上 下
53 / 180

35 おまえは何者なのだ?

しおりを挟む
     ◆おまえは何者なのだ?

 魔王様の膝に乗っている、ぼく。なぜでしょう?
 とりあえず、話は続きます。

「なぁ、サリエル。エレオノラはなぜ、ディエンヌを産むことができたのだと思う?」
 ぼくに問いかけながらも、魔王様は昔話をするような遠い目をして、言葉を続けた。

「出会った頃の彼女は。精気がみなぎり、肌もつやつやして、本当にまばゆいくらいの美しさを放ち。彼女もなんでもできそうな気分なの、と明るく笑っていた。彼女はサキュバスだ。下級悪魔とわかっていたけど。厳しい警護の俺の寝室に難なく入り込んで。俺に触れてきたから。彼女は…特異体質の、有能なサキュバスなのだろうと、思ったのだがな…」
 そうして、小さなため息をつく。

「だがディエンヌを産んだあとは、みるみると、なにもかもがおとろえていった。いいや、たぶん。元に戻っていったのだろう。今の彼女がエレオノラの本質なのだろうな」
「…ディエンヌを、魔王様の御子おこを身ごもったから、その魔力の恩恵で今まで魔王城にいられたのではありませんか?」

 ぼくも、母上がそれほどに衰えているのだということを知らなかったから。推測でしかないのだが。
 一応、ぼくの見解を述べてみた。

「うーん、そうかもしれないが。懐妊する前に、俺の元へ来れた理由はわからぬままだな。とにかく、彼女はもう魔王城にはいられない」
 遠き日の母上を見ていた魔王様は、フとぼくに視線を戻す。
 血の色の瞳が、ぼくの本質を見通そうとするかのようにあやしく光った。

「サリエル、おまえはどうなのだ? おまえの父が誰かは知らないが。下級悪魔の息子で、俺の血は一滴も入っていない。そんなおまえが、このまま魔王城で暮らしていけるのか?」

 父上は、一応ぼくのことを心配してくれたみたいだ。
 ディエンヌが言っていたように、母上と一緒にここから追い出す、という無慈悲な気持ちではなさそう。
 安心して。ぼくはニッコリ笑顔で。父上に申し上げた。

「御心配には及びません。ぼくは生まれたときからぼくのまま、なにも変わってはおりません。兄上のお屋敷で、変わらぬ暮らしを続けておりますし。ラーディン兄上やシュナイツ、ルーフェン兄妹という魔力の御強い方と、お友達として気兼ねなく日々過ごしております」
 そこまで言うと父上は、ふむと相槌を打つのだ。

「そうだな。おまえは、俺の魔力にも反応しない、鈍感体質だった」
 言い方、と思いつつ。
 まぁ、事実なので、仕方がないですね。

僭越せんえつながら、ぼくはレオンハルト兄上の婚約者でもありますし。よろしければ今まで通り、ぼくをドラベチカ家の末席に置いてくださいませ」
「あぁ、おまえがそうしたいというのなら、構わないぞ。俺は。エレオノラがこうなるまで、おまえのことを目にかけたことがなかった。ただ、俺の血脈であるディエンヌはともかく、エレオノラの子であるおまえは、大丈夫なのだろうかと、フト思いついただけなのだ。では、これまで通りでよいのだな?」

「はい。お気遣いくださり、ありがとうございました。ぼくは兄上のお屋敷で、幸せに暮らしております。これからもよろしくお願いします、父上」

 まぁ、父親としては。三男のことをすっかり忘れているのは、どうかと思うけど。
 ぼくは養子であるので、そんなものでしょう。多くは望みません。

 暴力などないので、痛くはないし。
 兄上が至れり尽くせりなので、ひもじい思いもしたことはないし。
 路頭に迷って、凍える寒さに泣くこともなかった。
 むしろ、王族の子という、立派な環境で育てられたのだ。
 不満など、なにもありませんよ。

 それに兄上に話を聞くと。
 兄上も、ほぼぼくと同じ境遇? 目をかけられない? そんな感じだったらしい。

 父上は自由奔放で。好奇心は旺盛で。面白いことしかしたくなくて。好色で。怠惰である。
 いわゆる、駄目な魔族を地でいっているやつ。
 だけど、どこか魅力的。色悪なのです。

 でも、魔王としては。いかにもな魔王だと思います。親的にはアウト、だけどね。

「ははは、おまえは礼儀正しいお子様だな? 俺に育てられなくてよかったな?」
 愉快そうに笑って、魔王様はぼくを膝の上でぽよんぽよんさせるのだった。

 魔王様がぼくを育てたら、ぼくも色悪になったのでしょうか?
 切れ長の色っぽいお目目で、人々をばんばん魅了する、イケてるインキュバスな、ぼく。
 それはもはや、ぼくではなくないですかぁ? へへ?
 でも、たぶん。魔王様が子育てするの、無理だと思います。
 赤子にミルク飲ませていても、美人が通ったら赤子ほったらかしにしそうだもの。

「サリエルっ、無事かっ?」
 そこに、レオンハルト兄上の声が響いた。

 突然バンと扉が開いて兄上が登場したから、ぼくもびっくりしました。
 人払いを申し付けられていた使者さんが、アワアワしているけれど。
 兄上を止められる魔力を持つ者は、もう魔王様しかいませんからね。

 兄上が、なんか、すみません。

「おい、レオンハルト。俺は、人払いをしていたんだがなぁ? それに無事かって、なんだ? 親子の対話で危害があるわけないだろが?」
「あなたに関しては、わかりませんよ。お披露目会で魔力を垂れ流すような、空気の読めないお方ですからね? つか、私に話を通さずにサリエルひとりを呼びつけるとは、穏やかではありませんねっ、父上っ!!」

 魔王様そっくりの顔立ち、髪の先が少しウェーブした兄上が。
 コツコツと荒げた足取りで。
 赤い絨毯の上を、怒鳴りながら歩いてきます。ひえぇ?

「はぁああん? なにを息巻いているのだぁ? まさかおまえも、俺がこの丸いのに手を出すとか思ったんじゃねぇよなぁ? つか、しつけがなっていないぞ? サリエルは俺のこと、見境なく手を出す色狂いみたいに言いやがったんだぞ?」
「なにも間違っていないではありませんか? 父上。あなたは好色で、老若男女に手を出す色狂いで合っていますから。さぁ、サリエル。こちらにおいで。膝に乗っているだけで懐妊しそうだ」

 か、懐妊、ですかぁ?
 ぼく男なので、大丈夫だと思いますが。
 比喩ですよね? 父上はそれだけ、好色だという。
 イケメンと目が合うと、それだけで妊娠しそう、とか言う御令嬢の心境ですよね?
 はい。備考欄にも書いてありましたから。要注意ですよね?

 ってことで兄上に呼ばれたので、妊娠する前に魔王様の膝から降りようとしたのだけど。
 父上が、ぼくをムギュっと抱きしめた。
 あららぁ? はじめて父上に、ギュ、されちゃいましたぁ?
 父の抱擁、ちょっと嬉しい。

「あぁあん? まだ話は終わってないんだがぁ? つか、なんだこのもちもちは? 程よい弾力、吸い付くようなしっとりもっちり感。食べたら美味そうだ」
 魔王様は、ぼくのしっとりもっちりわがままボディをムギュムギュしながら頬擦りした。
 た、食べないでくださいませぇ?
 たぶん美味しくないですよ? 脂身あぶらみで。

「…貴様、父といえど許さぬぞ? 私のサリュを、いやらしい手つきで揉み揉みするんじゃないっ、私だって、そこまではしたことがないのにぃ!!!」
 兄上が、額の御ツノを赤くして、完全に怒っちゃいました。
 凶悪魔力の垂れ流しです。あわわ。
 兄上がこじ開けた扉の向こうで、し、使者さんが、失神です。
 そして、扉の所で様子をうかがうシュナイツも、オロオロですぅ。

「はは、婚約したくせにずいぶん清らかなお付き合いじゃないか? いやぁ、ひとつ屋根の下にいながら手も出せぬとは、とんだ腑抜けだ。次期魔王が、婚約者に形無しの腰抜けでは。示しがつかんなぁ?」
 魔王様も兄上に対抗して、魔力を垂れ流しています。
 つか、兄上をあおらないでください。

「余計なお世話だっ、つか、早くサリエルを離せえぇっ! それとも力づくで、おまえを玉座から引き下ろしてやろうかぁぁぁあ?」
「あぁあん、やってみるか? 腑抜けの腰抜けめ。未熟なおまえには、まだまだ魔王の玉座は早い」

 あぁ、このままでは、魔王大戦争勃発です。
 つか、史上最悪の親子喧嘩です。
 そんなのは、いけません。家族は仲良く、ですっ。

「ストーーーーーーップ!」
 ぼくは大きな声をあげて、手も上げて。短い腕でふたりを制します。

 虚を突かれた魔王様。
 驚いている隙に、ぼくは膝から降りて。兄上のそばに駆け寄りました。

「兄上、ご心配おかけしましたが大丈夫でございます。エレオノラ母上が魔王城を出るので、ぼくはどうするかと聞かれただけなのです。今まで通り、ここにいていいと許可をいただきました」
 ぼくは兄上の手を、両手でぎゅっと握ります。
 すると兄上は床に膝をついて。ぼくと目をしっかり合わせた。

「魔王の許可などなくても、サリュは私のうちの子だ。どこにもやらぬ」

「母上が後宮から去っても、ぼくは兄上のおそばにいたいのです。いいですか?」
 兄上は感動したかのように、目を潤ませて。そっと微笑んだ。
「あぁ、もちろんだ。嬉しいよ、サリュが自分からそう望んでくれるなんて。ありがとう」
 レオンハルト兄上はギュウッと抱きしめてくれて。
 ぼくも、受け入れられて嬉しかった。

 自分で、魔王城一択、とか思ったけれど。
 兄上の意見を聞いていなかったからね?
 今まで通りでいいって、兄上にも思っていただいて、良かったです。

 だから、兄上の背中に腕は回らないが。脇腹にそっと、丸い手をプヨッと添えた。

「さぁ、私たちのうちに帰ろうか。っ」
 立ち上がった兄上は、ぼくの手をつないで、魔王に背を向けた。
 最後に、結構な挑発をしたけど。

「サリエルっ!」
 玉座に座って、ぼくたちを睥睨へいげいする魔王様に、声をかけられ。
 ぼくは兄上と手をつないだまま振り返った。

「下級悪魔の母を持ち、魔力もツノもないのに。俺の魔力に恐れおののかず、次期魔王と目されるレオの婚約者としてそばにあれるおまえは。いったい…おまえは何者なのだ?」

 ぼくは、ぼくが何者であるかなんて、わからない。
 母上のことは知っているが、母がサキュバスだからぼくはインキュバス…と、そんな簡単なものではなさそうだしねぇ。
 ぼくには、ツノも魔力もないから。インキュバスできるのか、謎です。

 それに、本当の父上がどういう種族なのか、それもわからないし。
 魔力がないから、魔法もできないし。ツノもないから。もしかしたら魔族ではないのかもしれないけれど。

 でも、たったひとつだけ。確かなのは。
「ぼくは、サリエルです。魔王の三男で、レオンハルト兄上の婚約者。それだけです」
 もしも魔王の三男という肩書がなくなっても。
 兄上にぼく以外の好きな人ができて、婚約破棄されても。

 でも。ぼくは、サリエル。それだけは変わらないよ。

 兄上を見上げると、笑顔でぼくを見守ってくれているから。きっと、それでいいんだよね?
 そうして、ぼくは胸を張って謁見の間を出て行ったのだ。
 魔王様、またお話してくださいね?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

【完結】異世界転移パパは不眠症王子の抱き枕と化す~愛する息子のために底辺脱出を望みます!~

北川晶
BL
目つき最悪不眠症王子×息子溺愛パパ医者の、じれキュン異世界BL。本編と、パパの息子である小枝が主役の第二章も完結。姉の子を引き取りパパになった大樹は穴に落ち、息子の小枝が前世で過ごした異世界に転移した。戸惑いながらも、医者の知識と自身の麻酔効果スキル『スリーパー』小枝の清浄化スキル『クリーン』で人助けをするが。ひょんなことから奴隷堕ちしてしまう。医師奴隷として戦場の最前線に送られる大樹と小枝。そこで傷病人を治療しまくっていたが、第二王子ディオンの治療もすることに。だが重度の不眠症だった王子はスリーパーを欲しがり、大樹を所有奴隷にする。大きな身分差の中でふたりは徐々に距離を縮めていくが…。異世界履修済み息子とパパが底辺から抜け出すために頑張ります。大樹は奴隷の身から脱出できるのか? そしてディオンはニコイチ親子を攻略できるのか?

【完結】魔力至上主義の異世界に転生した魔力なしの俺は、依存系最強魔法使いに溺愛される

秘喰鳥(性癖:両片思い&すれ違いBL)
BL
【概要】 哀れな魔力なし転生少年が可愛くて手中に収めたい、魔法階級社会の頂点に君臨する霊体最強魔法使い(ズレてるが良識持ち) VS 加虐本能を持つ魔法使いに飼われるのが怖いので、さっさと自立したい人間不信魔力なし転生少年 \ファイ!/ ■作品傾向:両片思い&ハピエン確約のすれ違い(たまにイチャイチャ) ■性癖:異世界ファンタジー×身分差×魔法契約 力の差に怯えながらも、不器用ながらも優しい攻めに受けが絆されていく異世界BLです。 【詳しいあらすじ】 魔法至上主義の世界で、魔法が使えない転生少年オルディールに価値はない。 優秀な魔法使いである弟に売られかけたオルディールは逃げ出すも、そこは魔法の為に人の姿を捨てた者が徘徊する王国だった。 オルディールは偶然出会った最強魔法使いスヴィーレネスに救われるが、今度は彼に攫われた上に監禁されてしまう。 しかし彼は諦めておらず、スヴィーレネスの元で魔法を覚えて逃走することを決意していた。

異世界に転生してもゲイだった俺、この世界でも隠しつつ推しを眺めながら生きていきます~推しが婚約したら、出家(自由に生きる)します~

kurimomo
BL
俺がゲイだと自覚したのは、高校生の時だった。中学生までは女性と付き合っていたのだが、高校生になると、「なんか違うな」と感じ始めた。ネットで調べた結果、自分がいわゆるゲイなのではないかとの結論に至った。同級生や友人のことを好きになるも、それを伝える勇気が出なかった。 そうこうしているうちに、俺にはカミングアウトをする勇気がなく、こうして三十歳までゲイであることを隠しながら独身のままである。周りからはなぜ結婚しないのかと聞かれるが、その追及を気持ちを押し殺しながら躱していく日々。俺は幸せになれるのだろうか………。 そんな日々の中、襲われている女性を助けようとして、腹部を刺されてしまった。そして、同性婚が認められる、そんな幸せな世界への転生を祈り静かに息を引き取った。 気が付くと、病弱だが高スペックな身体、アース・ジーマルの体に転生した。病弱が理由で思うような生活は送れなかった。しかし、それには理由があって………。 それから、偶然一人の少年の出会った。一目見た瞬間から恋に落ちてしまった。その少年は、この国王子でそして、俺は側近になることができて………。 魔法と剣、そして貴族院など王道ファンタジーの中にBL要素を詰め込んだ作品となっております。R指定は本当の最後に書く予定なので、純粋にファンタジーの世界のBL恋愛(両片思い)を楽しみたい方向けの作品となっております。この様な作品でよければ、少しだけでも目を通していただければ幸いです。 GW明けからは、週末に投稿予定です。よろしくお願いいたします。

ようこそ異世界縁結び結婚相談所~神様が導く運命の出会い~

てんつぶ
BL
「異世界……縁結び結婚相談所?」 仕事帰りに力なく見上げたそこには、そんなおかしな看板が出ていた。 フラフラと中に入ると、そこにいた自称「神様」が俺を運命の相手がいるという異世界へと飛ばしたのだ。 銀髪のテイルと赤毛のシヴァン。 愛を司るという神様は、世界を超えた先にある運命の相手と出会わせる。 それにより神の力が高まるのだという。そして彼らの目的の先にあるものは――。 オムニバス形式で進む物語。六組のカップルと神様たちのお話です。 イラスト:imooo様 【二日に一回0時更新】 手元のデータは完結済みです。 ・・・・・・・・・・・・・・ ※以下、各CPのネタバレあらすじです ①竜人✕社畜   異世界へと飛ばされた先では奴隷商人に捕まって――? ②魔人✕学生   日本のようで日本と違う、魔物と魔人が現われるようになった世界で、平凡な「僕」がアイドルにならないと死ぬ!? ③王子・魔王✕平凡学生  召喚された先では王子サマに愛される。魔王を倒すべく王子と旅をするけれど、愛されている喜びと一緒にどこか心に穴が開いているのは何故――? 総愛されの3P。 ④獣人✕社会人 案内された世界にいたのは、ぐうたら亭主の見本のようなライオン獣人のレイ。顔が獣だけど身体は人間と同じ。気の良い町の人たちと、和風ファンタジーな世界を謳歌していると――? ⑤神様✕○○ テイルとシヴァン。この話のナビゲーターであり中心人物。

弟、異世界転移する。

ツキコ
BL
兄依存の弟が突然異世界転移して可愛がられるお話。たぶん。 のんびり進行なゆるBL

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

【完結】幽閉の王を救えっ、でも周りにモブの仕立て屋しかいないんですけどぉ?

北川晶
BL
 BLゲームじゃないのに、嫌われから溺愛って嘘でしょ? 不遇の若き王×モブの、ハートフル、ファンタジー、ちょっとサスペンスな、大逆転ラブです。  乙女ゲーム『愛の力で王(キング)を救え!』通称アイキンの中に異世界転生した九郎は、顔の見えない仕立て屋のモブキャラ、クロウ(かろうじて名前だけはあったよ)に生まれ変わる。  子供のときに石をぶつけられ、前世のことを思い出したが。顔のないモブキャラになったところで、どうにもできないよね? でも。いざ、孤島にそびえる王城に、王の婚礼衣装を作るため、仕立て屋として上がったら…王を助ける人がいないんですけどぉ? 本編完結。そして、続編「前作はモブ、でも続編は悪役令嬢ポジなんですけどぉ?」も同時収録。

処理中です...