踏み込みステップ〜友達から恋人になるのってどうしたらいいんですか?!〜

歩くの遅いひと(のきぎ)

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序章(仮)

名前呼びって照れますね

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想いの形なんてどうでもよくて、君が好きならそれでいい。どうしたってあたしは、君に恋をしたんだから。

「朝波さんっ!」
「あ、星崎さん」

夢中で駆け寄ればそこに ほまな の姿は無かった。どうやら先に帰ったみたいだ。

「せっかく仲良くなれたのに気を遣わせちゃダメでしょ」
「あ、ご、ごめん……」

「私は何も気にしてないから、玉川さんに謝っといてね」

その優しさに泣いてしまいそうになる。元はあたしの勝手な行動なのに、朝波さんは優しく背中を撫でてくれている。
その手が温かくて心地いい。

「朝波さん……ゆずは、さん」
「うん?」

「ゆ、ゆず……ゆず、は」
「どうしたの?」

「ゆずは……ゆず、は」
「なぁに、あかり」

戸惑いながら呼ぶあたしの名前をゆっくりと呼んでくれる。その声にまた、好きになった。
好きだよ、好きなの。この想いは簡単に手放したくない。

「ごめんね、気付いたら名前で呼ぶタイミングなくなっちゃって。あかり、おかえり」
「へへ、ゆずは……ただいま」

きっとあたし今、幸せな顔してる。初めての恋に焦っちゃってたけど、このままでもまだ、いいかな。
遅くなって、遠回りもしたかもしれないけど、あたしたちはようやく"友達"になれたかもしれない。

そんな幸せを噛み締めて、大好きな友達の名前をもう一度呼んでみよう。
きっと優しい笑顔で返してくれるだろうから。


「ありがとうね、ゆずは」



そう笑えば、なんか照れるねと笑って。
また名前を呼んでくれた。





「めいこ、私の中で今"エモい"という感情が湧き上がっているよ」
「生徒会室からでも口の動きで会話が読み取れるってもう怖いんですけど」

「幸せな2人を見守るためだ。必要な技術だろう」
「生徒会長にそんな技術はいらんわぁ!」
「ぅぐふ!」



遠くからガラスの割れる音がした気がすると話せば、ゆずは は何それと笑った。

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