追放された悪役令息だけど何故キミが追いかけて来るんだ

キトー

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9.忘れてしまえ

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 夢中でシャルノ様の唇を味わっていると、下半身がどんどん重くなる。
 ずっと恋い焦がれた相手を組み敷き唇を奪っているのだ。興奮するなと言う方が無理だろう。
 薄いシャツを脱がせば、夢の中で組み敷いた肌より白くなめらかな肌があらわれ目に毒だった。
 荒くなる息をどう制御していいか分からぬまま、細い首を舐めて味わう。

「う、ん……っ、はぁ……んっ」

 俺が与える刺激一つ一つに反応するシャルノ様に愛おしさが募る。
 もっと乱れさせたい。誰にも見せた事のないシャルノ様を見せてほしい。
 そう思いながら興奮がピークにさしかかった時だ。

「……っ!」

 シャルノ様の両手が、いつの間にか俺の下穿きを脱がせていた。
 窮屈な布の隙間から即座に顔を出したそれを、シャルノ様の小さくて柔らかな手が包む。

「しゃっ、シャルノ様!?」

「え?」

 俺が驚いた事に驚くシャルノ様。
 何か怒られるような事をしただろうかと不安げに見上げてくるシャルノ様に、これはこれで興奮する。
 が、その前に訊きたい事がある。

「あの……シャルノ様は何をしようとしてるんだ?」

「……えっと、キミのを準備しようかと思ったんだけど」

「準備って?」

「……舐めたり……?」

「舐め……っ」

「い、嫌だった……!?」

 嫌だったら話を聞いただけで俺の下半身がビクンビクン期待に震えるわけ無いだろ。
 だが待て。初夜だと言うのにシャルノ様にリードされるなんて情けない。
 俺がシャルノ様を可愛がりたいのだ。
 それに俺のそこはもう準備万端である。だから「そんな事しなくて良い」と伝えたが、シャルノ様は困ったように俺を見つめた。

「でもあの……」

「でも……何?」

 言いづらそうにしているシャルノ様の頬を撫で、言葉を待つ。シャルノ様はゆっくり口を開き、やはり困ったように告げた。

「あの……お尻も準備しないと……い、痛くてね……その……」

「…………っ、ンの野郎……っ!」

 告げられた言葉を理解し、怒り心頭に発する。
 あの男はもう二、三発殴っておけば良かった。
 シャルノ様を性欲処理としてしか扱ってなかったのか。

「ディナール? あの、あの……ご、ごめん……準備しなくても大丈夫だから……あの、変なことしようとしてごめんね」

 怒りに震える俺を勘違いしたのか、おろおろと謝ってくるシャルノ様に胸が痛む。

「シャルノ様! 今から俺にも触るのは禁止だ! シャルノ様はただ気持ちよくなってれば良い!!」

「え? うわぁっ!?」

 シャルノ様の服を破かんばかりに剥ぎ取り、勢いそのままシャルノ様の小さく主張する下半身にしゃぶりついた。

「ひぁっ!? え、やっ、ディナール!! そんなとこ舐めたら駄目っ!!」

「何で? シャルノ様は俺のを舐めようとしたんだろ?」

「ぁ……んっ、しゃ、喋っちゃ……や、ひんっ」

 どうやら初めての経験だったようで、戸惑いと快感に震える姿がとんでもなく色っぽい。
 もっとだ。もっと俺の手で快感の渦に落としたい。
 わけが分からなくなるほどよがり狂って、俺にしがみついて俺しか見えなくなれば良い。
 他の男の事など忘れてしまえ。
 
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