24 / 27
褻
しおりを挟む
まだ眠っている恋人の頭を撫でる。
ふわふわした長い金髪。
「いってきます」と、小声で言って出勤する。
私の彼氏は、いわゆるヒモだ。それでも私は構わなかった。
だって、私のことを愛してくれてるし。それって凄く嬉しいことだ。
あなたがいるから、私は生きていける。
そんな日々を送っていたある日。
「ちょっとアンタ」
「はい?」
買い物中に、見知らぬ女性に話しかけられた。
「アンタ、慧ちゃんの女?」
「はい、まあ」
「っ!」
え?
私は、一瞬何をされたのか分からなかったけど、数秒して平手打ちされたのだと分かる。じん、と頬が痛んだ。
「なんでアンタみたいな女が、慧ちゃんの恋人なんだよ?!」
「あなたこそ、なんなの?!」
「アタシの方が、慧ちゃんにはふさわしいんだよ! ブス!」
「なっ!」
なんだコイツ。話が通じそうにない。
私は、彼女をなんとか撒いて、帰宅した。
「おかえり~」
「慧ちゃん!」
私は、思わず彼に飛び付く。
「どうしたの?」と、心配そうな声。
「変な女にビンタされて、ブスって言われたぁ! 慧ちゃんのこと狙ってるみたいだった!」
「怖~。君の綺麗な顔に酷いことすんね」
「慧ちゃーん……!」
「よしよし」
慧ちゃんは、優しく頭を撫でてくれた。
「ん~。心当たりあるから、釘刺しとくよ」
「うん。ありがとう」
私の彼氏は、交友関係が広い。きっと、彼に片想いしてる人は多いんだろう。
慧ちゃんに話したおかげで、だいぶ落ち着いた。夕飯を作ろう。
「慧ちゃん、今日はブラウンシチューだよ」
「美味しそう!」
「待っててね」
「うん!」
慧ちゃんは、コタツに入ってスマホで何かしてる。“心当たり”に連絡してるのかな。
その後。一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、眠った。
翌朝。起きると、いつもは隣で寝てるはずの慧ちゃんがいない。
「慧ちゃん……?」
スマホを見ると、『ちょっと出かける』とメッセージがきていた。
仕方なく、ひとりで朝の支度をして、出勤する。
少し会えないだけで、こんなにも寂しい。慧ちゃんがいないと、私はダメだ。
仕事をしながら、私はずっと慧ちゃんのことを考えてる。
退勤してから、買い出しをして帰宅すると。
「おかえり~」
「ただいま」
いつもの笑顔で慧ちゃんがいた。
「会いたかったよぉ!」
「オレも」
慧ちゃんは、私を抱き締めてくれる。
つけっぱなしのテレビからは、身元不明の遺体が発見されたというニュースが流れていた。
「今日のご飯は何?」
「塩焼きそばだよ」
「わーい。楽しみ~」
あなたの笑顔が、私は大好き。
ふわふわした長い金髪。
「いってきます」と、小声で言って出勤する。
私の彼氏は、いわゆるヒモだ。それでも私は構わなかった。
だって、私のことを愛してくれてるし。それって凄く嬉しいことだ。
あなたがいるから、私は生きていける。
そんな日々を送っていたある日。
「ちょっとアンタ」
「はい?」
買い物中に、見知らぬ女性に話しかけられた。
「アンタ、慧ちゃんの女?」
「はい、まあ」
「っ!」
え?
私は、一瞬何をされたのか分からなかったけど、数秒して平手打ちされたのだと分かる。じん、と頬が痛んだ。
「なんでアンタみたいな女が、慧ちゃんの恋人なんだよ?!」
「あなたこそ、なんなの?!」
「アタシの方が、慧ちゃんにはふさわしいんだよ! ブス!」
「なっ!」
なんだコイツ。話が通じそうにない。
私は、彼女をなんとか撒いて、帰宅した。
「おかえり~」
「慧ちゃん!」
私は、思わず彼に飛び付く。
「どうしたの?」と、心配そうな声。
「変な女にビンタされて、ブスって言われたぁ! 慧ちゃんのこと狙ってるみたいだった!」
「怖~。君の綺麗な顔に酷いことすんね」
「慧ちゃーん……!」
「よしよし」
慧ちゃんは、優しく頭を撫でてくれた。
「ん~。心当たりあるから、釘刺しとくよ」
「うん。ありがとう」
私の彼氏は、交友関係が広い。きっと、彼に片想いしてる人は多いんだろう。
慧ちゃんに話したおかげで、だいぶ落ち着いた。夕飯を作ろう。
「慧ちゃん、今日はブラウンシチューだよ」
「美味しそう!」
「待っててね」
「うん!」
慧ちゃんは、コタツに入ってスマホで何かしてる。“心当たり”に連絡してるのかな。
その後。一緒にご飯を食べて、お風呂に入って、眠った。
翌朝。起きると、いつもは隣で寝てるはずの慧ちゃんがいない。
「慧ちゃん……?」
スマホを見ると、『ちょっと出かける』とメッセージがきていた。
仕方なく、ひとりで朝の支度をして、出勤する。
少し会えないだけで、こんなにも寂しい。慧ちゃんがいないと、私はダメだ。
仕事をしながら、私はずっと慧ちゃんのことを考えてる。
退勤してから、買い出しをして帰宅すると。
「おかえり~」
「ただいま」
いつもの笑顔で慧ちゃんがいた。
「会いたかったよぉ!」
「オレも」
慧ちゃんは、私を抱き締めてくれる。
つけっぱなしのテレビからは、身元不明の遺体が発見されたというニュースが流れていた。
「今日のご飯は何?」
「塩焼きそばだよ」
「わーい。楽しみ~」
あなたの笑顔が、私は大好き。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
お昼寝カフェ【BAKU】へようこそ!~夢喰いバクと社畜は美少女アイドルの悪夢を見る~
保月ミヒル
キャラ文芸
人生諦め気味のアラサー営業マン・遠原昭博は、ある日不思議なお昼寝カフェに迷い混む。
迎えてくれたのは、眼鏡をかけた独特の雰囲気の青年――カフェの店長・夢見獏だった。
ゆるふわおっとりなその青年の正体は、なんと悪夢を食べる妖怪のバクだった。
昭博はひょんなことから夢見とダッグを組むことになり、客として来店した人気アイドルの悪夢の中に入ることに……!?
夢という誰にも見せない空間の中で、人々は悩み、試練に立ち向かい、成長する。
ハートフルサイコダイブコメディです。
(完結)貴方から解放してくださいー私はもう疲れました(全4話)
青空一夏
恋愛
私はローワン伯爵家の一人娘クララ。私には大好きな男性がいるの。それはイーサン・ドミニク。侯爵家の子息である彼と私は相思相愛だと信じていた。
だって、私のお誕生日には私の瞳色のジャボ(今のネクタイのようなもの)をして参加してくれて、別れ際にキスまでしてくれたから。
けれど、翌日「僕の手紙を君の親友ダーシィに渡してくれないか?」と、唐突に言われた。意味がわからない。愛されていると信じていたからだ。
「なぜですか?」
「うん、実のところ私が本当に愛しているのはダーシィなんだ」
イーサン様は私の心をかき乱す。なぜ、私はこれほどにふりまわすの?
これは大好きな男性に心をかき乱された女性が悩んで・・・・・・結果、幸せになったお話しです。(元さやではない)
因果応報的ざまぁ。主人公がなにかを仕掛けるわけではありません。中世ヨーロッパ風世界で、現代的表現や機器がでてくるかもしれない異世界のお話しです。ご都合主義です。タグ修正、追加の可能性あり。
よんよんまる
如月芳美
キャラ文芸
東のプリンス・大路詩音。西のウルフ・大神響。
音楽界に燦然と輝く若きピアニストと作曲家。
見た目爽やか王子様(実は負けず嫌い)と、
クールなヴィジュアルの一匹狼(実は超弱気)、
イメージ正反対(中身も正反対)の二人で構成するユニット『よんよんまる』。
だが、これからという時に、二人の前にある男が現われる。
お互いやっと見つけた『欠けたピース』を手放さなければならないのか。
※作中に登場する団体、ホール、店、コンペなどは、全て架空のものです。
※音楽モノではありますが、音楽はただのスパイスでしかないので音楽知らない人でも大丈夫です!
(医者でもないのに医療モノのドラマを見て理解するのと同じ感覚です)
オレは視えてるだけですが⁉~訳ありバーテンダーは霊感パティシエを飼い慣らしたい
凍星
キャラ文芸
幽霊が視えてしまうパティシエ、葉室尊。できるだけ周りに迷惑をかけずに静かに生きていきたい……そんな風に思っていたのに⁉ バーテンダーの霊能者、久我蒼真に出逢ったことで、どういう訳か、霊能力のある人達に色々絡まれる日常に突入⁉「オレは視えてるだけだって言ってるのに、なんでこうなるの??」霊感のある主人公と、彼の秘密を暴きたい男の駆け引きと絆を描きます。BL要素あり。


甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

羅刹の花嫁 〜帝都、鬼神討伐異聞〜
長月京子
キャラ文芸
自分と目をあわせると、何か良くないことがおきる。
幼い頃からの不吉な体験で、葛葉はそんな不安を抱えていた。
時は明治。
異形が跋扈する帝都。
洋館では晴れやかな婚約披露が開かれていた。
侯爵令嬢と婚約するはずの可畏(かい)は、招待客である葛葉を見つけると、なぜかこう宣言する。
「私の花嫁は彼女だ」と。
幼い頃からの不吉な体験ともつながる、葛葉のもつ特別な異能。
その力を欲して、可畏(かい)は葛葉を仮初の花嫁として事件に同行させる。
文明開化により、華やかに変化した帝都。
頻出する異形がもたらす、怪事件のたどり着く先には?
人と妖、異能と異形、怪異と思惑が錯綜する和風ファンタジー。
(※絵を描くのも好きなので表紙も自作しております)
第7回ホラー・ミステリー小説大賞で奨励賞をいただきました。
ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる