147 / 184
108 勇者がやってくる…らしい。
しおりを挟む
◆勇者がやってくる…らしい。
ディエンヌに父上を人質に取られた、ぼくは。
魔王の玉座にプヨッと、腰かけております。
これから魔王城に、勇者がやってくる…らしい。
どうやら森で人族が干からびていた件について、勇者は詳細を聞きに…いえ、問い質しにくるのだと思うのですが。
勇者に相対するのが、めんどくさいというディエンヌは、ぼくに丸投げをした。という次第でございます。
っていうか、干からびさせたのはディエンヌなのですよぉ?
なんでぼくが、それを勇者と話さなければならないのですかぁ?
悪役令嬢の兄(尻拭い)も、ここに極まれりですっ。
いえ、もう、ラスボスの兄(尻拭い)でございますぅぅぅ。
兄上は、隣の領に干からびが出て、それを調査しに行ってしまったがぁ。
兄上ぇ、帰ってきてくださぁい。ディエンヌは魔王城にいまぁすっ。
そして、魔王城に勤める他の人たちは。
みんなディエンヌに生気を吸われて、動けないか。操られて、ディエンヌの味方になっている模様。
ぼくの味方は、いません。
隣にいるアリス以外はね。
「サリエル、私がシュナイツとかラーディンとか呼んできてあげましょうか? この部屋を出ちゃいけないのは、サリエルだけですものね?」
にこりとして、アリスが言うけど。
怪しい笑みですっ。
「ええぇっ、ここにぼくひとり、残す気ですかっ? 嫌です。ダメです。そんなの、怖いんですけどぉ? つか、アリスがここを逃げたいんでしょ? 人を呼びに行く態で、ここから遠ざかりたいのでしょぉぉ?」
「はぁっ? そこまで鬼畜じゃないわよ? 私ぃ」
「いいえ、ぼくは離しませんよ、アリス。それにきっと、ここから出たら、操られた衛兵がうーようよですよ? 危ないです。やはりここにいるべきです」
ぼくはアリスの腕をつかんで、離しませぇん。
ひとりで勇者は、むーりー。
「もう、わかったわよぉサリエルぅ。ここにいるってば。こうなったら、七年分の心の居候、恩返し的な? 一蓮托生、とことん付き合ってやりますよっ!」
頼もしく請け負ってくれたアリスを。ぼくはヒシッと抱きしめる。
いえ、はたから見たら、コアラがアリスの腕に抱っこちゃんしている感じでしかないでしょうがっ。
でもでも、ありがとうアリスっ。って、思っていたら。
謁見の間の扉が、開いたのだ。
ぼくを呼びに来た人と同じ人が、勇者もここに連れてきちゃったよぉ。
いやぁぁぁ、あの人きらーい。
勇者らしき、マントを羽織ったおじさんと、杖とか剣を構える人、数人。計五名のパーティーが、赤い絨毯の上をダカダカっと走ってきた。
勇者? ホントに勇者、キターーーッ。
彼は階段の下で止まると。告げた。
「俺は、人族のエクバラン国で召喚された勇者、トモキだ。おまえが魔王か?」
玉座の上に座るぼくをみつめて、言うけど。
魔王じゃないので、答えられないんですけどぉ?
勇者は、人族の年齢で三十過ぎくらいに見える、無精ひげのおじさんだ。
目元がくっきりしているから、おしゃれしたらイケオジになりそう。
イケオジ…いえ、ここで引っかかっている場合ではありません。
勇者って、もっと若いかと思っていた。
でも、エクバランが勇者を召還したのは、ぼくが生まれる二年前。
以前ミケージャが教えてくれました。
そうしたら、当時は若くても、今はやはりおじさんだね?
「つか、これって罠? 魔王城に誰もいないとか? ここまでするっと通してもらえて。まぁ、無血で済んだのは、ありがたいけどさ」
ディエンヌのやつ、勇者が来るとか言って。
誘い込んでいるじゃないか?
ぼくの元に、誘導しているじゃーん?
もう勇者にぼくを殺してもらいたくて、仕方がないんだね?
でも、そこまでするぅ?
「アリスぅ、これってぼく、なにか言った方がいいの?」
コソコソとアリスに聞くと。アリスはブブブと首を横に振るのだ。
「わっかんないわよぉ? そんなの。どうすんのよ、これぇ??」
そうして、ふたりで話していたら。ブビーブビーとブローチの警報音が鳴って。
勇者の後ろにいた、剣を構えていた若い剣士が。
階段を駆け足で登ってきて。ぼくら目がけて、剣を振り上げた。
するとブローチの防御魔法が働いて。瞬時に、結界が発動。
剣士は結界に弾かれて、階段の下に落ちていった。
物理攻撃が無効化されたぁ。
ぼくは、彼が落ちていくのを見て。思った。
崖の上でディエンヌと対峙したとき。
魔力のないぼくを、アリスがかばってくれたけれど。
思い切ってぼくが前に出ていたら、ディエンヌに崖から落とされずに済んだのでは?
あまつさえ、ディエンヌに勝てた、のではぁ?
ああぁぁーぁ、臆病ゆえの失態ですぅ。
あのときディエンヌをおさえられていたら、このような面倒なことにはならずに済んだかもしれないのにぃ。
ほっぺを揉み込んで、ぼくがひとりで反省会をしていたとき。
勇者側もなにやら揉んで、いや、揉めていた。
「バカ野郎、なにいきなり攻撃仕掛けてんだっ? 俺は今回は、魔王と話をするだけだって言っておいただろうがっ」
勇者は怒るが。
彼が従えてきた若者たちは。ぼくを警戒して、剣や杖を構え持ち。しっかり戦闘態勢になった。
血気盛んで、イケイケゴーゴーです。
「つか、こんな丸くてプヨプヨのいたいけな幼児相手に、問答無用で斬りつけるとか。考えられないっ」
勇者は、無理無理ありえないと首を振って、仲間の若者を非難するが。
剣士は勇者の言葉を鼻で笑う。
「勇者よ、あなたはこの世界の住人じゃないから、そんなことを言うのだ。丸かろうと、いたいけだろうと、彼は魔王なのだ。てか、幼児なら好都合じゃね? 無害なときなら、俺でも殺せる! あなたは召喚された時点から、勇者で。俺は、今はあなたの従者に過ぎないが。俺が魔王を殺したら…一躍名をあげて、俺が勇者になれる。ここの手柄は俺がもらったっ!!」
そう言って、こちらをギラリと睨みますが。
それって剣士さんが勇者になりたいだけの、そちらの都合ですよね?
つか、ヒーローになりたい願望が、痛いです。
てか、丸い丸いとみなさん失礼ですねぇ。
「そうよ、勇者様。丸さに騙されてはいけないわ? あの子あんなに丸いのに、隣に美女を侍らせているもの。魔王だから、きっと丸くてもモテるんだわぁ? 美女に囲まれてウハウハなのよぉ。それにアランが跳ね返されたのは、なにかの魔法よ! 攻撃されたのよ。丸くても、アレは魔王だわっ」
ビシッと杖をぼくに向けて言い放つ。赤い頭巾をかぶっているのは、たぶん魔法使いの少女。
つか、全然、ウハウハなんかしていませんしぃ。
てか、やはり丸いが引っかかるのですね?
でもね、お嬢さん。
剣士が跳ね返ったのは、魔法攻撃ではなく。ブローチの防御結界のせいで…。
ぼくはっ、なにもしていませぇん。
ディエンヌに父上を人質に取られた、ぼくは。
魔王の玉座にプヨッと、腰かけております。
これから魔王城に、勇者がやってくる…らしい。
どうやら森で人族が干からびていた件について、勇者は詳細を聞きに…いえ、問い質しにくるのだと思うのですが。
勇者に相対するのが、めんどくさいというディエンヌは、ぼくに丸投げをした。という次第でございます。
っていうか、干からびさせたのはディエンヌなのですよぉ?
なんでぼくが、それを勇者と話さなければならないのですかぁ?
悪役令嬢の兄(尻拭い)も、ここに極まれりですっ。
いえ、もう、ラスボスの兄(尻拭い)でございますぅぅぅ。
兄上は、隣の領に干からびが出て、それを調査しに行ってしまったがぁ。
兄上ぇ、帰ってきてくださぁい。ディエンヌは魔王城にいまぁすっ。
そして、魔王城に勤める他の人たちは。
みんなディエンヌに生気を吸われて、動けないか。操られて、ディエンヌの味方になっている模様。
ぼくの味方は、いません。
隣にいるアリス以外はね。
「サリエル、私がシュナイツとかラーディンとか呼んできてあげましょうか? この部屋を出ちゃいけないのは、サリエルだけですものね?」
にこりとして、アリスが言うけど。
怪しい笑みですっ。
「ええぇっ、ここにぼくひとり、残す気ですかっ? 嫌です。ダメです。そんなの、怖いんですけどぉ? つか、アリスがここを逃げたいんでしょ? 人を呼びに行く態で、ここから遠ざかりたいのでしょぉぉ?」
「はぁっ? そこまで鬼畜じゃないわよ? 私ぃ」
「いいえ、ぼくは離しませんよ、アリス。それにきっと、ここから出たら、操られた衛兵がうーようよですよ? 危ないです。やはりここにいるべきです」
ぼくはアリスの腕をつかんで、離しませぇん。
ひとりで勇者は、むーりー。
「もう、わかったわよぉサリエルぅ。ここにいるってば。こうなったら、七年分の心の居候、恩返し的な? 一蓮托生、とことん付き合ってやりますよっ!」
頼もしく請け負ってくれたアリスを。ぼくはヒシッと抱きしめる。
いえ、はたから見たら、コアラがアリスの腕に抱っこちゃんしている感じでしかないでしょうがっ。
でもでも、ありがとうアリスっ。って、思っていたら。
謁見の間の扉が、開いたのだ。
ぼくを呼びに来た人と同じ人が、勇者もここに連れてきちゃったよぉ。
いやぁぁぁ、あの人きらーい。
勇者らしき、マントを羽織ったおじさんと、杖とか剣を構える人、数人。計五名のパーティーが、赤い絨毯の上をダカダカっと走ってきた。
勇者? ホントに勇者、キターーーッ。
彼は階段の下で止まると。告げた。
「俺は、人族のエクバラン国で召喚された勇者、トモキだ。おまえが魔王か?」
玉座の上に座るぼくをみつめて、言うけど。
魔王じゃないので、答えられないんですけどぉ?
勇者は、人族の年齢で三十過ぎくらいに見える、無精ひげのおじさんだ。
目元がくっきりしているから、おしゃれしたらイケオジになりそう。
イケオジ…いえ、ここで引っかかっている場合ではありません。
勇者って、もっと若いかと思っていた。
でも、エクバランが勇者を召還したのは、ぼくが生まれる二年前。
以前ミケージャが教えてくれました。
そうしたら、当時は若くても、今はやはりおじさんだね?
「つか、これって罠? 魔王城に誰もいないとか? ここまでするっと通してもらえて。まぁ、無血で済んだのは、ありがたいけどさ」
ディエンヌのやつ、勇者が来るとか言って。
誘い込んでいるじゃないか?
ぼくの元に、誘導しているじゃーん?
もう勇者にぼくを殺してもらいたくて、仕方がないんだね?
でも、そこまでするぅ?
「アリスぅ、これってぼく、なにか言った方がいいの?」
コソコソとアリスに聞くと。アリスはブブブと首を横に振るのだ。
「わっかんないわよぉ? そんなの。どうすんのよ、これぇ??」
そうして、ふたりで話していたら。ブビーブビーとブローチの警報音が鳴って。
勇者の後ろにいた、剣を構えていた若い剣士が。
階段を駆け足で登ってきて。ぼくら目がけて、剣を振り上げた。
するとブローチの防御魔法が働いて。瞬時に、結界が発動。
剣士は結界に弾かれて、階段の下に落ちていった。
物理攻撃が無効化されたぁ。
ぼくは、彼が落ちていくのを見て。思った。
崖の上でディエンヌと対峙したとき。
魔力のないぼくを、アリスがかばってくれたけれど。
思い切ってぼくが前に出ていたら、ディエンヌに崖から落とされずに済んだのでは?
あまつさえ、ディエンヌに勝てた、のではぁ?
ああぁぁーぁ、臆病ゆえの失態ですぅ。
あのときディエンヌをおさえられていたら、このような面倒なことにはならずに済んだかもしれないのにぃ。
ほっぺを揉み込んで、ぼくがひとりで反省会をしていたとき。
勇者側もなにやら揉んで、いや、揉めていた。
「バカ野郎、なにいきなり攻撃仕掛けてんだっ? 俺は今回は、魔王と話をするだけだって言っておいただろうがっ」
勇者は怒るが。
彼が従えてきた若者たちは。ぼくを警戒して、剣や杖を構え持ち。しっかり戦闘態勢になった。
血気盛んで、イケイケゴーゴーです。
「つか、こんな丸くてプヨプヨのいたいけな幼児相手に、問答無用で斬りつけるとか。考えられないっ」
勇者は、無理無理ありえないと首を振って、仲間の若者を非難するが。
剣士は勇者の言葉を鼻で笑う。
「勇者よ、あなたはこの世界の住人じゃないから、そんなことを言うのだ。丸かろうと、いたいけだろうと、彼は魔王なのだ。てか、幼児なら好都合じゃね? 無害なときなら、俺でも殺せる! あなたは召喚された時点から、勇者で。俺は、今はあなたの従者に過ぎないが。俺が魔王を殺したら…一躍名をあげて、俺が勇者になれる。ここの手柄は俺がもらったっ!!」
そう言って、こちらをギラリと睨みますが。
それって剣士さんが勇者になりたいだけの、そちらの都合ですよね?
つか、ヒーローになりたい願望が、痛いです。
てか、丸い丸いとみなさん失礼ですねぇ。
「そうよ、勇者様。丸さに騙されてはいけないわ? あの子あんなに丸いのに、隣に美女を侍らせているもの。魔王だから、きっと丸くてもモテるんだわぁ? 美女に囲まれてウハウハなのよぉ。それにアランが跳ね返されたのは、なにかの魔法よ! 攻撃されたのよ。丸くても、アレは魔王だわっ」
ビシッと杖をぼくに向けて言い放つ。赤い頭巾をかぶっているのは、たぶん魔法使いの少女。
つか、全然、ウハウハなんかしていませんしぃ。
てか、やはり丸いが引っかかるのですね?
でもね、お嬢さん。
剣士が跳ね返ったのは、魔法攻撃ではなく。ブローチの防御結界のせいで…。
ぼくはっ、なにもしていませぇん。
164
お気に入りに追加
4,115
あなたにおすすめの小説
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
竜王陛下、番う相手、間違えてますよ
てんつぶ
BL
大陸の支配者は竜人であるこの世界。
『我が国に暮らすサネリという夫婦から生まれしその長子は、竜王陛下の番いである』―――これが俺たちサネリ
姉弟が生まれたる数日前に、竜王を神と抱く神殿から発表されたお触れだ。
俺の双子の姉、ナージュは生まれる瞬間から竜王妃決定。すなわち勝ち組人生決定。 弟の俺はいつかかわいい奥さんをもらう日を夢みて、平凡な毎日を過ごしていた。 姉の嫁入りである18歳の誕生日、何故か俺のもとに竜王陛下がやってきた!? 王道ストーリー。竜王×凡人。
20230805 完結しましたので全て公開していきます。

聖女の兄で、すみません!
たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。
三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。
そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。
BL。ラブコメ異世界ファンタジー。
期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています
ぽんちゃん
BL
病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。
謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。
五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。
剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。
加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。
そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。
次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。
一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。
妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。
我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。
こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。
同性婚が当たり前の世界。
女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる