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75 最高の口説き文句
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◆最高の口説き文句
殿下の私室で、酒の肴をつまみにチビチビ日本酒を飲んでいたのだが。
やっぱり、度数が強いから。
そんなに飲んでいないのにほろ酔い気分になってきた。
なんか、雲の上にいるみたいにふんわりして。
つい殿下に寄りかかってしまった。
彼の肩はなんだか熱いくらいで。こちらものぼせそうになるな。
「熱っつい。ディオン、熱いですよっ」
「寄りかかって文句を言うな。フフ、目がトロンとしているぞ。酔ったか?」
顔が、すっごく近いなって思ったら。
ちゅうされた。
ふふふぅ、なんだよぉ。
くすぐったい、かするようなキスすんなよぉ。
俺、つい最近までキスなんかしたことなかったのに。
知らなかったときは、しなくてもなんも変わらないしぃ、なんて思って。
興味はあったけど、無理に誰かとしたいとか、そんながっついた気持ちは湧かなくて。
でもディオンのこと好きになって。彼にキスとかされると。
もう、こんな気持ちいいこと知らなかったの、自分馬鹿じゃね? なんて思って。
でも、たぶん。
ディオンだから気持ちいいって思えるっていうか。
誰でもいいんじゃなくて。
キスしたいって思えるのは、ディオンだけっていうか?
あぁ、もう、わかんねぇ。
なんか考えながらキスしていたら。
いつの間にかソファに押し倒されていて。
ディオンが俺のシャツのボタンを外そうとしている。
「脱がすなよぉ。まだ、飲んでんのに」
「熱いのだろう? 涼しくしてやる」
「うそぉ。ディオンが触ったら、熱くなるじゃん」
「熱くなるのはダメか?」
耳に囁きながら、クスクス笑うから。耳がこそばゆい。
「なぁ大樹。俺のこと、いつから好きになったのだ?」
ディオンがそんなことを聞いてくるけど。
いつから?
うーん。
最初は、傷を負った殿下は。まさに手負いの獣そのままだと思ったのだ。
でも身請けされて。
まだ人となりもわからないうちに、結構反発された、みたいな?
でもそれは。俺にではなくて。
親というものに対しての憤りだった。
彼は親に庇護されなかった子供だ。だから小枝を守る俺に過剰反応して。
殿下は反発してしまったのだと思う。
当たりの強さに戸惑ったりもしたけど。
ディオンの苛酷な子供時代のことや、いまだ続く命をおびやかす環境を知れば。
彼に同情したし。
毒なし料理を作ることで彼が癒されるのなら、いっぱい食べさせてあげたくなったし。
不眠症で苦しむ彼を救ってあげたかった。
幸いにも、俺には彼を救う手立てがあり。
その能力を惜しみなく分け与えてやりたかった。
そばにいる人が苦しむ姿なんて見たくはないだろ?
そのときは奴隷だと思っていたから。心の隅に複雑な感情がなかったわけではないけれど。
ディオンは無茶な命令をしてこなかったし。
実際には奴隷紋で縛ってもいなかったのだ。
なら、彼へのわだかまりはもうないでしょ。
むしろ大金を払って、無償で俺らを奴隷解放してくれたのだ。
あ、スリーパーが目当てで無償ではないかも、だけど。
スリーパーすることは労働にも値しない、俺にとっては些細なことだしな。
その対価だけで、俺と小枝の自由を返してくれたんだ。
それって、とてもありがたいこと。
異世界に来て、思わぬところではまってしまった罠から、ディオンが抜けださせてくれたってことだろ?
感謝、するべきなんだろうな。
ま、奴隷ではないと知る前から。彼のことは好きになっていたんだけどな。
いつ頃かなぁ。
意識したのは、夜の相手を前提にした抱き枕、とか言われたときかな?
今思い返すと、普通に失礼な言いようだなぁとは思うけど。
同性同士でそうなっても良いのかと、理解したのがその件だった、みたいな?
グッと来たのは。一緒に牢に入ってくれたところかな。
王族のディオンが。奴隷の親子のために牢の中に入って、慰めてくれるなんて。
恐れ多いっていうか。そこまでしてくれるんだって。
俺を本当に守ってくれるんだって、わかって。
胸にしっくりと、彼がはまったようなイメージがある。
うーん、でも。そればっかりじゃなくて。
日々の積み重ねが。小さな好きが重なっていって。
それで…。
「いつからかなんて、わからない。いつの間にか、あなたを守りたいって思うようになっていたのです。あなたの子供時代に飛んで行って、抱きしめてあげたい。俺のディオンを傷つけないでって、周りの大人に説教してやるんだ。俺にとっては、それが好きってことなんだけど。それじゃダメですか?」
俺に覆いかぶさる殿下にたずねると。彼はとびきり優しい笑顔で告げた。
「いいや? ダメなわけない。最高の口説き文句だよ、大樹」
俺を怖がらせないようにか、ゆっくりと顔を寄せて。しっとりと唇を合わせる。
優しく触れ合わせるキスは、胸がキュンとなって。けれど、じんわり心があたたかくなるような、和やかな気持ちになる。
そのささやかなキスが好き。
でも、彼の分厚い唇が俺の口全体を覆って。舌を差し入れて口腔をかき回す、激しいキスも好き。
口の中を愛撫されると、ディオンでいっぱいになって。体中が燃えてくる。
あなたの手が、シャツをかいくぐって肌に触れると。
ディオンと俺が一体になったように感じて。
指の些細なうごめきで、快楽が呼び起こされる。
そうすると、俺は自分が男であることを思い知らされるのだ。
抱きたい、という欲望が高まって。
でも彼に押し倒されて、ディオンの強靭な肉体で押さえつけられると。
抱かれたい。彼に身を任せて、快楽に溺れたいって思う。
彼が好きだと。愛していると。
情熱が体中に満ちて。
燃え上がる心の熱さで、ディオンとひとつになりたいと感じるのだ。
「ベッドに行きませんか?」
俺が誘うと。
ディオンはフと微笑み。
ソファから身を起こして、俺をお姫様抱っこした。
ひえぇぇぇ、これは恥ずかしい。
いい感じにぼんやりしていた酔いが醒めます。
けれど、胸に抱かれた位置から見るディオンは。
首が太くて、たくましくて。本当に頑強な男なのだ。
普通に格好良いと思うし。
こんなイケメンが俺なんかをなんで好きになったのか、いまだに解せないが。
ま、彼の気持ちは彼にしかわからないし。
ディオンが、俺が良いと言うのだから。
それ以上は追求しないよ。
ディオンみたいに、俺のどこが好き? いつから好き? なんて聞かない。
誉め言葉を催促しているみたいで、そっちの方が恥ずかしいじゃん。
しかし、こうして軽々お姫様抱っこされると、男のプライド傷つくなぁ。
細身な俺は、立派な彼の体躯をうらやましいと思うけど。
いやいや、俺は細身じゃないと思うんだよ? 日本では標準体型だし。身長だって175センチくらいはあるんだからねっ。ただ、肉厚なこの世界の騎士職の男どもと比べたら細いってだけで。
ローク先生とか、俺よりちょっと大きいだけだし。しぃぃ。
たぶんこの世界の騎士職の男どもは人種が違うんじゃないかな?
うん。そういうことにしておこう。
そして、ディオンは寝台に俺を横たえ。シャツを脱ぎながら俺に覆いかぶさる。
でも。
酔いに頭がボゥっとして。からの…のパターンはヤバいのです。
なので、ディオン。ごめんなさいっ。
「おやすみなさい、ディオン」
「はっ、大樹、貴様ぁぁぁぁぁ」
ディオンは断末魔を残して、俺に覆いかぶさって寝た。
すみません、スリーパーかけました。
本当に、その気になっていたのにすみません。
けれどぉ、おっさんなので。
さすがに毎晩はきついです。無理です。
俺は慣れた感じでディオンの体を横にどかして。ひと息つく。
そして、寝ている彼の眉間に寄ったシワを、人差し指でそっと撫でた。
小枝を寝かしつけるとき。すよぉぉ、とゆっくり寝入っていく小枝を見るのは。
とても可愛いし。健やかな様子が嬉しいし。
自身がすっごく穏やかな気持ちでおやすみなさいって気になるのに。
大人だというだけで、どうしてこうも可愛くないのだろう?
あ、美形だから可愛くないのか? 俺のひがみか?
「なんて。ちゃんとお慕いしていますよ、ディオン」
頬にチュッとキスしたら、眉間のシワがなくなった…ような気がした。
★★★★★
翌日。
ディオンの私室。居間のソファに腰かける俺に。
対面に座るレギがカバンを差し出した。机の上にカバンを置き、仰々しく蓋を開いて見せる。
そこには金貨がぎっしり詰まっていた。
金貨十枚が紙でひとくくりにされて。金貨一枚十万相当。その百万オーベルが十本。
それだけ、って思うかもしれないが。金の延べ棒が十本あるイメージですよっ。
「とりあえず一千万オーベル用意した。これからは月に一度、このようにして給与を出すつもりだ」
隣に座るディオンがドヤ顔で言う。
いやいやいや、なんか、思っていたのと違いますぅ。
俺の給与的イメージは金貨、二、三枚。だったんですけど?
というわけで。俺は、そっとカバンを閉めた。
「自分から言っておいてなんですけど…今まで通りでいいです」
だって、こんな大金持っていられないよぉ。
それに、理解したっていうか。
殿下が金銭を支払う今までの形態だとしても。
これぐらいは俺的に使ってもいいってことでしょ?
了解しましたので、このお金はしまってください。
「いいのか? 俺は目に見える形でおまえの働きに報いたいと思ったのだが?」
「このような大金は管理できないので。でも、ディオン。さっそく俺の話を実現してくれてありがとう。俺に報いたいというあなたの気持ちは十全に伝わりました」
なので、そのお金はしまってください。
俺は日本でも、百万の札束を持てば、手が震えて挙動不審になるくらいの小市民なんですぅ。
殿下の私室で、酒の肴をつまみにチビチビ日本酒を飲んでいたのだが。
やっぱり、度数が強いから。
そんなに飲んでいないのにほろ酔い気分になってきた。
なんか、雲の上にいるみたいにふんわりして。
つい殿下に寄りかかってしまった。
彼の肩はなんだか熱いくらいで。こちらものぼせそうになるな。
「熱っつい。ディオン、熱いですよっ」
「寄りかかって文句を言うな。フフ、目がトロンとしているぞ。酔ったか?」
顔が、すっごく近いなって思ったら。
ちゅうされた。
ふふふぅ、なんだよぉ。
くすぐったい、かするようなキスすんなよぉ。
俺、つい最近までキスなんかしたことなかったのに。
知らなかったときは、しなくてもなんも変わらないしぃ、なんて思って。
興味はあったけど、無理に誰かとしたいとか、そんながっついた気持ちは湧かなくて。
でもディオンのこと好きになって。彼にキスとかされると。
もう、こんな気持ちいいこと知らなかったの、自分馬鹿じゃね? なんて思って。
でも、たぶん。
ディオンだから気持ちいいって思えるっていうか。
誰でもいいんじゃなくて。
キスしたいって思えるのは、ディオンだけっていうか?
あぁ、もう、わかんねぇ。
なんか考えながらキスしていたら。
いつの間にかソファに押し倒されていて。
ディオンが俺のシャツのボタンを外そうとしている。
「脱がすなよぉ。まだ、飲んでんのに」
「熱いのだろう? 涼しくしてやる」
「うそぉ。ディオンが触ったら、熱くなるじゃん」
「熱くなるのはダメか?」
耳に囁きながら、クスクス笑うから。耳がこそばゆい。
「なぁ大樹。俺のこと、いつから好きになったのだ?」
ディオンがそんなことを聞いてくるけど。
いつから?
うーん。
最初は、傷を負った殿下は。まさに手負いの獣そのままだと思ったのだ。
でも身請けされて。
まだ人となりもわからないうちに、結構反発された、みたいな?
でもそれは。俺にではなくて。
親というものに対しての憤りだった。
彼は親に庇護されなかった子供だ。だから小枝を守る俺に過剰反応して。
殿下は反発してしまったのだと思う。
当たりの強さに戸惑ったりもしたけど。
ディオンの苛酷な子供時代のことや、いまだ続く命をおびやかす環境を知れば。
彼に同情したし。
毒なし料理を作ることで彼が癒されるのなら、いっぱい食べさせてあげたくなったし。
不眠症で苦しむ彼を救ってあげたかった。
幸いにも、俺には彼を救う手立てがあり。
その能力を惜しみなく分け与えてやりたかった。
そばにいる人が苦しむ姿なんて見たくはないだろ?
そのときは奴隷だと思っていたから。心の隅に複雑な感情がなかったわけではないけれど。
ディオンは無茶な命令をしてこなかったし。
実際には奴隷紋で縛ってもいなかったのだ。
なら、彼へのわだかまりはもうないでしょ。
むしろ大金を払って、無償で俺らを奴隷解放してくれたのだ。
あ、スリーパーが目当てで無償ではないかも、だけど。
スリーパーすることは労働にも値しない、俺にとっては些細なことだしな。
その対価だけで、俺と小枝の自由を返してくれたんだ。
それって、とてもありがたいこと。
異世界に来て、思わぬところではまってしまった罠から、ディオンが抜けださせてくれたってことだろ?
感謝、するべきなんだろうな。
ま、奴隷ではないと知る前から。彼のことは好きになっていたんだけどな。
いつ頃かなぁ。
意識したのは、夜の相手を前提にした抱き枕、とか言われたときかな?
今思い返すと、普通に失礼な言いようだなぁとは思うけど。
同性同士でそうなっても良いのかと、理解したのがその件だった、みたいな?
グッと来たのは。一緒に牢に入ってくれたところかな。
王族のディオンが。奴隷の親子のために牢の中に入って、慰めてくれるなんて。
恐れ多いっていうか。そこまでしてくれるんだって。
俺を本当に守ってくれるんだって、わかって。
胸にしっくりと、彼がはまったようなイメージがある。
うーん、でも。そればっかりじゃなくて。
日々の積み重ねが。小さな好きが重なっていって。
それで…。
「いつからかなんて、わからない。いつの間にか、あなたを守りたいって思うようになっていたのです。あなたの子供時代に飛んで行って、抱きしめてあげたい。俺のディオンを傷つけないでって、周りの大人に説教してやるんだ。俺にとっては、それが好きってことなんだけど。それじゃダメですか?」
俺に覆いかぶさる殿下にたずねると。彼はとびきり優しい笑顔で告げた。
「いいや? ダメなわけない。最高の口説き文句だよ、大樹」
俺を怖がらせないようにか、ゆっくりと顔を寄せて。しっとりと唇を合わせる。
優しく触れ合わせるキスは、胸がキュンとなって。けれど、じんわり心があたたかくなるような、和やかな気持ちになる。
そのささやかなキスが好き。
でも、彼の分厚い唇が俺の口全体を覆って。舌を差し入れて口腔をかき回す、激しいキスも好き。
口の中を愛撫されると、ディオンでいっぱいになって。体中が燃えてくる。
あなたの手が、シャツをかいくぐって肌に触れると。
ディオンと俺が一体になったように感じて。
指の些細なうごめきで、快楽が呼び起こされる。
そうすると、俺は自分が男であることを思い知らされるのだ。
抱きたい、という欲望が高まって。
でも彼に押し倒されて、ディオンの強靭な肉体で押さえつけられると。
抱かれたい。彼に身を任せて、快楽に溺れたいって思う。
彼が好きだと。愛していると。
情熱が体中に満ちて。
燃え上がる心の熱さで、ディオンとひとつになりたいと感じるのだ。
「ベッドに行きませんか?」
俺が誘うと。
ディオンはフと微笑み。
ソファから身を起こして、俺をお姫様抱っこした。
ひえぇぇぇ、これは恥ずかしい。
いい感じにぼんやりしていた酔いが醒めます。
けれど、胸に抱かれた位置から見るディオンは。
首が太くて、たくましくて。本当に頑強な男なのだ。
普通に格好良いと思うし。
こんなイケメンが俺なんかをなんで好きになったのか、いまだに解せないが。
ま、彼の気持ちは彼にしかわからないし。
ディオンが、俺が良いと言うのだから。
それ以上は追求しないよ。
ディオンみたいに、俺のどこが好き? いつから好き? なんて聞かない。
誉め言葉を催促しているみたいで、そっちの方が恥ずかしいじゃん。
しかし、こうして軽々お姫様抱っこされると、男のプライド傷つくなぁ。
細身な俺は、立派な彼の体躯をうらやましいと思うけど。
いやいや、俺は細身じゃないと思うんだよ? 日本では標準体型だし。身長だって175センチくらいはあるんだからねっ。ただ、肉厚なこの世界の騎士職の男どもと比べたら細いってだけで。
ローク先生とか、俺よりちょっと大きいだけだし。しぃぃ。
たぶんこの世界の騎士職の男どもは人種が違うんじゃないかな?
うん。そういうことにしておこう。
そして、ディオンは寝台に俺を横たえ。シャツを脱ぎながら俺に覆いかぶさる。
でも。
酔いに頭がボゥっとして。からの…のパターンはヤバいのです。
なので、ディオン。ごめんなさいっ。
「おやすみなさい、ディオン」
「はっ、大樹、貴様ぁぁぁぁぁ」
ディオンは断末魔を残して、俺に覆いかぶさって寝た。
すみません、スリーパーかけました。
本当に、その気になっていたのにすみません。
けれどぉ、おっさんなので。
さすがに毎晩はきついです。無理です。
俺は慣れた感じでディオンの体を横にどかして。ひと息つく。
そして、寝ている彼の眉間に寄ったシワを、人差し指でそっと撫でた。
小枝を寝かしつけるとき。すよぉぉ、とゆっくり寝入っていく小枝を見るのは。
とても可愛いし。健やかな様子が嬉しいし。
自身がすっごく穏やかな気持ちでおやすみなさいって気になるのに。
大人だというだけで、どうしてこうも可愛くないのだろう?
あ、美形だから可愛くないのか? 俺のひがみか?
「なんて。ちゃんとお慕いしていますよ、ディオン」
頬にチュッとキスしたら、眉間のシワがなくなった…ような気がした。
★★★★★
翌日。
ディオンの私室。居間のソファに腰かける俺に。
対面に座るレギがカバンを差し出した。机の上にカバンを置き、仰々しく蓋を開いて見せる。
そこには金貨がぎっしり詰まっていた。
金貨十枚が紙でひとくくりにされて。金貨一枚十万相当。その百万オーベルが十本。
それだけ、って思うかもしれないが。金の延べ棒が十本あるイメージですよっ。
「とりあえず一千万オーベル用意した。これからは月に一度、このようにして給与を出すつもりだ」
隣に座るディオンがドヤ顔で言う。
いやいやいや、なんか、思っていたのと違いますぅ。
俺の給与的イメージは金貨、二、三枚。だったんですけど?
というわけで。俺は、そっとカバンを閉めた。
「自分から言っておいてなんですけど…今まで通りでいいです」
だって、こんな大金持っていられないよぉ。
それに、理解したっていうか。
殿下が金銭を支払う今までの形態だとしても。
これぐらいは俺的に使ってもいいってことでしょ?
了解しましたので、このお金はしまってください。
「いいのか? 俺は目に見える形でおまえの働きに報いたいと思ったのだが?」
「このような大金は管理できないので。でも、ディオン。さっそく俺の話を実現してくれてありがとう。俺に報いたいというあなたの気持ちは十全に伝わりました」
なので、そのお金はしまってください。
俺は日本でも、百万の札束を持てば、手が震えて挙動不審になるくらいの小市民なんですぅ。
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