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カーネーション4
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スケジュール確認の会議が終了して、解散する流れで、食堂へ行きつく。それぞれオーダーした食事が運ばれてくる。カレー、カツ丼、ラーメン、パスタ……バラバラの食事が同じテーブルに運ばれてくる。湊を中心とした俳優や監督たちは、雑談しながらそれらに口をつけ食べ終えると、真面目な雰囲気にかわっていた。打ち合わせも兼ねているのだろう。湊の普段穏やかな目元は、キリっと上がっていて、いつもと違う雰囲気だ。
私は、そこから少し離れた場所で食事をとり終え、空になった食器を横に避けて、スマホへ目を落とす。社長からの連絡が入っていた。
問題ないかという内容に、返信しようと指先を滑らせる。そこに、私とテーブルを挟んだ正面で立ち止まる。
様々な食事が混じり合った混沌とした匂いが漂った。画面から、意識を外してそちらを見やると目が合う。小さな目をした、すこしぽっちゃりした体格の女性だった。長い黒髪にパーマをかけているせいで、さらに体格よく見えた。
「蓮さんのマネージャーさんですよね? 私、リコのマネージャーをしている御手洗と申します」
よく通る声で、ついびくっと肩が跳ねてしまう。御手洗は、私へ名刺を差し出していた。リコ本人の姿が見えなかったから、気を抜いていたが、そういえば見学しに来ると言っていたことを思い出す。この場に姿はないが、どこかにいるのかもしれない。急いで私も立ち上がって腰を折った。
「鈴木まつりと申します。よろしくお願いいします」
頭を下げながら名刺を差し出すと、それを手に取って私を検分していた。体系は、お世辞にもリコとはそっくりとは言えないが、どことなく、似ている雰囲気がある。目が少し怖い。
苦手意識がどうしても出ていしまいそうになるが、気づかれないように息を吐いて追い出して、笑顔で取り繕う。
「リコさんも、やはりいらっしゃっているんですね」
リコのマネージャーが来ているということは、そういうことだろうと思ったのだが、御手洗は首を振っていた。
「私だけ、先乗りしてきたんです。気が変わったそうで。ついでに、ホテルの部屋をチェックしてきてほしいというので、今日は私だけ。明日には来ると思いますけど。リコの我儘には、私でも手に負えないことがあって」
ふくよかな頬っぺたが、痙攣していた。どうやら、ここへ先にやってきたこなければならなかったことに、不満があったようだ。リコのマネージャーという肩書で、つい苦手の部類に入れてしまっていたが、リコが苦手な私と共鳴するように、一気に先入観が取り払われていた。
「そうなんですね」
寄り添うように頷いて、椅子を勧める。重そうな身体を預けると、それが引き金になったのか。
リコの気まぐれは、日常茶飯事であること。マネージャーは、奴隷だという認識であること。周囲への身勝手なふるまい。ずっと溜まっていた鬱憤をここぞとばかりに、勢いよく吐き出していた。
「あの子のマネージャーになる人は、すぐに辞めていくって聞いてたんですけど、その気持ちすごくわかります。事務所の社長から、辞めないでくれって引き止められていて、何とか続けてますけど……」
御手洗が息をつく暇もなく、一息でいう。
先ほど買って手を付けていなかったペットボトルをそっと差し出すと、御手洗は受け取って、勢いよく飲んでいた。口の端から水がこぼれて、ごしごし手でこすっていた。頬の肉が、ぶるっと揺らすと少し歪んだ唇はこちらへ向けられ、私の様子を窺っている。
「いつも頑張ってるのに、怒られてばっかりだし。本当に、酷い。鈴木さんもそういう経験ありませんか?」
「私も、あります……以前、似たような環境にいたので」
息苦しい部屋を思い出す。認めてほしいと思っていくら努力しても、報われない。きっといい言葉をもらえるはずだと期待すれば、裏切られる。その繰り返し。勝手に視線が下へ落ちていってしまう。御手洗は、その視線を追ってきていた。
「鈴木さんの以前大変だった環境って、職場でそういう経験したんですか?」
「いえ、職場ではなくて……家が、ちょっと複雑な感じで」
「家というのは? 家庭でということ?」
御手洗は、小さな瞳をきょろきょろさせて瞬かせている。詳しいことを聞きたそうだ。でも、さすがに話す気になれない。苦笑いをして濁しながら、話を逸らす。
「御手洗さんが辛いときはいつでも、話聞きますので。抱え込まないでくださいね」
私の家の話題が途切れてしまうと、御手洗はちょっと残念から、だいぶ不満に変化していた。眉間にしわを寄せて、口をとがらせている。
何となく居たたまれなくて、ちらりと湊たちの方へ意識が向ける。先ほどの真剣な眼差しは和らいで、湊は笑顔だった。そろそろ、打ち合わせも終わりに近いのだろうか。何人か立ち上がり始めている。その中に湊も混ざっている。
御手洗は、湊たちから背を向けているため気付くことなく、質問してきていた。
「鈴木さんはどうして蓮さんのマネージャーに? 蓮さんはマネージャーを雇わない人だって、業界では有名だったので」
私の答えを待っている御手洗は、興味津々な表情をしているが、これについても明け透けに答えられるはずもない。考えてみれば、ここでの私は偽りだらけだ。
「私が就職に困っていたところ、声をかけていただいたんです」
嘘と本当を混ぜ合わせて答えると、すぐに質問が返ってきた。
「蓮さん自らですか?」
「いえ、私が頼み込んで」
曖昧な笑みを含んでそういうと、更に質問を重ねてくる。
「じゃあ、鈴木さんもこの業界にいた方だったんですか?」
「そういうわけではなくて……」
「違うのなら、どちらで知り合ったんです?」
単純な好奇心なのだろうが、かなり身を乗り出してくる。ポンポンと嘘が出てきてくれればそれでいいが、私の頭はそんな器用にできていない。たじだじになってしまう。どう答えればいいのか。足りない頭でせいぜい考える。すると。
「ロケに行った時、たまたまそこへ居合わせたまつりさんに、僕が一目惚れして声をかけたんです」
私の代わりに答えたのは、尖った声。様々な会話が行き交っていて、騒がしい部屋なのに、その声だけは隅々までいきわたっていた。部屋が、シンと静まり返り、一気に凍りつく。
数秒の沈黙のあと、溶けだした空気はやけにざわざわしていた。一方の私は、鼓膜から脳へ伝わる思考回路が一旦ストップ。再開されたときは、塞き止められていた血が勢いよく頭に上がってきていた。
御手洗のほとんど脂肪に覆われていた小さな目が大きく見開かれていたその先に、湊が立っていた。
「どうも、御手洗さん。リコさんから、まつりさんの情報でも集めてこいっていわれたんですよね? だったら、さっきいった通り伝えておいてください」
「さすがに冗談ですよね?」
問い返す御手洗の分厚い頬が、ひくひく痙攣していた。それに湊は、口角をあげるが、目が鋭い。
「冗談に聞こえました?」
御手洗は目の大きさを元の大きさに戻す。ふてぶてしいほど大笑いしていた。
「じゃあ、その通り、リコに伝えておきます」
重そうな身体を揺らして、その場を後にしていく。それを呆然と見送っていると、周囲の騒然としていたが、御手洗の姿が消えると、その場は勢いを増して騒がしくなっていた。
私は、そこから少し離れた場所で食事をとり終え、空になった食器を横に避けて、スマホへ目を落とす。社長からの連絡が入っていた。
問題ないかという内容に、返信しようと指先を滑らせる。そこに、私とテーブルを挟んだ正面で立ち止まる。
様々な食事が混じり合った混沌とした匂いが漂った。画面から、意識を外してそちらを見やると目が合う。小さな目をした、すこしぽっちゃりした体格の女性だった。長い黒髪にパーマをかけているせいで、さらに体格よく見えた。
「蓮さんのマネージャーさんですよね? 私、リコのマネージャーをしている御手洗と申します」
よく通る声で、ついびくっと肩が跳ねてしまう。御手洗は、私へ名刺を差し出していた。リコ本人の姿が見えなかったから、気を抜いていたが、そういえば見学しに来ると言っていたことを思い出す。この場に姿はないが、どこかにいるのかもしれない。急いで私も立ち上がって腰を折った。
「鈴木まつりと申します。よろしくお願いいします」
頭を下げながら名刺を差し出すと、それを手に取って私を検分していた。体系は、お世辞にもリコとはそっくりとは言えないが、どことなく、似ている雰囲気がある。目が少し怖い。
苦手意識がどうしても出ていしまいそうになるが、気づかれないように息を吐いて追い出して、笑顔で取り繕う。
「リコさんも、やはりいらっしゃっているんですね」
リコのマネージャーが来ているということは、そういうことだろうと思ったのだが、御手洗は首を振っていた。
「私だけ、先乗りしてきたんです。気が変わったそうで。ついでに、ホテルの部屋をチェックしてきてほしいというので、今日は私だけ。明日には来ると思いますけど。リコの我儘には、私でも手に負えないことがあって」
ふくよかな頬っぺたが、痙攣していた。どうやら、ここへ先にやってきたこなければならなかったことに、不満があったようだ。リコのマネージャーという肩書で、つい苦手の部類に入れてしまっていたが、リコが苦手な私と共鳴するように、一気に先入観が取り払われていた。
「そうなんですね」
寄り添うように頷いて、椅子を勧める。重そうな身体を預けると、それが引き金になったのか。
リコの気まぐれは、日常茶飯事であること。マネージャーは、奴隷だという認識であること。周囲への身勝手なふるまい。ずっと溜まっていた鬱憤をここぞとばかりに、勢いよく吐き出していた。
「あの子のマネージャーになる人は、すぐに辞めていくって聞いてたんですけど、その気持ちすごくわかります。事務所の社長から、辞めないでくれって引き止められていて、何とか続けてますけど……」
御手洗が息をつく暇もなく、一息でいう。
先ほど買って手を付けていなかったペットボトルをそっと差し出すと、御手洗は受け取って、勢いよく飲んでいた。口の端から水がこぼれて、ごしごし手でこすっていた。頬の肉が、ぶるっと揺らすと少し歪んだ唇はこちらへ向けられ、私の様子を窺っている。
「いつも頑張ってるのに、怒られてばっかりだし。本当に、酷い。鈴木さんもそういう経験ありませんか?」
「私も、あります……以前、似たような環境にいたので」
息苦しい部屋を思い出す。認めてほしいと思っていくら努力しても、報われない。きっといい言葉をもらえるはずだと期待すれば、裏切られる。その繰り返し。勝手に視線が下へ落ちていってしまう。御手洗は、その視線を追ってきていた。
「鈴木さんの以前大変だった環境って、職場でそういう経験したんですか?」
「いえ、職場ではなくて……家が、ちょっと複雑な感じで」
「家というのは? 家庭でということ?」
御手洗は、小さな瞳をきょろきょろさせて瞬かせている。詳しいことを聞きたそうだ。でも、さすがに話す気になれない。苦笑いをして濁しながら、話を逸らす。
「御手洗さんが辛いときはいつでも、話聞きますので。抱え込まないでくださいね」
私の家の話題が途切れてしまうと、御手洗はちょっと残念から、だいぶ不満に変化していた。眉間にしわを寄せて、口をとがらせている。
何となく居たたまれなくて、ちらりと湊たちの方へ意識が向ける。先ほどの真剣な眼差しは和らいで、湊は笑顔だった。そろそろ、打ち合わせも終わりに近いのだろうか。何人か立ち上がり始めている。その中に湊も混ざっている。
御手洗は、湊たちから背を向けているため気付くことなく、質問してきていた。
「鈴木さんはどうして蓮さんのマネージャーに? 蓮さんはマネージャーを雇わない人だって、業界では有名だったので」
私の答えを待っている御手洗は、興味津々な表情をしているが、これについても明け透けに答えられるはずもない。考えてみれば、ここでの私は偽りだらけだ。
「私が就職に困っていたところ、声をかけていただいたんです」
嘘と本当を混ぜ合わせて答えると、すぐに質問が返ってきた。
「蓮さん自らですか?」
「いえ、私が頼み込んで」
曖昧な笑みを含んでそういうと、更に質問を重ねてくる。
「じゃあ、鈴木さんもこの業界にいた方だったんですか?」
「そういうわけではなくて……」
「違うのなら、どちらで知り合ったんです?」
単純な好奇心なのだろうが、かなり身を乗り出してくる。ポンポンと嘘が出てきてくれればそれでいいが、私の頭はそんな器用にできていない。たじだじになってしまう。どう答えればいいのか。足りない頭でせいぜい考える。すると。
「ロケに行った時、たまたまそこへ居合わせたまつりさんに、僕が一目惚れして声をかけたんです」
私の代わりに答えたのは、尖った声。様々な会話が行き交っていて、騒がしい部屋なのに、その声だけは隅々までいきわたっていた。部屋が、シンと静まり返り、一気に凍りつく。
数秒の沈黙のあと、溶けだした空気はやけにざわざわしていた。一方の私は、鼓膜から脳へ伝わる思考回路が一旦ストップ。再開されたときは、塞き止められていた血が勢いよく頭に上がってきていた。
御手洗のほとんど脂肪に覆われていた小さな目が大きく見開かれていたその先に、湊が立っていた。
「どうも、御手洗さん。リコさんから、まつりさんの情報でも集めてこいっていわれたんですよね? だったら、さっきいった通り伝えておいてください」
「さすがに冗談ですよね?」
問い返す御手洗の分厚い頬が、ひくひく痙攣していた。それに湊は、口角をあげるが、目が鋭い。
「冗談に聞こえました?」
御手洗は目の大きさを元の大きさに戻す。ふてぶてしいほど大笑いしていた。
「じゃあ、その通り、リコに伝えておきます」
重そうな身体を揺らして、その場を後にしていく。それを呆然と見送っていると、周囲の騒然としていたが、御手洗の姿が消えると、その場は勢いを増して騒がしくなっていた。
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