ゲーマーズ -Gamers-

-1- 宝

あのゲームが発売される。恐らくスタートダッシュが重要なゲームはこれが初だろう。そのゲームの名は「空のカナタ」
発売元の「クラフターゲームズ」は発売前に世界に向けて世界を震撼させる発言をした。

「このゲーム(空のカナタ)を世界最速でクリアした人に約1000万円相当の宝が手にはいる。2位は500万円、3位で250万円相当の宝も手にはいる。さらにこのゲームは開発者が最短のルートでもクリアに10日かかった。発売日から世界との戦いだ、頑張って世界最速で攻略して下さい」

「世界最速で攻略する...簡単だ！」
pcの画面を見ながらニヤニヤしている自分に佐藤は気がついた。
「でも俺には1000万なんて必要ないしなー」
椅子をクルクル回転させながら考えていた。
「あ！親に渡せばいいじゃん！」
理由は単純だった。大金を親に渡せば現在進行形でニートの自分に親は感激し、もし死んだ時に遺産は倍になって一人っ子の自分のものになるかもしれないからだ。
「発売日は...10月3日か...3日後...よし、友達の家でバイトをさせてもらおう！」
コマ送りでもぼやけているかもしれないようなスピードで友人に電話をした。
「あー、もしもし？」
「おお！佐藤！なんだ？」
「明日だけバイトをさせてもらいたんだが...」
「とうとう働く気か？！」
「まぁ、1日だけだが...」
「どういう風の吹き回しなんだ？」
「空のカナタが欲しいんだ」
「あの1000万のゲームか？あれはなんか疑わしいじゃねぇか」
「なぜだ？」
「クラフターゲームズとかよく知らないゲーム会社な上に1000万の大金だろ？疑う要素しかないぞ」
「...まぁ大丈夫だろ！」
「根拠は？」
「ない！(ドャ)」
「騙されても知らないぞ！」
「自己責任という日本語が...」
「お前は大学を出てんだから今回を機に仕事に就けよ！俺は高卒で働いてるんだぞ！」
「まぁ、明日よろしくな！」
「ちゃんと働けよ...」