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94 やせたんじゃない? ふふ…。
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◆やせたんじゃない? ふふ…。
夏休みが明けまして。また通常の学園生活が始まります。
「あれ? サリー…やせたんじゃない? ふふ…」
ルーフェン家が馬車の送迎をしてくれたとき。マルチェロに言われました。
ふふ…、は。ちょっと気になりますが。
やせて見えるということは、嬉しいことです。
「二学期の魔獣狩りに備えまして。エリンと剣術のお稽古をしたのですよ? みっちり、ね。それで少しスリムになったのでしょう」
ドヤ顔でぼくが言うと。マリーベルは。
「スリムなパンちゃんなんて、パンちゃんじゃなーい。でもまだ、パンちゃんはパンちゃんね?」
と、よくわからないことを言う。
つまり、なんですか? まだスリムではないと? ムキーッ。
いえ、話の肝はそこではないのです。
魔獣狩りでございますよ?
学園のイベントの中でも、魔獣狩りはかなり大きな規模のもので、二日をかけて行われます。
インナー的に言えば。文化祭とか体育祭並みの、ビックイベントって感じ?
剣術や魔法を得意とする生徒たちが。学園の裏にある森に入っていき。魔獣や薬草を取ってくる競技です。
魔獣や薬草を取るのに、難易度に応じてポイントがついていて。
たとえば、体力を回復するポーションが作れる薬草は5ポイント。
魔獣のリスは15ポイント。みたいな?
ドラゴンを捕まえたら3万ポイント、とかぁ?
ま、ドラゴンはたぶん、学園裏の森にはいないと思いますけどねぇ?
それで、ポイントが一位の人は表彰されるのです。
それだけ? という気もいたしますが。
学園で表彰されると、女子にモテモテになる…というか、良い縁談に恵まれるとか。卒業後に良い就職先に求められる、とか。騎士や冒険者になるなら、魔獣狩りマスターの箔がつくとか。
いろいろメリットはあるのですよ?
中には『優勝したら、どんな願いも望みも叶う』というような。眉唾物のジンクスのようなものもあったりしてぇ?
だから、なにかお願い事がある生徒には人気のイベントなのですよ。
参加は任意です。
気の合う仲間とパーティーを組んだり。単独で行動もオーケー。
でも同じ学年の人としか、グループは組めないという制約があります。
だから、ぼくのグループには。ファウストは入れないんだよねぇ?
ファウストはラーディン班に入るんだって。
ラーディン兄上はご学友たちと十人くらいのパーティーを作って、本格的に優勝を狙いに行くらしいよ?
一年生は、完全に見学。だからマリーベルとシュナイツ、エドガーは、魔獣狩りには参加できないんだ。
参加は、二年生時からできるよ?
ぼくは。ぼくとマルチェロとアリスティアの三人で、班を作るつもり。
でも狩りの経験がない二年生は、薬草取りをメインにして、魔獣狩りの空気感をまずは体験するというのが一般的です。
ぼくは魔法が使えないし。アリスも、魔力もツノもない態なので。
森の入り口付近でまったりと薬草採取するつもりなのだ。
マルチェロは能力値が高いのに、宝の持ち腐れみたいになっちゃうけどぉ。ごめんね?
そんな感じで。魔獣狩りは十月に開催されます。
でもね。魔獣狩りの優勝者は、実はラーディン兄上って決まっているのですよ?
だって。ロンちゃうのゲームでは。魔獣狩りは大きなイベントでね?
ラーディンが優勝して、アリスティアに求婚するって。そういう流れになるらしいんだよ。
三年くらい前倒しにはなっているけど。
もう、主人公のアリスティアとラーディンは出会っているわけだし。そういうことになるのだろうと、ぼくは思っているんだ?
求婚は、ないかなぁと思うけど。
魔獣狩りの優勝は、固いんじゃない?
実質、ラーディン兄上は。レオンハルト兄上のことを、騎兵を率いて補佐や守護する立場を目指していて。彼自身も騎士になるべく剣術を磨いている。
ファウストには、まだ敵わないかもしれないけど。
そこに匹敵するくらいの力を有しているという。もっぱらの噂なのです。
その兄上が率いるパーティーは、学園でトップクラスの集団のはず。敵などいないでしょう?
まぁ、誰が勝つのかわかってはいても。
ぼくは魔獣狩りのお祭り感覚を楽しもうと思っているのです。
剣術を鍛えはしましたがぁ、まだ生き物をブスッとする勇気は、ないですしねぇ?
単純に、この大きなイベントにドキドキソワソワしているのですよ。
「マジデカムカデ、くらいなら。サリーでも刺せるんじゃないかな?」
稽古したとて、ぼくの剣術が…なのをマルチェロは知っていて、そう言います。
でも。いやぁ。マジデカムカデは、ちょっと。
生き物を刺せない、以前に。
足がいっぱいなので、遭遇したくありませぇん。キモっ。
夏休みが明けまして。また通常の学園生活が始まります。
「あれ? サリー…やせたんじゃない? ふふ…」
ルーフェン家が馬車の送迎をしてくれたとき。マルチェロに言われました。
ふふ…、は。ちょっと気になりますが。
やせて見えるということは、嬉しいことです。
「二学期の魔獣狩りに備えまして。エリンと剣術のお稽古をしたのですよ? みっちり、ね。それで少しスリムになったのでしょう」
ドヤ顔でぼくが言うと。マリーベルは。
「スリムなパンちゃんなんて、パンちゃんじゃなーい。でもまだ、パンちゃんはパンちゃんね?」
と、よくわからないことを言う。
つまり、なんですか? まだスリムではないと? ムキーッ。
いえ、話の肝はそこではないのです。
魔獣狩りでございますよ?
学園のイベントの中でも、魔獣狩りはかなり大きな規模のもので、二日をかけて行われます。
インナー的に言えば。文化祭とか体育祭並みの、ビックイベントって感じ?
剣術や魔法を得意とする生徒たちが。学園の裏にある森に入っていき。魔獣や薬草を取ってくる競技です。
魔獣や薬草を取るのに、難易度に応じてポイントがついていて。
たとえば、体力を回復するポーションが作れる薬草は5ポイント。
魔獣のリスは15ポイント。みたいな?
ドラゴンを捕まえたら3万ポイント、とかぁ?
ま、ドラゴンはたぶん、学園裏の森にはいないと思いますけどねぇ?
それで、ポイントが一位の人は表彰されるのです。
それだけ? という気もいたしますが。
学園で表彰されると、女子にモテモテになる…というか、良い縁談に恵まれるとか。卒業後に良い就職先に求められる、とか。騎士や冒険者になるなら、魔獣狩りマスターの箔がつくとか。
いろいろメリットはあるのですよ?
中には『優勝したら、どんな願いも望みも叶う』というような。眉唾物のジンクスのようなものもあったりしてぇ?
だから、なにかお願い事がある生徒には人気のイベントなのですよ。
参加は任意です。
気の合う仲間とパーティーを組んだり。単独で行動もオーケー。
でも同じ学年の人としか、グループは組めないという制約があります。
だから、ぼくのグループには。ファウストは入れないんだよねぇ?
ファウストはラーディン班に入るんだって。
ラーディン兄上はご学友たちと十人くらいのパーティーを作って、本格的に優勝を狙いに行くらしいよ?
一年生は、完全に見学。だからマリーベルとシュナイツ、エドガーは、魔獣狩りには参加できないんだ。
参加は、二年生時からできるよ?
ぼくは。ぼくとマルチェロとアリスティアの三人で、班を作るつもり。
でも狩りの経験がない二年生は、薬草取りをメインにして、魔獣狩りの空気感をまずは体験するというのが一般的です。
ぼくは魔法が使えないし。アリスも、魔力もツノもない態なので。
森の入り口付近でまったりと薬草採取するつもりなのだ。
マルチェロは能力値が高いのに、宝の持ち腐れみたいになっちゃうけどぉ。ごめんね?
そんな感じで。魔獣狩りは十月に開催されます。
でもね。魔獣狩りの優勝者は、実はラーディン兄上って決まっているのですよ?
だって。ロンちゃうのゲームでは。魔獣狩りは大きなイベントでね?
ラーディンが優勝して、アリスティアに求婚するって。そういう流れになるらしいんだよ。
三年くらい前倒しにはなっているけど。
もう、主人公のアリスティアとラーディンは出会っているわけだし。そういうことになるのだろうと、ぼくは思っているんだ?
求婚は、ないかなぁと思うけど。
魔獣狩りの優勝は、固いんじゃない?
実質、ラーディン兄上は。レオンハルト兄上のことを、騎兵を率いて補佐や守護する立場を目指していて。彼自身も騎士になるべく剣術を磨いている。
ファウストには、まだ敵わないかもしれないけど。
そこに匹敵するくらいの力を有しているという。もっぱらの噂なのです。
その兄上が率いるパーティーは、学園でトップクラスの集団のはず。敵などいないでしょう?
まぁ、誰が勝つのかわかってはいても。
ぼくは魔獣狩りのお祭り感覚を楽しもうと思っているのです。
剣術を鍛えはしましたがぁ、まだ生き物をブスッとする勇気は、ないですしねぇ?
単純に、この大きなイベントにドキドキソワソワしているのですよ。
「マジデカムカデ、くらいなら。サリーでも刺せるんじゃないかな?」
稽古したとて、ぼくの剣術が…なのをマルチェロは知っていて、そう言います。
でも。いやぁ。マジデカムカデは、ちょっと。
生き物を刺せない、以前に。
足がいっぱいなので、遭遇したくありませぇん。キモっ。
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