9 / 11
9.忘れてしまえ
しおりを挟む夢中でシャルノ様の唇を味わっていると、下半身がどんどん重くなる。
ずっと恋い焦がれた相手を組み敷き唇を奪っているのだ。興奮するなと言う方が無理だろう。
薄いシャツを脱がせば、夢の中で組み敷いた肌より白くなめらかな肌があらわれ目に毒だった。
荒くなる息をどう制御していいか分からぬまま、細い首を舐めて味わう。
「う、ん……っ、はぁ……んっ」
俺が与える刺激一つ一つに反応するシャルノ様に愛おしさが募る。
もっと乱れさせたい。誰にも見せた事のないシャルノ様を見せてほしい。
そう思いながら興奮がピークにさしかかった時だ。
「……っ!」
シャルノ様の両手が、いつの間にか俺の下穿きを脱がせていた。
窮屈な布の隙間から即座に顔を出したそれを、シャルノ様の小さくて柔らかな手が包む。
「しゃっ、シャルノ様!?」
「え?」
俺が驚いた事に驚くシャルノ様。
何か怒られるような事をしただろうかと不安げに見上げてくるシャルノ様に、これはこれで興奮する。
が、その前に訊きたい事がある。
「あの……シャルノ様は何をしようとしてるんだ?」
「……えっと、キミのを準備しようかと思ったんだけど」
「準備って?」
「……舐めたり……?」
「舐め……っ」
「い、嫌だった……!?」
嫌だったら話を聞いただけで俺の下半身がビクンビクン期待に震えるわけ無いだろ。
だが待て。初夜だと言うのにシャルノ様にリードされるなんて情けない。
俺がシャルノ様を可愛がりたいのだ。
それに俺のそこはもう準備万端である。だから「そんな事しなくて良い」と伝えたが、シャルノ様は困ったように俺を見つめた。
「でもあの……」
「でも……何?」
言いづらそうにしているシャルノ様の頬を撫で、言葉を待つ。シャルノ様はゆっくり口を開き、やはり困ったように告げた。
「あの……お尻も準備しないと……い、痛くてね……その……」
「…………っ、ンの野郎……っ!」
告げられた言葉を理解し、怒り心頭に発する。
あの男はもう二、三発殴っておけば良かった。
シャルノ様を性欲処理としてしか扱ってなかったのか。
「ディナール? あの、あの……ご、ごめん……準備しなくても大丈夫だから……あの、変なことしようとしてごめんね」
怒りに震える俺を勘違いしたのか、おろおろと謝ってくるシャルノ様に胸が痛む。
「シャルノ様! 今から俺にも触るのは禁止だ! シャルノ様はただ気持ちよくなってれば良い!!」
「え? うわぁっ!?」
シャルノ様の服を破かんばかりに剥ぎ取り、勢いそのままシャルノ様の小さく主張する下半身にしゃぶりついた。
「ひぁっ!? え、やっ、ディナール!! そんなとこ舐めたら駄目っ!!」
「何で? シャルノ様は俺のを舐めようとしたんだろ?」
「ぁ……んっ、しゃ、喋っちゃ……や、ひんっ」
どうやら初めての経験だったようで、戸惑いと快感に震える姿がとんでもなく色っぽい。
もっとだ。もっと俺の手で快感の渦に落としたい。
わけが分からなくなるほどよがり狂って、俺にしがみついて俺しか見えなくなれば良い。
他の男の事など忘れてしまえ。
195
お気に入りに追加
1,364
あなたにおすすめの小説
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
白い結婚を夢見る伯爵令息の、眠れない初夜
西沢きさと
BL
天使と謳われるほど美しく可憐な伯爵令息モーリスは、見た目の印象を裏切らないよう中身のがさつさを隠して生きていた。
だが、その美貌のせいで身の安全が脅かされることも多く、いつしか自分に執着や欲を持たない相手との政略結婚を望むようになっていく。
そんなとき、騎士の仕事一筋と名高い王弟殿下から求婚され──。
◆
白い結婚を手に入れたと喜んでいた伯爵令息が、初夜、結婚相手にぺろりと食べられてしまう話です。
氷の騎士と呼ばれている王弟×可憐な容姿に反した性格の伯爵令息。
サブCPの軽い匂わせがあります。
ゆるゆるなーろっぱ設定ですので、細かいところにはあまりつっこまず、気軽に読んでもらえると助かります。
婚約破棄された俺の農業異世界生活
深山恐竜
BL
「もう一度婚約してくれ」
冤罪で婚約破棄された俺の中身は、異世界転生した農学専攻の大学生!
庶民になって好きなだけ農業に勤しんでいたら、いつの間にか「畑の賢者」と呼ばれていた。
そこに皇子からの迎えが来て復縁を求められる。
皇子の魔の手から逃げ回ってると、幼馴染みの神官が‥。
(ムーンライトノベルズ様、fujossy様にも掲載中)
(第四回fujossy小説大賞エントリー中)
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?


【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

当て馬的ライバル役がメインヒーローに喰われる話
屑籠
BL
サルヴァラ王国の公爵家に生まれたギルバート・ロードウィーグ。
彼は、物語のそう、悪役というか、小悪党のような性格をしている。
そんな彼と、彼を溺愛する、物語のヒーローみたいにキラキラ輝いている平民、アルベルト・グラーツのお話。
さらっと読めるようなそんな感じの短編です。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました
無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。
前世持ちだが結局役に立たなかった。
そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。
そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。
目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。
…あれ?
僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる