この世界で姫と呼ばれている事を俺はまだ知らない

キトー

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59.油断大敵

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 左腕は俺を抱きしめて、右手は尻を揉みながらスカートをたくし上げて、頭上から覗き込むようにスカートの中を見られて落胆の声を上げられる。
 何だその女性物の下着を着ていないのがありえないと言いたげな声は……俺はそこまで変態だと思われていたのだろうか。

「でもまぁ……悪くねぇ眺めだな……」

 頭上から聞こえる声から、まだスカートの中を覗かれていると知る。

「みっ、見ないでくださいよ……っ」

 俺の抗議の声など聞く気は無いようで、俺の腕を拘束するように抱きしめて右手はスカートを上げたまま好き勝手に撫で回す。
 その動きはだんだん怪しくなってきて、内ももをするりと撫でられ擽ったくて身をよじっていたら下着に忍び込むように指先が入ってきた。
 慌てて阻止しようとしたが上半身を抱きしめる腕に力が入り文字通り手も足も出せない状態だ。

「やだっ……ちょっと、ここ、学校……っ!」

「誰も来ねぇよ」

「そう言う問題じゃない!」

 ろくな抵抗も出来ないまま、とうとう下着を降ろされて下半身がむき出しになってしまう。
 ただ抱きしめていた力が弱まった為、腕を突っ張り距離を取ろうとしたが、すぐに背中は壁に突き当たってしまい思うより距離は取れなかった。

 むしろ目の前に少しかがんだ先輩の顔が来て、舌なめずりでもしそうなその表情にさらに状況が悪化している気さえする。
 薄暗い中でぎらぎらと光るその目は野生の肉食獣のようで、本能で逃げられないと悟る。

「ぁ……っ、や……!」

 下着からは手が離れてくれたが、代わりに両手を頭上で束ねられてしまった。
 そして片手でシャツのボタンを外していく先輩に最後の抵抗としていやいやと首を振るが、あらわになっていく首筋を舐められてそれすら出来なくなる。

 胸元までボタンを外し終えると、今度は手が下方に降りてきて、まさかとは思ったが、そのまさかだった。

「──っ! 待って! 先輩っ……待ってってば! んぁっ……はっ……ん!」

 先輩の指が、俺の陰部に絡み付く。
 スカートの中で裏筋を指で撫でられながら扱かれ、否が応でも熱が集まってしまい呼吸が乱れる。

「待って……待って! はっ、あんっ、ホントに……先輩っ!」

 あられもない声を上げながら必死に懇願すれば、首筋から胸元へと這っていた舌を止めてくれたが、その目は今にも喰らいついてきそうなぐらい熱が込められていて、その視線だけでクラクラしそうだ。

「はぁ……す、かーと……が……っ」

「スカートがどうした……似合ってるぞ」

 そんな事聞いてないし似合ってたまるか。

「ちが……もう出そうで……っ」

「良いぜ? イッちまえよ……」

「んぁあっ……! 待って待って待って……っ! んっ、だめぇ!」

 俺の陰部に絡んでいた指が突然先端をグリグリと弄りだし悲鳴に近い声が上がる。
 そんな俺を凝視しながら「何が駄目なんだ」と問う先輩にまずは手を止めろと睨んだが、やはり効果は無かった。

「……その顔俺以外に見せるなよ……」

「もぉ……ぁんっ、待ってって……言ってるのにぃ……っ」

 溜まる熱のせいで先輩の呟きは頭に入ってこなくて、出したいけど出したくないもどかしさに知らずに涙がこぼれる。
 その涙を舐め取るようにキスを落とした先輩は、ようやく手の動きを緩めてくれた。

「そんで? スカートがどうした?」

 チュッチュ……となだめるように唇へもキスを落とす先輩をぼぅと見ながら、のぼせ気味の頭で何とか言葉を紡ぐ。

「はぁ……汚れちゃう、から……これ借り物で……」

 あげると言われたがもらう気も無いし、しかし返すのならばたとえ洗濯したとしても俺の体液を付けた物を返すなんて出来ない。
 だから昂ぶったものをそのままにするのは辛いがここまでで止めて欲しいと願ったが、先輩は少し考えた後でニヤリと笑った。
 またあの良くない笑い方だった。

「汚さなければ良いんだな?」

「あの、待って、何を……っ!?」

 これは絶対に良くない事が起こると分かって身構えたが、思いのほかあっさり拘束されていた手を開放されて呆気にとられる。
 だが、そこで油断したのが良くなかった。
 しゃがみ込む先輩を見送ってしまったのは完全に油断していたからで、

「ぎゃあっ!! なななな何してんだあんたっっ!!?」

 スカートに頭を突っ込まれてから抵抗したところでもう遅かった。


 
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