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操作
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翌朝。
メルクのいない修行場で、ティアは一人『感知』の練習を行っていた。昨日こそ『感知』はできたが、毎日行わないとその感覚はすぐに忘れてしまう。それに自身の魔力を操作するにあたりより鋭敏にしなければならない。
彼が目を閉じ、ゆっくりと呼吸を行う。すると上腹部に暖かいものを感じ取る。魔力を感知できるようになると、うまく魔素も感知できるようになった。
今の段階では体中に少しずつ流れている。その量を増やすことが目標だ。まずは魔臓に貯蓄している魔力を流し始めた。
その瞬間。腹部の筋肉に切り裂くような痛みが走った。その影響で膨張しすぎて骨が折れそうな痛みに襲われる。結果、ティアはまたもや気絶してしまった。
遡ること昨日。
魔力の感知に成功し、次の段階に進めると喜んでいるところにメルクが補足を入れる。
「次は『操作』をやってもらいます。先ほど体内の魔力を感知できたと思いますが、感知できた魔力を操作する……すなわち、自分の好きなように動かすことが目標です。
今の段階でもティアならできると思いますが、最終的な目標は自分の必要な魔力を必要なだけ、素早く集めることが目標です」
「? 魔力を動かすってどうやるのですか?」
「魔獣があなたの村に襲撃したとき、今まで出せなかった力が急に使えたような気がしませんか? その感覚を思い出してください」
そんなことを言われ、振り返り始めるティア。確かに何度か超常的な力を使っている。
具体的には自分が敵わないと思った魔獣から逃げるとき。例の小屋を目指す時。そして、鳥の獣と闘うときの剣。
その時の感覚を思い出そうとするが、一番感覚が明確なのはあの剣を使ったときだった。なぜなら、自分のエネルギーがあの剣に吸い取られるような感覚に陥ったからだ。実際のところは強制的なものだが、あれを操作と言えなくもない。
「思い出しましたね。本来、魔力の操作というのは一定以上の魔力を持っている人でなければできないとされています。だからこそ、学校で魔法を教えるのは十歳からなんて言われています」
魔力を操作……というより感知でもそうだが、魔力が少なくては感知も操作もできない。だからこそ、年齢制限がある。体力同様魔力は年齢によって自然に増える。そこまで聞いて、ティアはなるほど、と納得するが一つ疑問を感じた。
「あれ、それだと自分は何で持っている魔力が少ないのに操作できるのですか?」
ティアの魔力が少ない。他の同年代の人よりも少ないと評されるほどなのに、どうして魔法を使えるのか。
そんな疑問にややためらいながら答えるメルク。
「それは……命の危機にさらされたからです。魔力は基本的に補助的な役割をしますが、危険を感じた時は魔力を使うようになります。ほら、火事場の馬鹿力なんて言うでしょう? そんな感じです」
無理やり使わなくてはいけない、という状況に追い込まれたときは身体が勝手に判断して魔力を使うようになっている。その場の危険を逃れることが最優先だからだ。
ただし、この現象は無理やり行っている。なぜなら本来回すべき所にエネルギーを渡さず、そのほかの能力に使っているからだ。つまり使いすぎると死に直結する。
実際、あの鳥の獣と闘ったときも魔力を使いすぎて死にかけていた。メルクが応急処置をしなければ、すぐに死んでいた。
ブルリ、と震えながらメルクの説明を聞き始めるティア。
「話を元に戻します。その魔力を操作する感覚を思い出したら、まずは全身にあなたが貯蓄している魔力すべてを循環させることから始めましょう。魔力を貯蓄したとしても、使わなければ無意味だからです。
その次にある特定の部位に魔力をためる、という感じです。この二つを一分以内にできるようになれば次の段階です」
この修行で求められていることとして、必要な分の魔力を必要なだけ溜めることだ。余分に集めすぎても、少なすぎてもいけない。どちらも出力に影響が出てしまう。
加えて、魔力を操作するときにどうしてもロスが生じる。そのロスをできる限り減らすことも修行で求められるもの。ロスを減らせば減らすほど、魔力操作は速くなる。そして速くなればすぐ次の行動に移れる。感知同様奥が深い分野である。
「そして、その修行方法ですが……断言します。これは理屈がどうたらよりも、自分の身体で練習して慣れるほかありません。
まずは小さな魔力から始めていきましょう。では、感知してください」
ティアは体内の魔力を感知しようとする。先ほどとは異なり、呼吸を行いながら目をつぶり集中すると、自分の体のどこかで魔力が集められていることが感じ取れた。それについて報告すると、
「それが魔臓です。さすが覚えが良い。では、それをちょっとずつ循環させてください。目標は体内一周ですが、最初は腰の部分でよいです」
魔力を動かす感覚を思い出し、ちょっとずつ意識すると本当に魔力が動く。まるで血液を自分で操作しているような感覚にびっくりしながらも、腰の部位まで動かし始める。
なんだ簡単じゃないか、と思ったティアはあることに気が付いた。魔力の流れる量が少なすぎる。もっと多くの魔力を動かそうとするが、何か変なものに当たりすぐ遮られる。そのため、剣の時の感覚を思い出し魔力を多く動かすように意識したその瞬間。
腰から筋肉が解離するような痛みが発した。まるで全身の肉が最大限まで動かしきった後の疲労のせいで、立っていることさえ苦しい。
急激な痛みに耐えきれず、その場で絶叫しながら倒れるのであった。
そして、時は今に戻る。再び『操作』の練習をしたわけだが、結果は昨日と同様に気絶であった。
ちなみにあの後のフィードバックとして「魔力の管に余計なものが多いようですね」「これは結構時間がかかりますよ」だとか、最終的に「いきなり多くの魔力を操作しようとしては痛むので、ちょっとずつ行うように」という風に終わった。
この世界の医療でも、ティアが持つ異世界の知識でも魔力が通る管を改善する方法は練習以外ないと結論付けている。ひたすら使用することで徐々に通りが良くなっていくため、訓練あるのみ。理屈よりも慣れが重要だというのはそういう面を考慮してのものだ。
そして今は、その衝突によって体にエネルギーが漏れたため気絶していた。そんなティアの額に軽く衝撃が与えられる。それによって目が覚めたティアの目には、不機嫌そうなサラがいた。
「そろそろ昼ご飯の時間よ。魔法の練習はいいけど、家事を忘れないで頂戴」
「ご、ごめんなさい。今すぐやり……いたたたたた!」
立ち上がろうとすると腹部が痛み始めた。立っているだけでお腹の筋肉が伸ばされるわけだが、今の筋肉痛のティアにとってはそれだけで十分に痛い。そんな姿を見たサラは呆れながら彼の腹部に服越しに手を付ける。
「あんた、懲りずに操作の練習をして魔力欠乏症に陥ったのね。全く……」
すると、彼女から魔力が流れてくる。下手に他者の魔力が入っては、自身の魔力と反応してしまうのではと危惧したティア。ところが、その予想に反して腹部の痛みが徐々に治まっていく。
「今のは……?」
「魔素をあんたの身体に入れたの。これなら拒絶反応は起きないはずだから。痛みはどう?」
「だいぶ良くなりました。ありがとうございます!」
先ほどまでは立っただけでも激痛が走っていたが、今では多少違和感を覚える程度に収まった。料理のためとはいえ、治療してくれたことに頭を下げお礼を言うティア。そんな彼にフンと鼻を鳴らすサラであった。
ちなみにその後は食事のためよ、なんて言われた。魔法師でなくとも、魔法を使う人は食にがめつい。
食卓をサラと二人きり、しかも無言で取り囲む。
メルクがいる日の場合はサラも口を開くことはあるが、ティアしかいないときは決まって黙っている。
すでに一年以上も一緒にこんな生活を送っているため、彼も慣れている。だが、なんとなく話しながら食べることが好きだったため適当な話題を振ることにした。
「そういえば、この食材ってどこから調達しているのか知っていますか?」
「……先生がこの丘の下に降りて町に行った時、食材を調達するそうよ。だからここでは取れない卵とかパンとかあるんじゃない」
この丘では食材は取れない。いや実際は食材になれそうなものはあるが、この食卓に並んでいない。ではどこからというとメルクが調達している。
「町……どんな感じだろう。やっぱり人が多いのかな」
そんなことをつぶやく。異世界知識で都市や町の風景を何となく知っているが、やはり自分の目で見たわけではないため縁遠い。
一回ぐらい町に行きたいなーなんて思っていると
「あんた、そんな町のことを気にする余裕はあるの? 操作はどうなったの?」
なんてサラから話しかけられた。話の内容も、話しかけられたこと自体もびっくりして少しどもりながら回答する。するとフン、と鼻を鳴らすサラ。
「魔法って基本的に感覚なのよ。習ったことをうまく体で再現できるかできないか。できない人はずっとできない。アンタが一度できたというなら、いずれできるんじゃないの?」
そう言い捨てながら、食後の挨拶をしてその場から去る。
ポカーンとしていたが、彼女の言葉を嚙み締めるうちになんとなく理解できた。
もしかして、励まされているのではないかと。
もっといえば、一度もサラへ操作の練習をしているとは言っていない。メルクが言ったのかもしれないが、どちらにせよ覚えている。
それだけでも驚いた。
その後も食後の片づけを行いながら、これから魔法をもっと頑張ろうという気持ちがあふれるティアであった。
それから再び教科書や専門書に手を出すティアだったが、それなりに時間をかけて出した結論は一つ。
慣れる以外に道はない。
なんせ、操作に関する記述が少ない。
難しそうなワードはあっても、結局はこの魔力管を使うことで活性化するということに違いはない。
一応感知同様イメージで省略できないか、なんて思った。
修行することはいいが、省略できるところは省略したいという主義のティア。
魔法はイメージだ。こういった地味な努力や感覚の意識なども必要だが、完成したモデルがあるなら、それを想像することで過程を飛ばせる。だからこそ、魔法は創造力の世界といわれる。
そんなティアが、ある身近なものを思いついた。それは血管と血液をモデルにしたものである。そのスタートが心臓で、ゴールも心臓とすると、魔法と似ているといえば似ている。
魔法の場合は魔臓だが、どちらにせよ循環していることには変わりない。
ならば、血管をイメージすれば魔力操作もできるのではないかと考えた。
要するに、魔力を血液と見立てて循環させるということだ。
なるほど、一見問題なさそうなイメージだが、その結果は
「ぎゃあ!」
気絶に終わっていた。
そもそもティアの血管イメージ理論には矛盾というか、突っ込みどころがある。
それは魔力管には障害があること、そして細すぎて一度に多くの魔力を回せない、という問題の解決にはつながらないという点だ。もちろん血管にもそういうところはあるだろうが、魔力管と比べればすんなり通れる。
要するに、イメージと現実のものが食い違ってしまっている。それを直せるようなイメージを作れるならまだしも、ティアには思いつかなかった。
結局、メルクが提示したやり方で行うことにしたというわけだ。異世界知識がなんにでも役に立つわけではないことを実感した。
ちなみにこれについて相談したところ、「効率は良いがティアの身体に多大な負担がかかるから禁止」とのお達しが出た。
それも当然だ、自然に広げるのではなく無理やり広げようとしているのがこの血液モデルである。そんなことをやっていては、いずれ魔力管がはじけるか身体が動かなくなるかの二択。
ティアも反発したが、「痛い目に自分から遭いたいのか」とか「修行するのはいいけど、他の人に迷惑かけない方法でやりなさい」などの心に訴える説得にあえなくやられた。自分が心配かけているということは自覚していたから強く言えないのである。
こうして、地道な練習と気絶を繰り返すことでようやく魔臓から肩ぐらいまでの魔力操作に半年、そして肩から足や手などに半年かかったわけだ。
前途多難だった。
「よしよし、第一段階はクリアですね。この一年間、よく頑張りました。では、次は魔力を素早く循環させることですね。その次は魔力を一部に溜めること。この二つも練習あるのみです」
メルクがティアの報告を笑顔で受けていた。そして、次の課題を出す。この二つの課題も最初の課題同様、練習あるのみという言葉を添えて。
ティアからすれば冗談ではなかった。こんな練習を合計二年もやっていられるかという感じだ。短気な彼からすればせっかく効率よくできる方法があるのに、自分の身体のせいでうまくできない。
そこに苛立ちを持ちながらも、地道に練習を始めるティア。自分の魔力を少しずつ早くすればするほど、方向の制御がうまくいかずぶつかってしまう。耐えられない痛みになる前に休憩をはさむことにした。
休憩中に考えていることは修行のこと。根が真面目ともいうべきか、それとも修行以外に生きがいを感じていないことに悲しむべきか。
修行のことから始まり、最終的には速く強くなりたいということで血液モデルに思考が循環した。諦めが悪い男である。だが、ここで魔力につながる思考を始めた。
なぜ血液は血管にぶつからないのか。
そもそも血管にぶつからないという考え方がおかしい。なぜなら、血液は液体だから。
じゃあ、なぜ魔力はぶつかるのか?
固体だから?
ならば、液体にして循環させれば速く回せるのでは?
そのようにアイデアを発展させたティアはすぐさま立ち上がり魔力操作に移る。今まで魔力を固体としての塊だと思っていたが、液体とみなせばすぐに循環できないかという思いつき。
そんな諦めきれない気持ちによって生まれたアイデアは……
うまくいった。
目標の一分で体内循環することを成功したのだ。
これは余談だが、血液の体内を循環する速度は一周五十秒~六十秒。偶然だが、メルクが目標に掲げた数字とこのイメージがうまく釣り合っていた。
すぐさまメルクの元に向かい二つ目の課題終了の報告をする。最初の報告からわずか数時間で次の報告に来たティアに驚きの表情を隠せなかった。
「ああ……なるほど。魔力を液体とみなす、ですか。良く知っていましたね。では次に魔力を保持することですね」
「ふっふっふ……実は、すでにイメージがあります。先生、ついてきてください!」
自信満々の笑みを浮かべながら先生の手を引っ張っていくティア。これがうまくいけばこの修行は終わりということで焦っていた。そして修行場にたどり着くと、目の前で実演を始める。
一瞬足の魔力がほとんどなくなったが、すぐにそこへ大量の魔力が集まり始める。加えて、その魔力が放出するような気配もなく貯蓄し続けている。さらに、足以外にあった魔力がどんどん減っている。
「これは……理想的な魔力配分ですね。どうやっているのですか?」
「腫れをイメージしました! 腫れは患部に血液が異常にたまることで発生します。ということは、魔力をためる際にも同じようなものが使えると思ったからです」
これが血液モデルの恩恵その二である。例の知識では腫れというのは患部が損傷したとき、体外の細菌や傷を防ぐ目的のため血液が一時的に集まる。それを魔力に応用しようと考えた。
ただ、これだけでは感覚が不足している。なぜなら、集めるためのイメージはできても、集まった状態のイメージができていないからだ。そこまでやらないと、集めたとしても放出してしまう。
そこでティアは考えた。
魔力欠乏の時は魔力を集めようとしているはずだと。つまり、魔力欠乏状態のイメージが集める感覚に該当すると。そんなこんなで成功したという塩梅である。
自分から痛みを想像するという、とんでも発想を聞いたメルクは呆れていろいろ言いたくなったわけだが、うまくいったためため息をつくことで妥協するしかなかった。
うまくいったことにはしゃぐティアだったが、徐々に違和感を覚え始める。集まりすぎなのだ。よくよく考えると、実はこれがぶっつけ本番だった。そのせいで集まった魔力の処理の仕方がわからない。
「ティア、急いでそれを筋肉に使いなさい! そして上へ飛び上がりなさい!」
「使うといっても、どうやって!?」
「昔あなたが無理やりな呼吸で走ったことがあるでしょう! その時のことを思い出して! 筋肉に魔力を渡すイメージで!」
割と無茶なことを言っているが、その指示を理解したティア。要するに、魔法で身体能力を高めていたのだから、それと似たようなことを行えばよいと。今まで身体に苦労ばかりかけた結果、経験はいろいろ豊富なティアだった。
そして高く飛び上がったのだが……その高さが尋常ではない。なんと、今まで見上げても天井が見えてこなかった大樹を遥かに超えた。
当然ながらそんな高さで落ちたら体がその衝撃に耐えきれず死ぬ。
実は体を魔力で防御すれば防げるが、今のティアにそんなことができるはずもない。ティアもメルクもその事実は理解していた。
そのため、例の空中歩行を始める。ただし、全力で行っているためその速度がとんでもない。一瞬で落下しているティアへ追いつき彼をお姫様抱っこの要領でキャッチした。
その後再び同じ要領で下へと降りていく。
地面に下りて、一息つきながらメルクは彼に声をかけるのであった。
「ふぅ……まさかあなたがあそこまで高く飛ぶとは予想外でした。体は大丈夫ですか?」
「す、すごく痛いです……しばらく歩けないかも」
「筋肉が魔力に耐えられなかったのでしょう。ついでに言えば魔力欠乏症ですね。どちらも休めば回復します。それよりも怪我がなくてよかった。治り次第、次の課題をお知らせします」
かくも操作の修行が終了した。やった!とガッツポーズしようとするが、その前に。
お姫様抱っこで、ティアの部屋にあるベッドへ運ぼうとするメルクに一声かける。
「せ、先生。魔素を注いでくれませんか?」
「……仕方ないですね。じっとしていてください」
全く締まらなかった。
メルクのいない修行場で、ティアは一人『感知』の練習を行っていた。昨日こそ『感知』はできたが、毎日行わないとその感覚はすぐに忘れてしまう。それに自身の魔力を操作するにあたりより鋭敏にしなければならない。
彼が目を閉じ、ゆっくりと呼吸を行う。すると上腹部に暖かいものを感じ取る。魔力を感知できるようになると、うまく魔素も感知できるようになった。
今の段階では体中に少しずつ流れている。その量を増やすことが目標だ。まずは魔臓に貯蓄している魔力を流し始めた。
その瞬間。腹部の筋肉に切り裂くような痛みが走った。その影響で膨張しすぎて骨が折れそうな痛みに襲われる。結果、ティアはまたもや気絶してしまった。
遡ること昨日。
魔力の感知に成功し、次の段階に進めると喜んでいるところにメルクが補足を入れる。
「次は『操作』をやってもらいます。先ほど体内の魔力を感知できたと思いますが、感知できた魔力を操作する……すなわち、自分の好きなように動かすことが目標です。
今の段階でもティアならできると思いますが、最終的な目標は自分の必要な魔力を必要なだけ、素早く集めることが目標です」
「? 魔力を動かすってどうやるのですか?」
「魔獣があなたの村に襲撃したとき、今まで出せなかった力が急に使えたような気がしませんか? その感覚を思い出してください」
そんなことを言われ、振り返り始めるティア。確かに何度か超常的な力を使っている。
具体的には自分が敵わないと思った魔獣から逃げるとき。例の小屋を目指す時。そして、鳥の獣と闘うときの剣。
その時の感覚を思い出そうとするが、一番感覚が明確なのはあの剣を使ったときだった。なぜなら、自分のエネルギーがあの剣に吸い取られるような感覚に陥ったからだ。実際のところは強制的なものだが、あれを操作と言えなくもない。
「思い出しましたね。本来、魔力の操作というのは一定以上の魔力を持っている人でなければできないとされています。だからこそ、学校で魔法を教えるのは十歳からなんて言われています」
魔力を操作……というより感知でもそうだが、魔力が少なくては感知も操作もできない。だからこそ、年齢制限がある。体力同様魔力は年齢によって自然に増える。そこまで聞いて、ティアはなるほど、と納得するが一つ疑問を感じた。
「あれ、それだと自分は何で持っている魔力が少ないのに操作できるのですか?」
ティアの魔力が少ない。他の同年代の人よりも少ないと評されるほどなのに、どうして魔法を使えるのか。
そんな疑問にややためらいながら答えるメルク。
「それは……命の危機にさらされたからです。魔力は基本的に補助的な役割をしますが、危険を感じた時は魔力を使うようになります。ほら、火事場の馬鹿力なんて言うでしょう? そんな感じです」
無理やり使わなくてはいけない、という状況に追い込まれたときは身体が勝手に判断して魔力を使うようになっている。その場の危険を逃れることが最優先だからだ。
ただし、この現象は無理やり行っている。なぜなら本来回すべき所にエネルギーを渡さず、そのほかの能力に使っているからだ。つまり使いすぎると死に直結する。
実際、あの鳥の獣と闘ったときも魔力を使いすぎて死にかけていた。メルクが応急処置をしなければ、すぐに死んでいた。
ブルリ、と震えながらメルクの説明を聞き始めるティア。
「話を元に戻します。その魔力を操作する感覚を思い出したら、まずは全身にあなたが貯蓄している魔力すべてを循環させることから始めましょう。魔力を貯蓄したとしても、使わなければ無意味だからです。
その次にある特定の部位に魔力をためる、という感じです。この二つを一分以内にできるようになれば次の段階です」
この修行で求められていることとして、必要な分の魔力を必要なだけ溜めることだ。余分に集めすぎても、少なすぎてもいけない。どちらも出力に影響が出てしまう。
加えて、魔力を操作するときにどうしてもロスが生じる。そのロスをできる限り減らすことも修行で求められるもの。ロスを減らせば減らすほど、魔力操作は速くなる。そして速くなればすぐ次の行動に移れる。感知同様奥が深い分野である。
「そして、その修行方法ですが……断言します。これは理屈がどうたらよりも、自分の身体で練習して慣れるほかありません。
まずは小さな魔力から始めていきましょう。では、感知してください」
ティアは体内の魔力を感知しようとする。先ほどとは異なり、呼吸を行いながら目をつぶり集中すると、自分の体のどこかで魔力が集められていることが感じ取れた。それについて報告すると、
「それが魔臓です。さすが覚えが良い。では、それをちょっとずつ循環させてください。目標は体内一周ですが、最初は腰の部分でよいです」
魔力を動かす感覚を思い出し、ちょっとずつ意識すると本当に魔力が動く。まるで血液を自分で操作しているような感覚にびっくりしながらも、腰の部位まで動かし始める。
なんだ簡単じゃないか、と思ったティアはあることに気が付いた。魔力の流れる量が少なすぎる。もっと多くの魔力を動かそうとするが、何か変なものに当たりすぐ遮られる。そのため、剣の時の感覚を思い出し魔力を多く動かすように意識したその瞬間。
腰から筋肉が解離するような痛みが発した。まるで全身の肉が最大限まで動かしきった後の疲労のせいで、立っていることさえ苦しい。
急激な痛みに耐えきれず、その場で絶叫しながら倒れるのであった。
そして、時は今に戻る。再び『操作』の練習をしたわけだが、結果は昨日と同様に気絶であった。
ちなみにあの後のフィードバックとして「魔力の管に余計なものが多いようですね」「これは結構時間がかかりますよ」だとか、最終的に「いきなり多くの魔力を操作しようとしては痛むので、ちょっとずつ行うように」という風に終わった。
この世界の医療でも、ティアが持つ異世界の知識でも魔力が通る管を改善する方法は練習以外ないと結論付けている。ひたすら使用することで徐々に通りが良くなっていくため、訓練あるのみ。理屈よりも慣れが重要だというのはそういう面を考慮してのものだ。
そして今は、その衝突によって体にエネルギーが漏れたため気絶していた。そんなティアの額に軽く衝撃が与えられる。それによって目が覚めたティアの目には、不機嫌そうなサラがいた。
「そろそろ昼ご飯の時間よ。魔法の練習はいいけど、家事を忘れないで頂戴」
「ご、ごめんなさい。今すぐやり……いたたたたた!」
立ち上がろうとすると腹部が痛み始めた。立っているだけでお腹の筋肉が伸ばされるわけだが、今の筋肉痛のティアにとってはそれだけで十分に痛い。そんな姿を見たサラは呆れながら彼の腹部に服越しに手を付ける。
「あんた、懲りずに操作の練習をして魔力欠乏症に陥ったのね。全く……」
すると、彼女から魔力が流れてくる。下手に他者の魔力が入っては、自身の魔力と反応してしまうのではと危惧したティア。ところが、その予想に反して腹部の痛みが徐々に治まっていく。
「今のは……?」
「魔素をあんたの身体に入れたの。これなら拒絶反応は起きないはずだから。痛みはどう?」
「だいぶ良くなりました。ありがとうございます!」
先ほどまでは立っただけでも激痛が走っていたが、今では多少違和感を覚える程度に収まった。料理のためとはいえ、治療してくれたことに頭を下げお礼を言うティア。そんな彼にフンと鼻を鳴らすサラであった。
ちなみにその後は食事のためよ、なんて言われた。魔法師でなくとも、魔法を使う人は食にがめつい。
食卓をサラと二人きり、しかも無言で取り囲む。
メルクがいる日の場合はサラも口を開くことはあるが、ティアしかいないときは決まって黙っている。
すでに一年以上も一緒にこんな生活を送っているため、彼も慣れている。だが、なんとなく話しながら食べることが好きだったため適当な話題を振ることにした。
「そういえば、この食材ってどこから調達しているのか知っていますか?」
「……先生がこの丘の下に降りて町に行った時、食材を調達するそうよ。だからここでは取れない卵とかパンとかあるんじゃない」
この丘では食材は取れない。いや実際は食材になれそうなものはあるが、この食卓に並んでいない。ではどこからというとメルクが調達している。
「町……どんな感じだろう。やっぱり人が多いのかな」
そんなことをつぶやく。異世界知識で都市や町の風景を何となく知っているが、やはり自分の目で見たわけではないため縁遠い。
一回ぐらい町に行きたいなーなんて思っていると
「あんた、そんな町のことを気にする余裕はあるの? 操作はどうなったの?」
なんてサラから話しかけられた。話の内容も、話しかけられたこと自体もびっくりして少しどもりながら回答する。するとフン、と鼻を鳴らすサラ。
「魔法って基本的に感覚なのよ。習ったことをうまく体で再現できるかできないか。できない人はずっとできない。アンタが一度できたというなら、いずれできるんじゃないの?」
そう言い捨てながら、食後の挨拶をしてその場から去る。
ポカーンとしていたが、彼女の言葉を嚙み締めるうちになんとなく理解できた。
もしかして、励まされているのではないかと。
もっといえば、一度もサラへ操作の練習をしているとは言っていない。メルクが言ったのかもしれないが、どちらにせよ覚えている。
それだけでも驚いた。
その後も食後の片づけを行いながら、これから魔法をもっと頑張ろうという気持ちがあふれるティアであった。
それから再び教科書や専門書に手を出すティアだったが、それなりに時間をかけて出した結論は一つ。
慣れる以外に道はない。
なんせ、操作に関する記述が少ない。
難しそうなワードはあっても、結局はこの魔力管を使うことで活性化するということに違いはない。
一応感知同様イメージで省略できないか、なんて思った。
修行することはいいが、省略できるところは省略したいという主義のティア。
魔法はイメージだ。こういった地味な努力や感覚の意識なども必要だが、完成したモデルがあるなら、それを想像することで過程を飛ばせる。だからこそ、魔法は創造力の世界といわれる。
そんなティアが、ある身近なものを思いついた。それは血管と血液をモデルにしたものである。そのスタートが心臓で、ゴールも心臓とすると、魔法と似ているといえば似ている。
魔法の場合は魔臓だが、どちらにせよ循環していることには変わりない。
ならば、血管をイメージすれば魔力操作もできるのではないかと考えた。
要するに、魔力を血液と見立てて循環させるということだ。
なるほど、一見問題なさそうなイメージだが、その結果は
「ぎゃあ!」
気絶に終わっていた。
そもそもティアの血管イメージ理論には矛盾というか、突っ込みどころがある。
それは魔力管には障害があること、そして細すぎて一度に多くの魔力を回せない、という問題の解決にはつながらないという点だ。もちろん血管にもそういうところはあるだろうが、魔力管と比べればすんなり通れる。
要するに、イメージと現実のものが食い違ってしまっている。それを直せるようなイメージを作れるならまだしも、ティアには思いつかなかった。
結局、メルクが提示したやり方で行うことにしたというわけだ。異世界知識がなんにでも役に立つわけではないことを実感した。
ちなみにこれについて相談したところ、「効率は良いがティアの身体に多大な負担がかかるから禁止」とのお達しが出た。
それも当然だ、自然に広げるのではなく無理やり広げようとしているのがこの血液モデルである。そんなことをやっていては、いずれ魔力管がはじけるか身体が動かなくなるかの二択。
ティアも反発したが、「痛い目に自分から遭いたいのか」とか「修行するのはいいけど、他の人に迷惑かけない方法でやりなさい」などの心に訴える説得にあえなくやられた。自分が心配かけているということは自覚していたから強く言えないのである。
こうして、地道な練習と気絶を繰り返すことでようやく魔臓から肩ぐらいまでの魔力操作に半年、そして肩から足や手などに半年かかったわけだ。
前途多難だった。
「よしよし、第一段階はクリアですね。この一年間、よく頑張りました。では、次は魔力を素早く循環させることですね。その次は魔力を一部に溜めること。この二つも練習あるのみです」
メルクがティアの報告を笑顔で受けていた。そして、次の課題を出す。この二つの課題も最初の課題同様、練習あるのみという言葉を添えて。
ティアからすれば冗談ではなかった。こんな練習を合計二年もやっていられるかという感じだ。短気な彼からすればせっかく効率よくできる方法があるのに、自分の身体のせいでうまくできない。
そこに苛立ちを持ちながらも、地道に練習を始めるティア。自分の魔力を少しずつ早くすればするほど、方向の制御がうまくいかずぶつかってしまう。耐えられない痛みになる前に休憩をはさむことにした。
休憩中に考えていることは修行のこと。根が真面目ともいうべきか、それとも修行以外に生きがいを感じていないことに悲しむべきか。
修行のことから始まり、最終的には速く強くなりたいということで血液モデルに思考が循環した。諦めが悪い男である。だが、ここで魔力につながる思考を始めた。
なぜ血液は血管にぶつからないのか。
そもそも血管にぶつからないという考え方がおかしい。なぜなら、血液は液体だから。
じゃあ、なぜ魔力はぶつかるのか?
固体だから?
ならば、液体にして循環させれば速く回せるのでは?
そのようにアイデアを発展させたティアはすぐさま立ち上がり魔力操作に移る。今まで魔力を固体としての塊だと思っていたが、液体とみなせばすぐに循環できないかという思いつき。
そんな諦めきれない気持ちによって生まれたアイデアは……
うまくいった。
目標の一分で体内循環することを成功したのだ。
これは余談だが、血液の体内を循環する速度は一周五十秒~六十秒。偶然だが、メルクが目標に掲げた数字とこのイメージがうまく釣り合っていた。
すぐさまメルクの元に向かい二つ目の課題終了の報告をする。最初の報告からわずか数時間で次の報告に来たティアに驚きの表情を隠せなかった。
「ああ……なるほど。魔力を液体とみなす、ですか。良く知っていましたね。では次に魔力を保持することですね」
「ふっふっふ……実は、すでにイメージがあります。先生、ついてきてください!」
自信満々の笑みを浮かべながら先生の手を引っ張っていくティア。これがうまくいけばこの修行は終わりということで焦っていた。そして修行場にたどり着くと、目の前で実演を始める。
一瞬足の魔力がほとんどなくなったが、すぐにそこへ大量の魔力が集まり始める。加えて、その魔力が放出するような気配もなく貯蓄し続けている。さらに、足以外にあった魔力がどんどん減っている。
「これは……理想的な魔力配分ですね。どうやっているのですか?」
「腫れをイメージしました! 腫れは患部に血液が異常にたまることで発生します。ということは、魔力をためる際にも同じようなものが使えると思ったからです」
これが血液モデルの恩恵その二である。例の知識では腫れというのは患部が損傷したとき、体外の細菌や傷を防ぐ目的のため血液が一時的に集まる。それを魔力に応用しようと考えた。
ただ、これだけでは感覚が不足している。なぜなら、集めるためのイメージはできても、集まった状態のイメージができていないからだ。そこまでやらないと、集めたとしても放出してしまう。
そこでティアは考えた。
魔力欠乏の時は魔力を集めようとしているはずだと。つまり、魔力欠乏状態のイメージが集める感覚に該当すると。そんなこんなで成功したという塩梅である。
自分から痛みを想像するという、とんでも発想を聞いたメルクは呆れていろいろ言いたくなったわけだが、うまくいったためため息をつくことで妥協するしかなかった。
うまくいったことにはしゃぐティアだったが、徐々に違和感を覚え始める。集まりすぎなのだ。よくよく考えると、実はこれがぶっつけ本番だった。そのせいで集まった魔力の処理の仕方がわからない。
「ティア、急いでそれを筋肉に使いなさい! そして上へ飛び上がりなさい!」
「使うといっても、どうやって!?」
「昔あなたが無理やりな呼吸で走ったことがあるでしょう! その時のことを思い出して! 筋肉に魔力を渡すイメージで!」
割と無茶なことを言っているが、その指示を理解したティア。要するに、魔法で身体能力を高めていたのだから、それと似たようなことを行えばよいと。今まで身体に苦労ばかりかけた結果、経験はいろいろ豊富なティアだった。
そして高く飛び上がったのだが……その高さが尋常ではない。なんと、今まで見上げても天井が見えてこなかった大樹を遥かに超えた。
当然ながらそんな高さで落ちたら体がその衝撃に耐えきれず死ぬ。
実は体を魔力で防御すれば防げるが、今のティアにそんなことができるはずもない。ティアもメルクもその事実は理解していた。
そのため、例の空中歩行を始める。ただし、全力で行っているためその速度がとんでもない。一瞬で落下しているティアへ追いつき彼をお姫様抱っこの要領でキャッチした。
その後再び同じ要領で下へと降りていく。
地面に下りて、一息つきながらメルクは彼に声をかけるのであった。
「ふぅ……まさかあなたがあそこまで高く飛ぶとは予想外でした。体は大丈夫ですか?」
「す、すごく痛いです……しばらく歩けないかも」
「筋肉が魔力に耐えられなかったのでしょう。ついでに言えば魔力欠乏症ですね。どちらも休めば回復します。それよりも怪我がなくてよかった。治り次第、次の課題をお知らせします」
かくも操作の修行が終了した。やった!とガッツポーズしようとするが、その前に。
お姫様抱っこで、ティアの部屋にあるベッドへ運ぼうとするメルクに一声かける。
「せ、先生。魔素を注いでくれませんか?」
「……仕方ないですね。じっとしていてください」
全く締まらなかった。
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