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第一章
8.それでは″片付け″に行ってまいります。
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「っくし!」
『おや、大丈夫ですか?緋李』
「はい、大丈夫です」
嘆願書に書かれていた住所に緋李達が来てみれば、築数十年になろうかというアパートが建っており、その中で明らかに一部屋だけ他の部屋からは感じられない澱んだ空気を放っていた。
「これは…何とも澱んだ空気ですね」
『そうですねー。これでもかとばかりに澱んでいますねぇ。いやはや、見えない、感じないとは幸せな事ですね』
『いや晴明様、祓う力もないのに逆に見えたら見えたで面倒なので一般人にとってはそれでいいじゃないですか』
『クロの言う通りじゃ、晴明殿。我らにとっては中途半端に力を持たれるより、見えない、感じない方が好都合じゃ』
『それもそうですね』
緋李達がそうやって建物を観察していると一階の一部屋から男性が出てきて、緋李達の方へと真っ直ぐ歩いてくる。緋李達の元へと辿り着くと緋李をジロジロと見て、晴明や沙羅、黒鋼が見えていないのか緋李に話し掛けている。
「貴女が今回、私が依頼した所の方ですか?」
「はい。私が今回貴方が依頼された件を担当します、安倍緋李と申します。それでは貴方が反田さんですね」
「はい、そうです。…その、大変申し上にくいんですが、ちゃんと、祓えるんですか?」
「えぇ、祓えますよ。我が家は代々高校生になったら依頼を手伝う事になっているので、こうして一人で任されるのはちゃんと認められた証ですので安心して下さい」
そんな会話から始まったやりとりに、緋李の後ろにいた沙羅と黒鋼はムッとしながら黙っている。それを見ておかしそうに喉の奥で笑う晴明も何も言わない。
そんな二匹と一人に気づかないまま反田は緋李と会話を続ける。
反田は別に緋李の後ろにいる二匹と一人を無視しているのではなく、視えていないだけだ。
霊感の有無で彼らが視える者ももちろんいるが、視えていても薄ぼんやりとしか視えないだろう。それは二匹と一人が意識して視えないようにしているからだ。
そして、いくら姿が見えなくても声だけは隠せないので、文句が言いたくても言えないため黙っているしかないのだ。
「それでは早速ですが、部屋のカギを開けてもらっても構いませんか?」
「あ、はい。ではこちらへ」
「それとなんですが、カギを開けてもらった後は一人にしてもらえますか?その方が集中出来るので」
「…もちろんいいですが。ここが依頼した部屋です」
ガチャッ
『オォォォ』
『キャー』
『助けて、助けて』
ドアを開けた瞬間沢山の負の感情の想いが緋李達を襲ったが、緋李達は眉を顰めただけに留まらせたが、反田は薄気味悪そうにするだけで特に反応を示さなかった。
「…これは。質問なんですが、反田さんは毎日この部屋に訪れたりしているんですか?」
「はい、一応空気の入れ替えとかしないと行けないので、毎日来ていますよ?どうかしましたか?」
「そうですか。いえ、人がいない割に綺麗だなと思っただけなので。ちょっと大変そうですけど、まぁ、そんなに時間は掛からないと思いますので、予定通り一人にしてもらえますか?終わったら呼びに行きますので」
「え、えぇ、それではよろしくお願いします」
緋李の問いに少しオドオドとしていたが、しっかり答えた反田は伺うように緋李を見る。緋李はそれに笑顔で何でもないと応えて反田を部屋から出るよう促す。
反田も逆らわずに部屋から出ると自室に戻ると言って一階へと階段を降りていく。反田が自室に入るまで見送った緋李は長く息を吐いてから室内振り返る。
そこには何かに引き寄せられたのか沢山の霊達がいた。
それらは緋李達が何なのか分かっているのかすがりつく様な目をして周りに集まってくる。すかさず沙羅と黒鋼が間に入って結界を築く。
二匹がそうしている間に緋李は室内を観察する。
そしてその中で一人だけ緋李には見向きもしないで奥の壁際でこちらに背を向けている髪の長い女がいた。
見た感じでは悪い気はしないので緋李は静かに話しかける。
「…こんにちは。何か、御用ですか?」
『…ここから出して欲しいの』
「そう、出して上げた後はどうすれば良いんですか?」
『…家族の所に私の身体を連れていって欲しい』
ここから出して欲しいと、身体を、遺体を家族の元に運んで欲しいと女は言うが、その肝心の遺体が部屋の中には見当たらない。
緋李が半ば確信しながら遺体の場所を女に聞くと壁を指して「この中」だと言う。これに頷いた緋李は慎重に言葉を選びながら再度女に話し掛ける。
「…残念だけど、貴女の遺体を私はそこから出してあげられないの」
『っ!嫌よ!ここから、ここから出して!!私を家族の所に返してよ!』
「そうですよね。帰りたいですよね。だから、もう少しだけ私の話を聞いて下さい」
『…分かったわ』
「ありがとうございます。私は今日ここの大家さんからこの部屋の浄化を依頼されて来ました。つまり、一般的に言うお祓いですね。ですが、貴女は家族の元に帰りたいと言う。そこでですが、交換条件としましょう」
『…交換条件?』
緋李の交換条件という言葉に女は警戒するように緋李を見る。それに緋李はニッコリと笑い返す。
「はい。条件として貴女がそうなった時の状況を後で呼ぶ人に話してください。そうすれば、貴女以外の方を祓った後に貴女は家族の元に返してあげます。どうでしょうか?悪い条件ではありませんよね?もちろん覚えている範囲で結構ですので」
『…やる。それならバッチリ覚えているいるもの』
「それでは、交渉成立です。では、まずは貴女以外の方にはここから出てもらうので、誤って一緒に祓わないように貴女はこちらの陣に入っていただきます。それからーー」
交渉が上手くいったことにホッとしたのもつかの間で、緋李はすぐに浄化のための準備を進め、徐々に部屋の中に集まっていた霊を黄泉の世界へと送っていく。
ーー数十分後
「本当に緋李ちゃんの時だけ遺体が出てくる依頼多いよね。ウチの神様は何してるんだか」
「フフフ、別にこれだけではありませんよ?普通の浄化の依頼もあれば失せ物探しの依頼もありますし、別に問題はないと思いますよ?…ところで、彼女はご家族の元に返してあげられそうですか?」
きちんと遺体のある女以外を祓った後、遺体の場所を聞けばやはり壁の中に埋められているとのことで、急いで大家である反田と警察を呼んだのだ。
先ほど緋李が親しげに話していた女性は綾野 秋葉といい、旧姓は安倍秋葉だ。緋李の義父、康頼の妹で緋李にとっては義叔母にあたる。
一族の中にもやはり適正テストで式神を呼べずに落ちてしまう者は数年に一、二回は出てくる。
他家ではそのような事があれば、阿鼻叫喚ものだろうが安倍家では適正テストに落ちても「あ、そうなんですか?それで、ここを受験したいんですけど」とあっさりとした反応を返して、一族以外の者を驚かせる。
それもその筈で、安倍家では本家だろうが分家であろうが教育方針は一貫して「何が起きても次の手を考えて一族に有利に進める」で、適正テストで合格を出すのがゴールではなく、あくまで適正テストは通過点。もしも受からなかった場合は将来の職業で安倍家をサポート、貢献する事を教えられる。
それ故にか適正テストに落ちた者は大雑把に警察、医師、弁護士などの科学で証明できない現象を隠す職業を選ぶ者が多い。
そうやって早い段階から将来について考えていたからか天性のものだったのか、それぞれの業界では同じような考えの他家に比べてそれなりの地位に安倍家の者が多い。
そういう訳で、今回の緋李の依頼のように殺人が関わっているものは警察にいる一族の者に連絡を取り、手が空いている者が担当になる様にしているのだが、今回は手が空いているのが綾野だけだったらしい。
「あぁ、それは問題ないかな?記録の中に残っていたし。何より、本人がいるしね。あとはこっちで対処するから心配しないで。協力ありがとうございました!」
「いえ、こちらこそ来ていただいてありがとうございました。では、私はこれで失礼しますね。何かあればいつも通りお願いします」
「はい、分かりました。長く引き止めちゃってゴメンね。この時間だとウチご飯の時間でしょ?大丈夫?家まで送ろうか?」
「フフ、沙羅がいるので大丈夫ですよ。あ、何かお義父様に伝言はありますか?」
新人の聴衆が下手すぎて先ほど怒鳴っていた綾野がしきりに謝ってくるので、緋李はおかしそうに笑いながらも沙羅の存在を綾野に思い出させる。
それにあぁ、と思い出した綾野はホッと息をつくと兄に伝言と聞いて「じゃあ」と緋李に伝言を託す。
「兄さんに今度の休みに行くからってだけ伝えてくれるかな?休みが分かったらメールするし」
「分かりました。ちゃんと伝えますね。それでは失礼します」
「はーい、気をつけてね!皆にもよろしくね~」
緋李は綾野に再度礼をすると、腕に黒鋼を抱き上げて急いで人気のない方へと向かい獣化した沙羅の背に跨って、本社に戻ると言う晴明と別れて帰路を急ぐ。
数日後、休みに本家に遊びに来ていた綾野に部下を紹介される事をまだ緋李は知らない。
『おや、大丈夫ですか?緋李』
「はい、大丈夫です」
嘆願書に書かれていた住所に緋李達が来てみれば、築数十年になろうかというアパートが建っており、その中で明らかに一部屋だけ他の部屋からは感じられない澱んだ空気を放っていた。
「これは…何とも澱んだ空気ですね」
『そうですねー。これでもかとばかりに澱んでいますねぇ。いやはや、見えない、感じないとは幸せな事ですね』
『いや晴明様、祓う力もないのに逆に見えたら見えたで面倒なので一般人にとってはそれでいいじゃないですか』
『クロの言う通りじゃ、晴明殿。我らにとっては中途半端に力を持たれるより、見えない、感じない方が好都合じゃ』
『それもそうですね』
緋李達がそうやって建物を観察していると一階の一部屋から男性が出てきて、緋李達の方へと真っ直ぐ歩いてくる。緋李達の元へと辿り着くと緋李をジロジロと見て、晴明や沙羅、黒鋼が見えていないのか緋李に話し掛けている。
「貴女が今回、私が依頼した所の方ですか?」
「はい。私が今回貴方が依頼された件を担当します、安倍緋李と申します。それでは貴方が反田さんですね」
「はい、そうです。…その、大変申し上にくいんですが、ちゃんと、祓えるんですか?」
「えぇ、祓えますよ。我が家は代々高校生になったら依頼を手伝う事になっているので、こうして一人で任されるのはちゃんと認められた証ですので安心して下さい」
そんな会話から始まったやりとりに、緋李の後ろにいた沙羅と黒鋼はムッとしながら黙っている。それを見ておかしそうに喉の奥で笑う晴明も何も言わない。
そんな二匹と一人に気づかないまま反田は緋李と会話を続ける。
反田は別に緋李の後ろにいる二匹と一人を無視しているのではなく、視えていないだけだ。
霊感の有無で彼らが視える者ももちろんいるが、視えていても薄ぼんやりとしか視えないだろう。それは二匹と一人が意識して視えないようにしているからだ。
そして、いくら姿が見えなくても声だけは隠せないので、文句が言いたくても言えないため黙っているしかないのだ。
「それでは早速ですが、部屋のカギを開けてもらっても構いませんか?」
「あ、はい。ではこちらへ」
「それとなんですが、カギを開けてもらった後は一人にしてもらえますか?その方が集中出来るので」
「…もちろんいいですが。ここが依頼した部屋です」
ガチャッ
『オォォォ』
『キャー』
『助けて、助けて』
ドアを開けた瞬間沢山の負の感情の想いが緋李達を襲ったが、緋李達は眉を顰めただけに留まらせたが、反田は薄気味悪そうにするだけで特に反応を示さなかった。
「…これは。質問なんですが、反田さんは毎日この部屋に訪れたりしているんですか?」
「はい、一応空気の入れ替えとかしないと行けないので、毎日来ていますよ?どうかしましたか?」
「そうですか。いえ、人がいない割に綺麗だなと思っただけなので。ちょっと大変そうですけど、まぁ、そんなに時間は掛からないと思いますので、予定通り一人にしてもらえますか?終わったら呼びに行きますので」
「え、えぇ、それではよろしくお願いします」
緋李の問いに少しオドオドとしていたが、しっかり答えた反田は伺うように緋李を見る。緋李はそれに笑顔で何でもないと応えて反田を部屋から出るよう促す。
反田も逆らわずに部屋から出ると自室に戻ると言って一階へと階段を降りていく。反田が自室に入るまで見送った緋李は長く息を吐いてから室内振り返る。
そこには何かに引き寄せられたのか沢山の霊達がいた。
それらは緋李達が何なのか分かっているのかすがりつく様な目をして周りに集まってくる。すかさず沙羅と黒鋼が間に入って結界を築く。
二匹がそうしている間に緋李は室内を観察する。
そしてその中で一人だけ緋李には見向きもしないで奥の壁際でこちらに背を向けている髪の長い女がいた。
見た感じでは悪い気はしないので緋李は静かに話しかける。
「…こんにちは。何か、御用ですか?」
『…ここから出して欲しいの』
「そう、出して上げた後はどうすれば良いんですか?」
『…家族の所に私の身体を連れていって欲しい』
ここから出して欲しいと、身体を、遺体を家族の元に運んで欲しいと女は言うが、その肝心の遺体が部屋の中には見当たらない。
緋李が半ば確信しながら遺体の場所を女に聞くと壁を指して「この中」だと言う。これに頷いた緋李は慎重に言葉を選びながら再度女に話し掛ける。
「…残念だけど、貴女の遺体を私はそこから出してあげられないの」
『っ!嫌よ!ここから、ここから出して!!私を家族の所に返してよ!』
「そうですよね。帰りたいですよね。だから、もう少しだけ私の話を聞いて下さい」
『…分かったわ』
「ありがとうございます。私は今日ここの大家さんからこの部屋の浄化を依頼されて来ました。つまり、一般的に言うお祓いですね。ですが、貴女は家族の元に帰りたいと言う。そこでですが、交換条件としましょう」
『…交換条件?』
緋李の交換条件という言葉に女は警戒するように緋李を見る。それに緋李はニッコリと笑い返す。
「はい。条件として貴女がそうなった時の状況を後で呼ぶ人に話してください。そうすれば、貴女以外の方を祓った後に貴女は家族の元に返してあげます。どうでしょうか?悪い条件ではありませんよね?もちろん覚えている範囲で結構ですので」
『…やる。それならバッチリ覚えているいるもの』
「それでは、交渉成立です。では、まずは貴女以外の方にはここから出てもらうので、誤って一緒に祓わないように貴女はこちらの陣に入っていただきます。それからーー」
交渉が上手くいったことにホッとしたのもつかの間で、緋李はすぐに浄化のための準備を進め、徐々に部屋の中に集まっていた霊を黄泉の世界へと送っていく。
ーー数十分後
「本当に緋李ちゃんの時だけ遺体が出てくる依頼多いよね。ウチの神様は何してるんだか」
「フフフ、別にこれだけではありませんよ?普通の浄化の依頼もあれば失せ物探しの依頼もありますし、別に問題はないと思いますよ?…ところで、彼女はご家族の元に返してあげられそうですか?」
きちんと遺体のある女以外を祓った後、遺体の場所を聞けばやはり壁の中に埋められているとのことで、急いで大家である反田と警察を呼んだのだ。
先ほど緋李が親しげに話していた女性は綾野 秋葉といい、旧姓は安倍秋葉だ。緋李の義父、康頼の妹で緋李にとっては義叔母にあたる。
一族の中にもやはり適正テストで式神を呼べずに落ちてしまう者は数年に一、二回は出てくる。
他家ではそのような事があれば、阿鼻叫喚ものだろうが安倍家では適正テストに落ちても「あ、そうなんですか?それで、ここを受験したいんですけど」とあっさりとした反応を返して、一族以外の者を驚かせる。
それもその筈で、安倍家では本家だろうが分家であろうが教育方針は一貫して「何が起きても次の手を考えて一族に有利に進める」で、適正テストで合格を出すのがゴールではなく、あくまで適正テストは通過点。もしも受からなかった場合は将来の職業で安倍家をサポート、貢献する事を教えられる。
それ故にか適正テストに落ちた者は大雑把に警察、医師、弁護士などの科学で証明できない現象を隠す職業を選ぶ者が多い。
そうやって早い段階から将来について考えていたからか天性のものだったのか、それぞれの業界では同じような考えの他家に比べてそれなりの地位に安倍家の者が多い。
そういう訳で、今回の緋李の依頼のように殺人が関わっているものは警察にいる一族の者に連絡を取り、手が空いている者が担当になる様にしているのだが、今回は手が空いているのが綾野だけだったらしい。
「あぁ、それは問題ないかな?記録の中に残っていたし。何より、本人がいるしね。あとはこっちで対処するから心配しないで。協力ありがとうございました!」
「いえ、こちらこそ来ていただいてありがとうございました。では、私はこれで失礼しますね。何かあればいつも通りお願いします」
「はい、分かりました。長く引き止めちゃってゴメンね。この時間だとウチご飯の時間でしょ?大丈夫?家まで送ろうか?」
「フフ、沙羅がいるので大丈夫ですよ。あ、何かお義父様に伝言はありますか?」
新人の聴衆が下手すぎて先ほど怒鳴っていた綾野がしきりに謝ってくるので、緋李はおかしそうに笑いながらも沙羅の存在を綾野に思い出させる。
それにあぁ、と思い出した綾野はホッと息をつくと兄に伝言と聞いて「じゃあ」と緋李に伝言を託す。
「兄さんに今度の休みに行くからってだけ伝えてくれるかな?休みが分かったらメールするし」
「分かりました。ちゃんと伝えますね。それでは失礼します」
「はーい、気をつけてね!皆にもよろしくね~」
緋李は綾野に再度礼をすると、腕に黒鋼を抱き上げて急いで人気のない方へと向かい獣化した沙羅の背に跨って、本社に戻ると言う晴明と別れて帰路を急ぐ。
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