この世界で姫と呼ばれている事を俺はまだ知らない

キトー

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91.シャワーを浴びながら

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「ん、く……っ!?」

 後ろから覆いかぶさるように口付けられて、背中は隙間の無いまでに抱きしめられている。
 遠慮も無しに入ってきた舌はすぐに俺のものを絡め取り、甘く噛まれてまた吸われる。
 シャワーの熱よりも背中の先輩の熱を強く感じて、強く脈打つ鼓動はどちらのものだろう。
 気が付けば自分から舌を絡め甘えるような声を上げていた。

「ん、ふぁ……ぅんん……っ」

 先輩から与えられる熱に浮かされて吸われる唇や舌がジンとしびれてきた頃にやっと開放される。かと思えば俺の体を回転させて向き合う形で再度口付けられた。
 頭を両手で鷲掴みにして何度も角度を変えながら貪りついてくる先輩に必死にしがみついて応えようとするが、あまりの激しさにギブアップしてしまい腰が抜ける。

「も、むり……」

「……まだこれからだろ」

 俺の頭を掴んでいた手を腰に移動させて支えてくれるが、腰抜けにされた俺はそれでも立っているのがつらい。
 だから先輩の腕に体重をかけてしまうと、より腰を引かれて、そうなると胸を先輩に突き出したような格好になってしまい恥ずかしかった。たが、恥ずかしいだけなら良かったのだ。

「えっ? や、あ……!」

 また先輩の顔が降りてきてキスされると思いまぶたを閉じたら、降りてきたのは胸元で、突然強く吸われてしまった。
 驚きの声と共に体を跳ねさせるが、お構いなしに胸や首筋を吸われて舐められてまた吸われた。キスで火照っていた体はそんな刺激にも反応してしまい、あられもない声が出てしまいそうで必死に耐える。

「……んな顔して我慢されると余計興奮すんだけどな?」

「は? なにが……ひぁっ、んんっ!」

 先輩が何か言った気がして視線を向けると同時に胸の突起を食べられて我慢していた声が上がってしまった。
 それだけでも恥ずかしいのに、先輩の視線がずっと俺の顔に向いている事に気づいてしまい余計に顔が熱くなる。

「ん、あ……やだ、見ないでっ」

 男のくせにこんな所をいじられて体を震わせて声を上げて、きっと俺はみっともない顔をしているだろうに、先輩はもっと見せろと言わんばかりに隠そうとした俺の腕を掴んで顔から引き剥がす。
 あらわになってしまった顔でキッと睨みつければ先輩が余計に楽しそうに笑った気がした。

「お前本当に……今まで良く誰にも喰われなかったな。まぁ、今回は危なかったけどよ……」

「だから何を言って……ひんっ!」

 先輩のふとももが、俺の股間を押し上げた。

「~~~っ!」

 いつの間にか俺のそれは緩く立ち上がっていて、恥ずかしさといたたまれない気持ちが爆発して声にならない声を上げた。
 もういやだ、何処かに隠れてしまいたいと泣きそうになっていたら、それでもぐいぐいと押し上げられて、敏感な場所を狙ってそんな事をされたら嫌でも反応してしまう。

「ん、ん……っ、やだ、先輩……!」

「逃げんなよ興奮すんだろ」

「だから何でっ!?」

 止めてくれと腕を突っ張ろうとしたがまともに力が入らなくて逆にすがりつく様になってしまい、ますます先輩が楽しそうに笑う。
 自分の醜態を見られて悔しくて抵抗しても、訳の分からない事を言われて軽くあしらわれる。
 いつの間にかすっぽりと抱きしめられぐりぐりと俺の下半身をいじめる事に集中しだした先輩にこの不良!と内心で毒づいても口から出てくるのは熱い吐息ばかりだった。
 しかし、そこで気づきたくも無いものに気づいてしまう。
 俺を見下ろす熱い視線と荒い息、そして、太ももに感じる硬いもの。

「うぇ……?」

 ズボン越しでも分かる、緩く立ち上がった俺のものなんか比じゃないほどに昂った先輩のあれ。

「ん……あの、あのっ!」

「んだよ……」

「あ、あたってるんですけど……っ!」

 知ってしまった気まずさにしどろもどろになりながら伝えたら、先輩はにやりと人の悪い笑みを浮かべて俺の耳元でいたずらっ子のような声で言った。

「だから前も言っただろ? あててんだよ……」

 
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