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51.一生涯大切にします
しおりを挟む「アリス! ちょっと付き合ってほしいんだ!」
「もちろん! 一生涯大切にするよっ!!」
「……? いや別にそんな長い間じゃなくて、ちょっと付き合ってもらえれば良いんだけど……」
「うん知ってる……それで、何に付き合ってほしいの?」
まだ内容も伝えていないのに快く引き受けようとしてくれる夢野に、なんて良い人なんだと胸が熱くなる。
しかしここまで良い人だと悪い人に騙されないかと不安にも思うので、ここは俺が守ってあげなくてはと勝手に心に誓った。
昼休みは相変わらず空き教室で過ごしていて、日替わりで夢野と猫野が食事に付き合ってくれている。
今日は夢野が来てくれて、早々に頼み事をして冒頭に戻る訳である。
「俺ちょっと人探しててさ……でも俺だけじゃどうしても分からなくて。アリスは白伊ナイト先輩のクラス知らない?」
先輩に会うと決めたは良いが、俺一人で先輩の教室を探すのはやはり無理だった。
一応試みてはみたが、二年生の教室に行くだけでいっぱいいっぱいだった上に、勇気を持って声をかけた二年生らしき人からは思いっきり目をそらされてどもりながら何か呟かれそして逃げられて、早々に諦めた。
心が折れるの早すぎだろと自分でも思うが、無理な物は無理。人には向き不向きがあるのだ。
じゃあお前は何が向いてるんだよと訊かれたら答えられないが……。
だからここは友人を頼ることにした。
何より夢野アリスならば先輩と何かしらの接触があるのは確実だから、もしかしたら教室も知っているかもしれない。
それに、散々優しさに甘えて申し訳ないが、もう一人で二年生の教室にまで行く勇気は無い。
可能であれば、夢野がどうしても嫌じゃ無ければ、着いて来てほしいのだ。
「誰それ?」
「え?」
「ん?」
だが、俺の思いは初っぱなから崩れ落ちた。
「え、あの、白伊先輩だよ? ちょっと不良だけど優しい時もある二年生の先輩……」
「白伊ナイト……白伊……んー、ごめんやっぱり思い出せないよ。ホントに僕と関わりある先輩? 僕部活とか入ってないからあまり同級生以外で知り合い居ないんだよね」
知らない、これは冗談で言っているわけでは無いようだ。
しかし、そんなまさか。あの強引な俺様ヤンキーがこんなに可愛い夢野をほっとく訳が無いのに。
そう焦る気持ちの中に、何故か安堵している自分も居た。俺は何を安堵しているのだろう。
「全然覚えがない?」
「うん……むしろルイとはどんな関係なのその先輩」
「俺は……ただの友達だけど」
「ホントに? 不良って言ってたけど何か変な事されてない?」
「うん、友達としてのスキンシップぐらいだよ」
俺としては恥ずかしい行為でも、この世界での友達同士でなら普通のスキンシップだと先輩は言っていたし。
「スキンシップ………ねぇルイ、今度その人紹介してくれないかなぁ?」
「もちろん良いけど、でも今その先輩と連絡取れなくて……だから教室に行こうかと思ったんだけどクラスが分からなかったからアリスに訊いたんだ」
「僕も知らないけど調べとくからさ、行くときは一緒に行って良いでしょ?」
「良いの!? すっごく助かるよ! 実は一人で上級生の教室行くの心細くて……ありがとうアリス!」
願ったり叶ったりの言葉に夢野が天使を通り越して神に見えてくる。
優しすぎるよこの神様。
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