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73 じゃあ、お茶会をしなければ
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◆じゃあ、お茶会をしなければ
なんでか、ぼくとアリスの送迎をみなさまがローテーションですることになりまして。
御迷惑をおかけいたします。
毎日、日替わりで送迎の顔ぶれが違うというのは、なにやら新鮮ではありますが。
とりあえず、今日は。
ぼくはいつも通り、ファウストが屋敷まで送ることになり。
王都にセカンドハウスがある侯爵家から通っているアリスは。
馬車の後ろに、ルーフェンの馬車をつけて警護しつつ。
明日は、ファウストが迎えに行くという感じになりました。
警護の準備を万全にするのに、時間がかかる模様ですが。
そこらへんは、ファウストとマルチェロに調整してもらいましょう。
で、なんでこういう話になったのか。
あとから実験室にやってきたマリーベルたちに、カクカクシカジカ説明すると。
「あら、じゃあ、お茶会をしなければ」
と、マリーベルが言うのだった。
「え? なぜこの話の流れで、お茶会なのですか?」
「だって、今日のランチの時間の強襲は、殿方がアリスさんから離れた隙を狙われたのでしょう? アリスさんはいつもパンちゃんといられるとは限らないわぁ? そこで、お茶会です。頼りになる女性のお友達が、アリスさんには必要だと思うの。でもアリスさんは、病気で子供会に参加できなかったようだから人脈がないでしょう? お茶会には、学園では先輩にあたる御令嬢も参加しますから。協力していただきましょう。そうしたら今回のように、見知らぬ御令嬢に紙切れで呼び出されるようなことは、なくなるはずよ?」
マリーベルの説明に、マルチェロも補足する。
「確かに淑女教育などで、私たちがそばにつけないときには。アリスに女性のお友達は必要だな? マリーのお茶会には有力貴族の御令嬢がそろっているから。彼女たちに囲んでもらえれば、心強いと思うよ」
「なるほど、さすがマリーベル。女性陣のことはマリー以上に詳しい方はいないだろうから。アリス、そうしてもらいなよ?」
魔国の貴族の御令嬢は、おおよそマリーベルが掌握している。
現段階で一番高位の令嬢は、残念ながらディエンヌである。
しかし、彼女は素行に問題があるので。
よほど旨味を感じる者でなければ、ディエンヌの取り巻きにはならないのだ。
まぁ一定数、いつもそういう人はいるものだけど。
普通に、穏便に、生活したい令嬢は。マリーベルにつくのだ。
マリーベルはまだ社交界に出る年齢ではないけれど。
次世代では確実に、彼女が女性陣の頂点である。
ぼくの心から離れたインナーは、これから侯爵令嬢アリスティアとして、この世界で生きていかなければならないのだから。
貴族のたしなみや、ルールみたいなものを知る良い機会にもなるだろう。
ま、ぼくの中に入っていたのだから、ある程度、淑女のたしなみは習得していると思いますけどぉ?
口悪転生主人公だからなぁ? どうかなぁ?
「よろしくお願いします、マリーベル様。マナーもおぼつかない田舎者ですが。ご指導いただけたら、嬉しく思います」
「えぇ、任せてちょうだい? 早速段取りをつけますわ」
そんな、御令嬢のお友達がいっぱいいるはずのマリーベルだが。
なぜか、ぼくらのグループに、彼女のお友達は入ってこない。
たぶん、ぼく以外のイケメン男子と恋のさや当て的に、けん制して入ってこられないのだと思うけど。
マリーはずっと紅一点だったから。
思いがけなく同性のアリスが仲間になって、嬉しいのじゃないかな?
「アリスさんがパンちゃんを狙わない間は、協力を惜しみませんことよぉ?」
「その点は、どうぞご安心ください。絶対ありませんから」
マリーとアリスが、うふふ、アハハと笑うのを。
ぼくは、ジト目で見やります。
主人公と悪役令嬢が仲がいいのは良いことですが。
ぼくを軽くディスっているので、微妙なところです。
「お茶会には、パンちゃんも出席してね?」
「でも、女性の会なのでは?」
マリーベルに誘われて、ぼくは躊躇する。
まぁ、淑女教育の授業などで、女性に囲まれることにはだいぶ慣れました。
今更ドギマギすることもありません。
つか誰も、ぼくを恋愛的な意味で意識していないしねぇ。
だからぼくも、彼女たちを意識することなく空気になれるのですっ。
男として、ちょっとみじめな、ぼく。
「パンちゃんは、アリスさんの保護者のようなものだから、そばにいてくださらないと。それに、一年生の授業でどのようなことをしたのか、淑女教育でトップの成績をほこったレジェンドにいろいろお聞きしたい御令嬢は、私を含めて多くいるのよ?」
「レジェンドは言いすぎですよぉ? 照れますね。でもそういうことなら、出席いたしますぅ」
男としては、ともかく。
淑女教育の需要は、あるようですね? へへへ。
「やったわ! っんももとサクランボのタルトをエリンにお願いしておいてね? パンちゃん」
そうですよね? そっちが本命ですよね。
はいはい、了解いたしました。
なんでか、ぼくとアリスの送迎をみなさまがローテーションですることになりまして。
御迷惑をおかけいたします。
毎日、日替わりで送迎の顔ぶれが違うというのは、なにやら新鮮ではありますが。
とりあえず、今日は。
ぼくはいつも通り、ファウストが屋敷まで送ることになり。
王都にセカンドハウスがある侯爵家から通っているアリスは。
馬車の後ろに、ルーフェンの馬車をつけて警護しつつ。
明日は、ファウストが迎えに行くという感じになりました。
警護の準備を万全にするのに、時間がかかる模様ですが。
そこらへんは、ファウストとマルチェロに調整してもらいましょう。
で、なんでこういう話になったのか。
あとから実験室にやってきたマリーベルたちに、カクカクシカジカ説明すると。
「あら、じゃあ、お茶会をしなければ」
と、マリーベルが言うのだった。
「え? なぜこの話の流れで、お茶会なのですか?」
「だって、今日のランチの時間の強襲は、殿方がアリスさんから離れた隙を狙われたのでしょう? アリスさんはいつもパンちゃんといられるとは限らないわぁ? そこで、お茶会です。頼りになる女性のお友達が、アリスさんには必要だと思うの。でもアリスさんは、病気で子供会に参加できなかったようだから人脈がないでしょう? お茶会には、学園では先輩にあたる御令嬢も参加しますから。協力していただきましょう。そうしたら今回のように、見知らぬ御令嬢に紙切れで呼び出されるようなことは、なくなるはずよ?」
マリーベルの説明に、マルチェロも補足する。
「確かに淑女教育などで、私たちがそばにつけないときには。アリスに女性のお友達は必要だな? マリーのお茶会には有力貴族の御令嬢がそろっているから。彼女たちに囲んでもらえれば、心強いと思うよ」
「なるほど、さすがマリーベル。女性陣のことはマリー以上に詳しい方はいないだろうから。アリス、そうしてもらいなよ?」
魔国の貴族の御令嬢は、おおよそマリーベルが掌握している。
現段階で一番高位の令嬢は、残念ながらディエンヌである。
しかし、彼女は素行に問題があるので。
よほど旨味を感じる者でなければ、ディエンヌの取り巻きにはならないのだ。
まぁ一定数、いつもそういう人はいるものだけど。
普通に、穏便に、生活したい令嬢は。マリーベルにつくのだ。
マリーベルはまだ社交界に出る年齢ではないけれど。
次世代では確実に、彼女が女性陣の頂点である。
ぼくの心から離れたインナーは、これから侯爵令嬢アリスティアとして、この世界で生きていかなければならないのだから。
貴族のたしなみや、ルールみたいなものを知る良い機会にもなるだろう。
ま、ぼくの中に入っていたのだから、ある程度、淑女のたしなみは習得していると思いますけどぉ?
口悪転生主人公だからなぁ? どうかなぁ?
「よろしくお願いします、マリーベル様。マナーもおぼつかない田舎者ですが。ご指導いただけたら、嬉しく思います」
「えぇ、任せてちょうだい? 早速段取りをつけますわ」
そんな、御令嬢のお友達がいっぱいいるはずのマリーベルだが。
なぜか、ぼくらのグループに、彼女のお友達は入ってこない。
たぶん、ぼく以外のイケメン男子と恋のさや当て的に、けん制して入ってこられないのだと思うけど。
マリーはずっと紅一点だったから。
思いがけなく同性のアリスが仲間になって、嬉しいのじゃないかな?
「アリスさんがパンちゃんを狙わない間は、協力を惜しみませんことよぉ?」
「その点は、どうぞご安心ください。絶対ありませんから」
マリーとアリスが、うふふ、アハハと笑うのを。
ぼくは、ジト目で見やります。
主人公と悪役令嬢が仲がいいのは良いことですが。
ぼくを軽くディスっているので、微妙なところです。
「お茶会には、パンちゃんも出席してね?」
「でも、女性の会なのでは?」
マリーベルに誘われて、ぼくは躊躇する。
まぁ、淑女教育の授業などで、女性に囲まれることにはだいぶ慣れました。
今更ドギマギすることもありません。
つか誰も、ぼくを恋愛的な意味で意識していないしねぇ。
だからぼくも、彼女たちを意識することなく空気になれるのですっ。
男として、ちょっとみじめな、ぼく。
「パンちゃんは、アリスさんの保護者のようなものだから、そばにいてくださらないと。それに、一年生の授業でどのようなことをしたのか、淑女教育でトップの成績をほこったレジェンドにいろいろお聞きしたい御令嬢は、私を含めて多くいるのよ?」
「レジェンドは言いすぎですよぉ? 照れますね。でもそういうことなら、出席いたしますぅ」
男としては、ともかく。
淑女教育の需要は、あるようですね? へへへ。
「やったわ! っんももとサクランボのタルトをエリンにお願いしておいてね? パンちゃん」
そうですよね? そっちが本命ですよね。
はいはい、了解いたしました。
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