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32 よける練習、再び
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◆よける練習、再び
スズメガズスの来襲によって、中断していましたが。
気を取り直して、よける練習、再び。です。
ズンチャッチャッと。ワルツのリズムで、エドガーと踊っています。
「つか、このみっちり密着したもっちり触感を体験したら、元に戻れなくなりそうです」
元に、ってなんですか? とエドガーのつぶやきに、思っていると。
「「「わかるー」」」
見学の三人が同調した。なんなんですか?
「あの吸い付くような手の感触とか、ポヨンと当たるお腹の感触とか? もう、ダンスとかどうでもよくって、むちぃぃと抱きつきたくなるのぉ」
マリーベルはそんな風に言いますが。
君はいつもぼくに抱きついているではないですか? あと、そろそろ淑女的にアウトな気がします。
「ディエンヌが踏むのは、ここぉ、ここぉっ」
彼らの話を無視して、本題です。
ペム、とエドガーの足を踏むと、彼は驚いて尻餅をついた。
「わぁ、なんですか? いきなりっ」
「だから、ディエンヌの足攻撃からよける練習ですよ」
エドガーが抗議してくるけど。最初から言っているでしょう? もう。
「尻餅なんかついたら、ディエンヌにあざ笑われるぞ? 私のご学友がそのように無様では、困る」
「そんなぁ、シュナイツ様ぁ。今のはサリエル様がいきなりだったからですぅ」
塩のシュナイツに、デレのエドガーが言い訳をする。
「ぼーっとしていたら駄目ですよ、エドガー。ぼくをディエンヌだと思って、華麗によけてくださいませ? ぶんちゃっちゃー、ブン、ここですよぉ」
ペム、と踏もうとすると、今度はうまくよけた。
続けて、ペム、ペム、と足を出すが。体勢を崩しながらもなんとかよけた。まぁ、良いでしょう。
「ディエンヌの足は、ダン、と来ますからね? 一発でも当たったら、死、ですよっ。さぁ、次っ」
鬼軍曹のごとく腰に手を当てて、仁王立ちで言うと。
はいはーいと手をあげたのは、マリーベルだ。
「マリーは、ディエンヌと踊らないのだから、関係ないだろう?」
兄であるマルチェロに言われるが。
「だってぇ、暇なのですものぉ。それにパンちゃんだって女の子パートばっかりじゃあ、男の子パートを忘れちゃうかもしれないわぁ? そうしたら私と踊れなくなっちゃう」
忘れられない記憶能力があるので、踊れなくなっちゃうことはないんですけど。
「わかりました。マリーベルも踊りたいのでしょう?」
手を出すと、マリーベルが淑女のように一礼してぼくの手を取り。
マルチェロは、すぐ甘やかすぅと口をとがらせるのだった。
だって、可愛いではありませんか?
ぼくと踊りたいなんて言ってくれる御令嬢は、マリーベルだけですしね?
そして、しばらく。マリーベルとダンスをする。
ディエンヌには、七歳のときにぼくは身長を抜かれ。
シュナイツにも抜かれ。
そして今はもう、マリーベルもぼくより五センチほど背が高くなりました。ムキィ。
マリーベルのダンスは、軽やかで、楽しくて、花の妖精さんのように気まぐれだけど、くるくるよく回る。
っんもも色のドレスの裾が広がって、とても可愛らしい踊り方だ。
そうだ、っんももの妖精さんだっ。
でもリードするぼくの方が、背が低いから。
なにやらしっくりときません。マリーに子守りをさせているみたいだ。
きっと、シュナイツやファウストと踊った方が、マリーベルは自由に踊れそう。
それにワルツは、一定距離を取ってする、紳士淑女のダンスだ。
でも、ぼくの腕が短いから。マリーとぼくが踊ると、どうしてもお腹がマリーに接触してしまう。
それは、あまりよろしくないのです。
それにそれに、そろそろこのような太っちょはキモイぃ、とマリーに言われそう。
でも、今はまだ、ぼくと踊りたいって言ってくれるんだよねぇ。優しい御令嬢です。
「さぁ、次はシュナイツですよ」
手を差し出すと、彼は手の甲にキスするフリをしてから、ダンス体勢に入る。
淑女から誘われたときは、そうして受けるのが基本です。
ぼくは、淑女ではないのですが。
そして、ぼくは踊りながらシュナイツの足を踏もうとするが。
シュナイツはエドガーのダンスを見て、もうコツをつかんでいるみたいだった。
ペム、と足を出しても、するりとかわす。さすがだ。
「上手ですね? シュナイツ」
「ぼくは、王族権限使ってでも、絶対ディエンヌとは踊らないけどね。でも兄上と踊れるのなら、いくらだってよける練習をいたします」
シュナイツは無難に一曲分終わらせて、優雅に礼をしてから離れた。
「次はマルチェロですよ? マルチェロは一番ディエンヌと踊る機会があるのですから、しっかりマスターしてくださいね? ここっ、ここのタイミングですよ?」
ペム、と足を出すと、マルチェロはサッとかわす。
マルチェロも運動神経がいいから、すぐにタイミングをのみ込んだ。
「はは、足をかわしつつ、流麗なダンスを求められるとは。まるでスリリングな遊戯のようだ」
マルチェロは、なにかのゲームをしているかのように面白がって、ダンスする。
そんなさわやかな彼だから。ぼくは、気がかりに胸をモヤモヤさせてしまうのだ。
「ディエンヌの婚約者になんかにならなかったら。このように苦労することなど、なかったのに…」
マルチェロがディエンヌと婚約して、半年以上経つが。
今も、まだ。この婚約をどうにかできないかと、ぼくは悩んでいる。
だって、ぼくの大事なお友達が傷つけられたら嫌でしょう?
そんな眉間を寄せるぼくに。マルチェロはそっと笑いかけるのだった。
「心配しないで? サリー。今のところ、ディエンヌは私に悪さは仕掛けてきていないよ? 彼女は賢いから、自分の立場が悪くなるようなことはしない。一生贅沢を望むなら、悪辣は表に出せないさ」
「そうですか。そうしておとなしくなってくれればいいのですが」
「まぁ、こうして足ダンするのだから、他のところで憂さを晴らしているのだろうが?」
「マルチェロに危害を加えられないのは、いいのですが。ストレスを周りに向けるのはいただけないね?」
小さくため息をつくと。
マルチェロは、マリーベルに似た軽やかなダンスで、ぼくをくるくる回すのだった。
目が回るぅ…のを回避するため、マルチェロの顔に視点を定めるのだが。
マルチェロとの身長差は、ぼくの頭が肩の下辺りな感じ。
ダンスを踊る男女の、ベストバランスだね。
なんとなく、ぼくは。王子様にエスコートされる優雅な御令嬢気分になって。
ときめいちゃうようなぁ? ときめかないようなぁ? そんな感じです。
いえ、兄上を差し置いて、ときめいたりはしませんけども。
「実際、婚約者と言っても。子供会は別のグループだし。月に一回の、婚約者が顔見せ交流するお茶会? あれぐらいしか接点はないよ」
ぼくは婚約者の兄上と同じ屋根の下で暮らしているので、そういう取り決めはないのだが。
ふつう貴族間の婚約は、月に一回顔合わせをして交流を深め、人となりを知っていくパターンらしい。
「むしろ、サリーとの方が多く顔を合わせているよ? 学年も、ディエンヌはひとつ下だから、学園に入ったらそうそう接近遭遇することもないだろう」
接近遭遇と言うと、魔獣に出くわしちゃった、みたいなニュアンスだけど。
ま、ディエンヌは近いものがあるよね。
マルチェロは、なんてことないという感じで、話していく。
「だから、サリー。気に病まないで? ま、彼女との婚約も、悪いばかりではないさ」
「…どういうところで?」
メリットは全く思い浮かばないので、いぶかしげに聞く。
「ディエンヌと結婚したら、サリーが義兄になるだろう? 義兄弟になったら、一緒に暮らしてもおかしくない。レオンハルトに捨てられたら、私がサリーの面倒を見るからね? どう転んでも、安泰だよ」
「捨てられませんし…たぶん。それにディエンヌと一緒に暮らすのは、ぼくは、ちょっと…むりぃ」
ぼくは、素直なのです。
たまに子供会で顔を合わせるのも、胃が痛くなるのに。
毎日一緒だなんて、苦行とか、修行とか、そのレベルです。
「はは、だったら私がサリーのおうちに遊びに行くから。泊まり込みでね?」
「それは、構いませんがぁ。その特典だけでは。ディエンヌとの婚約はリスキーすぎます」
「大丈夫、大丈夫。あまり悩むと、自慢の赤毛が抜けてしまうよ?」
のほほんは、ぼくの専売特許なのに。
マルチェロは、のほほんとほがらかに笑うのだ。
もう、仕方がないですね?
そこまで言うのなら。ぼくはもう、これ以上はなにも言いません。
ただ、お友達として。これからもマルチェロを守ります。そこは譲れませんよ?
ディエンヌをしっかり見張って、マルチェロが傷つけられたりしないように。尻拭いをがんばりますっ。
「母親が大変なときに、庭でダンスなんかしちゃって。のんきなものね?」
そこに、ババーンと効果音付きで現れたのは。ディエンヌだった。
なにやら雲行きが怪しい様子、です。
スズメガズスの来襲によって、中断していましたが。
気を取り直して、よける練習、再び。です。
ズンチャッチャッと。ワルツのリズムで、エドガーと踊っています。
「つか、このみっちり密着したもっちり触感を体験したら、元に戻れなくなりそうです」
元に、ってなんですか? とエドガーのつぶやきに、思っていると。
「「「わかるー」」」
見学の三人が同調した。なんなんですか?
「あの吸い付くような手の感触とか、ポヨンと当たるお腹の感触とか? もう、ダンスとかどうでもよくって、むちぃぃと抱きつきたくなるのぉ」
マリーベルはそんな風に言いますが。
君はいつもぼくに抱きついているではないですか? あと、そろそろ淑女的にアウトな気がします。
「ディエンヌが踏むのは、ここぉ、ここぉっ」
彼らの話を無視して、本題です。
ペム、とエドガーの足を踏むと、彼は驚いて尻餅をついた。
「わぁ、なんですか? いきなりっ」
「だから、ディエンヌの足攻撃からよける練習ですよ」
エドガーが抗議してくるけど。最初から言っているでしょう? もう。
「尻餅なんかついたら、ディエンヌにあざ笑われるぞ? 私のご学友がそのように無様では、困る」
「そんなぁ、シュナイツ様ぁ。今のはサリエル様がいきなりだったからですぅ」
塩のシュナイツに、デレのエドガーが言い訳をする。
「ぼーっとしていたら駄目ですよ、エドガー。ぼくをディエンヌだと思って、華麗によけてくださいませ? ぶんちゃっちゃー、ブン、ここですよぉ」
ペム、と踏もうとすると、今度はうまくよけた。
続けて、ペム、ペム、と足を出すが。体勢を崩しながらもなんとかよけた。まぁ、良いでしょう。
「ディエンヌの足は、ダン、と来ますからね? 一発でも当たったら、死、ですよっ。さぁ、次っ」
鬼軍曹のごとく腰に手を当てて、仁王立ちで言うと。
はいはーいと手をあげたのは、マリーベルだ。
「マリーは、ディエンヌと踊らないのだから、関係ないだろう?」
兄であるマルチェロに言われるが。
「だってぇ、暇なのですものぉ。それにパンちゃんだって女の子パートばっかりじゃあ、男の子パートを忘れちゃうかもしれないわぁ? そうしたら私と踊れなくなっちゃう」
忘れられない記憶能力があるので、踊れなくなっちゃうことはないんですけど。
「わかりました。マリーベルも踊りたいのでしょう?」
手を出すと、マリーベルが淑女のように一礼してぼくの手を取り。
マルチェロは、すぐ甘やかすぅと口をとがらせるのだった。
だって、可愛いではありませんか?
ぼくと踊りたいなんて言ってくれる御令嬢は、マリーベルだけですしね?
そして、しばらく。マリーベルとダンスをする。
ディエンヌには、七歳のときにぼくは身長を抜かれ。
シュナイツにも抜かれ。
そして今はもう、マリーベルもぼくより五センチほど背が高くなりました。ムキィ。
マリーベルのダンスは、軽やかで、楽しくて、花の妖精さんのように気まぐれだけど、くるくるよく回る。
っんもも色のドレスの裾が広がって、とても可愛らしい踊り方だ。
そうだ、っんももの妖精さんだっ。
でもリードするぼくの方が、背が低いから。
なにやらしっくりときません。マリーに子守りをさせているみたいだ。
きっと、シュナイツやファウストと踊った方が、マリーベルは自由に踊れそう。
それにワルツは、一定距離を取ってする、紳士淑女のダンスだ。
でも、ぼくの腕が短いから。マリーとぼくが踊ると、どうしてもお腹がマリーに接触してしまう。
それは、あまりよろしくないのです。
それにそれに、そろそろこのような太っちょはキモイぃ、とマリーに言われそう。
でも、今はまだ、ぼくと踊りたいって言ってくれるんだよねぇ。優しい御令嬢です。
「さぁ、次はシュナイツですよ」
手を差し出すと、彼は手の甲にキスするフリをしてから、ダンス体勢に入る。
淑女から誘われたときは、そうして受けるのが基本です。
ぼくは、淑女ではないのですが。
そして、ぼくは踊りながらシュナイツの足を踏もうとするが。
シュナイツはエドガーのダンスを見て、もうコツをつかんでいるみたいだった。
ペム、と足を出しても、するりとかわす。さすがだ。
「上手ですね? シュナイツ」
「ぼくは、王族権限使ってでも、絶対ディエンヌとは踊らないけどね。でも兄上と踊れるのなら、いくらだってよける練習をいたします」
シュナイツは無難に一曲分終わらせて、優雅に礼をしてから離れた。
「次はマルチェロですよ? マルチェロは一番ディエンヌと踊る機会があるのですから、しっかりマスターしてくださいね? ここっ、ここのタイミングですよ?」
ペム、と足を出すと、マルチェロはサッとかわす。
マルチェロも運動神経がいいから、すぐにタイミングをのみ込んだ。
「はは、足をかわしつつ、流麗なダンスを求められるとは。まるでスリリングな遊戯のようだ」
マルチェロは、なにかのゲームをしているかのように面白がって、ダンスする。
そんなさわやかな彼だから。ぼくは、気がかりに胸をモヤモヤさせてしまうのだ。
「ディエンヌの婚約者になんかにならなかったら。このように苦労することなど、なかったのに…」
マルチェロがディエンヌと婚約して、半年以上経つが。
今も、まだ。この婚約をどうにかできないかと、ぼくは悩んでいる。
だって、ぼくの大事なお友達が傷つけられたら嫌でしょう?
そんな眉間を寄せるぼくに。マルチェロはそっと笑いかけるのだった。
「心配しないで? サリー。今のところ、ディエンヌは私に悪さは仕掛けてきていないよ? 彼女は賢いから、自分の立場が悪くなるようなことはしない。一生贅沢を望むなら、悪辣は表に出せないさ」
「そうですか。そうしておとなしくなってくれればいいのですが」
「まぁ、こうして足ダンするのだから、他のところで憂さを晴らしているのだろうが?」
「マルチェロに危害を加えられないのは、いいのですが。ストレスを周りに向けるのはいただけないね?」
小さくため息をつくと。
マルチェロは、マリーベルに似た軽やかなダンスで、ぼくをくるくる回すのだった。
目が回るぅ…のを回避するため、マルチェロの顔に視点を定めるのだが。
マルチェロとの身長差は、ぼくの頭が肩の下辺りな感じ。
ダンスを踊る男女の、ベストバランスだね。
なんとなく、ぼくは。王子様にエスコートされる優雅な御令嬢気分になって。
ときめいちゃうようなぁ? ときめかないようなぁ? そんな感じです。
いえ、兄上を差し置いて、ときめいたりはしませんけども。
「実際、婚約者と言っても。子供会は別のグループだし。月に一回の、婚約者が顔見せ交流するお茶会? あれぐらいしか接点はないよ」
ぼくは婚約者の兄上と同じ屋根の下で暮らしているので、そういう取り決めはないのだが。
ふつう貴族間の婚約は、月に一回顔合わせをして交流を深め、人となりを知っていくパターンらしい。
「むしろ、サリーとの方が多く顔を合わせているよ? 学年も、ディエンヌはひとつ下だから、学園に入ったらそうそう接近遭遇することもないだろう」
接近遭遇と言うと、魔獣に出くわしちゃった、みたいなニュアンスだけど。
ま、ディエンヌは近いものがあるよね。
マルチェロは、なんてことないという感じで、話していく。
「だから、サリー。気に病まないで? ま、彼女との婚約も、悪いばかりではないさ」
「…どういうところで?」
メリットは全く思い浮かばないので、いぶかしげに聞く。
「ディエンヌと結婚したら、サリーが義兄になるだろう? 義兄弟になったら、一緒に暮らしてもおかしくない。レオンハルトに捨てられたら、私がサリーの面倒を見るからね? どう転んでも、安泰だよ」
「捨てられませんし…たぶん。それにディエンヌと一緒に暮らすのは、ぼくは、ちょっと…むりぃ」
ぼくは、素直なのです。
たまに子供会で顔を合わせるのも、胃が痛くなるのに。
毎日一緒だなんて、苦行とか、修行とか、そのレベルです。
「はは、だったら私がサリーのおうちに遊びに行くから。泊まり込みでね?」
「それは、構いませんがぁ。その特典だけでは。ディエンヌとの婚約はリスキーすぎます」
「大丈夫、大丈夫。あまり悩むと、自慢の赤毛が抜けてしまうよ?」
のほほんは、ぼくの専売特許なのに。
マルチェロは、のほほんとほがらかに笑うのだ。
もう、仕方がないですね?
そこまで言うのなら。ぼくはもう、これ以上はなにも言いません。
ただ、お友達として。これからもマルチェロを守ります。そこは譲れませんよ?
ディエンヌをしっかり見張って、マルチェロが傷つけられたりしないように。尻拭いをがんばりますっ。
「母親が大変なときに、庭でダンスなんかしちゃって。のんきなものね?」
そこに、ババーンと効果音付きで現れたのは。ディエンヌだった。
なにやら雲行きが怪しい様子、です。
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