば先輩の膝の上に横抱きにされてキスを受けている自分がいた。
 限界なんてとうに超えている俺は、優しい口づけを何度も受けながら、掠れた声で独り言のように呟く。

「先輩の……愛は……重すぎます……」

 ぼんやりとする視界にフッと笑う先輩を捉え、そこから俺は温かな胸の中で眠りについた。

「今頃気付いたのかよ……」

 そう嬉しそうに囁かれながら。
 


 ───────────

 今日中にもう一話upします。
 
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