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97 箝口令を敷きます
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◆箝口令を敷きます
マルチェロが魔法で作った、氷の檻の中にいるメジロパンクマが。檻をつかんでアウアウと暴れていますが。
その状態を、ぼくら三人はジト目で見つつ。これからのことを考えます。
「メジロパンクマは、何ポイントくらいになるのでしょう?」
「レア魔獣だからね? 一万ポイントくらいにはなるんじゃないかな?」
ぼくの質問に、マルチェロが冷静に答えます。
「これ、逃がしたら駄目ですよね?」
「どうして逃がすのぉ? これだけで、私たち優勝確定じゃない?」
ぼくの願望に、アリスが疑問を投げます。
「だって、メジロパンクマを捕獲したなんて言ったら。マリーベルが興奮しちゃうでしょ? パンちゃんは、パンちゃんはぁ…と。今から胃が痛い思いです」
優勝? わぁ嬉しい。なんて気には、なりませぇん。
それに、ラーディン兄上が優勝する予定なのに。それを奪っちゃうのも。気が引けます。
そこに、マルチェロが。至極正論を口にします。
「人道的に。生徒がいっぱい森の中にいるのに、メジロパンクマなんて凶暴な魔獣を放つことは出来ないよ? 甚大な被害になるよ?」
「ですよねぇ?」
まぁ、ぼくも。本気でクマを逃がそうと思っているわけではないのです。
ただただ、マリーベルの反応が恐ろしいだけなのです。
「まぁ、とにかく。これはタグをつけて広場に送っちゃうね?」
そうして。マルチェロは檻にタグをくくりつけると。魔法を発動させた。
氷の檻は、宙に浮き。広場の方に向かって行き。
そのメジロパンクマを追って、スイートラブ・ハニービーも移動していった。
ぼくは、あぁと思い。手を差し伸べる。
これで、マリーベルにからかわれる運命は間違いなしになりました。
とはいえ。ぼくは。この状況を放置することはできません。高らかに、告げます。
「ぼくはっ、箝口令を敷きます。ぼくがメジロパンクマに求愛されたことをマリーベルに言った者は…ふ、ふ、不敬罪、ですっ」
ぼくは。王族をひけらかすようなことを、今までしたことがなかったので。不敬罪とか、箝口令とか、言ったときは声が震えましたが。
ここは、背に腹は代えられません。
「サリー…それは、できない相談だ」
しかし。なにやら、まばゆいくらいの麗しい笑みを浮かべて。マルチェロが言った。
嘘ぉ? ま、ま、マルチェロが、ぼくに反旗を翻すなんて…。
「だってね? こ、こここ、こんな面白いこと。マリーベルに言わないなんて。くくく。む、無理でしょ?」
「そ、そそそ、そうですわぁ? サリエル様。口を縫いつけでもしなければ。今すぐにでも走って、マリーベル様に報告したい衝動を、押さえ込んでいるというのにぃ…」
そうして、ふたりは。腹を抱えて。ブハハハッと。貴族にあるまじき大笑いをしたのだった。
「ううううぅぅぅぅうう、言、わ、な、い、でぇーーーーっ」
メガラスが飛び立つくらいの大きなぼくの声が。森に響き渡ったのだった。
★★★★★
日が暮れて。魔獣狩りの一日目が終わった。
広場では、一日目のトップの成績だったぼくたちの班が、表彰を受けている。
総合優勝は、一日目と二日目のポイントを合わせた成績になるが。
その日ごとにもポイントトップの者が表彰されるのだ。
だけれども。メジロパンクマのポイントは、二万ポイント。
学園の裏の森で、大物だと言われる黒豹の魔獣でも、千ポイントなので。二十体も捕獲、退治しなければ。ぼくらには追いつかない計算ですぅ。
つまり、ほぼほぼ、ぼくらが優勝確定ですぅ。
表彰台の上から広場に降りていくときに。ラーディン兄上が悔しそうな顔つきで、ぼくを見ておりました。
ううぅ、ラーディン兄上が優勝するはずだったのに。すみませぇん。
「さすがの、フラグクラッシャーね? ラーディン兄上が優勝していたら、学園のみんなの前で求婚されたのは。サリエルだっただろうから。ねぇ?」
アリスが隣でこっそり囁く。
「ゲームでは、アリスが求婚されるのではぁ?」
「順当ならそうだけど。私とラーディンの接点は、全くないからね? でもラーディンが優勝を狙ったとするなら。公の前でサリエルに求婚することで、まずは同年代の味方をつける、という策略だったのではないかしらぁ? と思って。魔獣狩りの優勝者には、望みが叶うという結構強めのジンクスもあるからね?」
確かに。魔獣狩りに優勝すると。その先の人生に太鼓判を押されたような。前途洋々な未来が待っている、という話が、あるような? ないような?
「それだったら兄上は。レオンハルト兄上の右腕になりたーい、と望むのではないですか? ぼくに求婚など、ありえないですよぉ」
軽く笑い飛ばしてアリスに言うと。
じゃあ、そういうことにしておきましょう。と、肩をすくめて彼女は笑った。
マルチェロが魔法で作った、氷の檻の中にいるメジロパンクマが。檻をつかんでアウアウと暴れていますが。
その状態を、ぼくら三人はジト目で見つつ。これからのことを考えます。
「メジロパンクマは、何ポイントくらいになるのでしょう?」
「レア魔獣だからね? 一万ポイントくらいにはなるんじゃないかな?」
ぼくの質問に、マルチェロが冷静に答えます。
「これ、逃がしたら駄目ですよね?」
「どうして逃がすのぉ? これだけで、私たち優勝確定じゃない?」
ぼくの願望に、アリスが疑問を投げます。
「だって、メジロパンクマを捕獲したなんて言ったら。マリーベルが興奮しちゃうでしょ? パンちゃんは、パンちゃんはぁ…と。今から胃が痛い思いです」
優勝? わぁ嬉しい。なんて気には、なりませぇん。
それに、ラーディン兄上が優勝する予定なのに。それを奪っちゃうのも。気が引けます。
そこに、マルチェロが。至極正論を口にします。
「人道的に。生徒がいっぱい森の中にいるのに、メジロパンクマなんて凶暴な魔獣を放つことは出来ないよ? 甚大な被害になるよ?」
「ですよねぇ?」
まぁ、ぼくも。本気でクマを逃がそうと思っているわけではないのです。
ただただ、マリーベルの反応が恐ろしいだけなのです。
「まぁ、とにかく。これはタグをつけて広場に送っちゃうね?」
そうして。マルチェロは檻にタグをくくりつけると。魔法を発動させた。
氷の檻は、宙に浮き。広場の方に向かって行き。
そのメジロパンクマを追って、スイートラブ・ハニービーも移動していった。
ぼくは、あぁと思い。手を差し伸べる。
これで、マリーベルにからかわれる運命は間違いなしになりました。
とはいえ。ぼくは。この状況を放置することはできません。高らかに、告げます。
「ぼくはっ、箝口令を敷きます。ぼくがメジロパンクマに求愛されたことをマリーベルに言った者は…ふ、ふ、不敬罪、ですっ」
ぼくは。王族をひけらかすようなことを、今までしたことがなかったので。不敬罪とか、箝口令とか、言ったときは声が震えましたが。
ここは、背に腹は代えられません。
「サリー…それは、できない相談だ」
しかし。なにやら、まばゆいくらいの麗しい笑みを浮かべて。マルチェロが言った。
嘘ぉ? ま、ま、マルチェロが、ぼくに反旗を翻すなんて…。
「だってね? こ、こここ、こんな面白いこと。マリーベルに言わないなんて。くくく。む、無理でしょ?」
「そ、そそそ、そうですわぁ? サリエル様。口を縫いつけでもしなければ。今すぐにでも走って、マリーベル様に報告したい衝動を、押さえ込んでいるというのにぃ…」
そうして、ふたりは。腹を抱えて。ブハハハッと。貴族にあるまじき大笑いをしたのだった。
「ううううぅぅぅぅうう、言、わ、な、い、でぇーーーーっ」
メガラスが飛び立つくらいの大きなぼくの声が。森に響き渡ったのだった。
★★★★★
日が暮れて。魔獣狩りの一日目が終わった。
広場では、一日目のトップの成績だったぼくたちの班が、表彰を受けている。
総合優勝は、一日目と二日目のポイントを合わせた成績になるが。
その日ごとにもポイントトップの者が表彰されるのだ。
だけれども。メジロパンクマのポイントは、二万ポイント。
学園の裏の森で、大物だと言われる黒豹の魔獣でも、千ポイントなので。二十体も捕獲、退治しなければ。ぼくらには追いつかない計算ですぅ。
つまり、ほぼほぼ、ぼくらが優勝確定ですぅ。
表彰台の上から広場に降りていくときに。ラーディン兄上が悔しそうな顔つきで、ぼくを見ておりました。
ううぅ、ラーディン兄上が優勝するはずだったのに。すみませぇん。
「さすがの、フラグクラッシャーね? ラーディン兄上が優勝していたら、学園のみんなの前で求婚されたのは。サリエルだっただろうから。ねぇ?」
アリスが隣でこっそり囁く。
「ゲームでは、アリスが求婚されるのではぁ?」
「順当ならそうだけど。私とラーディンの接点は、全くないからね? でもラーディンが優勝を狙ったとするなら。公の前でサリエルに求婚することで、まずは同年代の味方をつける、という策略だったのではないかしらぁ? と思って。魔獣狩りの優勝者には、望みが叶うという結構強めのジンクスもあるからね?」
確かに。魔獣狩りに優勝すると。その先の人生に太鼓判を押されたような。前途洋々な未来が待っている、という話が、あるような? ないような?
「それだったら兄上は。レオンハルト兄上の右腕になりたーい、と望むのではないですか? ぼくに求婚など、ありえないですよぉ」
軽く笑い飛ばしてアリスに言うと。
じゃあ、そういうことにしておきましょう。と、肩をすくめて彼女は笑った。
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