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小枝編 エピローグ 【最終回】
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◆小枝編 エピローグ
黒雲がどんよりと天を覆う寒い日、チラチラと雪が舞っていた。
今日は一月六日、ぼくが十九歳の誕生日を迎える、その前日だった。
明日は第一王子の誕生を祝う盛大なパーティーが王宮で執り行われるが。
その前に大事な要件があって。
ぼくはある人物を大聖堂に呼んでいた。
大聖堂の入り口の前に馬車がつけられ、ぼくはラウルの手を借りて馬車から降りる。
昔はね、パパに抱っこされて天使のパタパタァなんてしていたよ。でもぼくはもう青年だから、ひとりで馬車から降りられるのだ。なのになんでかみんな、ぼくをエスコートしたがるから困っちゃうよね。ま、それはともかく。
大聖堂に足を踏み入れると、呼び出した人物はすでにいて、女神フォスティーヌ像の前で手を組んで祈りを捧げていた。ぼくの気配に気づいたようで、立ち上がり、ゆっくりと振り返る。
聖堂に相応しく華美ではない紺色のドレスを身につけている、ミカエラだ。
ぼくは大聖堂の長い通路に足を進め、彼女の前へと歩いていくと。女神フォスティーヌの御前で彼女の手を両手で包んだ。
「ミカエラ、明日は君を選んでいい?」
ぼくの言葉を聞いたミカエラは、目を丸くして。
大聖堂に『ひゃーーーーい』という声が響いてこだました。
★★★★★
一月六日の深夜、ぼくは父上とパパとジョシュア、そして王宮で一緒に暮らす家族とともに、一月七日の日をまたいだ。その瞬間、ぼくは十九歳になったのだ。
「おめでとう、小枝。ほら、大丈夫だっただろう?」
いつものほのぼのスマイルでパパにそう言われ、ぼくはパパに抱きついて泣きました。
前世では、十八歳のときに処刑されて死んだ。
だから、この十九歳という日を元気に迎えられるまでは、気が気ではなかったのだ。
この異世界に再び召喚されたとき、ぼくは五歳で。パパにコアラ抱っこをしてもらっていた。
でも今は、パパの背も追い越して。パパを腕の中に抱き締めると、パパが小さいなと感じる。
大きな大きな大樹だったパパが。
小さくて今にも折れそうな小枝を、ここまで立派に育ててくれたのです。
そして、処刑の運命も一緒に乗り越えてくれました。
ありがたくて、泣いちゃうでしょう?
「小枝、良かったな。私は小枝が処刑されないようにするため、王になる道を選んだのだ。それが果たされて、私も感無量だよ」
「ありがとうございます、父上」
ぼくは父上ともハグします。
女神にパパを取り上げられたとき、ぼくは父上と乗り越えました。父上がいなかったら、ぼくはパパが帰ってくる前に憔悴して死んでいたかもしれません。
いつもぼくの味方だった父上にも、感謝しています。
「コエダ…」
ジョシュアとは、言葉もなく抱き合って、喜びを分かち合いました。
パパが帰ってきたときに、子供のぼくらは小さな体でヒシッと抱き合って喜びを分かち合いましたが。そのときのことをなんだか思い返してしまいます。
そして、深夜にもかかわらずこの瞬間に立ち会ってくれた、エルアンリ様、オズワルド、ルリアという家族たち。みんな『こえだのよげんしょ』を読んで、心配してくれて。ぼくが無事にこの日を迎えるのを見守ってくれました。みんなぼくの優しい家族です。
「この感動の日は、明日盛大に祝おう。客人の前で寝不足の顔は見せられぬからな、今日はここで解散だ」
父上が手を叩いて解散をうながしますが、成人の家族陣はごねます。
「えぇ? 兄上、この良き日を飲み明かしましょうよ」
オズワルドの言葉に父上は首を横に振った。
「駄目だ。明日なら飲み明かすのもやぶさかでないが?」
「やった。ではパンジャリアから取り寄せた樽の米酒を開けましょう。決まりですっ」
酒豪のルリアが満面の笑みで言う樽の米酒とは、まさか、公爵じぃじ念願の鏡開きではないですか?
パパを見やると、苦笑しているから。そうなのですね?
きっと公爵じぃじも明日は喜んでくれるでしょう。
そして、その場はみなさん解散しましたが。
ジョシュアがそっと寄ってきて。
「コエダ、明日な?」
と、こっそり囁くので。ぼくは苦笑して曖昧に流すのだった。
というわけで。
すでに運命を乗り越えているぼくは、朝の目覚めを気分爽快に迎えたのだった。
昨晩降っていた小雪は積もることもなく、今日は晴れ渡る青空が天に広がっている。
パーティー日和だね。ま、本番はこれからだ。
今日はぼくにとって、特別な一日になる。
★★★★★
一月七日の昼過ぎ。王宮の中にある一番大きな舞踏会会場には、すでに大勢の招待客がひしめき合っていた。
貴族のみなさんは、ぼくの動向を感じ取るためにこの誕生日会に足を運んでいる向きがある。
ぼくの動向というのは、いわゆる伴侶選び、ぼくのお相手誰ですかぁ大会のことだ。
王族から相手を選べば、ぼくが立太子し。
外部の者を選べば、一代公爵位を授けられる。
貴族の方たちはそれによって、誰と懇意にするのかを見極めなければならないのだ。
つか、誰が相手でも真面目に仕事をしてくれればいいのですけどね。
期限はぼくが二十歳になるまで。つまり期限が迫っているのでね、そろそろ動きがあるのではないかと思っているようです。
みなさま、するどいですねぇ。
そして、スタインベルン王国第一王子コエダの十九歳の誕生日会が始まった。
一段高くなったところに、王と王妃の椅子が並び、そこにまず盛装姿の父上とパパが腰かけた。
そして、ぼくは紫色の衣装にジョシュアにもらったブローチをつけた姿で、パパの横に並び立ち。
階段の途中に、王族のみなさんが並び立つ。エルアンリ様と奥方のジュリア。そしてぼくの伴侶候補である、エルアンリ様のお子様たち、マルティーヌ、エラルド、ギリアルス、ルクス、メルク。オズワルドとルリア、そしてジョシュアだ。
オズワルドとルリアとジョシュアは、騎士の最上級の正装である、マントをまとう騎士服を身につけていた。
というわけで、まずは国王であるディオン父上が挨拶します。
「今日は我が息子、小枝の誕生日会への参列に、感謝する。さっそくだが小枝から皆に話があるということなので、耳を傾けてもらいたい」
そう言って、父上はぼくに場を譲った。
ぼくは会場のみなさまに、高らかに告げる。
「本日は、私の十九歳の誕生日を祝ってくださり、ありがとうございます。そしてここで、大事な御知らせをしたいと思います。期限までは少し早いですが気持ちが固まりましたので、発表します」
招待客が、婚約候補の決定かとざわめく中で、ぼくは壇上を降り、階段をくだっていく。そして一段残したところで、口を開いた。
「ミカエラ・ベルケ公爵令嬢、前へ」
「はい」
ぼくの言葉に、貴族の方たちが感嘆のため息を漏らす。
ミカエラは伴侶候補の条件である第三親等に当たり、彼女を選べば王位継承権も維持できる。
招待客は美男美女カップルの誕生かと色めいたのだ。
前に出てきたミカエラの手を取り、階段の上に恭しく登らせる。
「ミカエラ嬢、あなたを聖女付き高位神官の地位に任ずる。高位神官とは、聖女のお役目や神事を行う際に補佐を務めてもらうために新設した、特別な役職です。ミカエラ嬢、引き受けてもらえるかな?」
「聖女様、謹んでお受けいたします。微力ながら、聖女であるコエダ様に誠心誠意御助力させていただきます。そして、コエダ様を侮ったり、軽んじる方々を、私は許すことなく。女神の僕である尊き聖女様を、生涯敬い慈しむと誓いますわ」
緑色の鮮やかなドレスを身につけたミカエラは、たっぷりとしたスカートを指先で摘まみ、ぼくに頭を垂れて淑女の礼を取ったのだった。そして頭を上げたあとは、麗しい微笑みをぼくに向けて、控えめに階段の脇に寄る。
眼鏡がないからほぼほぼ見えていないとみた。
それはともかく。メインイベントです。
ぼくは数段階段を上がり、ジョシュアの前に立つ。
「ジョシュア・スタインベルン。あなたを私の婚約者に指名します」
マントを手でひらりと払って広げると、ジョシュアはぼくの前に跪いた。
「この日を、心待ちにしておりました。あなたに永遠の忠誠を捧げ、生涯あなたを補佐し、あなたと、あなたが統べるこのスタインベルン王国の礎となることを誓います。コエダ・スタインベルン、どうか私と結婚してください」
「はい。ジョシュアの伴侶になります」
ぼくが承諾すると、見守っていた招待客が大きな拍手を贈ってくれた。
ジョシュアは立ち上がると、ぼくを抱き寄せ、大勢の前でキスをしたのだ。
ひゃあ、恥ずかしい。
カカッと頬が熱くなるけど、でも幸せの儀式なんだね?
ジョシュアのくちづけは、いつもぼくをくるんで守ってくれた、その彼を表するように優しかった。
長身のジョシュアが頭を傾けるようにして、くちづけていた唇を離す。その身長差には、少し思うところのあるぼくだが、とりあえず笑顔で彼に寄り添い招待客に告げました。
「皆さま、王位継承の件で長らくご心配をおかけしました。私はジョシュアの助力を得て、王位を継承することになります。先の話ではありますが、私たちをあたたかい目で見守っていただければ幸いです。では祝宴をおたのしみくださいませ」
そうです。誕生日会はこれからですよ。
招待客のみなさまは興奮冷めやらぬと言った感じで、各々歓談し始める。
すると、一番にルリアがぼくらのそばに寄ってきた。
「コエダ、ジョシュア、正式な婚約おめでとう。しかし…しかしな、コエダっ。王様は側室を持ってもいいのだぞ」
ようやくぼくらの婚約だというのに、ルリアは側室をぼくに勧めるのだった。
「頼む、私を側室にしてくれ、コエダ。コエダはジョシュアとラブラブしていていいのだ、私はコエダの子供をバンバン産んでやるからな? そうしたら王家も安泰だろう? つか、二十八歳の王女は完全に行き遅れなのだ。誰も私を嫁にしてくれぬぅ」
そりゃあ、騎士服をビシリと着こなして、ぼくより髪を短く整えて、そこらの騎士より断然男前の麗人なのだからね。招待客も、男性より御令嬢の方がルリアを熱い視線でみつめている。
「妹よ、それは年のせいではないのだ」
ルリアの訴えに困っていると、オズワルドがルリアの首根っこをつかんでくれた。
「空気を読め、ルリア。すまない、妹がごねて」
「いえ、いいのです。ルリアはぼくが養います。ずっと王家にいればいいですよ」
兄にいさめられてシュンとしていたルリアは、ぼくの言葉にパッと顔を明るくする。
「それは、私を側室にしてくれるということか?」
「いえ、側室はないです」
きっぱり否定して、ルリアはがっかりした。
ごめぇん、でもぼく、ジョシュアだけで精いっぱいなんで。
「ですが…護衛騎士はラウルとアゼルがいますが、近衛騎士としてルリアには私を守護する役目を受けてほしいのです。どうですか?」
「本当か? 嫁に行かぬ叔母を煙たがらないでいてくれるのか? ならば私はコエダを生涯守護することを誓うぞ」
「良かったな、ルリア。さぁ、行くぞ。恋人たちのスイートタイムを邪魔するな」
生涯雇用をゲットしたルリアは満面の笑みで、オズワルドに連れられて行った。
嵐が去りました。
するとジョシュアが、ため息交じりに言うのだ。
「ミカエラの名を最初に呼んだときは、少し焦ったぞ」
笑顔を作りながらも、ちょっと怒った低めの声を出す。
なので、ぼくは種明かしをしました。
「サプライズですよ。簡単にさらりといったら面白くないでしょ?」
「プロポーズに面白味はいらないだろうがっ」
「だって、みんなの前でプロポーズなんて、恥ずかしいのですよ。サプライズで気を紛らわせたかったのですよ」
「結婚式でサプライズやったら殺すからな」
「たっはーーっ、冗談が通じない王子だよ、王弟だけどっ」
笑顔は絶やさず、肘で小突いたりして。ぼくたちは相変わらずのワチャワチャなのだった。
「ミカエラには事前に知らせていたのです。神の手のパパも、高位神官とは接点を持つことになるので承知していて。知らなかったのはジョシュアだけ、みたいな?」
「腹立つ。つか、なんで事前に言ったんだ? ミカエラもサプライズで良かったのに」
「だって、いきなりここで指名したら、みんなの前でひゃーーいになるだろ?」
「確かに。コエダに呼ばれたのに、ひゃーーいが出ていなかったな」
そんな話をしていたら、どこかでひゃーーいが聞こえた。
あっ、パパがミカエラに話しかけてる。
小枝をよろしくね、なんて言っているぅ。
パパ、神の手鬼信者のミカエラはまだパパに免疫がないから、その辺で許してあげてぇ。
「しかし、なんでミカエラを高位神官に任命したんだ? 神事は大聖堂の神官が担っていたのに、ミカエラのために新しい役職を作るなんて」
ジョシュアにたずねられ、ぼくはこっそり話します。
「学園に在籍中から思っていたことなのですが。ぼくに王家の血が入っていないのはみなさんご存じで、スタインベルンでない者を王位に就かせたくない、王族のジョシュアにも相応しくないと思う者が一定数いるのですよ。しかしその一派はミカエラ支持者になるのです。王家の血筋であるミカエラは王妃に相応しく、後押ししたくなるのでしょう。ミカエラ自身にぼくと敵対する気持ちがないことは明らかなのにね。だから、高位神官という特別職を与え、神事に重用することで、ミカエラを手厚く遇していると世間に示し、ミカエラがぼくの側につくことで敵対勢力は自然に瓦解していくことになります」
「なるほど、うまいこと考えたな」
「ぼくもいろいろ考えているのですよぉ。父上がすぐにも立太子するとか言うからね。イヤでも王位が目の前にチラつくというか?」
「七月に大聖堂の予約を取っているらしいぞ。結婚と立太子の儀をする算段だって、兄上が言っていた」
「マジで? 気が早すぎです」
これは悠長に構えていられません。
「ジョシュア、ちょっとバルコニーに出よう」
王宮の舞踏会会場にはところどころバルコニーがあって、酒宴から抜け出してひと休みするのに適した空間になっている。しかし今日は一月で、まだ外は肌寒いので、バルコニーに出る客は少なかった。
「コエダ、寒くないか? 外に出るなんて、会場でできない話でもあるのか?」
ほんのり息を白くさせるジョシュアがぼくに聞いた。
昨日は小雪がちらほら舞ったから、確かにちょっと寒いんだけど。
「そうなんだ。真面目な話をしたくてね。ジョシュア、今まで待たせてごめん。そして、今日まで待ってくれてありがとう。ぼくはね、十八で死んでしまうかもしれないって思って、どれだけジョシュアと仲睦まじくても求婚に応じられなかった。でもその他にもね、ジョシュアが豹変してぼくへの愛を踏みつけるときがくる、そんな恐れも持っていたんだ」
「そんな私は、私ではない」
ジョシュアは即座に否定してくれて。ぼくは嬉しくて、微笑む。
「うん、そうだった。ぼくが恐れていた未来は訪れなかった。婚約してとはじめて言われたときから、十三年もの長い年月、ジョシュアはひたすらぼくを愛して、ぼくを守ってくれた。感謝している。その大きな愛に早く応えたいって、そう思ったよ」
ぼくは彼の手を握り、正面から向かい合って告げた。
「さっきはみんなの前だったからね、自分の言葉じゃなかった。だからね、言うよ。ぼくをジョシュアのお嫁さんにしてください」
い、言った。
ぼくだってプロポーズしたかったんだから。ずっと、ずっと。
ぼくのためにジョシュアが一生懸命精進しているところを見るたびに、早く彼の想いに応えたいって思ってきたんだ。
ようやく素直に、心の奥に秘めてきたぼくの気持ちを、彼に打ち明けられた。
だから今日は、ぼくにとっての特別な日なのだ。
でも。ジョシュアは固まってしまって。
いつもキラキラしているサファイアの瞳がウルリと濡れて。
涙がポロリと落ちたのだ。
えええええ? 泣いた? ジョシュアが、泣いた?
頬に伝った涙に気づいたのか、ジョシュアはハッとして。ぼくの手から離れて涙をぬぐう。そしてその手で口をおさえ、そのまま横を向いてしまった。
「すまない、感動して。まさか、コエダから言ってもらえるなんて…」
「だからって、もう、イケメンスパダリ王子が台無しですよ」
ぼくの言葉に、ジョシュアは目を潤ませながらも優しく笑い返してくれて。
ぼくも、そう言いながらも、ちょっと涙が出た。
ぼくたち、おあずけがちょっと長すぎたね?
子供のとき、女神の元から帰ってきたパパが、もう心配いらないよって言ってくれたけど。
臆病なぼくは、どうしても怖くて。
でもおびえるぼくを、ジョシュアは辛抱強く待ってくれました。嬉しかったよ、王子。
「コエダに王子と言われると、子供の頃に戻ったみたいだな。内股だったコエダ…」
「内股は余計です…」
ぼくはちょっと拗ねて、唇を突き出すけど。
ぼくの目にも、目の前のジョシュアが子供の王子に見えていた。
サラサラの金髪に青い目の、ツンととがった唇の形がちょっと生意気そうに見える、小さな王子。
ジョシュアはポケットから小箱を出した。ふたを開けると、青紫色の宝石で花のモチーフが形作られている、銀の指輪が入っている。
「この指輪のスミレは、私の初恋の象徴だ。ひと目惚れしたコエダにはじめて声をかける前、スミレ色の衣装を身につけた男の子に贈りたくて、季節外れのスミレを一生懸命探した」
一呼吸おいて、王子は真剣な眼差しをぼくに向けた。
「私のスミレを、コエダの指に咲かせてほしい。コエダ、私と婚約してください」
子供の頃に散々聞いたフレーズ。
ぼくはそれに、ルンと、とびきりの笑顔を返す。
「はい、王子」
幼きあの日に言えなかった返事をする。
王子が差し出す手に、左手を添え。指輪がそっとはめられた。
そして童心に返って、ぼくらは無邪気に笑い合うのだ。
これは、前世で過酷な運命をたどり、生まれ変わってもその運命におびえていたぼくが。
今世では情け深い家族と優しいジョシュアに愛されて幸せになりましたとさ、めでたしめでたし。になる物語。
end
黒雲がどんよりと天を覆う寒い日、チラチラと雪が舞っていた。
今日は一月六日、ぼくが十九歳の誕生日を迎える、その前日だった。
明日は第一王子の誕生を祝う盛大なパーティーが王宮で執り行われるが。
その前に大事な要件があって。
ぼくはある人物を大聖堂に呼んでいた。
大聖堂の入り口の前に馬車がつけられ、ぼくはラウルの手を借りて馬車から降りる。
昔はね、パパに抱っこされて天使のパタパタァなんてしていたよ。でもぼくはもう青年だから、ひとりで馬車から降りられるのだ。なのになんでかみんな、ぼくをエスコートしたがるから困っちゃうよね。ま、それはともかく。
大聖堂に足を踏み入れると、呼び出した人物はすでにいて、女神フォスティーヌ像の前で手を組んで祈りを捧げていた。ぼくの気配に気づいたようで、立ち上がり、ゆっくりと振り返る。
聖堂に相応しく華美ではない紺色のドレスを身につけている、ミカエラだ。
ぼくは大聖堂の長い通路に足を進め、彼女の前へと歩いていくと。女神フォスティーヌの御前で彼女の手を両手で包んだ。
「ミカエラ、明日は君を選んでいい?」
ぼくの言葉を聞いたミカエラは、目を丸くして。
大聖堂に『ひゃーーーーい』という声が響いてこだました。
★★★★★
一月六日の深夜、ぼくは父上とパパとジョシュア、そして王宮で一緒に暮らす家族とともに、一月七日の日をまたいだ。その瞬間、ぼくは十九歳になったのだ。
「おめでとう、小枝。ほら、大丈夫だっただろう?」
いつものほのぼのスマイルでパパにそう言われ、ぼくはパパに抱きついて泣きました。
前世では、十八歳のときに処刑されて死んだ。
だから、この十九歳という日を元気に迎えられるまでは、気が気ではなかったのだ。
この異世界に再び召喚されたとき、ぼくは五歳で。パパにコアラ抱っこをしてもらっていた。
でも今は、パパの背も追い越して。パパを腕の中に抱き締めると、パパが小さいなと感じる。
大きな大きな大樹だったパパが。
小さくて今にも折れそうな小枝を、ここまで立派に育ててくれたのです。
そして、処刑の運命も一緒に乗り越えてくれました。
ありがたくて、泣いちゃうでしょう?
「小枝、良かったな。私は小枝が処刑されないようにするため、王になる道を選んだのだ。それが果たされて、私も感無量だよ」
「ありがとうございます、父上」
ぼくは父上ともハグします。
女神にパパを取り上げられたとき、ぼくは父上と乗り越えました。父上がいなかったら、ぼくはパパが帰ってくる前に憔悴して死んでいたかもしれません。
いつもぼくの味方だった父上にも、感謝しています。
「コエダ…」
ジョシュアとは、言葉もなく抱き合って、喜びを分かち合いました。
パパが帰ってきたときに、子供のぼくらは小さな体でヒシッと抱き合って喜びを分かち合いましたが。そのときのことをなんだか思い返してしまいます。
そして、深夜にもかかわらずこの瞬間に立ち会ってくれた、エルアンリ様、オズワルド、ルリアという家族たち。みんな『こえだのよげんしょ』を読んで、心配してくれて。ぼくが無事にこの日を迎えるのを見守ってくれました。みんなぼくの優しい家族です。
「この感動の日は、明日盛大に祝おう。客人の前で寝不足の顔は見せられぬからな、今日はここで解散だ」
父上が手を叩いて解散をうながしますが、成人の家族陣はごねます。
「えぇ? 兄上、この良き日を飲み明かしましょうよ」
オズワルドの言葉に父上は首を横に振った。
「駄目だ。明日なら飲み明かすのもやぶさかでないが?」
「やった。ではパンジャリアから取り寄せた樽の米酒を開けましょう。決まりですっ」
酒豪のルリアが満面の笑みで言う樽の米酒とは、まさか、公爵じぃじ念願の鏡開きではないですか?
パパを見やると、苦笑しているから。そうなのですね?
きっと公爵じぃじも明日は喜んでくれるでしょう。
そして、その場はみなさん解散しましたが。
ジョシュアがそっと寄ってきて。
「コエダ、明日な?」
と、こっそり囁くので。ぼくは苦笑して曖昧に流すのだった。
というわけで。
すでに運命を乗り越えているぼくは、朝の目覚めを気分爽快に迎えたのだった。
昨晩降っていた小雪は積もることもなく、今日は晴れ渡る青空が天に広がっている。
パーティー日和だね。ま、本番はこれからだ。
今日はぼくにとって、特別な一日になる。
★★★★★
一月七日の昼過ぎ。王宮の中にある一番大きな舞踏会会場には、すでに大勢の招待客がひしめき合っていた。
貴族のみなさんは、ぼくの動向を感じ取るためにこの誕生日会に足を運んでいる向きがある。
ぼくの動向というのは、いわゆる伴侶選び、ぼくのお相手誰ですかぁ大会のことだ。
王族から相手を選べば、ぼくが立太子し。
外部の者を選べば、一代公爵位を授けられる。
貴族の方たちはそれによって、誰と懇意にするのかを見極めなければならないのだ。
つか、誰が相手でも真面目に仕事をしてくれればいいのですけどね。
期限はぼくが二十歳になるまで。つまり期限が迫っているのでね、そろそろ動きがあるのではないかと思っているようです。
みなさま、するどいですねぇ。
そして、スタインベルン王国第一王子コエダの十九歳の誕生日会が始まった。
一段高くなったところに、王と王妃の椅子が並び、そこにまず盛装姿の父上とパパが腰かけた。
そして、ぼくは紫色の衣装にジョシュアにもらったブローチをつけた姿で、パパの横に並び立ち。
階段の途中に、王族のみなさんが並び立つ。エルアンリ様と奥方のジュリア。そしてぼくの伴侶候補である、エルアンリ様のお子様たち、マルティーヌ、エラルド、ギリアルス、ルクス、メルク。オズワルドとルリア、そしてジョシュアだ。
オズワルドとルリアとジョシュアは、騎士の最上級の正装である、マントをまとう騎士服を身につけていた。
というわけで、まずは国王であるディオン父上が挨拶します。
「今日は我が息子、小枝の誕生日会への参列に、感謝する。さっそくだが小枝から皆に話があるということなので、耳を傾けてもらいたい」
そう言って、父上はぼくに場を譲った。
ぼくは会場のみなさまに、高らかに告げる。
「本日は、私の十九歳の誕生日を祝ってくださり、ありがとうございます。そしてここで、大事な御知らせをしたいと思います。期限までは少し早いですが気持ちが固まりましたので、発表します」
招待客が、婚約候補の決定かとざわめく中で、ぼくは壇上を降り、階段をくだっていく。そして一段残したところで、口を開いた。
「ミカエラ・ベルケ公爵令嬢、前へ」
「はい」
ぼくの言葉に、貴族の方たちが感嘆のため息を漏らす。
ミカエラは伴侶候補の条件である第三親等に当たり、彼女を選べば王位継承権も維持できる。
招待客は美男美女カップルの誕生かと色めいたのだ。
前に出てきたミカエラの手を取り、階段の上に恭しく登らせる。
「ミカエラ嬢、あなたを聖女付き高位神官の地位に任ずる。高位神官とは、聖女のお役目や神事を行う際に補佐を務めてもらうために新設した、特別な役職です。ミカエラ嬢、引き受けてもらえるかな?」
「聖女様、謹んでお受けいたします。微力ながら、聖女であるコエダ様に誠心誠意御助力させていただきます。そして、コエダ様を侮ったり、軽んじる方々を、私は許すことなく。女神の僕である尊き聖女様を、生涯敬い慈しむと誓いますわ」
緑色の鮮やかなドレスを身につけたミカエラは、たっぷりとしたスカートを指先で摘まみ、ぼくに頭を垂れて淑女の礼を取ったのだった。そして頭を上げたあとは、麗しい微笑みをぼくに向けて、控えめに階段の脇に寄る。
眼鏡がないからほぼほぼ見えていないとみた。
それはともかく。メインイベントです。
ぼくは数段階段を上がり、ジョシュアの前に立つ。
「ジョシュア・スタインベルン。あなたを私の婚約者に指名します」
マントを手でひらりと払って広げると、ジョシュアはぼくの前に跪いた。
「この日を、心待ちにしておりました。あなたに永遠の忠誠を捧げ、生涯あなたを補佐し、あなたと、あなたが統べるこのスタインベルン王国の礎となることを誓います。コエダ・スタインベルン、どうか私と結婚してください」
「はい。ジョシュアの伴侶になります」
ぼくが承諾すると、見守っていた招待客が大きな拍手を贈ってくれた。
ジョシュアは立ち上がると、ぼくを抱き寄せ、大勢の前でキスをしたのだ。
ひゃあ、恥ずかしい。
カカッと頬が熱くなるけど、でも幸せの儀式なんだね?
ジョシュアのくちづけは、いつもぼくをくるんで守ってくれた、その彼を表するように優しかった。
長身のジョシュアが頭を傾けるようにして、くちづけていた唇を離す。その身長差には、少し思うところのあるぼくだが、とりあえず笑顔で彼に寄り添い招待客に告げました。
「皆さま、王位継承の件で長らくご心配をおかけしました。私はジョシュアの助力を得て、王位を継承することになります。先の話ではありますが、私たちをあたたかい目で見守っていただければ幸いです。では祝宴をおたのしみくださいませ」
そうです。誕生日会はこれからですよ。
招待客のみなさまは興奮冷めやらぬと言った感じで、各々歓談し始める。
すると、一番にルリアがぼくらのそばに寄ってきた。
「コエダ、ジョシュア、正式な婚約おめでとう。しかし…しかしな、コエダっ。王様は側室を持ってもいいのだぞ」
ようやくぼくらの婚約だというのに、ルリアは側室をぼくに勧めるのだった。
「頼む、私を側室にしてくれ、コエダ。コエダはジョシュアとラブラブしていていいのだ、私はコエダの子供をバンバン産んでやるからな? そうしたら王家も安泰だろう? つか、二十八歳の王女は完全に行き遅れなのだ。誰も私を嫁にしてくれぬぅ」
そりゃあ、騎士服をビシリと着こなして、ぼくより髪を短く整えて、そこらの騎士より断然男前の麗人なのだからね。招待客も、男性より御令嬢の方がルリアを熱い視線でみつめている。
「妹よ、それは年のせいではないのだ」
ルリアの訴えに困っていると、オズワルドがルリアの首根っこをつかんでくれた。
「空気を読め、ルリア。すまない、妹がごねて」
「いえ、いいのです。ルリアはぼくが養います。ずっと王家にいればいいですよ」
兄にいさめられてシュンとしていたルリアは、ぼくの言葉にパッと顔を明るくする。
「それは、私を側室にしてくれるということか?」
「いえ、側室はないです」
きっぱり否定して、ルリアはがっかりした。
ごめぇん、でもぼく、ジョシュアだけで精いっぱいなんで。
「ですが…護衛騎士はラウルとアゼルがいますが、近衛騎士としてルリアには私を守護する役目を受けてほしいのです。どうですか?」
「本当か? 嫁に行かぬ叔母を煙たがらないでいてくれるのか? ならば私はコエダを生涯守護することを誓うぞ」
「良かったな、ルリア。さぁ、行くぞ。恋人たちのスイートタイムを邪魔するな」
生涯雇用をゲットしたルリアは満面の笑みで、オズワルドに連れられて行った。
嵐が去りました。
するとジョシュアが、ため息交じりに言うのだ。
「ミカエラの名を最初に呼んだときは、少し焦ったぞ」
笑顔を作りながらも、ちょっと怒った低めの声を出す。
なので、ぼくは種明かしをしました。
「サプライズですよ。簡単にさらりといったら面白くないでしょ?」
「プロポーズに面白味はいらないだろうがっ」
「だって、みんなの前でプロポーズなんて、恥ずかしいのですよ。サプライズで気を紛らわせたかったのですよ」
「結婚式でサプライズやったら殺すからな」
「たっはーーっ、冗談が通じない王子だよ、王弟だけどっ」
笑顔は絶やさず、肘で小突いたりして。ぼくたちは相変わらずのワチャワチャなのだった。
「ミカエラには事前に知らせていたのです。神の手のパパも、高位神官とは接点を持つことになるので承知していて。知らなかったのはジョシュアだけ、みたいな?」
「腹立つ。つか、なんで事前に言ったんだ? ミカエラもサプライズで良かったのに」
「だって、いきなりここで指名したら、みんなの前でひゃーーいになるだろ?」
「確かに。コエダに呼ばれたのに、ひゃーーいが出ていなかったな」
そんな話をしていたら、どこかでひゃーーいが聞こえた。
あっ、パパがミカエラに話しかけてる。
小枝をよろしくね、なんて言っているぅ。
パパ、神の手鬼信者のミカエラはまだパパに免疫がないから、その辺で許してあげてぇ。
「しかし、なんでミカエラを高位神官に任命したんだ? 神事は大聖堂の神官が担っていたのに、ミカエラのために新しい役職を作るなんて」
ジョシュアにたずねられ、ぼくはこっそり話します。
「学園に在籍中から思っていたことなのですが。ぼくに王家の血が入っていないのはみなさんご存じで、スタインベルンでない者を王位に就かせたくない、王族のジョシュアにも相応しくないと思う者が一定数いるのですよ。しかしその一派はミカエラ支持者になるのです。王家の血筋であるミカエラは王妃に相応しく、後押ししたくなるのでしょう。ミカエラ自身にぼくと敵対する気持ちがないことは明らかなのにね。だから、高位神官という特別職を与え、神事に重用することで、ミカエラを手厚く遇していると世間に示し、ミカエラがぼくの側につくことで敵対勢力は自然に瓦解していくことになります」
「なるほど、うまいこと考えたな」
「ぼくもいろいろ考えているのですよぉ。父上がすぐにも立太子するとか言うからね。イヤでも王位が目の前にチラつくというか?」
「七月に大聖堂の予約を取っているらしいぞ。結婚と立太子の儀をする算段だって、兄上が言っていた」
「マジで? 気が早すぎです」
これは悠長に構えていられません。
「ジョシュア、ちょっとバルコニーに出よう」
王宮の舞踏会会場にはところどころバルコニーがあって、酒宴から抜け出してひと休みするのに適した空間になっている。しかし今日は一月で、まだ外は肌寒いので、バルコニーに出る客は少なかった。
「コエダ、寒くないか? 外に出るなんて、会場でできない話でもあるのか?」
ほんのり息を白くさせるジョシュアがぼくに聞いた。
昨日は小雪がちらほら舞ったから、確かにちょっと寒いんだけど。
「そうなんだ。真面目な話をしたくてね。ジョシュア、今まで待たせてごめん。そして、今日まで待ってくれてありがとう。ぼくはね、十八で死んでしまうかもしれないって思って、どれだけジョシュアと仲睦まじくても求婚に応じられなかった。でもその他にもね、ジョシュアが豹変してぼくへの愛を踏みつけるときがくる、そんな恐れも持っていたんだ」
「そんな私は、私ではない」
ジョシュアは即座に否定してくれて。ぼくは嬉しくて、微笑む。
「うん、そうだった。ぼくが恐れていた未来は訪れなかった。婚約してとはじめて言われたときから、十三年もの長い年月、ジョシュアはひたすらぼくを愛して、ぼくを守ってくれた。感謝している。その大きな愛に早く応えたいって、そう思ったよ」
ぼくは彼の手を握り、正面から向かい合って告げた。
「さっきはみんなの前だったからね、自分の言葉じゃなかった。だからね、言うよ。ぼくをジョシュアのお嫁さんにしてください」
い、言った。
ぼくだってプロポーズしたかったんだから。ずっと、ずっと。
ぼくのためにジョシュアが一生懸命精進しているところを見るたびに、早く彼の想いに応えたいって思ってきたんだ。
ようやく素直に、心の奥に秘めてきたぼくの気持ちを、彼に打ち明けられた。
だから今日は、ぼくにとっての特別な日なのだ。
でも。ジョシュアは固まってしまって。
いつもキラキラしているサファイアの瞳がウルリと濡れて。
涙がポロリと落ちたのだ。
えええええ? 泣いた? ジョシュアが、泣いた?
頬に伝った涙に気づいたのか、ジョシュアはハッとして。ぼくの手から離れて涙をぬぐう。そしてその手で口をおさえ、そのまま横を向いてしまった。
「すまない、感動して。まさか、コエダから言ってもらえるなんて…」
「だからって、もう、イケメンスパダリ王子が台無しですよ」
ぼくの言葉に、ジョシュアは目を潤ませながらも優しく笑い返してくれて。
ぼくも、そう言いながらも、ちょっと涙が出た。
ぼくたち、おあずけがちょっと長すぎたね?
子供のとき、女神の元から帰ってきたパパが、もう心配いらないよって言ってくれたけど。
臆病なぼくは、どうしても怖くて。
でもおびえるぼくを、ジョシュアは辛抱強く待ってくれました。嬉しかったよ、王子。
「コエダに王子と言われると、子供の頃に戻ったみたいだな。内股だったコエダ…」
「内股は余計です…」
ぼくはちょっと拗ねて、唇を突き出すけど。
ぼくの目にも、目の前のジョシュアが子供の王子に見えていた。
サラサラの金髪に青い目の、ツンととがった唇の形がちょっと生意気そうに見える、小さな王子。
ジョシュアはポケットから小箱を出した。ふたを開けると、青紫色の宝石で花のモチーフが形作られている、銀の指輪が入っている。
「この指輪のスミレは、私の初恋の象徴だ。ひと目惚れしたコエダにはじめて声をかける前、スミレ色の衣装を身につけた男の子に贈りたくて、季節外れのスミレを一生懸命探した」
一呼吸おいて、王子は真剣な眼差しをぼくに向けた。
「私のスミレを、コエダの指に咲かせてほしい。コエダ、私と婚約してください」
子供の頃に散々聞いたフレーズ。
ぼくはそれに、ルンと、とびきりの笑顔を返す。
「はい、王子」
幼きあの日に言えなかった返事をする。
王子が差し出す手に、左手を添え。指輪がそっとはめられた。
そして童心に返って、ぼくらは無邪気に笑い合うのだ。
これは、前世で過酷な運命をたどり、生まれ変わってもその運命におびえていたぼくが。
今世では情け深い家族と優しいジョシュアに愛されて幸せになりましたとさ、めでたしめでたし。になる物語。
end
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半分……(´>∀<`)くふ❤
ならばオマケもその内と期待しておきます
(*`・ω・)ゞ⟡.*
次回作も待ってますとも!
過去作も行くかもです!
応援しております!
なぁ恋さま、再びコメントありがとうございます。
了解です( ー`дー´)キリッ、次回作も過去作も、よろしくです( ー`дー´)キリッ。
R18はエロいから気をつけて(笑)
応援していただき、ありがとうございます。
引き続きご愛顧のほどよろしくお願いしますね💕💕
(◍´꒳`◍)
★*。:゜*〇☆〇*゜:。:*★
☆。*・:+*゜ ゜*+:・*。☆
お┃つ┃か┃れ┃さ┃ま┃
━┛━┛━┛━┛━┛━┛
☆゜*・:+*。 *゜☆*。:゜*
小枝ちゃんおたんじょうびもおめでとう。
メイ時代も、小枝として生まれてからパパに保護される前も、悲しい思いたくさんしたけど
ジョシュアくん、ミカエラちゃん、ノアくん等、幼少のころから一緒にいられる大切な存在がたくさんできてよかったです。みんなで助け合って国をよくしていってくださいね。
(でも食レポや、たはぁーがときおり飛び出すチャーミングな大人になってくれるとおもってます)
寂しいけど新たなお話や番外編なんかも待ちつつ、まずはごゆっくりしてくださいね(うーんまとまらないけどいったんこれで・・・)
nashiumaiさま、いつも感想をくださりありがとうございます。
そしてパパ枕を最後まで見てくださり本当にありがとうございました。
きらきらぁな絵文字、嬉しいですぅ💕💕
運命を乗り越えたコエダに熱いエールをくださり、コエダも喜んでおりますよ✨
nashiumaiさまには過去作から引き続いてパパ枕も応援してくれて、本当にありがたいでございます。エスパーnashiumaiによって先読みされてドキィィとしたのもいい思い出です(笑)そして飯テロにも賛同いただき、夕食に影響を及ぼすこともあった、かしら? などなど。いろいろありましたが。
よろしければ次回作でもまたするどい先読みやあたたかい感想などをいただけたら幸いです。
少々お休みしますが、過去作など見つつ、ときどき近況をチェックしていただけたらと願っております。
またお会いできる日を楽しみにしつつ。
パパ枕完走おめでとうございます!!!
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん。˚.º·( ꪑꪑ)º·˚.
おめでとううぅ💕
幸せ噛み締めてっ
にーさんねーさんが嫁もろうたかは少し知りとうございますが(*´꒳`*)
出だしでうおうってなりましたがね笑
安定のひゃーいも響いて笑
パパよりも成長した小枝よりも大きなジョシュア⟡.*
もうね。感無量:;(∩´///`∩);:
あのね。
ノアンカプもねΣ(゚∀´(ω・` )カプ
その後仲良く結婚等していたりとかなんとかね
色々まだまだ読みたいッて欲求ありますが
(੭ु ›ω‹ )੭ु
完結おめでとうございます!!!!
なぁ恋さま、いつも感想をくださりありがとうございます。
そしてパパ枕を最後まで応援してくれて、本当にありがとうございました💕💕
幸せを噛みしめて、うおぉぉぉんと泣いてくださり、嬉しいです。
そう、ジョシュアとコエダの身長差に萌えぇ、って、いただきたかった!ふへぇ(笑)
オズ兄弟やノアンのその後など、気になるところはありましょうが、そこらは読者様の妄想にお任せしたいと思います。でも、いちゃとか書きたいかもなので、おまけはあるかもしれませんな✨
しかしながら、今は完結の余韻に浸っております。よろしければ、次回作なども覗いていただけたら嬉しいです。なぁ恋さまにはパパ枕はじまった当初から感想で熱い応援をいただいて、本当に感謝しております。パパ枕がこんなに長くなったのは、半分なぁ恋さまのせいだと思います(笑)
なぁ恋さまも、パパ枕完走おめでとうございます!!!