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38 インナーの覚醒? ①
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◆インナーの覚醒?
ビッグイカキングの串焼きをテイクアウトするのは、難しいということで。
ぼくは、食べ歩きをします。
マルチェロはぼくの腕の丸焼き、とか言うけど。失礼ですねっ。
うううぅ、でも確かに。
ただのイカではなく、ビッグイカキングだから。
海にいるでっかい魔獣で。すっごく大きくて。
足はぼくの腕と同じくらいの太さは、あるけどぉ。
そう言われたら。ぼくが共食いしているみたいで、食べづらいではありませんかぁ?
でも、食べるけど。うーん、磯の香りぃ。
今日は兄上に、どんなお土産を買って帰ろうかなぁ? なんて思いながら。店先を見て回る。
すると、果物屋さんの一番目に付くところに。
座布団に鎮座ましましている、っんももひとつを発見した。
そして、ね、値段が…た、高い。高いですよぉ?
「マルチェロぉ、っんももが店にあるよ?」
こそっと彼に聞いたら。
「あぁ。公爵家から商人に卸しているからね? マリーベルがガッポガッポだよ」
笑顔で、懐に金を入れる仕草をするマルチェロ。
貴族っぽくありません。
いや、むしろ成金貴族みたいではあるかな?
「ガッポガッポ? でも、ちょっとお高くないですか? ボッてます」
「ぼ?」
聞きなれない言葉に、マルチェロが首をかしげる。
ボッてる、はインナー用語でした。
ぼったくり価格です。恐ろしいです。
でも、マルチェロは。それについて整然と説明するのだった。
「っんももは、まだうちの庭とサリーの庭にしかない。いわゆる、卸せる数が少ないんだ。そして美味いわけだろ? 希少品で、この値段でも売れるんだよ。今はやはり、貴族が買占めしているよね? 庶民の手には、まだまだ届かない高級品だ。あれは、こういう果物も用意できますという宣伝だね?」
「需要と供給のバランスで、この価格なのですね?」
なるほど。ぼくのお小遣いが、これほどに多いわけがわかりました。
っんももは、お高い。
人通りの流れに乗って、次のお店を見ると。
ガラスの壺に、色とりどりの飴が入っているキャンディー屋さんに目が留まりました。
「見て見て、マルチェロの瞳の色と同じキャンディーです」
「こちらは、サリーの髪の色と同じ飴だ」
マルチェロが指をさす壺をのぞき込むと。赤くてキラキラ光っている、まぁるい飴がいっぱい入っている。
「これはレッドベリー味だよ。甘酸っぱいよぉ」
お店の人が、説明する。食べてみたくなって少し買った。
でも、ベリーは。サクランボ、みたいなものだよね。違うか。
でも見た目や味は、まぁ似ているしぃ? 似てない? いいのぉ!
サクランボ、てか桜、作ってもいいんじゃね?
なんて思ったりして。
ピンクの花びらがひらひら落ちてくる、あのサマを、肉眼で見てみたいかもなぁ?
来年は学園にご入学だし? 桜の木の下で、制服でにっこりするの。あこがれるなぁ?
インナーが教えてくれた桜は、サクランボにならないけど。
どうせなら、美味しい実のなる桜を作っちゃおうかなぁ? なんて。
ぼくは、店主から飴の入った袋をもらって。中から飴を二個取り出す。
「ビカビカーン、ぼくの目も赤いのですよぉ?」
目のところに赤い飴を持ってきて、マルチェロに言う。
ぼくは、見えているけど。
頬肉に埋もれたぼくの目を。みんな見たことないだろうと思って。
「へぇ、サリーは髪と同じ赤い目をしているんだね? 見せて見せて?」
マルチェロが、ぼくの顔をのぞき込もうとしたとき。
「駄目ですっ」
エリンが結構強めの口調で言った。
マルチェロも、思わず動きを止める。
「し、失礼しました。しかし。サリエル様の目は、レオンハルト様だけが見ていいのです」
エリンは、白くて大きなお耳をぺたりと寝かして言う。
そうなの?
「ええぇ? レオンハルトの独占欲、エグゥ」
そう言って、マルチェロは。ぼくが持っていた飴をひとつ取り上げて。口に入れてしまった。
「ん、んまっ。サリーも食べてごらんよ?」
気を害した風もなく、マルチェロが言うから。ぼくも飴を舐めた。
「んんっ、甘酸っぱいねぇ? おいしいねぇ?」
ニッコリ笑って、その場を華麗におさめるのは。マルチェロの紳士な部分だな。素敵です。
「ねぇ、サリー。今日は帰り道、ちょっと寄り道して。ロンディウヌス学園に行ってみない? 中はまだ入れないけど。どんなところか見てみたいじゃないか?」
「え? ぼくたちが今度通う学園? 行く。行ってみたい」
すっごく、興味ありますっ。
ということで。ショッピングは簡単に終わらせて。ぼくたちはロンディウヌス学園へと向かうのだった。
★★★★★
マルチェロに学園を見学しに行こうと誘われた、ぼくは。
今、校門の前で、仁王立ちしている。
お昼が過ぎたあたりだったから、まだみんな授業中らしく。
生徒や学園の職員みたいな人も、校門近辺にはいなかった。
目に入るのは、お迎え馬車が通る車止め? 馬車の乗降口? みたいなロータリーと。
生徒が通っていく通学路、などで。
遠目に、学園の校舎がちらりと見えるだけなのだけど。
その校門の横に。
唐草の縁取りがなされた備考欄が、でかでかと、ババーンと、出てきた。
そうです。あまり意識して見ていなかったのですが。
その気になれば、魔獣や物体にも備考欄は出るのです。
だけど、今見えている備考欄は。いつもの、物体を説明する文とはちょっと違う感じです。
『ロンディウヌス学園、どんな悪魔と恋しちゃう? の舞台。主人公と攻略対象が恋を繰り広げる、ラブラブで、ちょっとスリリングな魔王学園乙女ゲーム。通称、ロンちゃう。悪役令嬢の邪魔立てを回避しつつ、癖のある魅力的な悪魔キャラクター達と恋愛を楽しんで?』
ほえぇぇ。
ぼくはこの備考欄を、口をまぁるく開けて、読み込んだ。
なるほど。主人公の邪魔をする御令嬢が、悪役令嬢…なのでしょうか?
今まで、たまに出てきた攻略対象という言葉も。主人公が恋をするお相手、ということなのでしょうかぁ?
ぼくが首をひねりながらも、ピンとこない感じで考えていると。
心の中でインナーが、ああああああっと叫んだ。
なんですかぁ? びっくりするじゃないですかぁ? と、心の中で言うと。
インナーは興奮して言い始めた。
『なんですかぁぁぁ? じゃねぇよ。相変わらずのほほんとしやがって。そうじゃなくてぇ。思い出したんだよぉ。ロンディウヌス学園、どんな悪魔と恋しちゃう? って乙女ゲーム。ぼく、これ、やったことあるよっ』
『乙女ゲームって、なんですかぁ?』
『主人公の女の子が、イケメン男子と恋をする、ってゲームなんだよ。攻略対象っていうのは、主人公が恋をする相手で、主人公が誰と恋をするか、選べるんだ。数々のイベントをクリアすると、攻略対象は主人公のことを好きになっちゃうんだよ?』
『へぇー』
なんとなく、ぼくにはあまり関係ない話のような気がして。気のない返事をしてしまう。
六歳の頃から、ディエンヌが悪役令嬢だと知って。
どれだけの悪行をするのだろうと。ひやひやして。
その尻拭いを、一生懸命してきたわけだけれど。
このゲームの悪役令嬢というのは、主人公の恋を邪魔する令嬢、という意味でしょう?
そんなの、今までのディエンヌの悪行に比べたら可愛いもんじゃない?
それぐらいなら。悪役令嬢でも大丈夫なんじゃね?
なんて思って。ぼくは、心の重荷を少しおろしていたんだけど。
『へぇー…じゃねぇ。攻略対象が誰か、思い出してみろ?』
『①ラーディン兄上。②シュナイツ。③ファウスト。④マルチェロ。⑤エドガー…あれ、全員、ぼくに近しい人たちですね?』
『なになにやったら、好感度アップ。っていうのも、利用したろ?』
利用したと言われると、人聞き悪いです。そういうつもりはないので。
でも、そうですねぇ…。
ラーディン兄上の書類作成をお手伝いは、今も普通にやっています。
騎士の練習は嬉々としてやるくせに。書類作成は苦手意識があるのか、いつまでもウダウダしていて。ぼく頼り。困った兄上です。
シュナイツとは子供会のお庭を、よくお散歩しましたねぇ。
でもマリーベルも一緒でしたよ?
乗馬は…まだ御一緒していませんが。
ファウストとは、寄り添ったことで求婚されてぇ。
びっくりしましたが、今はいいお友達です。
マルチェロとは、頻繁に町にお出かけしていますけど。
デートではないですよぉ?
お友達とショッピング、です。
エドガーのお勉強もいっぱいご一緒しました。
終始、ツン、ですけど。
勉強のときは真面目な、可愛い後輩ですから。
『つまり、ぼくは。攻略対象を全員攻略済み、ということだぁ。ちなみにシークレットであるレオンハルト兄上も兄弟仲ラブラブカンストで攻略済みだぁ』
「な、なんですってぇぇぇぇっ???」
「…どうかしたの? サリー」
思わず、インナーの言葉に声を出して驚いてしまい。
マルチェロに、いぶかしげに見やられる。
「す、すみません。なんでもありません。思ったほど、校舎とか見えないなぁ、と思って」
マルチェロは、しどろもどろと言い訳をするぼくを、不審に思うこともなく。うなずいた。
「そうだね? もう少しいろいろ見れると思ったけど。校門からでは、ほぼ見えないね。今度、校舎内を見学する許可をもらって、それからもう一度来てみようか?」
ぼくはマルチェロにうなずきを返し。とりあえず、その場は終了にした。
っていうか。今? インナーの覚醒? したんだろうけどぉ。
っていうか、っていうか。インナー、もっと早く言ってよぉ???
ビッグイカキングの串焼きをテイクアウトするのは、難しいということで。
ぼくは、食べ歩きをします。
マルチェロはぼくの腕の丸焼き、とか言うけど。失礼ですねっ。
うううぅ、でも確かに。
ただのイカではなく、ビッグイカキングだから。
海にいるでっかい魔獣で。すっごく大きくて。
足はぼくの腕と同じくらいの太さは、あるけどぉ。
そう言われたら。ぼくが共食いしているみたいで、食べづらいではありませんかぁ?
でも、食べるけど。うーん、磯の香りぃ。
今日は兄上に、どんなお土産を買って帰ろうかなぁ? なんて思いながら。店先を見て回る。
すると、果物屋さんの一番目に付くところに。
座布団に鎮座ましましている、っんももひとつを発見した。
そして、ね、値段が…た、高い。高いですよぉ?
「マルチェロぉ、っんももが店にあるよ?」
こそっと彼に聞いたら。
「あぁ。公爵家から商人に卸しているからね? マリーベルがガッポガッポだよ」
笑顔で、懐に金を入れる仕草をするマルチェロ。
貴族っぽくありません。
いや、むしろ成金貴族みたいではあるかな?
「ガッポガッポ? でも、ちょっとお高くないですか? ボッてます」
「ぼ?」
聞きなれない言葉に、マルチェロが首をかしげる。
ボッてる、はインナー用語でした。
ぼったくり価格です。恐ろしいです。
でも、マルチェロは。それについて整然と説明するのだった。
「っんももは、まだうちの庭とサリーの庭にしかない。いわゆる、卸せる数が少ないんだ。そして美味いわけだろ? 希少品で、この値段でも売れるんだよ。今はやはり、貴族が買占めしているよね? 庶民の手には、まだまだ届かない高級品だ。あれは、こういう果物も用意できますという宣伝だね?」
「需要と供給のバランスで、この価格なのですね?」
なるほど。ぼくのお小遣いが、これほどに多いわけがわかりました。
っんももは、お高い。
人通りの流れに乗って、次のお店を見ると。
ガラスの壺に、色とりどりの飴が入っているキャンディー屋さんに目が留まりました。
「見て見て、マルチェロの瞳の色と同じキャンディーです」
「こちらは、サリーの髪の色と同じ飴だ」
マルチェロが指をさす壺をのぞき込むと。赤くてキラキラ光っている、まぁるい飴がいっぱい入っている。
「これはレッドベリー味だよ。甘酸っぱいよぉ」
お店の人が、説明する。食べてみたくなって少し買った。
でも、ベリーは。サクランボ、みたいなものだよね。違うか。
でも見た目や味は、まぁ似ているしぃ? 似てない? いいのぉ!
サクランボ、てか桜、作ってもいいんじゃね?
なんて思ったりして。
ピンクの花びらがひらひら落ちてくる、あのサマを、肉眼で見てみたいかもなぁ?
来年は学園にご入学だし? 桜の木の下で、制服でにっこりするの。あこがれるなぁ?
インナーが教えてくれた桜は、サクランボにならないけど。
どうせなら、美味しい実のなる桜を作っちゃおうかなぁ? なんて。
ぼくは、店主から飴の入った袋をもらって。中から飴を二個取り出す。
「ビカビカーン、ぼくの目も赤いのですよぉ?」
目のところに赤い飴を持ってきて、マルチェロに言う。
ぼくは、見えているけど。
頬肉に埋もれたぼくの目を。みんな見たことないだろうと思って。
「へぇ、サリーは髪と同じ赤い目をしているんだね? 見せて見せて?」
マルチェロが、ぼくの顔をのぞき込もうとしたとき。
「駄目ですっ」
エリンが結構強めの口調で言った。
マルチェロも、思わず動きを止める。
「し、失礼しました。しかし。サリエル様の目は、レオンハルト様だけが見ていいのです」
エリンは、白くて大きなお耳をぺたりと寝かして言う。
そうなの?
「ええぇ? レオンハルトの独占欲、エグゥ」
そう言って、マルチェロは。ぼくが持っていた飴をひとつ取り上げて。口に入れてしまった。
「ん、んまっ。サリーも食べてごらんよ?」
気を害した風もなく、マルチェロが言うから。ぼくも飴を舐めた。
「んんっ、甘酸っぱいねぇ? おいしいねぇ?」
ニッコリ笑って、その場を華麗におさめるのは。マルチェロの紳士な部分だな。素敵です。
「ねぇ、サリー。今日は帰り道、ちょっと寄り道して。ロンディウヌス学園に行ってみない? 中はまだ入れないけど。どんなところか見てみたいじゃないか?」
「え? ぼくたちが今度通う学園? 行く。行ってみたい」
すっごく、興味ありますっ。
ということで。ショッピングは簡単に終わらせて。ぼくたちはロンディウヌス学園へと向かうのだった。
★★★★★
マルチェロに学園を見学しに行こうと誘われた、ぼくは。
今、校門の前で、仁王立ちしている。
お昼が過ぎたあたりだったから、まだみんな授業中らしく。
生徒や学園の職員みたいな人も、校門近辺にはいなかった。
目に入るのは、お迎え馬車が通る車止め? 馬車の乗降口? みたいなロータリーと。
生徒が通っていく通学路、などで。
遠目に、学園の校舎がちらりと見えるだけなのだけど。
その校門の横に。
唐草の縁取りがなされた備考欄が、でかでかと、ババーンと、出てきた。
そうです。あまり意識して見ていなかったのですが。
その気になれば、魔獣や物体にも備考欄は出るのです。
だけど、今見えている備考欄は。いつもの、物体を説明する文とはちょっと違う感じです。
『ロンディウヌス学園、どんな悪魔と恋しちゃう? の舞台。主人公と攻略対象が恋を繰り広げる、ラブラブで、ちょっとスリリングな魔王学園乙女ゲーム。通称、ロンちゃう。悪役令嬢の邪魔立てを回避しつつ、癖のある魅力的な悪魔キャラクター達と恋愛を楽しんで?』
ほえぇぇ。
ぼくはこの備考欄を、口をまぁるく開けて、読み込んだ。
なるほど。主人公の邪魔をする御令嬢が、悪役令嬢…なのでしょうか?
今まで、たまに出てきた攻略対象という言葉も。主人公が恋をするお相手、ということなのでしょうかぁ?
ぼくが首をひねりながらも、ピンとこない感じで考えていると。
心の中でインナーが、ああああああっと叫んだ。
なんですかぁ? びっくりするじゃないですかぁ? と、心の中で言うと。
インナーは興奮して言い始めた。
『なんですかぁぁぁ? じゃねぇよ。相変わらずのほほんとしやがって。そうじゃなくてぇ。思い出したんだよぉ。ロンディウヌス学園、どんな悪魔と恋しちゃう? って乙女ゲーム。ぼく、これ、やったことあるよっ』
『乙女ゲームって、なんですかぁ?』
『主人公の女の子が、イケメン男子と恋をする、ってゲームなんだよ。攻略対象っていうのは、主人公が恋をする相手で、主人公が誰と恋をするか、選べるんだ。数々のイベントをクリアすると、攻略対象は主人公のことを好きになっちゃうんだよ?』
『へぇー』
なんとなく、ぼくにはあまり関係ない話のような気がして。気のない返事をしてしまう。
六歳の頃から、ディエンヌが悪役令嬢だと知って。
どれだけの悪行をするのだろうと。ひやひやして。
その尻拭いを、一生懸命してきたわけだけれど。
このゲームの悪役令嬢というのは、主人公の恋を邪魔する令嬢、という意味でしょう?
そんなの、今までのディエンヌの悪行に比べたら可愛いもんじゃない?
それぐらいなら。悪役令嬢でも大丈夫なんじゃね?
なんて思って。ぼくは、心の重荷を少しおろしていたんだけど。
『へぇー…じゃねぇ。攻略対象が誰か、思い出してみろ?』
『①ラーディン兄上。②シュナイツ。③ファウスト。④マルチェロ。⑤エドガー…あれ、全員、ぼくに近しい人たちですね?』
『なになにやったら、好感度アップ。っていうのも、利用したろ?』
利用したと言われると、人聞き悪いです。そういうつもりはないので。
でも、そうですねぇ…。
ラーディン兄上の書類作成をお手伝いは、今も普通にやっています。
騎士の練習は嬉々としてやるくせに。書類作成は苦手意識があるのか、いつまでもウダウダしていて。ぼく頼り。困った兄上です。
シュナイツとは子供会のお庭を、よくお散歩しましたねぇ。
でもマリーベルも一緒でしたよ?
乗馬は…まだ御一緒していませんが。
ファウストとは、寄り添ったことで求婚されてぇ。
びっくりしましたが、今はいいお友達です。
マルチェロとは、頻繁に町にお出かけしていますけど。
デートではないですよぉ?
お友達とショッピング、です。
エドガーのお勉強もいっぱいご一緒しました。
終始、ツン、ですけど。
勉強のときは真面目な、可愛い後輩ですから。
『つまり、ぼくは。攻略対象を全員攻略済み、ということだぁ。ちなみにシークレットであるレオンハルト兄上も兄弟仲ラブラブカンストで攻略済みだぁ』
「な、なんですってぇぇぇぇっ???」
「…どうかしたの? サリー」
思わず、インナーの言葉に声を出して驚いてしまい。
マルチェロに、いぶかしげに見やられる。
「す、すみません。なんでもありません。思ったほど、校舎とか見えないなぁ、と思って」
マルチェロは、しどろもどろと言い訳をするぼくを、不審に思うこともなく。うなずいた。
「そうだね? もう少しいろいろ見れると思ったけど。校門からでは、ほぼ見えないね。今度、校舎内を見学する許可をもらって、それからもう一度来てみようか?」
ぼくはマルチェロにうなずきを返し。とりあえず、その場は終了にした。
っていうか。今? インナーの覚醒? したんだろうけどぉ。
っていうか、っていうか。インナー、もっと早く言ってよぉ???
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