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104 まさかのラスボス化
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◆まさかのラスボス化
ひとつの羽ばたきでグーンと上昇する、兄上の翼。そして危なげなく、崖の上に着地する。
アリスを引き受けたファウストと、マルチェロも。無事に大地に降り立って。
みんなでディエンヌがいたらしき場所に向かう。
そこには、兄上が放った雷撃の焦げ跡しかなかった。
「うむ、やはり。ディエンヌは逃げたな? 痕跡がない」
すると、その場に。ラーディン兄上とそのご学友がやってきた。
「レオンハルト兄上。いらしていたのですか? それでは、あの強大な魔力のぶつかり合いは、兄上のお力だったのですね?」
ラーディンの問いには、ファウストが答えた。
「その対立は、おそらく。ディエンヌとアリスティアのものだと思います。なぜかはわからないが。ふたりは、私と同じほどの魔力をぶつけあっていた」
その言葉で、みんながアリスティアを見る。
アリスは、ツノなし魔力なしという態だったからなぁ。
とりあえず、彼女は笑って誤魔化す。
「えぇぇっと。私。ツノは格納型で。背中から、自由に出し入れできますの。ツノを出せば、それなりの魔力を出せますけど。普段は服が破けるから、しまっているのですわぁ?」
そう言うアリスの背中は、ビリビリで。
翼を出した、マルチェロ、ファウスト、レオンハルト兄上も、ビリビリです。
魔法でちょいちょいと直せればいいのですけど。漫画のように、そううまくはいかないものです。
「だがディエンヌは、どういうわけだ? 魔力制御されているはずだ」
「魔力を制御する魔道具は、魔力を持たない人族を使って壊したのだと、先ほどディエンヌが言っていました」
ラーディンの問いに、再びファウストが答えるが。彼は首をかしげる。
「アリスティア嬢には、ポテンシャルがあったのだろうが。ディエンヌは、たとえ魔力を使える状態であっても。脅威となるほどの魔力は持ち得ていなかったじゃないか? ファウストほどの魔力量など、考えられない」
それには、みんなが首をかしげます。
そうなのですよね?
ディエンヌは魔王の娘とは言っても。母は、下級悪魔のサキュバスですし。
兄上たちや、シュナイツ。言うなれば、マリーベルほども魔力は多くなかったのです。
普通に、有力貴族の御令嬢が持つくらいの魔力量ですかね?
ぼくはまるっきりないので。魔力量の話は、あまりしませんけどぉ。
でもディエンヌに関して。ぼくは気がかりなことがあります。
「レオンハルト兄上。実は先ほど、ディエンヌが…三百人の生気を取り込んだと言っておりました。もしかしたら、生気の蓄えと魔力は、関係があるかもしれません」
生気は、純粋に、生命エネルギーというか。生きる活力であり。
魔力は、魔法を発動するのに必要な力、なので。根本的に別物なのですが。
体の中にあるエネルギー源、という意味では、似た性質もあります。
「ディエンヌはサキュバスの娘で、生気を食事にする資質がありました。化学室で、そういう場面をぼくは目撃しているので。確かです。しかし魔王の血脈でもあるので、彼女は純粋なサキュバスではない。もしかしたら取り込んだ生気のエネルギーを、魔力に変換することが出来るのかもしれませんね?」
頭の中で分析したことを、つぶやいていたら。
みなさまがぼくを凝視しているのに、気づきました。
「ひゃあ? いいえ、これはぼくの憶測なのです。絶対そうだとは、言い切れませんよ?」
「いいや、ありえることだ。私たちは彼女を、少し能力値の高いサキュバスくらいに思って、あなどっていた。そのせいでサリエルが窮地に陥ったと、言えなくもない。それに三百人も生気を吸われているなんて…村がひとつくらい壊滅している恐れもある。ディエンヌは、これからは魔国の脅威として扱うべきだな?」
お顔のそばで、うっそりと優しい笑みを投げる兄上。
ぼくの意見が採用されましたぁ。うふふ。
「つか、あんたはいつまでレオンハルト様の腕に座っているわけぇ? ラブラブアピールが甚だしいわよぉ?」
アリスにジト目で指摘されて。ぼくはまた、へえぇぇえあぁあ? となります。
あ、ぼく。ずっと兄上の腕の上に座っていましたぁ。
だって落ちていく感覚が、お尻がキューーーッとなって、怖かったんですもーん。
兄上にくっついて、恐怖を紛らわしていたかったんですもーん。
まだ足が、ビルビル震えているのですもーん。
だけど。アリスに半笑いで見られて。
婚約破棄虎視眈々勢の眉間にも、しわが寄っていますし。
一緒に崖から落ちたアリスが平気な顔をしているのに。ぼくが怖かった、とか言うのは。子供っぽいですね。
えぇ、降りますよ。降りますけどぉ。
ほらぁ、兄上も残念そうな顔をするじゃないですかぁ。降りますけどぉ。
そんなことを話していたら。魔獣狩りを統括する先生たちが現れた。
「これは、いったいなにがあったのですか? 氷の檻に入れられた生徒が、百名以上も広場に送られてきたが…まさか、レオンハルト様までお出ましとは…」
先生には、生徒会に所属するラーディン兄上が説明した。
「ディエンヌによって暗示をかけられた生徒が、サリエルたちを攻撃していたので。その場に居合わせた俺たちが。生徒を保護し、広場に送ったのです」
「まさか、生徒が…ディエンヌくんがひとりで、百人以上もの生徒を操れるわけがない。それにたとえサリエルくんたちを襲ったとしても、昨日のメジロパンクマのポイントは変わらないから。彼らを襲うメリットは、ないのではないかね?」
先生側の解釈では、そうなるが。
レオンハルト兄上が、重々しく告げる。
「先生方、これはもう、魔獣狩りの中の生徒同士の小競り合いという小さな事象ではない。私の婚約者サリエルとアリスティア侯爵令嬢を狙った、ディエンヌによる暗殺未遂事件だ」
兄上の言葉に、先生方は震撼した。
そりゃあ、学園のほのぼの魔獣狩りイベントが、殺伐とした事件現場になったのですからね? 寝耳に水で。先生もびっくり仰天でしょう。
「ツノも魔力もないサリエルとアリスティア嬢を、ディエンヌは魔法で崖に追い立てて。そこから突き落とし、殺害しようとしたのだ。私はサリエルに持たせている防御魔法が発動したので、そこに駆けつけた。マルチェロとファウストによって、ふたりは助けられ。幸い無事ではあったが…」
「兄上。当のディエンヌは、今どこに?」
ラーディンの問いに、兄上は答える。
「逃走した。しかし今回の件で、私はディエンヌに、サリエルとアリスティア嬢の殺害未遂の容疑で指名手配をかける。ディエンヌの暴挙は大勢の者に知られ、さすがに娘に甘い魔王も反対できぬだろう。どこへ逃げようとも。捕まえて。今度こそ永遠に地下に閉じ込めてやるっ!」
兄上はオコの状態で、断言し。その迫力のまま、先生方を見やる。
先生の威厳も、形無しで。ひぇぇとなっていた。
「魔獣狩りは直ちに中止し。ディエンヌに操られた者の手当てと、事情聴取に専念してくれ」
「ははっ」
兄上にかしこまった先生たちは。ワタワタと翼で飛び立っていった。
広場にいる生徒たちを調べに行ったのだろう。
兄上とマルチェロたちが、今後のことでなにやら話しているとき。
ぼくの後ろで、アリスがつぶやいた。
「ディエンヌは、ラスボス化したかもしれないわ?」
ぼくは、彼女の言葉に驚きを隠せない。
いえ、顔はいつもの感じなので、それほど表情に出るわけではありませんが。
「このあと、どうなるのか。もう、本当に予想がつかないわね?」
「ラスボス化? それってゲームの話ですか?」
「えぇ。このゲーム内世界の、最後の敵よ。もうディエンヌは。悪役令嬢という引っ掻き回すだけのキャラじゃなくなったってことね? でも、彼女がラスボスになった展開を私は目にしていないし。つか、マジで私。このゲーム、二回くらいしかしたことないからね?」
アリスの、爆弾発言です。
ディエンヌが、まさかのラスボス化、ですぅ??
と、なると。もうアリスの助言は通じないということですね?
まぁ、あまり気の利いたアドバイスは、なかったように思いますが。
ディエンヌ的イベント、最後の、崖からドーンが執行された、今。
もう、本当に。このあとの展開はわからない、ということなのでしょう。
それにしてもディエンヌは。兄上やマルチェロたち、強大な魔力を有する方々の目をすり抜けて。
いったい、どこに行ってしまったのでしょう?
ひとつの羽ばたきでグーンと上昇する、兄上の翼。そして危なげなく、崖の上に着地する。
アリスを引き受けたファウストと、マルチェロも。無事に大地に降り立って。
みんなでディエンヌがいたらしき場所に向かう。
そこには、兄上が放った雷撃の焦げ跡しかなかった。
「うむ、やはり。ディエンヌは逃げたな? 痕跡がない」
すると、その場に。ラーディン兄上とそのご学友がやってきた。
「レオンハルト兄上。いらしていたのですか? それでは、あの強大な魔力のぶつかり合いは、兄上のお力だったのですね?」
ラーディンの問いには、ファウストが答えた。
「その対立は、おそらく。ディエンヌとアリスティアのものだと思います。なぜかはわからないが。ふたりは、私と同じほどの魔力をぶつけあっていた」
その言葉で、みんながアリスティアを見る。
アリスは、ツノなし魔力なしという態だったからなぁ。
とりあえず、彼女は笑って誤魔化す。
「えぇぇっと。私。ツノは格納型で。背中から、自由に出し入れできますの。ツノを出せば、それなりの魔力を出せますけど。普段は服が破けるから、しまっているのですわぁ?」
そう言うアリスの背中は、ビリビリで。
翼を出した、マルチェロ、ファウスト、レオンハルト兄上も、ビリビリです。
魔法でちょいちょいと直せればいいのですけど。漫画のように、そううまくはいかないものです。
「だがディエンヌは、どういうわけだ? 魔力制御されているはずだ」
「魔力を制御する魔道具は、魔力を持たない人族を使って壊したのだと、先ほどディエンヌが言っていました」
ラーディンの問いに、再びファウストが答えるが。彼は首をかしげる。
「アリスティア嬢には、ポテンシャルがあったのだろうが。ディエンヌは、たとえ魔力を使える状態であっても。脅威となるほどの魔力は持ち得ていなかったじゃないか? ファウストほどの魔力量など、考えられない」
それには、みんなが首をかしげます。
そうなのですよね?
ディエンヌは魔王の娘とは言っても。母は、下級悪魔のサキュバスですし。
兄上たちや、シュナイツ。言うなれば、マリーベルほども魔力は多くなかったのです。
普通に、有力貴族の御令嬢が持つくらいの魔力量ですかね?
ぼくはまるっきりないので。魔力量の話は、あまりしませんけどぉ。
でもディエンヌに関して。ぼくは気がかりなことがあります。
「レオンハルト兄上。実は先ほど、ディエンヌが…三百人の生気を取り込んだと言っておりました。もしかしたら、生気の蓄えと魔力は、関係があるかもしれません」
生気は、純粋に、生命エネルギーというか。生きる活力であり。
魔力は、魔法を発動するのに必要な力、なので。根本的に別物なのですが。
体の中にあるエネルギー源、という意味では、似た性質もあります。
「ディエンヌはサキュバスの娘で、生気を食事にする資質がありました。化学室で、そういう場面をぼくは目撃しているので。確かです。しかし魔王の血脈でもあるので、彼女は純粋なサキュバスではない。もしかしたら取り込んだ生気のエネルギーを、魔力に変換することが出来るのかもしれませんね?」
頭の中で分析したことを、つぶやいていたら。
みなさまがぼくを凝視しているのに、気づきました。
「ひゃあ? いいえ、これはぼくの憶測なのです。絶対そうだとは、言い切れませんよ?」
「いいや、ありえることだ。私たちは彼女を、少し能力値の高いサキュバスくらいに思って、あなどっていた。そのせいでサリエルが窮地に陥ったと、言えなくもない。それに三百人も生気を吸われているなんて…村がひとつくらい壊滅している恐れもある。ディエンヌは、これからは魔国の脅威として扱うべきだな?」
お顔のそばで、うっそりと優しい笑みを投げる兄上。
ぼくの意見が採用されましたぁ。うふふ。
「つか、あんたはいつまでレオンハルト様の腕に座っているわけぇ? ラブラブアピールが甚だしいわよぉ?」
アリスにジト目で指摘されて。ぼくはまた、へえぇぇえあぁあ? となります。
あ、ぼく。ずっと兄上の腕の上に座っていましたぁ。
だって落ちていく感覚が、お尻がキューーーッとなって、怖かったんですもーん。
兄上にくっついて、恐怖を紛らわしていたかったんですもーん。
まだ足が、ビルビル震えているのですもーん。
だけど。アリスに半笑いで見られて。
婚約破棄虎視眈々勢の眉間にも、しわが寄っていますし。
一緒に崖から落ちたアリスが平気な顔をしているのに。ぼくが怖かった、とか言うのは。子供っぽいですね。
えぇ、降りますよ。降りますけどぉ。
ほらぁ、兄上も残念そうな顔をするじゃないですかぁ。降りますけどぉ。
そんなことを話していたら。魔獣狩りを統括する先生たちが現れた。
「これは、いったいなにがあったのですか? 氷の檻に入れられた生徒が、百名以上も広場に送られてきたが…まさか、レオンハルト様までお出ましとは…」
先生には、生徒会に所属するラーディン兄上が説明した。
「ディエンヌによって暗示をかけられた生徒が、サリエルたちを攻撃していたので。その場に居合わせた俺たちが。生徒を保護し、広場に送ったのです」
「まさか、生徒が…ディエンヌくんがひとりで、百人以上もの生徒を操れるわけがない。それにたとえサリエルくんたちを襲ったとしても、昨日のメジロパンクマのポイントは変わらないから。彼らを襲うメリットは、ないのではないかね?」
先生側の解釈では、そうなるが。
レオンハルト兄上が、重々しく告げる。
「先生方、これはもう、魔獣狩りの中の生徒同士の小競り合いという小さな事象ではない。私の婚約者サリエルとアリスティア侯爵令嬢を狙った、ディエンヌによる暗殺未遂事件だ」
兄上の言葉に、先生方は震撼した。
そりゃあ、学園のほのぼの魔獣狩りイベントが、殺伐とした事件現場になったのですからね? 寝耳に水で。先生もびっくり仰天でしょう。
「ツノも魔力もないサリエルとアリスティア嬢を、ディエンヌは魔法で崖に追い立てて。そこから突き落とし、殺害しようとしたのだ。私はサリエルに持たせている防御魔法が発動したので、そこに駆けつけた。マルチェロとファウストによって、ふたりは助けられ。幸い無事ではあったが…」
「兄上。当のディエンヌは、今どこに?」
ラーディンの問いに、兄上は答える。
「逃走した。しかし今回の件で、私はディエンヌに、サリエルとアリスティア嬢の殺害未遂の容疑で指名手配をかける。ディエンヌの暴挙は大勢の者に知られ、さすがに娘に甘い魔王も反対できぬだろう。どこへ逃げようとも。捕まえて。今度こそ永遠に地下に閉じ込めてやるっ!」
兄上はオコの状態で、断言し。その迫力のまま、先生方を見やる。
先生の威厳も、形無しで。ひぇぇとなっていた。
「魔獣狩りは直ちに中止し。ディエンヌに操られた者の手当てと、事情聴取に専念してくれ」
「ははっ」
兄上にかしこまった先生たちは。ワタワタと翼で飛び立っていった。
広場にいる生徒たちを調べに行ったのだろう。
兄上とマルチェロたちが、今後のことでなにやら話しているとき。
ぼくの後ろで、アリスがつぶやいた。
「ディエンヌは、ラスボス化したかもしれないわ?」
ぼくは、彼女の言葉に驚きを隠せない。
いえ、顔はいつもの感じなので、それほど表情に出るわけではありませんが。
「このあと、どうなるのか。もう、本当に予想がつかないわね?」
「ラスボス化? それってゲームの話ですか?」
「えぇ。このゲーム内世界の、最後の敵よ。もうディエンヌは。悪役令嬢という引っ掻き回すだけのキャラじゃなくなったってことね? でも、彼女がラスボスになった展開を私は目にしていないし。つか、マジで私。このゲーム、二回くらいしかしたことないからね?」
アリスの、爆弾発言です。
ディエンヌが、まさかのラスボス化、ですぅ??
と、なると。もうアリスの助言は通じないということですね?
まぁ、あまり気の利いたアドバイスは、なかったように思いますが。
ディエンヌ的イベント、最後の、崖からドーンが執行された、今。
もう、本当に。このあとの展開はわからない、ということなのでしょう。
それにしてもディエンヌは。兄上やマルチェロたち、強大な魔力を有する方々の目をすり抜けて。
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