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エピローグ ③ サリエルside ①
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◆エピローグ サリエルside ①
母上とディエンヌが逮捕された、あの日から三日後。
今日は日曜日でございます。
兄上のお屋敷の庭で、ティーパーティーです。
いいえ。ティーパーティーという名の、ゲテモノ飲食デーでございます。
あ、日曜日だから。私服ですけど。
いち早く、兄上が仕立ててくれたお衣装に、袖を通しました。
濃い紫色の、上下の盛装です。
一応お茶会だから。おめかししました。
ちなみに、やはり兄上とおそろいの衣装ですが、なにか?
えぇっと、ぼくの今の状況をお話しますね?
天使だけど、以前のような高エネルギー体ではない。
力はほぼ全部、この星の復興に使ってしまいましたからね?
なので、ほぼ人間です。
でも卵の状態から、今までの時間で少し力を取り戻せたから。
ただの人より、ちょっとだけ有能な人、くらいな感じぃ??
天使の羽はねぇ、もう出していないよ?
だってアレ、ビラビラしていてウザいでしょう?
それに飛ぶ必要性も、あまりないですしねぇ。
だから兄上たちがやっているように、ぼくも体内に格納してみました。
なんか、こうして出来ることが増えると。魔国の民のような気になりますねぇ?
うーん、魔族っぽーい!
魔力なし、ツノなしは、相変わらずですけど。
ぼくの能力は、神気なので。厳密に言うと、魔力ではないんですよ。
でも、なんかできる力だから。名前はなんだっていいでしょ?
ツノは、いつか作ってみようかなぁ?
兄上とおそろいのやつぅ、なんてねぇ?
ぼくのトレードマークだったポンチョには。
兄上からもらった、レッドドラゴンの宝玉をちゃんとつけておりますよ?
いろいろあった、あの日。
宝玉を魔王様の玉座に置いておいて。
そのあと登場した魔王様が、玉座に腰かけ…お尻の下に敷いちゃった?? って思って。ヒヤッとしたけどね。
背もたれと座面の境目に挟まっていたから。セーフでした。
さらにそのあとも、いろいろあったけど。
あとでしっかり回収しておいたのです。大事なものですからね?
大事なもの、と言えば。
兄上からいただいた婚約指輪も、忘れてはいけませんでした。
でも、アレは。しばらくぼくの皮に引っかかっておりまして。
回収はしたのですが。
ぶっとい、まぁるい、もっちり指から。細くて、長ーい、エレガント指にバージョンアップしたから。
サイズが合わなくて。
今はお直し中でございます。
ぼく。皮を、結構ビロビロさせたから。あのときに、コロリーンしなくて。良かったです。むぅ。
お茶会でお茶を入れるのに。ふわふわなぼくの髪は。邪魔くさい。
なのでエリンが、大きな編み目のみつあみを耳の近くでクルンと巻いて、整えてくれました。
こうすると、兄上の御ツノ風になるでしょう?
衣装も、御ツノ(仮)も、兄上とおそろいなのですぅ。
羽化した翌日、学園に行ったときは。
張り切って髪をまっすぐに伸ばして。アリスにうらやましがられたりしたけれど。
一日経つと、細かいウェーブのフワワン髪に戻ってしまうのです。
クルルンが、標準装備のようなのです。
毎日伸ばすの、めんどいですねぇ。
なので、本当は。ラーディン兄上くらいの短髪にしてしまいたいのだけど。
髪を切ると言ったら、兄上はゴゴゴってなるし。
それに連動して、エリンとミケージャと執事が、泣いてやめてくださいと頼むから。
まぁ、そうですかい? と思って。
髪を切るのはやめました。
社交界に出たら、ダンスのときに髪を綺麗に結わえた方が、華やかですしね?
デビューまでは、我慢することにいたしましょう。
というわけで。ぼくは。
厨房にて、カッピカピに乾いたぼくの皮を。
心を無にして丁寧にたたみ。
すり鉢に入れて、棒でゴーリゴリ。
むぅ。
もう、もっちりではないのですが。緊張の場面では、鼻から息が漏れます。
でも、目がぱっちりなのでね。よく見えるのはいいことですっ!
「ああああぁぁああああぁぁ、パァァアアンちゃぁあああん」
ぼくがゴリゴリしている横で。マリーベルが泣いております。
はぁ。でしょうね、と思うリアクションです。
「パンちゃんの、羽化のシーンも見そびれてぇ? 突然の美少年に、私の心臓がガタブルでぇ? あの、もっちりな腕が…腕を組んだときにモチィとする、あの感触が…永遠に失われてしまうなんてぇぇ? どういうことなの? 私の運のなさは、どうなっているのぉぉぉ??」
マリーベルは。レモンイエローのドレスと同じ色のハンカチをかんで、悔しがります。
「ねぇ、パンちゃん? ワンチャンよ? 水でふやかしたら、プルプルのパンちゃんに戻らないかしら?」
マリーベルが、泣きながらたずねてきますが。
ぼくは、首を横に振ります。
えぇ、ここで情けを出してはダメなのです。
ピシャリと言わねばっ。
「いいえ。もう、カッピカピですから。皮膚もシッワシワですし」
それに、切実な話。
以前のぼくにはついていた。男の子のシンボルが、シワシワながら御健在です。
ワンチャン、プルプルのぼくに戻したところで。
御令嬢に渡すわけにはいきません!!
しかしながら、そう思うと…本当にコレは、口にしていいのか…とも思いますが。
えぇ、これは聖なるものなのです。
どこかで誰かが、そう言っていましたから。
それにシンボル以外にも、もう皮の時点でキモイわけですから。
いろんなものから目をそらして、これを煎じるしかありません。むぅぅぅ。
「それに、もうゴリゴリしてしまいました。カッピカピの皮は、セミの抜け殻のごとく、残しておいても風に吹かれてサラサラに散っていく運命でございます」
「ああああぁぁああああぁぁ、パァァアアンちゃぁあああん。さようなら、さようならぁ。私の、パンちゃあん」
マリーベルが、とうとうギャン泣きになりました。
もう、うるさぁいですねぇぇ。
「マリーベル? ゴリゴリを見ていたら悲しくなるでしょう? テーブルについて、お待ちください?」
ぼくにうながされ。マリーベルはしぶしぶ、テーブルに向かうのだった。ヤレヤレ。
ぼくは。皮を砕いて粉にしたものを、紅茶ポットに入れまして。お湯を注いで、煎じます。
エキスが出てくる間…エキスという言い方も、どうかと思いますが。
まぁ、成分を抽出している間。
魔法でぬいぐるみのぼくを、出しました。
布製で、若干デフォルメした、ぼくです。両手に乗るサイズくらいのやつ。
「糸目で、三角口で、ぽっちゃりで、頭に赤いトサカ。撫で肩。うむ」
我ながら、良い出来です。一度それを消しまして。
ポットを持って、ティーパーティー会場へ向かいます。
テーブルでは、もう、なにやら揉めています。なんですかぁ?
「なんで、おまえがいるんだよっ? ここは魔国だぞ? つか、帰ってくんの早くね?」
ラーディンが食って掛かっているのは。勇者です。
「良いだろぉ? パパだもの。俺にも天使の恩恵くださーい」
勇者は、魔王級の兄上が薙ぎ払ってできた、嵐の渦を物ともしないで。勇者一行の中で、ひとり無傷だった。
そんな転生無敵チートな彼に、ぼくの恩恵はいらないかな、とは。思ったのだけど。
一応、彼がいなければ。
ぼくは魔国で生まれないで。
兄上にも会えなかっただろうから。
ありがとうの気持ちで。お茶会にお誘いしました。
「ラーディン兄上、ぼくが誘ったのです。勇者にも、資格はあります」
「サリエルは甘いな? こいつが気持ちを変えて、魔国を攻めてきたら。強大な敵になるんだぞ?」
「そのときはぼくが、地の果てに彼を捨ててあげますよ」
ぼくの言葉に。
剣士をポイしたとき、それをそばで見ていたラーディン兄上は。
それなら、まぁいいかと。うなずいた。
「こっわ! サリエルちゃんは可愛い顔して、怖いでちゅねぇ?」
「魔国の敵にならなければ、いいだけです。そうしたら無病息災で寿命を迎えられますよ?」
勇者の言葉に、ぼくが言い添えると。
ラーディンが、みんなが聞けないでいることをさらっと聞きました。
「つか、あのふたりはどうなったんだよ? 勇者さん?」
さすが、空気の読めない男。
「いやいや、まだエクバランに入国していないよ。あれから三日しか経っていないじゃん? 俺は唐突に現れたサリエルちゃんに、今日のことを聞いて。途中で引き返してきたんだ。サリエルちゃんたら、自分だけパッと現れて、パッと消えるから。こっちはここまで、馬で全速力で駆けつけたんだからなぁ? ま、そういうことで。役目は仲間に預けてきた」
「大丈夫かよ? ちゃんと護送できんのかぁ?」
「仲間も、それなりの手練れだ。魔力制御の手錠がついているのなら、人間の犯罪者を運ぶのとなんら変わらねぇよ。俺抜きでも、これぐらいのことはできないと。勇者一行を名乗らせられねぇぜ?」
彼女たちがどうなってしまうのか。
胸を痛めなくてもいい、と言われても。そう思っても。
なかなかその境地には到達できないものですね?
気には、なりますが。
ぼくは目を閉じるのです。
そして、ぼくは。丁寧にカップにお茶を注ぎ入れ。みなさまの前にお出しした。
メンツは、レオンハルト兄上、ラーディン兄上、シュナイツ、マルチェロ、マリーベル、ファウスト、エドガー、アリスティア、勇者。
でもこの中で、マリーベルとエドガーは、辞退した。
マリーベルは。魔力が殿方よりも強くなると、嫁の貰い手がなくなるとか、なんとか。
もう婚約しているのだから、そこは大丈夫じゃないかな、と思うのだが。
なにが起きるかわからないから、と言うので。
無理強いはいたしません。
エドガーは。魔力量の増大は、頭脳的には関係がなく。
自分は政務がしたいのに、魔力量が増えたら防衛方面に行かないと宝の持ち腐れになるから。
今と変わらず勉強するために、いらないとのこと。
勉強オタクの本領発揮ですね。
まぁ、それでも。ぼくの羽化に立ち会えなかったふたりは。すっごく、悔しがって。
お茶はいらないが、イベントには参加するという、謎の負けず嫌いが発動していた。なんなん?
「私は、いただくわ。意中の相手が立場の弱い人だから。私が強くなって守って差し上げるの。それにサリエル様の従者になるかもしれないし。そうなれば力はいくらでも、あった方が良いですものね?」
マリーベルと同じ、女性であるアリスティアは。
そういう持論で、お茶を飲むことにしたようだ。
庭師のジュールくんと、仲良くなれるといいね?
一度はお茶を飲むのを辞退していた、レオンハルト兄上だが。
ラーディンやマルチェロがお茶をのんだら、次期魔王の座を脅かされるかもしれない。
そうは言っても、まだ追いつけない、それくらいの力の差はあるのだが。
魔王は脅威であるべきなので。
それに、ぼくも。兄上にこそ、ぼくの恩恵を受け取ってもらいたかったので。
お願いして飲んでいただくことになった。
「あの好色魔王には、早く御退位願いたいしな」
という理由も。あるらしいけどぉ??
「では、お飲みくださいませ」
ぼくの号令で。恩恵を受け取るみなさんは、紅茶のカップをグイッと、ひと息で飲んだ。
そんな、苦い薬を飲むような、眉間にシワを寄せてぇ…。
「あ、意外と、不味くない」
空気を読まないラーディン兄上が、そうつぶやく。
悪かったですね? 不味そうでぇ。
でもゲテモノだから、仕方ない。脱皮だからね。むぅ。
「特に、劇的な変化はなさそうだな?」
マルチェロの言葉には、返事を返します。
ラーディンは、無視です。
「えぇ、急に力が強まると。体が対応しなくて具合が悪くなりますから。体と魔力が馴染むよう、ゆっくり、一年ほどかけて上昇していくはずです」
ぼくの説明に、レオンハルト兄上が鷹揚にうなずきます。
「なるほど? では。一年後を、魔王即位の目途にするかな? ラーディン、シュナイツ、マルチェロ、ファウスト、アリスティアの誰かが。今の公爵をしのぐ魔力量に引き上げられたら。私の配下になるだろう、新たな三大公爵の地位についてもらいたいのでな」
「とうとう、魔王即位を決意したのですね? 兄上」
シュナイツが喜ばしそうに言うが。
「あぁ、魔王になって、魔国の頂点に圧倒的強者として立っていないと。サリエルが婚約破棄虎視眈々勢にいつまでも狙われ続けるからな。サリュは、もう私のものだが? 魔王の脅威で威圧して、蹴散らさないとな?」
その兄上の理由には。苦笑いしていた。
ですが。兄上は。
政務を取り仕切る今も、すでに魔王のようではあるが。
名実ともに魔王の名乗りを上げる決心をしたようです。
あぁ、兄上が魔王に即位するなんて。
どれほど神々しい場面になるのでしょう。
ぼくがうっとりしていると。
アリスも隣で、なんだかうっとりしている。
きっと、同じようなことを考えているのでしょうね?
「そうだ、マリーベル。あんまり可哀想なので、差し上げます」
ぼくは、先ほど作り出したぼくのぬいぐるみを。マリーベルに渡した。
万物の源であるぼくが、意識して、はじめて作り出した物体ですよぉ? 貴重ですよぉ?
すると、マリーは。
ぼくが差し出した物体をみつめ。
紅茶のカップ(中身は普通の紅茶)をガチャリと、御令嬢にあるまじきで、置いて。
顎が外れるかと思うくらいに、御令嬢にあるまじきで、口を開け。
そして、マルチェロと同じ緑色の瞳を、ウリュっとさせた。
「ああああぁぁああああぁぁ、パンちゃーーーん?? おかえりぃ」
マリーベルは、ぼくのぬいぐるみをムギュっとして。
パンちゃんと、満足そうにつぶやくのだった。なんなん?
つか、それはパンちゃんではありません。サリエルです。ぬいぐるみです。
んんっ、まぁ、ぬいぐるみだから、パンちゃんでもいいのでしょうか?
「なんだっ、それは? もちろん私にもあるのだろうな? サリュ??」
次期魔王の威厳で、ぬいぐるみを要求する、兄上。ええぇぇ?
ぼくは、うろたえて。手をもじもじさせます。
あぁ、以前のプヨプヨ感が、恋しい。
「あ、兄上。ぬいぐるみを御所望なのですか?」
「等身大だ。いや、赤子のサリエルと、六歳のサリエルの等身大だっ!!」
「ズルいですわぁ? レオンハルトお兄様。私も、出会った頃の七歳のパンちゃんの等身大ヌイが欲しいわ?」
「はいはい、私も七歳のサリーが欲しい」
マルチェロまで、手をあげると。
ラーディン兄上もシュナイツも。果ては、寡黙で男前のファウストや、勉強にしか興味がないエドガーまで。はいはいと、手を上げ始めました。
もうっ、なんなんっ??
六歳とか七歳とか、だと。
いくらチビだった、ぼくでも。百センチくらいはありましたよ?
でかいですよっ??
だけど。みなさまが、期待の眼差しを向けてくるからぁ。
言われるままに、同じタイプのぬいぐるみをポンポンと量産し。みなさまに渡す。
すると、みんなでぼくのぬいぐるみの背中に顔をうずめて、うっとりするのだった。
「イケメン男子が、ぽっちゃりのぬいぐるみを抱いて、恍惚としている。これぞまさしく地獄絵図…」
アリスのつぶやきに、激しく同意するぼくだった。
つか、羽化して、手も足も長くなった、ぼくの存在意義はいずこへ?
羽化しない方が良かったのでしょうか…くすん。
いえ、でも。兄上とダンスするためには…この形態の方が良いはずです。
えぇ、きっと。たぶん。おそらく…。
「はーい。俺は、旅していることが多くて嵩張るものは持てないから。サリエルちゃんストラップ作ってぇ?」
そうしたら勇者までも、そう言い始めた。
「ストラップ、ですか?」
「あぁ、小さい人形に紐をつけて。鞄とかにぶら下げるやつ」
ぼくは、ちょっと考えて。
「旅のお供なら、旅の無事を守る意味合いで、守護天使風にしましょう」
そうして、親指大ぐらいの。白い衣を着て、いわゆる天使の翼をつけた。もっちりなぼくのお人形に。紐をつけたものを、ぽんと出した。
リアル羽は、二十四枚だから。小さく作るの、めんどい。
「こんな感じぃ?」
「それそれ、良いねぇ。旅の安全を見守る守護天使サリエルちゃん。可愛いなぁ」
紐を指でつまんで、ぶら下げ。勇者は人形を嬉しそうに見やっていた。
マジで、パパ気分なのでしょうか?
そうしたら、またもやみなさんが手を上げ始めましたよ?
今度は、アリスもですかぁ?
「いいじゃない。女子は、お守りアイテムに目がないものよ」
ぼくが、ジッと見やると。
アリスはちょっと頬を赤くして。自ら、そう言い出した。
まだ、なにも言っていませんけどぉ??
わかりました。もう面倒くさいから。
いろいろな色の紐で、十個ばかり、じゃらっと出しました。
もう、なんでみなさん、二個とか取るのですか? 足りなくなるじゃないですか?
マリーベルが取り損ねて、ギャーギャー言い始めたから。
また追加で十個出しました。なんなん?
★★★★★
数年後、街で見かけるようになったのは。
『旅の安全、守ります。もっちり守護天使サリエルちゃんストラップ』なるもの。
勇者があちこちの村を渡り歩いて、そこで人助けなんかして。
その村の子供たちに、ぼくのストラップを見せたみたい。
『俺の大事なお守りだ。これを持っていると、魔獣もよける優れものだぜぇ? なんてな?』なんて言って回ったらしい。
勇者の持つ、オリジナルに似せた模造品は。クオリティーは落ちるものの、もっちり天使の護符として、人族の国でも魔族の国でも大流行するのだった。
あのお茶会のあと。思いついたのですけど。
勇者ともっちりの姿で会ったのは、ほんの一瞬だったのだから。
もっちりの造形でなくても、良かったんじゃないかなぁ?
ま、作ってしまったものは、仕方がないけどぉ。
しかし、しかし。この星では。天使サリエル、といったら。もっちりな姿で認定されてしまいましたね?
空の上で、神様は大爆笑していることでしょう。ムッキィィ。
でも、地球の死神天使よりは。マシでしょうかねぇ? むぅ。
母上とディエンヌが逮捕された、あの日から三日後。
今日は日曜日でございます。
兄上のお屋敷の庭で、ティーパーティーです。
いいえ。ティーパーティーという名の、ゲテモノ飲食デーでございます。
あ、日曜日だから。私服ですけど。
いち早く、兄上が仕立ててくれたお衣装に、袖を通しました。
濃い紫色の、上下の盛装です。
一応お茶会だから。おめかししました。
ちなみに、やはり兄上とおそろいの衣装ですが、なにか?
えぇっと、ぼくの今の状況をお話しますね?
天使だけど、以前のような高エネルギー体ではない。
力はほぼ全部、この星の復興に使ってしまいましたからね?
なので、ほぼ人間です。
でも卵の状態から、今までの時間で少し力を取り戻せたから。
ただの人より、ちょっとだけ有能な人、くらいな感じぃ??
天使の羽はねぇ、もう出していないよ?
だってアレ、ビラビラしていてウザいでしょう?
それに飛ぶ必要性も、あまりないですしねぇ。
だから兄上たちがやっているように、ぼくも体内に格納してみました。
なんか、こうして出来ることが増えると。魔国の民のような気になりますねぇ?
うーん、魔族っぽーい!
魔力なし、ツノなしは、相変わらずですけど。
ぼくの能力は、神気なので。厳密に言うと、魔力ではないんですよ。
でも、なんかできる力だから。名前はなんだっていいでしょ?
ツノは、いつか作ってみようかなぁ?
兄上とおそろいのやつぅ、なんてねぇ?
ぼくのトレードマークだったポンチョには。
兄上からもらった、レッドドラゴンの宝玉をちゃんとつけておりますよ?
いろいろあった、あの日。
宝玉を魔王様の玉座に置いておいて。
そのあと登場した魔王様が、玉座に腰かけ…お尻の下に敷いちゃった?? って思って。ヒヤッとしたけどね。
背もたれと座面の境目に挟まっていたから。セーフでした。
さらにそのあとも、いろいろあったけど。
あとでしっかり回収しておいたのです。大事なものですからね?
大事なもの、と言えば。
兄上からいただいた婚約指輪も、忘れてはいけませんでした。
でも、アレは。しばらくぼくの皮に引っかかっておりまして。
回収はしたのですが。
ぶっとい、まぁるい、もっちり指から。細くて、長ーい、エレガント指にバージョンアップしたから。
サイズが合わなくて。
今はお直し中でございます。
ぼく。皮を、結構ビロビロさせたから。あのときに、コロリーンしなくて。良かったです。むぅ。
お茶会でお茶を入れるのに。ふわふわなぼくの髪は。邪魔くさい。
なのでエリンが、大きな編み目のみつあみを耳の近くでクルンと巻いて、整えてくれました。
こうすると、兄上の御ツノ風になるでしょう?
衣装も、御ツノ(仮)も、兄上とおそろいなのですぅ。
羽化した翌日、学園に行ったときは。
張り切って髪をまっすぐに伸ばして。アリスにうらやましがられたりしたけれど。
一日経つと、細かいウェーブのフワワン髪に戻ってしまうのです。
クルルンが、標準装備のようなのです。
毎日伸ばすの、めんどいですねぇ。
なので、本当は。ラーディン兄上くらいの短髪にしてしまいたいのだけど。
髪を切ると言ったら、兄上はゴゴゴってなるし。
それに連動して、エリンとミケージャと執事が、泣いてやめてくださいと頼むから。
まぁ、そうですかい? と思って。
髪を切るのはやめました。
社交界に出たら、ダンスのときに髪を綺麗に結わえた方が、華やかですしね?
デビューまでは、我慢することにいたしましょう。
というわけで。ぼくは。
厨房にて、カッピカピに乾いたぼくの皮を。
心を無にして丁寧にたたみ。
すり鉢に入れて、棒でゴーリゴリ。
むぅ。
もう、もっちりではないのですが。緊張の場面では、鼻から息が漏れます。
でも、目がぱっちりなのでね。よく見えるのはいいことですっ!
「ああああぁぁああああぁぁ、パァァアアンちゃぁあああん」
ぼくがゴリゴリしている横で。マリーベルが泣いております。
はぁ。でしょうね、と思うリアクションです。
「パンちゃんの、羽化のシーンも見そびれてぇ? 突然の美少年に、私の心臓がガタブルでぇ? あの、もっちりな腕が…腕を組んだときにモチィとする、あの感触が…永遠に失われてしまうなんてぇぇ? どういうことなの? 私の運のなさは、どうなっているのぉぉぉ??」
マリーベルは。レモンイエローのドレスと同じ色のハンカチをかんで、悔しがります。
「ねぇ、パンちゃん? ワンチャンよ? 水でふやかしたら、プルプルのパンちゃんに戻らないかしら?」
マリーベルが、泣きながらたずねてきますが。
ぼくは、首を横に振ります。
えぇ、ここで情けを出してはダメなのです。
ピシャリと言わねばっ。
「いいえ。もう、カッピカピですから。皮膚もシッワシワですし」
それに、切実な話。
以前のぼくにはついていた。男の子のシンボルが、シワシワながら御健在です。
ワンチャン、プルプルのぼくに戻したところで。
御令嬢に渡すわけにはいきません!!
しかしながら、そう思うと…本当にコレは、口にしていいのか…とも思いますが。
えぇ、これは聖なるものなのです。
どこかで誰かが、そう言っていましたから。
それにシンボル以外にも、もう皮の時点でキモイわけですから。
いろんなものから目をそらして、これを煎じるしかありません。むぅぅぅ。
「それに、もうゴリゴリしてしまいました。カッピカピの皮は、セミの抜け殻のごとく、残しておいても風に吹かれてサラサラに散っていく運命でございます」
「ああああぁぁああああぁぁ、パァァアアンちゃぁあああん。さようなら、さようならぁ。私の、パンちゃあん」
マリーベルが、とうとうギャン泣きになりました。
もう、うるさぁいですねぇぇ。
「マリーベル? ゴリゴリを見ていたら悲しくなるでしょう? テーブルについて、お待ちください?」
ぼくにうながされ。マリーベルはしぶしぶ、テーブルに向かうのだった。ヤレヤレ。
ぼくは。皮を砕いて粉にしたものを、紅茶ポットに入れまして。お湯を注いで、煎じます。
エキスが出てくる間…エキスという言い方も、どうかと思いますが。
まぁ、成分を抽出している間。
魔法でぬいぐるみのぼくを、出しました。
布製で、若干デフォルメした、ぼくです。両手に乗るサイズくらいのやつ。
「糸目で、三角口で、ぽっちゃりで、頭に赤いトサカ。撫で肩。うむ」
我ながら、良い出来です。一度それを消しまして。
ポットを持って、ティーパーティー会場へ向かいます。
テーブルでは、もう、なにやら揉めています。なんですかぁ?
「なんで、おまえがいるんだよっ? ここは魔国だぞ? つか、帰ってくんの早くね?」
ラーディンが食って掛かっているのは。勇者です。
「良いだろぉ? パパだもの。俺にも天使の恩恵くださーい」
勇者は、魔王級の兄上が薙ぎ払ってできた、嵐の渦を物ともしないで。勇者一行の中で、ひとり無傷だった。
そんな転生無敵チートな彼に、ぼくの恩恵はいらないかな、とは。思ったのだけど。
一応、彼がいなければ。
ぼくは魔国で生まれないで。
兄上にも会えなかっただろうから。
ありがとうの気持ちで。お茶会にお誘いしました。
「ラーディン兄上、ぼくが誘ったのです。勇者にも、資格はあります」
「サリエルは甘いな? こいつが気持ちを変えて、魔国を攻めてきたら。強大な敵になるんだぞ?」
「そのときはぼくが、地の果てに彼を捨ててあげますよ」
ぼくの言葉に。
剣士をポイしたとき、それをそばで見ていたラーディン兄上は。
それなら、まぁいいかと。うなずいた。
「こっわ! サリエルちゃんは可愛い顔して、怖いでちゅねぇ?」
「魔国の敵にならなければ、いいだけです。そうしたら無病息災で寿命を迎えられますよ?」
勇者の言葉に、ぼくが言い添えると。
ラーディンが、みんなが聞けないでいることをさらっと聞きました。
「つか、あのふたりはどうなったんだよ? 勇者さん?」
さすが、空気の読めない男。
「いやいや、まだエクバランに入国していないよ。あれから三日しか経っていないじゃん? 俺は唐突に現れたサリエルちゃんに、今日のことを聞いて。途中で引き返してきたんだ。サリエルちゃんたら、自分だけパッと現れて、パッと消えるから。こっちはここまで、馬で全速力で駆けつけたんだからなぁ? ま、そういうことで。役目は仲間に預けてきた」
「大丈夫かよ? ちゃんと護送できんのかぁ?」
「仲間も、それなりの手練れだ。魔力制御の手錠がついているのなら、人間の犯罪者を運ぶのとなんら変わらねぇよ。俺抜きでも、これぐらいのことはできないと。勇者一行を名乗らせられねぇぜ?」
彼女たちがどうなってしまうのか。
胸を痛めなくてもいい、と言われても。そう思っても。
なかなかその境地には到達できないものですね?
気には、なりますが。
ぼくは目を閉じるのです。
そして、ぼくは。丁寧にカップにお茶を注ぎ入れ。みなさまの前にお出しした。
メンツは、レオンハルト兄上、ラーディン兄上、シュナイツ、マルチェロ、マリーベル、ファウスト、エドガー、アリスティア、勇者。
でもこの中で、マリーベルとエドガーは、辞退した。
マリーベルは。魔力が殿方よりも強くなると、嫁の貰い手がなくなるとか、なんとか。
もう婚約しているのだから、そこは大丈夫じゃないかな、と思うのだが。
なにが起きるかわからないから、と言うので。
無理強いはいたしません。
エドガーは。魔力量の増大は、頭脳的には関係がなく。
自分は政務がしたいのに、魔力量が増えたら防衛方面に行かないと宝の持ち腐れになるから。
今と変わらず勉強するために、いらないとのこと。
勉強オタクの本領発揮ですね。
まぁ、それでも。ぼくの羽化に立ち会えなかったふたりは。すっごく、悔しがって。
お茶はいらないが、イベントには参加するという、謎の負けず嫌いが発動していた。なんなん?
「私は、いただくわ。意中の相手が立場の弱い人だから。私が強くなって守って差し上げるの。それにサリエル様の従者になるかもしれないし。そうなれば力はいくらでも、あった方が良いですものね?」
マリーベルと同じ、女性であるアリスティアは。
そういう持論で、お茶を飲むことにしたようだ。
庭師のジュールくんと、仲良くなれるといいね?
一度はお茶を飲むのを辞退していた、レオンハルト兄上だが。
ラーディンやマルチェロがお茶をのんだら、次期魔王の座を脅かされるかもしれない。
そうは言っても、まだ追いつけない、それくらいの力の差はあるのだが。
魔王は脅威であるべきなので。
それに、ぼくも。兄上にこそ、ぼくの恩恵を受け取ってもらいたかったので。
お願いして飲んでいただくことになった。
「あの好色魔王には、早く御退位願いたいしな」
という理由も。あるらしいけどぉ??
「では、お飲みくださいませ」
ぼくの号令で。恩恵を受け取るみなさんは、紅茶のカップをグイッと、ひと息で飲んだ。
そんな、苦い薬を飲むような、眉間にシワを寄せてぇ…。
「あ、意外と、不味くない」
空気を読まないラーディン兄上が、そうつぶやく。
悪かったですね? 不味そうでぇ。
でもゲテモノだから、仕方ない。脱皮だからね。むぅ。
「特に、劇的な変化はなさそうだな?」
マルチェロの言葉には、返事を返します。
ラーディンは、無視です。
「えぇ、急に力が強まると。体が対応しなくて具合が悪くなりますから。体と魔力が馴染むよう、ゆっくり、一年ほどかけて上昇していくはずです」
ぼくの説明に、レオンハルト兄上が鷹揚にうなずきます。
「なるほど? では。一年後を、魔王即位の目途にするかな? ラーディン、シュナイツ、マルチェロ、ファウスト、アリスティアの誰かが。今の公爵をしのぐ魔力量に引き上げられたら。私の配下になるだろう、新たな三大公爵の地位についてもらいたいのでな」
「とうとう、魔王即位を決意したのですね? 兄上」
シュナイツが喜ばしそうに言うが。
「あぁ、魔王になって、魔国の頂点に圧倒的強者として立っていないと。サリエルが婚約破棄虎視眈々勢にいつまでも狙われ続けるからな。サリュは、もう私のものだが? 魔王の脅威で威圧して、蹴散らさないとな?」
その兄上の理由には。苦笑いしていた。
ですが。兄上は。
政務を取り仕切る今も、すでに魔王のようではあるが。
名実ともに魔王の名乗りを上げる決心をしたようです。
あぁ、兄上が魔王に即位するなんて。
どれほど神々しい場面になるのでしょう。
ぼくがうっとりしていると。
アリスも隣で、なんだかうっとりしている。
きっと、同じようなことを考えているのでしょうね?
「そうだ、マリーベル。あんまり可哀想なので、差し上げます」
ぼくは、先ほど作り出したぼくのぬいぐるみを。マリーベルに渡した。
万物の源であるぼくが、意識して、はじめて作り出した物体ですよぉ? 貴重ですよぉ?
すると、マリーは。
ぼくが差し出した物体をみつめ。
紅茶のカップ(中身は普通の紅茶)をガチャリと、御令嬢にあるまじきで、置いて。
顎が外れるかと思うくらいに、御令嬢にあるまじきで、口を開け。
そして、マルチェロと同じ緑色の瞳を、ウリュっとさせた。
「ああああぁぁああああぁぁ、パンちゃーーーん?? おかえりぃ」
マリーベルは、ぼくのぬいぐるみをムギュっとして。
パンちゃんと、満足そうにつぶやくのだった。なんなん?
つか、それはパンちゃんではありません。サリエルです。ぬいぐるみです。
んんっ、まぁ、ぬいぐるみだから、パンちゃんでもいいのでしょうか?
「なんだっ、それは? もちろん私にもあるのだろうな? サリュ??」
次期魔王の威厳で、ぬいぐるみを要求する、兄上。ええぇぇ?
ぼくは、うろたえて。手をもじもじさせます。
あぁ、以前のプヨプヨ感が、恋しい。
「あ、兄上。ぬいぐるみを御所望なのですか?」
「等身大だ。いや、赤子のサリエルと、六歳のサリエルの等身大だっ!!」
「ズルいですわぁ? レオンハルトお兄様。私も、出会った頃の七歳のパンちゃんの等身大ヌイが欲しいわ?」
「はいはい、私も七歳のサリーが欲しい」
マルチェロまで、手をあげると。
ラーディン兄上もシュナイツも。果ては、寡黙で男前のファウストや、勉強にしか興味がないエドガーまで。はいはいと、手を上げ始めました。
もうっ、なんなんっ??
六歳とか七歳とか、だと。
いくらチビだった、ぼくでも。百センチくらいはありましたよ?
でかいですよっ??
だけど。みなさまが、期待の眼差しを向けてくるからぁ。
言われるままに、同じタイプのぬいぐるみをポンポンと量産し。みなさまに渡す。
すると、みんなでぼくのぬいぐるみの背中に顔をうずめて、うっとりするのだった。
「イケメン男子が、ぽっちゃりのぬいぐるみを抱いて、恍惚としている。これぞまさしく地獄絵図…」
アリスのつぶやきに、激しく同意するぼくだった。
つか、羽化して、手も足も長くなった、ぼくの存在意義はいずこへ?
羽化しない方が良かったのでしょうか…くすん。
いえ、でも。兄上とダンスするためには…この形態の方が良いはずです。
えぇ、きっと。たぶん。おそらく…。
「はーい。俺は、旅していることが多くて嵩張るものは持てないから。サリエルちゃんストラップ作ってぇ?」
そうしたら勇者までも、そう言い始めた。
「ストラップ、ですか?」
「あぁ、小さい人形に紐をつけて。鞄とかにぶら下げるやつ」
ぼくは、ちょっと考えて。
「旅のお供なら、旅の無事を守る意味合いで、守護天使風にしましょう」
そうして、親指大ぐらいの。白い衣を着て、いわゆる天使の翼をつけた。もっちりなぼくのお人形に。紐をつけたものを、ぽんと出した。
リアル羽は、二十四枚だから。小さく作るの、めんどい。
「こんな感じぃ?」
「それそれ、良いねぇ。旅の安全を見守る守護天使サリエルちゃん。可愛いなぁ」
紐を指でつまんで、ぶら下げ。勇者は人形を嬉しそうに見やっていた。
マジで、パパ気分なのでしょうか?
そうしたら、またもやみなさんが手を上げ始めましたよ?
今度は、アリスもですかぁ?
「いいじゃない。女子は、お守りアイテムに目がないものよ」
ぼくが、ジッと見やると。
アリスはちょっと頬を赤くして。自ら、そう言い出した。
まだ、なにも言っていませんけどぉ??
わかりました。もう面倒くさいから。
いろいろな色の紐で、十個ばかり、じゃらっと出しました。
もう、なんでみなさん、二個とか取るのですか? 足りなくなるじゃないですか?
マリーベルが取り損ねて、ギャーギャー言い始めたから。
また追加で十個出しました。なんなん?
★★★★★
数年後、街で見かけるようになったのは。
『旅の安全、守ります。もっちり守護天使サリエルちゃんストラップ』なるもの。
勇者があちこちの村を渡り歩いて、そこで人助けなんかして。
その村の子供たちに、ぼくのストラップを見せたみたい。
『俺の大事なお守りだ。これを持っていると、魔獣もよける優れものだぜぇ? なんてな?』なんて言って回ったらしい。
勇者の持つ、オリジナルに似せた模造品は。クオリティーは落ちるものの、もっちり天使の護符として、人族の国でも魔族の国でも大流行するのだった。
あのお茶会のあと。思いついたのですけど。
勇者ともっちりの姿で会ったのは、ほんの一瞬だったのだから。
もっちりの造形でなくても、良かったんじゃないかなぁ?
ま、作ってしまったものは、仕方がないけどぉ。
しかし、しかし。この星では。天使サリエル、といったら。もっちりな姿で認定されてしまいましたね?
空の上で、神様は大爆笑していることでしょう。ムッキィィ。
でも、地球の死神天使よりは。マシでしょうかねぇ? むぅ。
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