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96 求愛を、受けちゃいました?
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◆求愛を、受けちゃいました?
森の中で、薬草取りに夢中になったいた、ぼく。
アリスがハチがいるって叫ぶから。ぼくは、振り向きました。
そこには、十匹ほどでホバーリングしているハチの大群。はわぁぁ。
ですが、ぼくは慌てたりしません。
インナー的知識のせいで。ぼくはスズメガズスやカタツムリやリスの生態を、つい無害認定して。窮地に陥ったこと数回。ではありますが。
何度も同じ間違いはいたしませんよぉ?
ぼくは本で読んだ知識を、インナー的知識で固まっているアリスに教えてやるのでした。
「アリス。魔国のハチは、刺さないのですよ? これはスイートラブ・ハニービーという、いわゆるミツバチですが。手のひらを出すと。花粉をくれるんです」
もっちりした手のひらを、ぼくは上に向けます。
すると、手のひらにミツバチが寄ってきて。足につけている、黄色くてふわふわしたものを置いてくれました。
それは、ミツバチが取ってきた花粉のかたまりです。
「このミツバチは、メジロパンクマと共生していましてね? メジロパンクマと同じく、あまり見かけない珍しい生物なのですよ。メジロパンクマにハチミツをあげる代わりに、守ってもらうという生態が。まるでハチの求愛行動のように見えて。なので、メジロパンクマにスイートラブするミツバチ、という名前がついているのですよぉ?」
「サリー、サリー。今このハチが、メジロパンクマと共生しているって言ったかい?」
ドヤ顔で、アリスにハチのことを教えていたぼくに。マルチェロが声をかける。
えぇ? マルチェロも知らなかったのですかぁ? まぁ、確かに。クマとハチの共生とか、珍しいですしね?
「そうですよ? マルチェロ。魔獣の生態に関してはぼくの方が…」
得意げにマルチェロに言うが。彼は、ぼくの後ろを指さして。なにやら驚き顔です。
「マルチェロまで、ハチに刺されると思っているのですかぁ?」
そうしてぼくが振り返ると。
ガオーーーーっ。って、でたーーーーっ。
「「「め、め、め、メジロパンクマーーーっ???」」」
ぼくとマルチェロとアリスは、声をそろえて叫びましたっ。
スイートラブ・ハニービーを周りにいっぱい従えた、メジロパンクマが。木々をかき分け、のしのしとこちらへやってくるではありませんかぁぁ?
ぼくらの目の前で両手を大きく上げて、ガオーーーっと言っています。
メジロパンクマは、インナーの世界的にはパンダの反転柄のやつです。目の周りが白いから、メジロですって…以前にも言いましたっけーーーーっ???
ど、どうして学園の裏の森に、メジロパンクマがいるのですかぁ?
メジロパンクマは、魔国の西の方にちょっとしかいないと言われている、絶滅危惧魔獣ですよぉ?
そして見た目の愛くるしさに反して、凶暴でおっかない魔獣なんですよぉ?
だって、クマの魔獣だもの。強くて、大きくて、力強いんですよぉ?
備考欄とか、読んでる暇ないですからぁ!!!
森の中とはいえ、薬草取りをしているような入り口付近に、凶暴な魔獣がいるとか、聞いてないんですけどぉ?
ぼくらは、ぼくらを威嚇するメジロパンクマを、ただただ呆然と見上げている。
絶対絶命、万事休す、ヤバいよヤバいよーー?
と思っていたら。メジロパンクマは。
ぼくを見て、スンとして。
ちょっと待ってろ、という。手のひらでチョイチョイする仕草をすると。
おもむろに近くの木の洞に手をツッコんで。蜂蜜を手ですくって、持ってきた。
そしてぼくの目の前に差し出す。
メジロパンクマの腕は、白色。でも、肉球は黒なのですね? ま、いいか。
「くれるんですかぁ?」
たずねたら、メジロパンクマがうなずくので。ぼくはクマの手のひらにある蜂蜜を指ですくって、舐めた。
「あまーーい」
「甘い、じゃないよサリー。魔獣が自分の獲物を差し出したときは、それは求愛行動だろう? サリーは今、メジロパンクマの差し出した蜂蜜を舐めて、求愛を受けちゃったんだよ?」
マルチェロにそう言われ。ぼくがメジロパンクマを見ると。
語尾にハートマークをつけて、ガオっと言われました。
どうやら。サリエル・ドラベチカ、十三歳。ぼくは。メジロパンクマの求愛を、受けちゃいました?
ぼくは。フルフルと震え、叫びます。
「ぼくはっ、メジロパンクマじゃありませぇーーーん!!!」
ぼくの絶叫にクマは驚いて、ガオーーーっとなります。ですよね?
すかさず、マルチェロが魔法を発動しようとしますが。
「マルチェローーっ、殺さないでぇ?」
「わかっていますよ」
スマートに受け答えしたマルチェロは。難なく氷の檻にメジロパンクマを閉じ込めて。捕獲しました。ホッ。
「サリエル様。スイートラブ・ハニービーのメジロパンクマへの愛情表現を押しのけて、パンダを惚れさせるとか。さすがです。絶滅危惧魔獣の求愛を受けるべきです。絶滅危惧なのですからっ」
アリスが腹を抱えて笑いながら、ぼくにそう言います。
つか、パンダって言っちゃってるし。
敬語で言うけど、その話の内容はほぼ慇懃無礼ですからねっ?
「からかわないでくださいっ。アリスの意地悪ぅっ!!」
森の中で、薬草取りに夢中になったいた、ぼく。
アリスがハチがいるって叫ぶから。ぼくは、振り向きました。
そこには、十匹ほどでホバーリングしているハチの大群。はわぁぁ。
ですが、ぼくは慌てたりしません。
インナー的知識のせいで。ぼくはスズメガズスやカタツムリやリスの生態を、つい無害認定して。窮地に陥ったこと数回。ではありますが。
何度も同じ間違いはいたしませんよぉ?
ぼくは本で読んだ知識を、インナー的知識で固まっているアリスに教えてやるのでした。
「アリス。魔国のハチは、刺さないのですよ? これはスイートラブ・ハニービーという、いわゆるミツバチですが。手のひらを出すと。花粉をくれるんです」
もっちりした手のひらを、ぼくは上に向けます。
すると、手のひらにミツバチが寄ってきて。足につけている、黄色くてふわふわしたものを置いてくれました。
それは、ミツバチが取ってきた花粉のかたまりです。
「このミツバチは、メジロパンクマと共生していましてね? メジロパンクマと同じく、あまり見かけない珍しい生物なのですよ。メジロパンクマにハチミツをあげる代わりに、守ってもらうという生態が。まるでハチの求愛行動のように見えて。なので、メジロパンクマにスイートラブするミツバチ、という名前がついているのですよぉ?」
「サリー、サリー。今このハチが、メジロパンクマと共生しているって言ったかい?」
ドヤ顔で、アリスにハチのことを教えていたぼくに。マルチェロが声をかける。
えぇ? マルチェロも知らなかったのですかぁ? まぁ、確かに。クマとハチの共生とか、珍しいですしね?
「そうですよ? マルチェロ。魔獣の生態に関してはぼくの方が…」
得意げにマルチェロに言うが。彼は、ぼくの後ろを指さして。なにやら驚き顔です。
「マルチェロまで、ハチに刺されると思っているのですかぁ?」
そうしてぼくが振り返ると。
ガオーーーーっ。って、でたーーーーっ。
「「「め、め、め、メジロパンクマーーーっ???」」」
ぼくとマルチェロとアリスは、声をそろえて叫びましたっ。
スイートラブ・ハニービーを周りにいっぱい従えた、メジロパンクマが。木々をかき分け、のしのしとこちらへやってくるではありませんかぁぁ?
ぼくらの目の前で両手を大きく上げて、ガオーーーっと言っています。
メジロパンクマは、インナーの世界的にはパンダの反転柄のやつです。目の周りが白いから、メジロですって…以前にも言いましたっけーーーーっ???
ど、どうして学園の裏の森に、メジロパンクマがいるのですかぁ?
メジロパンクマは、魔国の西の方にちょっとしかいないと言われている、絶滅危惧魔獣ですよぉ?
そして見た目の愛くるしさに反して、凶暴でおっかない魔獣なんですよぉ?
だって、クマの魔獣だもの。強くて、大きくて、力強いんですよぉ?
備考欄とか、読んでる暇ないですからぁ!!!
森の中とはいえ、薬草取りをしているような入り口付近に、凶暴な魔獣がいるとか、聞いてないんですけどぉ?
ぼくらは、ぼくらを威嚇するメジロパンクマを、ただただ呆然と見上げている。
絶対絶命、万事休す、ヤバいよヤバいよーー?
と思っていたら。メジロパンクマは。
ぼくを見て、スンとして。
ちょっと待ってろ、という。手のひらでチョイチョイする仕草をすると。
おもむろに近くの木の洞に手をツッコんで。蜂蜜を手ですくって、持ってきた。
そしてぼくの目の前に差し出す。
メジロパンクマの腕は、白色。でも、肉球は黒なのですね? ま、いいか。
「くれるんですかぁ?」
たずねたら、メジロパンクマがうなずくので。ぼくはクマの手のひらにある蜂蜜を指ですくって、舐めた。
「あまーーい」
「甘い、じゃないよサリー。魔獣が自分の獲物を差し出したときは、それは求愛行動だろう? サリーは今、メジロパンクマの差し出した蜂蜜を舐めて、求愛を受けちゃったんだよ?」
マルチェロにそう言われ。ぼくがメジロパンクマを見ると。
語尾にハートマークをつけて、ガオっと言われました。
どうやら。サリエル・ドラベチカ、十三歳。ぼくは。メジロパンクマの求愛を、受けちゃいました?
ぼくは。フルフルと震え、叫びます。
「ぼくはっ、メジロパンクマじゃありませぇーーーん!!!」
ぼくの絶叫にクマは驚いて、ガオーーーっとなります。ですよね?
すかさず、マルチェロが魔法を発動しようとしますが。
「マルチェローーっ、殺さないでぇ?」
「わかっていますよ」
スマートに受け答えしたマルチェロは。難なく氷の檻にメジロパンクマを閉じ込めて。捕獲しました。ホッ。
「サリエル様。スイートラブ・ハニービーのメジロパンクマへの愛情表現を押しのけて、パンダを惚れさせるとか。さすがです。絶滅危惧魔獣の求愛を受けるべきです。絶滅危惧なのですからっ」
アリスが腹を抱えて笑いながら、ぼくにそう言います。
つか、パンダって言っちゃってるし。
敬語で言うけど、その話の内容はほぼ慇懃無礼ですからねっ?
「からかわないでくださいっ。アリスの意地悪ぅっ!!」
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