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番外 ジョシュア 惚れ直したぞ、コエダ。 ③

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 聖女御一行の旅(コエダがそう言っていた)が無事に終わり。
 コエダともいっぱい遊んで、充実の夏を過ごしていた私だが。
 とうとうあの日がやってきた。
 婚約者候補ミカエラとのお茶会の日だ。

 婚約者になると、女性側の屋敷に男性側が月一で通うというのが、一般的ルールらしい。
 めんどくさいなぁ。
 女の子とよくわからない話をしなきゃならないなら、コエダと遊びたい。
 それにさ。ミカエラって子。

 絶対コエダが好きじゃん?

 私も、コエダとはじめてお話をした日、あんな感じでニワトリになったから。わかるよ。
 こここ、コエダ様。って、なっちゃうよねぇ。
 そう思うと。彼女は私でもあるのだな。
 コエダを前にしてすっごく緊張しちゃうのは、わかるけど。

 コエダはあげないけどな。

 でも、彼女がどんなことを考えているのか、わからない。
 なんか、睨んでいるような顔もしていたし。
 んん、好きじゃないのかな?
 私と同じ反応だったから、ミカエラはコエダが好きなのだと思うのだが。それがまだはっきりしないな。
 だから、お試しで。コエダをお茶会に連れてきたのだ。

 彼女は私の婚約者に指名されながら、コエダを私から奪おうとするのだろうか?
 それとも、大人の言うことを聞いて私の婚約者になろうとするのか?
 そうしたら説教だけど。
 とにかく。
 彼女がコエダと相対してどのような反応をするのか、私は試したかったのだ。
 それによって、私の対応も変わってくるということ。
 敵対か、排除か?

「王子ぃ、今更ですが。ぼくがついてきちゃって大丈夫なのですかぁ? お相手の公爵家には話が通っているのですかぁ?」
 というわけで、馬車で公爵家へ向かう途中。私の隣にはコエダが座り。
 対面にはノアとレギが座っている。
 パパは今日は、ディオン兄上と一緒にお仕事なのだって。

 だからパパはいないけど。他にも従者や騎士がいっぱいついてきているよ。
 王族の移動は大変なのだ。

 コエダの質問に、私は答える。
 パパ直伝のやんわり笑みを浮かべて。
「私のご学友なのだから、ノア同様、私とコエダが一緒にいるのは当たり前のことなのだ。だから大丈夫」
「大丈夫じゃないでしょ? それって言っていないってことでしょ? もう、王子はぁぁ。レギ、大丈夫かなぁ? 怒られたりしないかなぁ?」
 コエダは心配して大人のレギを頼った。
 むむ、王子の私が大丈夫と言っているのだから、大丈夫なのに。

「礼を失してはしまいますが。コエダ様は公爵家より身分は上の御方なので。怒られるようなことはないですよ。王子とミカエラ様のお話の邪魔をしないようにだけ、お気を付けください」
「そんな恐ろしいことするわけないよぉ。処、処、しょーーっ」
 コエダはなにやらショッショ言っているが。
 誰にもコエダを怒らせたりしない。コエダは…。

「コエダは私が守る!」

「だから、脈絡がないっつーの。相変わらず王子は意味不明ですね」
 コエダはプンプンして言いながらも、髪の毛を手でペソペソ撫でつける。
 む、身だしなみか? 私は大丈夫かな?

「コエダ、私の髪は乱れていないか?」
「えぇ、王子は今日もパーフェクトスペシャル王子です。どの角度から見てもイケています」
 怒っていても、コエダは私を褒めてくれる。
 むふん。コエダに褒められると自信がつくのだ。

「イケてる私は、コエダ的にどうだ? カッコいいか? たくましいか?」
「んー、エレガントで可愛い、白馬にもう少しで乗れそうな王子です」
 むむ、可愛いのはコエダの方だ。コエダのような者が可愛いのだ。
 思ったような誉め言葉ではなかったけど。誉め言葉ではあるから、まぁいいか。

「馬には乗っているぞ。白馬ではないが」
 するとコエダの瞳がピカリとした。
「えぇぇ、お馬さんに乗ったのぉ? 王子、スゴーイ。ぼくもお馬さん見たいぃ」
「見たいのか? じゃあ、私が乗馬の練習をするところを今度見せてやろう」
「本当ぅ? 嬉しいです、王子」
 ルンと、破壊力のある笑顔を私に炸裂させるコエダ。
 ぐっはぁぁぁ、心臓が破裂するぅぅ。

「コエダ様、もう少し身長が伸びたら、コエダ様も乗馬の練習をいたしましょう。シャルフィ殿下もお馬に座るところまではできました。コエダ様はお馬を走らせるようになりましょうね?」
「乗馬の練習ぅ? うわぁ、楽しみ。ジテンシャにも乗れないのにお馬さんなんて。パパに自慢しちゃいます」
 レギに良いところを取られた感はあるが。
 コエダと一緒にお馬に乗れるようになったら。ふたりで遠乗りとか。
 もっといっぱいコエダと遊べるようになるな。ふふふ。
 ところでコエダは、たまに私の知らない単語を言うことがある。
 ジテンシャは聖女用語なのだろうか?

「そろそろつきますよ。ベルケ邸です」
 レギに言われて、私とコエダは窓からお屋敷を見た。
 ミカエラのおうちは王都の中の、貴族が多く住まう地域の一角にあった。
 白と水色のカラーで涼しげな感じ。

 馬車から降りると、玄関前にベルケ公爵とその御夫人。
 そして緑色の髪に女の子らしく髪飾りをつけているミカエラが出迎えてくれた。
 ブリブリのドレスが、いかにも女の子。
 こんなにおしゃれした子とは、庭で遊ぶとかはできないな。
 つまらん。やはり今日は、お茶を飲んで話をするだけだな。

 大きな庭に、吹きさらしで建つガゼボに通されて。
 真っ白な石膏でできた椅子に腰かける。
 夏の屋外は暑いけど、ガゼボの周りに立つ木々が日陰を作るから、ここは涼しい風が通ってここちよい。

 対面にミカエラが座って…コエダはどこに座ろうかと悩んでいたから、私の隣を示した。
「コエダ、ここに座るのだ」
「しかし、王子ぃ」
「命令なのだ」
 私が言うと、コエダは渋々隣に腰かけた。
 お尻がちょっと浮いているぞ。ちゃんと座るのだっ。
 そうして使用人が紅茶とケーキを配り、お茶会がスタートした。

 と言っても、なにをしゃべったら良いものか。
 一応この子は、私とは叔父と姪という関係になるのだが。
 ほぼほぼ初対面だからな。
 前王妃がいた頃は、敵が誰だかわからなかったから、親戚といえど顔を合わせずに来たのだ。
 兄弟である兄上とも、なかなか会えなかったくらいだからな。

 というか、やはりミカエラはコエダのことを睨んでいる。
 顔の中心に目が寄っているというか、鼻に筋が浮いているというか?
 やはりミカエラ嬢は、突然現れたコエダが不満なのか?
 コエダをライバルだと思っているのか?
 しかしコエダのことを嫌いな人とは、私は普通に付き合えぬぞ。
 コエダは私の伴侶になる予定なのだからな。

 理想はディオン兄上とパパのような、仲むつまじい夫夫だ。うむ。

 なんて考えながら、紅茶を飲んでいたら。
 コエダが肘でつついてきた。
「王子からお話してあげるのですよ」
 こっそり囁くコエダ。
 目が、王子はダメですねぇと語っている。

「…この前コエダがな、にごった湖を透明な湖にして、きれいにしたのだ。コエダはすっごい魔法持ちなのだ。私のご学友を務めるだけあって、コエダはとても優秀なのだ」
 こちらから話せと言われたので。この前の、聖女の旅でのことを話した。
 私のコエダがどれだけ素晴らしいか、ミカエラに教えてあげたかったのだ。
 自慢だ。
「それって、浄化…」
 すると緊張でふるふるしていたミカエラ嬢は、コエダをギンと睨んで、そうつぶやき。
「いえ、クリーンという魔法なのです。汚いものをきれいにするだけなのです。ねっ?!」
 コエダがすごい勢いで否定した。
 ねっ、と私に同意をうながすので。
 あ、コエダが聖女なのは内緒なのだったと思い出す。
 聖女とは言っていない。なので、セーフだ。

「汚いものをきれいにする魔法というのは、聖魔法に当たるのではありませんか? まさか、コエダ様は聖…」
 と、またもやミカエラ嬢はなにかを言いかけて。
 コエダが慌ててプルプル顔を横に振った。
「いえっ、ぼくはただの神の手であります。じょじょじょ、ジョシュア王子ぃぃぃ? ぼくの話ばかりしないで、こういうときはミカエラ様のことをお聞きするのが良いのではぁぁ?」

 そんなことをコエダは言うが。ミカエラのこと、特に知りたいことはないな。
「コエダの話の他に、話すことなどない」
 ムン、と。私は口をへの字にして言う。
 今日私は、ミカエラ嬢にコエダの素晴らしさを知らせて、婚約候補はコエダだけだということを匂わせに来たのだ。
 そなたの入る隙間はない、とな。

 しかしコエダは私の耳にこっそり囁くのだ。
「王子の話で、ぼくが聖女だってバレかけているのだから、全力で話をそらしてくださぁい」
「しかし、なにを話したらよいのだ?」
「婚約者候補としてこれから深いお付き合いになるのです。趣味とか、好きな色とか、聞くことはいろいろあるでしょ?」
 コエダは目を吊り上げて、怒った。
 人前で王子を叱らないでくれ。威厳に関わる。
 私に忠告し終えると、コエダは居住まいを正して座り直し。紅茶をひと口。
 うむ、上品なお坊ちゃまである。黙っていれば。
 しかし…そぉうかぁ。趣味かぁ。
 
「ミカエラ嬢は、好きな虫はなんだ?」
 パパ仕込みのキラリンな笑みで、優しく問う。
 するとコエダが紅茶をブッと吹き出した。
 そしてまた怒る。
 つか、紅茶を吹き出すのはマナー違反だぞ?

「女の子が虫を好きなわけないでしょっ、もう、王子はぁ、そういうところぉぉ。つか、ウネウネも触れないくせに虫好きとはカタハライタイわっっ」
「腹がイタイ? 大丈夫か、コエダ」
「腹は痛くないですぅ。カタハライタイですぅ」

 そんなふうにコエダとコソコソ言い合っていたら。
 こほんと。ミカエラ嬢のメイドにせきばらいをされた。

「あぁあ、きれいなお庭ですねぇ。コエダ様、少し散策などされては?」
 レギがそう言って、コエダはぴょんと席を立つ。
 にーげーるーなーーっ。
「そうですね、ぼくはバラを育てているのです。参考にお庭を見せていただきますねぇぇ?」
 しかし、私がコエダを捕まえる前に。
 コエダは『あとはお若いおふたりでぇ』などと言いながら、レギと一緒に芝生の上を駆け足して行ってしまった。
 くそっ、逃げられたかっ。
 つか、お若いおふたりって。コエダが一番年下だと思うのだがなぁぁ?

「好きな虫はアレバシルアゲハ蝶ですわ。スタインベルンにはいないチョウチョですけど。オレンジと黒と黄色の配色でとてもきれいなのを図鑑で見ましたの」
 コエダがいなくなったら、ミカエラはするすると答えた。
 鼻筋も消えている。
 虫が好きなところは見所があるが。
 
「ミカエラ嬢はやはりコエダがうとましいか? 彼は私のご学友として、そして婚約者候補としても長い付き合いになる。コエダをうとましく思う者と、私は仲良くはできないぞ」
 きっぱりと言い切ると。ミカエラは目を丸くして答える。
「コエダ様がうとましいなど、とんでもないことです。ヨンサ、少し下がってくださる?」
 先ほど咳ばらいしたメイドが、ミカエラに言われて、話が聞こえないところまで下がった。
 なにか、聞かれたくない話か? やはりコエダの件か?

 するとミカエラは、少し身を乗り出して、こそっと話した。
「ジョシュア王子は世の中のせじょうをどうお考えですの? 国民の間で、神の手の人気は絶大ですのよ? そして先ほどの魔法のことですけど。私、魔法書を読みあさっているので、わかるのです。汚いものをきれいにする魔法。それは魔法ではなく、聖女の力ですわ。コエダ様は聖女なのでしょう??」
 ビシィィィッと断言されて。私はワナワナした。
 ぎゃーーーーーっ、さっそくバレてるぅ。
 これはコエダに怒られるやつぅぅ。

「みみみ、ミカエラ嬢。そのことは、どうか内密に。国家機密だと兄上が言っておりましたぁぁ」
 私は顎をガクガクさせながら、必死に言い募る。
 王子の威厳など、保っていられぬわっ。
 なにより、ミカエラに聖女だとバレたと知られたら。
 コエダを怒らせるのが一番ヤバいのだぁ。
 これは絶対怒られる。
 また離婚されるではないかっ。結婚していないけど。

 だがミカエラは、きょとんとした顔をして。うなずいたのだ。
「まぁ、そうですわね。国家機密なのはよくわかりますわ。聖女降臨は国の一大事ですものね。公表のタイミングというものがありますものね? ではここだけの話にいたしましょう」
 そう言って、ミカエラは居住まいを正し、紅茶を飲んだ。
 ふぃー、首の皮一枚つながったな。
 コエダも怖いが、兄上に知られても命が危うい。うむ。

「王子、とにかくですわね。聖女のコエダ様と、ちょっと魔法が使える私。勝負になりませんわ」
 ミカエラは本題だとばかりに、真剣な顔でそう言った。
 勝負というのは婚約者候補の話、だよな?

「それは、つまり。コエダが嫌いではないということか?」
 ミカエラの言い分は、コエダをリスペクトしているように聞こえたのだ。
 聖女にはかなわないってことだろう?

「嫌いなど、考えられませんわ。お話するのも恐れ多いというのに。私、コエダ様にたとえ自信がありますわ。えぇ、触らぬ神に祟りなしというのはこのことでございますわぁ」
 スタインベルンでは、聖女は敬うべき存在だ。
 兄上たちにも、聖女はかけがえのない存在だからっ、と強く言われている。
 特別扱いはしなくてもいいけれど、イジメちゃダメって。
 いじめないよっ、失礼なっ。
 で。ミカエラも兄上たちのように女神や神の手、聖女などに崇拝の念を持っているのだろう。
 彼女はついさっきまでコエダが聖女であることは知らなかったと思うが。
 神の手としても、充分に敬愛していたのだろうな?

「私はコエダと婚約したいのだ。だがミカエラはそれで良いのか?」
 自分で言うのもなんだが、王族との結婚はほとんどの者がこいねがうものだろう。
 私はコエダを選ぶと決めているが。
 婚約者候補になったことをどう思っているのか、彼女の気持ちを知りたかった。

「えぇ、そのことを言っているのです。王子はコエダ様を伴侶に選ぶべきですわ。そうすれば、国民からの人気も得られますわよ」
「国民の人気取りで、コエダと婚約したいわけじゃないのだ。ただ、ひと目惚れしたから」
 ちょっと照れくさいが。
 ここははっきり言っておいた方が、のちのちこじれないだろうと思い。告げた。
 するとミカエラは、宝石のような瞳をピッカリさせて。満面の笑みで言った。
「わかりますわぁぁ、もう本当に、コエダ様はお可愛らしくて。食べちゃいたいっ」
 ミカエラは興奮して赤くなった頬を手で押さえ、ほうっとため息をつく。
「あの真っ白いほっぺはマシュマロのよう。どこもかしこも柔らかそうで美味しそう…じゅるり」
 このとき私は。
 ミカエラ嬢とコエダをふたりきりにしてはダメだと感じた。
 コエダが食べられては困るっ。しかし。

「…ホントに嫌いじゃないのか? さっきコエダのこと、すっごく睨んでいたが」
 今私との会話では、コエダに好意的だが。
 先ほどの彼女の態度は、コエダを嫌悪しているように見えたから。
 どちらが本心か、わからなくて困惑する。

「睨んでなどいませんわぁ。私、タイジュ様が推しで、そのお子様であるコエダ様には、敬いつつしむ想いしかありませんの。毎日タイジュ様と暮らしているコエダ様がうらやましい…。なんて思っておりましたのに。まさかの聖女っ。マジか、さすが神の手、すごい、つか、キャラ盛りすぎでヤバいぃぃ。の気持ちがつのりつのって、つい顔が引きつってムギョッとなってしまいますの。それと本が大好きなので、少し視力が弱く。ついコエダ様をぎょーし、いえ、ガン見、しちゃうのですわぁ??」

 つまり、ミカエラは。コエダをガン見してしまうくらいコエダが好きなのだな。
 キャラモリスギは、んん、わからないが。
 コエダが好きという気持ちは、私と同じだ。
 自分の身に置き換えたら、すぐに関係を断ち切ってしまうのは可哀想。
 私の邪魔をしないのであれば。
 ミカエラがコエダと親しくなる機会を奪いたくはないと思ってしまった。

 あくまで、コエダの恋人を狙わないのであれば、だがな。

「わかった、ミカエラ嬢。そなたがそのつもりなら。私たちとお友達になろう。お茶会は、今後もコエダを同行させる。ミカエラ嬢は私たちの仲を邪魔しないで、見守ってくれ。しばらくは婚約者候補としていた方が、お互い家の顔を立てられるだろう。タイミングを見計らって、候補を解除する。それでどうだ?」
「まぁ、話しが早くてありがたいことですわぁ。それで結構ですわよ。むしろ願ってもないことですわぁ。私が王子やコエダ様とお友達など、本当におこがましいにもほどがありますけど。聖女様とお話しできる機会なんて、大金積んでもお願いしたいことですものね。このチャンスは逃せませんわぁ」
 ミカエラは嬉しそうに笑って、手を合わせた。
「私、壁になりますわ。決して王子とコエダ様のお邪魔はいたしませんから。公爵家にデートに来るくらいのおつもりでいらしてくださいませ?」
「ででで、デートっ」
 コエダとデート、悪くない。
 コエダとデートできるというのなら。
 気が重かった月一で公爵家に訪問しなければならない妙なルールも、足取り軽くなるというものだ。

 というわけで、私はミカエラと秘密の約束を交わした。
 ミカエラをどうするか、敵対か、排除か? などと思っていたが。
 まさかの共闘? いや。同盟関係に落ち着いたのだ。予想外。

 コエダが聖女なのも黙っていてくれるって。
 ほっ。離婚の危機は回避されたなっ。
 安心して、私は紅茶をひと口。お茶会なのだから、お茶を飲まなければな。

「そういえば、先ほどミカエラ嬢は魔法書を読みあさったと言ったな? 魔法が得意なのか?」
「えぇ、魔法を教えてくれる家庭教師の先生も、私には王族並みの魔力量と魔法センスがあると言ってもらっていますわぁ? 特に魔力制御や、緻密なコントロールをするのが得意ですの」
「それはすごいな? ミカエラ嬢、ぜひ私に魔力コントロールの仕方を教えてくれないか? 私はいざというとき、コエダをちゃんと守りたいのだ」
「素晴らしいお考えですわぁ、王子。コエダ様は国の宝ですものね。ぜひ私にお手伝いさせてくださいませぇ。こここ、コエダ様も一緒に学んでもらえるかしら? そしてタイジュ様に私のこと話したりしてくれないかしらぁ?」
「タイジュとコエダは仲の良い親子だから、きっと話すと思うぞ」
 あの親子はデロデロの甘々だから、パパはコエダが一日なにをしていたのか聞こうとするだろうし。
 コエダもパパには隠し事をしないからな。
 普通に、今日なにをしたぁ? という話の流れになるだろうと思う。

 そう言うと、ミカエラ嬢はキャイキャイと騒いで。
 神の手さまのプラベートをのぞいてしまいましたわ、どうしましょう…ってなっている。

 普通ならライバルになる立場の御令嬢なのに、コエダはそんなミカエラもメロメロにしちゃうんだからな。
 コエダはとても魅力的な人物だということだ。
 やはり私の、人を見る目は間違っていない。コエダは素晴らしいのだ。

 惚れ直したぞ、コエダ。

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