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第二章 噂が広まるのは早いもので
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――誰!!
クラスメイトじゃない、と思う。自信は全然無い。だって、毎日遠巻きにされているから、こちらもじろじろ見ることが出来ない。
「付き合ってほしいんだけど」
「付き?」
周りがざわっとした。気付かなかっただけで、先ほどからみんな二人に注目していたらしい。
「どこに」
というか、誰。まずは名乗って頂きたい。女子が眉間に皺を寄せた。女子でもそんな顔をされたら怖い。とにかく葵は誰に対しても恐怖を抱く。
「え~、そんなボケ言う? あゆみの顔見えてる?」
「見えてる、けど」
見えていたらなんなのだ。とりあえず、名前があゆみだということだけ分かった。それ以外は分からない。あゆみとやらが、長い爪先を自分の顔に向け、そして葵の顔を指差した。
「小日向君ってイケメンじゃん。んで、あゆみも結構可愛いと思うから、お似合いだと思うんだよね。イケメンの彼氏欲しくって」
――…………なるほど?
思考についていかれてないが、彼女は葵に告白しているらしい。先ほどの「付き合って」は文字通りの付き合ってだった。曲がりなりにも告白するなら、彼氏をブランド品か何かと思う本音を隠して言った方がよかったと思う。
――イケメンじゃないし。
イケメンというのは男前である。男前というのは、心身ともに強い者を言う。小日向家で育った葵はそう教えられた。だから自分は決してイケメンではない。顔面を褒められたことはあるが、所詮そこ止まり。
何にせよ、返事は決まっている。
「ごめん」
「うっそ」
「ほんと」
断られたというのに、彼女の表情は明るいままだった。
「彼女いんの?」
「いないけど」
「じゃあ、よくない?」
――じゃあってなんだ?
「よくない、かな。ごめんね」
眉を下げ、改めて断る。最初の会話から今まで全て教室の中での出来事である。いくらなんでも、メンタルが強すぎやしないか。
「おいそこの女ァ! そういうのは舎弟を通してからにしてくれよ」
「えぇ~あゆみ、イケメンじゃない人と会話とかムリ」
「きぃぃぃぃいいい!」
山上が両手で髪の毛をかきむしる。葵は山上がハゲるのではと心配になった。
クラスメイトじゃない、と思う。自信は全然無い。だって、毎日遠巻きにされているから、こちらもじろじろ見ることが出来ない。
「付き合ってほしいんだけど」
「付き?」
周りがざわっとした。気付かなかっただけで、先ほどからみんな二人に注目していたらしい。
「どこに」
というか、誰。まずは名乗って頂きたい。女子が眉間に皺を寄せた。女子でもそんな顔をされたら怖い。とにかく葵は誰に対しても恐怖を抱く。
「え~、そんなボケ言う? あゆみの顔見えてる?」
「見えてる、けど」
見えていたらなんなのだ。とりあえず、名前があゆみだということだけ分かった。それ以外は分からない。あゆみとやらが、長い爪先を自分の顔に向け、そして葵の顔を指差した。
「小日向君ってイケメンじゃん。んで、あゆみも結構可愛いと思うから、お似合いだと思うんだよね。イケメンの彼氏欲しくって」
――…………なるほど?
思考についていかれてないが、彼女は葵に告白しているらしい。先ほどの「付き合って」は文字通りの付き合ってだった。曲がりなりにも告白するなら、彼氏をブランド品か何かと思う本音を隠して言った方がよかったと思う。
――イケメンじゃないし。
イケメンというのは男前である。男前というのは、心身ともに強い者を言う。小日向家で育った葵はそう教えられた。だから自分は決してイケメンではない。顔面を褒められたことはあるが、所詮そこ止まり。
何にせよ、返事は決まっている。
「ごめん」
「うっそ」
「ほんと」
断られたというのに、彼女の表情は明るいままだった。
「彼女いんの?」
「いないけど」
「じゃあ、よくない?」
――じゃあってなんだ?
「よくない、かな。ごめんね」
眉を下げ、改めて断る。最初の会話から今まで全て教室の中での出来事である。いくらなんでも、メンタルが強すぎやしないか。
「おいそこの女ァ! そういうのは舎弟を通してからにしてくれよ」
「えぇ~あゆみ、イケメンじゃない人と会話とかムリ」
「きぃぃぃぃいいい!」
山上が両手で髪の毛をかきむしる。葵は山上がハゲるのではと心配になった。
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