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68 スパダリへの道は試練の道 (小枝)
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◆スパダリへの道は試練の道 (小枝)
パパが殿下と婚約しました。
でもね、王様に報告していないから、まだ正式じゃないんだって。めんどくさっ。
どうせ王様が反対しても殿下はパパと結婚するんでしょ?
なら正式でいいじゃんね??
しかしながらぼくは、かんがいぶかく思い返すのです。
身請けされたばかりの頃は、殿下がすっごいおうへいで、口はへの字だし。ずっと怒っているみたいだったから、パパはぼくと抱き合っておののいていましたけど。
でもパパは。将来の心配はちょぉぉっとしたみたいだけど。
まぁまぁ最初から、殿下のことは怖がっていなかったよねぇ?
「もっと怖い患者さんの診察をしたこともあるし。強面の人は案外優しい人が多いんだよ? 律儀にお医者さんを敬ってくれたりね。鉄砲玉になった暁にはよろしくって言われたときは、さすがに笑顔が引きつったけどぉ」
って、前にパパは申しておりました。
てっぽうだま…は、ぼくはよくわかりませんけどぉ。
だからパパは。どんな患者さんも平等に診るすごいお医者様なの。
だからパパは。殿下のことを怖がらなかったんだね?
不愛想な殿下のこと、いい人だよ、たぶん…みたいなことを言っていたもの。
ぼくは、とにかくパパについていくの。
こんな小さな体じゃぁ、パパのお手伝いとか上手にできないけど。
メスで切ったり糸で縫ったりはできないけど。
パパはぼくのお手伝いは上手にできているって。褒めてくれるの。エヘン。
えっと、なんだっけ?
あ、だから、ぼくはパパのそばにずっといます。
パパが殿下と結婚しても、一緒にいます。
一緒にいていいって、パパも殿下も言ったもの。だから大丈夫なの。
パパは殿下といると。ほんのりだけど、頬が赤くなって綺麗になるの。
その顔、ぼくも好きぃ。
だから、ぼく。パパのそばに殿下がいてもいいよって気になる。
パパの一番は、ぼくだから。二番目ならいいよ。
殿下はぼくの弟みたいなものだから。二番目でいいでしょ?
しかし。とうめんの問題はそこではない。
今、やっかいなのは。隣でパンケーキを頬張るジョシュア王子のことですっ。
なんでか、王子が北の離宮で暮らすことになってしまったのだぁ。
ぼくは。処刑回避のためにも王子から距離を取りたいのに。
なんでか、ぐいぐい来るよね、なんでか。
今は朝食の時間です。
北の屋敷の食堂は、とぉぉぉっても大きかったけど。
テーブルもまぁまぁ大きいのがあるのだけど。
ぼくがここに来たときは。ぼくとパパと殿下とレギとグレイだけだったから、小さな机で食べていたの。
でも今は。食堂の大きさに見合ったテーブルがデデンと中央にあり。そこに大勢の人が腰かけて食べています。
テーブルのお誕生日席のところに殿下がいて。
その左右の席に、エルアンリ様とジョシュア王子。王族ですね。
エルアンリ様の横にジュリア、ローク先生。
ジョシュア王子の横に、ぼく、パパ、ノアと座る。
騎士服を着るアンドリューさんは、殿下と王子の警護で、すぐ後ろに立っていて。
レギとグレイが殿下とエルアンリ様側の給仕に。
王子の執事が王子の給仕に。
という感じで。大所帯になったなぁぁ、と思います。
食堂には十二人いますよぉ? すごぉい。
ちなみに。本当は序列的に、公爵子息となったパパは王子の隣に座るものなのですが。
王子が『コエダがとなりがいい』って駄々をこねたから、こういう順番になりました。
もう、そういうところですよ、王子ッ。
テーブルの真ん中には、大盛りの生野菜。馬鹿みたいにブリブリしたソーセージの盛り合わせ。厚切りのハムがビロビロ―と並ぶ大皿。そして、甘いパンケーキのタワーと、甘さ控えめのパンケーキタワーがあって。
そこから好きに取って、パンケーキにはさんで食べる感じ。
ぼくと王子とノアという子供チームは、パパによって強制的に野菜を盛られちゃうけどね。
甘い方のパンケーキにバターと蜂蜜をたっぷりかけてくれるの。
ぼくはまだ、ナイフが上手に使えないから、パパに切ってもらうけど。
ホントは丸いまま食べたいお年頃。
「コエダ、なんだこれはぁ? 美味しいなぁ?」
ジョシュアが甘いパンケーキを頬張りながら聞いてきます。
それ、いつもは殿下のセリフなんですけど。セリフドロボーです。
ぼくもいつものように『端っこのカリカリって焼けたところが甘くて美味しいのぉお』と食レポをしたいところだがぁ。
でも、王子の口の周りがハチミツとバターでデロデロです。
「ほらぁ、お口が汚れていますよ? 王子なのだから、がっついて食べないのっ。もっと上品に食べてぇ」
ぼくは紙のナプキンで王子の口を拭いてやる。ゴシゴシ。
「ぷぁっ…だけどコエダァ、これは大きく切って口いっぱいに入れる方が、美味しいぞぉ?」
王子はもうナイフを使えるので、好きな大きさに切って、お口にたくさん詰め込む。
もう、そんなに頬張ったら、またお喉に詰まらせますよっ??
でもね。まぁ、それはそうなんですよぉ。
細かく切られたホットケーキほど美味しくないものはないというか?
いえ、パパのホットケーキは細切れでも美味しいですけど。
あぁあ、ぼくも。ナイフの使い方をパパに教えてもらおうかなぁ? 怖いけど。
まぁ、メイのときに使ったことはあるんだけどね。
ナイフがでかくて、すごく切れるから。ぶきっちょなぼくは怖いなぁって思って。
パパも危ないからって、切ってくれるんだけど。
でも、王子も使っているのだから、ぼくもできないことはなくもない?
ぼくの弟が殿下で、そのまた弟が王子なのだから。ぼくの下の下。
その王子がナイフを扱えて。ぼくができないのは、兄の威厳が揺らぎますぅぅ。
そんな、お口デロデロの王子だけど。
王子はね。
顔はいいんだよ、顔だけは。
金髪がするするぅのサラサラぁで。つぶらな瞳はスカイブルーで。
白いお肌に、ツンととがった生意気そうな唇。そこはちょっと勝気な性格を表していて。
顔だけならお上品で整った顔立ち、でもなよなよしてなくて。
男の子っぽい面が表に出ているの。
ザ、白馬に乗った王子様。になる予定の、未完成王子なのだった。
あれ。もしかしてこの未完成王子、ぼくが育てるの?
メイが十四歳のときに出会ったキラキラ王子に?
この口元デロデロ王子がなるの?
本当にぃぃ?
いや、素地はある。
うまくすれば、キラキラのクール王子になる。んだろうけど…。
ぼくは、いやだなぁ。
だって、あの王子は。メイの好意を踏みつけても、表情変えない王子だったもの。
ホットケーキ頬張って、美味しいって笑っている王子の方が。ぼくは好きだなぁ。
でも。王子が口元デロデロはいただけないけど。
「王子なんだから、お口の周りに食べ物をつけないようにして食べるのっ、みっともないでしょ?」
隣でパパが、クスクス笑っているけど。
ぼくもたまに、ほっぺに食べ物つけるから。それで笑っているんだろうけど。
いいのぉ、ぼくのことはッ。
今は、王子のお行儀の件ですから。
★★★★★
午前中は、王子のお部屋でお勉強をした。
ノアは、ぼくより年上のお兄さんだけど、勉強は始めたばかりだから、王子と同じくらいの学力で。
殿下が、まだ家庭教師は屋敷に入れたくない、セキュリティー的に。と言うので。
なんでか一番年下のぼくが、みなさまにお勉強を教える感じになります。
でもぼくは、メイの意識がある、中身は大人なのだからねぇ。小学生レベルのことなら教えられますよぉ?
だけど。まぁ、そばにパパはついているけどぉ。
今のぼくは、お医者で頭が良くて、ずのおめいせきなパパにお勉強を教わっているのだからねぇ。ばっちりです。
でもね、メイは。
あの子、頭はあまり良くなかったから。
パパにちゃんと教えてもらった方が確実なのです。
で、パパに教わったことを、ぼくがふたりに教える感じ?
家庭教師コエダ、です。
ノアは、教えたことをすうすう覚える感じで、脳みそ大きいからかなぁって思います。
王子は飽きっぽいから、集中力が続かないの。だからなかなか進まないんだよね?
やる気あんの?
って、ちょっとオコですぅ。
★★★★★
午後は外で遊んでから、昼寝しておやつです。それがルーティーンってやつ。
まずは、お庭の通路で追いかけっこします。
王子は、虫、虫、言っていますが。もう冬になりそうなので、チョウチョも飛んでいないのです。だからカブトムシはもちろん、虫が普通にいません。
王子は植物を手でガサガサかき分けて、しょんぼりしています。
どんだけ虫が好きなのかっ?
虫は、ぼくはあまり好きではない。足がいっぱいついているものは苦手です。
だけど、まぁ、さわれなくもないから?
夏になったら虫取りに付き合ってあげますよ。
そうしたら、王子は。
どこからか小さな青い花の雑草をみつけてきて、ピカリとした顔で笑って、ぼくにそれを差し出した。
「こ、こここ、コエダ。私と婚約してください」
雑草には、罪はないんです。だから受け取りますけど。
もうっ。王子の婚約して攻撃がウザいんです。
王子が北の館で暮らし始めてから、もう何回目かの婚約して、です。数をいちいち数えていられません。
「ぼくは男の子なので、男の子の王子とは婚約しませんんん」
そして、これも何度目かの断り文句です。えぇ、数えていません。
「えええぇぇぇぇ?? だって、コエダのパパは兄上と婚約したんだよ? だからコエダは私と結婚してもいいんだ」
「結婚してもいいって、なんですか? 上から目線ですよっ」
「だって、私は王子だし。王子の求婚をこばんだらダメなんだぞっ?」
腰に手を当てて、王子は言うけど。
なんで王子をこばんだらダメなの? ぼくわかんない。
「それが上から目線っていうのですぅ。選ぶけんりはこちらにあるんですぅ」
こちらは命がかかっているのだからねぇ。
王子をこばむけんりはありますっ。たぶん。
「えらぶ? じゃあコエダはどんな人が好みのタイプなのだ? どういう人だったら、婚約するのだぁ??」
どんな人? と王子に聞かれ。
ぼくは。手元の雑草をわしゃわしゃしながら、頭に思い描く。
「えぇっとねぇ。まず笑顔が優しくてぇ。頭が良くてぇ。ぼくのことが一番大好きでぇ。ぼくを一生懸命守ってくれる……パパッ」
そうです。ぼくの脳裏に思い浮かぶのは、パパだけなのです。
語尾にはもれなくハートがいっぱいつきますっ。
「パパ? コエダのパパにはかなわないっていうかぁ。肉親は禁止っ。パパとは結婚できないんだからなっ」
「わかっているけど、理想のタイプなの。パパ以上の人じゃなきゃあ、ぼくはラブにはなりません」
そうだ。パパとは結婚できない。しょぼりんぬ。
わかっているけど。
パパより好きになる人なんか、あらわれっこないとぼくは思うのだ。
だからぼくは、一生独身かもしれません。
それで一生パパのそばにいる…あら? それはそれでよいのではぁぁ?
「でも、今コエダが言ったのは、私にも当てはまるぞ? 母上は私の笑顔が最高に可愛いって言うし、父上は私が一番頭が良いって言ってくれるし、私はコエダのことが一番好きだし、一生懸命守るぞっ」
どやぁぁ、な顔で笑う王子。
その顔、まったくなっていませんっ。そういうところですよ?
ぼくは王子にこんこんと言い聞かせるのだった。
「ぼくのママは例外ですけどっ、世の中のたいていの母親はどんなにぶさいくでも、子供をかわいいって言って育てるものなのですぅ。それに王様は溺愛フィルターがはなはだしいのです。頭が良いとかは、かけ算ができるようになってから言ってくださいっ」
「か、か、か、かけざんんんっ? ムリムリ。あれ、全然意味わかんないもん」
「そしてっ、そのドヤッた笑顔は全然ダメです。もっと、柔らかくて、ほのぼのとしてぇ、こう、口角をやんわりあげてぇぇぇ…」
ぼくは王子の顔に手を当てて、頬をぐねぐねと動かした。
むぎぎ、うーん、うまく笑顔になりませんね?
「コ、コエダ? ホントか? ホントにこの顔か?」
王子の顔を、しばらくぐねぐねしてみたが。
「ダメです、ちがいます。引きつっています。パパの笑顔をみならってください」
そうして、背後にいるパパを、ぼくはビシィィと指差します。
そうです。今までのやり取りは全部、パパもノアもアンドリューさんも見ているのですっ。
なんというはずかしめでありましょう。
そしていつも優しいお顔で笑うパパは、ぼくに指差されて苦笑です。
「そういえば、コエダのパパは、いつもほんわか笑顔だな?」
ジョシュア王子も同意です。そうでしょう??
「そうなのです。患者さんにも、タイジュ先生の笑顔はいやされるわぁって評判だったのです」
ぼくはパパを褒められて、超ご機嫌です。
意気揚々と、パパのすごいぞエピソードを披露します。
「患者? タイジュはお医者さんなのか?」
「そうですよぉ、殿下もアンドリューさんもパパは治したんです。優秀なんですよぉ?」
「えっ?」
驚いた声を出したのは、ノアです。
ノアは口を手で押さえて居住まいを正しますが。
「ノアも、お話に入っていいんですよ? 専属騎士は、学園にも連れて行く従者のようなこともするし。王子と一番仲の良いお友達になるものなのでしょう?」
そう言って、ノアを誘った。
ふたりきりより、ノアが間に入った方が婚約して攻撃を回避できると思ったし。
ノアともっとお話したいっていう気持ちもあったんだよ?
王子が嫉妬するから、なかなか話しかけられないけどぉ。
「しかし、私は庶民ですし。王子のお友達など、恐れ多くて…それに、王子とコエダ様のお話の邪魔はできません」
でもノアは控えめだから、一歩下がっちゃうの。
「お友達になるのだから、邪魔とかないのぉぉ。ね、パパ?」
パパにたずねたら、いつもの優しいお顔でパパは答えてくれた。
「そうだよ。みんな友達。身分を超えて、心を開ける人がそばにいることが大事なことなんだよ?」
さすが、パパです。ぼくもそれが言いたかったのです。
「身分を超えて…」
ノアはパパの言葉に感じ入って、アンドリューさんをみつめます。
そうでしょう? パパはいいこと言うよねぇ?
「ぼくも治療のお手伝いをしたのです。ね、アンドリューさん?」
「あぁ、コエダちゃんの言うことは本当だよ、ノア。私はタイジュ様とコエダちゃんに助けられたのだ」
アンドリューさんがうなずくと、ノアはぼくをそんけーの眼差しでみつめた。キラキラです。
「とにかく、王子は医者のパパよりもかしこくならないとダメなので。お勉強をいっぱいしなきゃです。物腰が柔らかくてぇ、性格も優しくてぇ、誰にも好かれるスパダリにならなきゃ、ぼくの心は動きませんよぉ」
「すぱだり? それはなんだ、コエダ?」
「えぇっとねぇ、なんだっけぇ? パパ」
振り返ってパパに聞くと、小首を傾げた。
「ごめん、小枝。パパもスパダリはわからないなぁ?」
パパにわからないことがあるなんて、ぼくは衝撃です。
パパはなんでもできる、すっごい人だし。パパはなんでも知っていると思っていましたぁ。
しかし、わからないものは仕方がない。えぇぇぇ…。
「えぇっとねぇ。とにかく、スーパーすごいパパみたいな人って意味なのぉ」
なんとか絞り出して言いました。ま、ほぼほぼ合っているでしょう。
「そんなの、すぐはムリだよぉ」
王子は眉尻を情けなく下げて、もう降伏宣言です。
顔しか取り柄がないんだから、そこはいつもきれいにキープしなさい。
あと、あきらめるのが早いっっ!
「もちろん、時間をかけてスパダリになるのです。スパダリへの道は試練の道なのです。でも、一生懸命頑張ってくれるならぁ、ご学友にならなってもいいですよ??」
「本当かっ?」
ぼくが譲歩したら、王子はぱぁぁぁっと明るく笑った。
うむ、その顔は悪くない。
「でも、婚約はぼくが認めるスパダリになってからですよ?」
「うーん、わかったぁ…。じゃあ、まずはご学友から。よろしくな、コエダ」
さっそく不満げなわかったぁ…で。ぼくは目を吊り上げます。
「はい、だめぇ。わかったぁ…じゃなくて。もっと爽やかに、にこやかに。パパの笑顔のみたいになって、言い直して? はいっ」
ぼくがうながすと、王子は本領発揮のキラリン笑顔を浮かべて、言った。
「わかったよ、コエダ。私のご学友になってくれ」
「はい、よくできました」
「王子を手玉に取る俺の息子が末恐ろしい…」
パパがなんかつぶやいてますけど。
なんか言ったぁ?
パパが殿下と婚約しました。
でもね、王様に報告していないから、まだ正式じゃないんだって。めんどくさっ。
どうせ王様が反対しても殿下はパパと結婚するんでしょ?
なら正式でいいじゃんね??
しかしながらぼくは、かんがいぶかく思い返すのです。
身請けされたばかりの頃は、殿下がすっごいおうへいで、口はへの字だし。ずっと怒っているみたいだったから、パパはぼくと抱き合っておののいていましたけど。
でもパパは。将来の心配はちょぉぉっとしたみたいだけど。
まぁまぁ最初から、殿下のことは怖がっていなかったよねぇ?
「もっと怖い患者さんの診察をしたこともあるし。強面の人は案外優しい人が多いんだよ? 律儀にお医者さんを敬ってくれたりね。鉄砲玉になった暁にはよろしくって言われたときは、さすがに笑顔が引きつったけどぉ」
って、前にパパは申しておりました。
てっぽうだま…は、ぼくはよくわかりませんけどぉ。
だからパパは。どんな患者さんも平等に診るすごいお医者様なの。
だからパパは。殿下のことを怖がらなかったんだね?
不愛想な殿下のこと、いい人だよ、たぶん…みたいなことを言っていたもの。
ぼくは、とにかくパパについていくの。
こんな小さな体じゃぁ、パパのお手伝いとか上手にできないけど。
メスで切ったり糸で縫ったりはできないけど。
パパはぼくのお手伝いは上手にできているって。褒めてくれるの。エヘン。
えっと、なんだっけ?
あ、だから、ぼくはパパのそばにずっといます。
パパが殿下と結婚しても、一緒にいます。
一緒にいていいって、パパも殿下も言ったもの。だから大丈夫なの。
パパは殿下といると。ほんのりだけど、頬が赤くなって綺麗になるの。
その顔、ぼくも好きぃ。
だから、ぼく。パパのそばに殿下がいてもいいよって気になる。
パパの一番は、ぼくだから。二番目ならいいよ。
殿下はぼくの弟みたいなものだから。二番目でいいでしょ?
しかし。とうめんの問題はそこではない。
今、やっかいなのは。隣でパンケーキを頬張るジョシュア王子のことですっ。
なんでか、王子が北の離宮で暮らすことになってしまったのだぁ。
ぼくは。処刑回避のためにも王子から距離を取りたいのに。
なんでか、ぐいぐい来るよね、なんでか。
今は朝食の時間です。
北の屋敷の食堂は、とぉぉぉっても大きかったけど。
テーブルもまぁまぁ大きいのがあるのだけど。
ぼくがここに来たときは。ぼくとパパと殿下とレギとグレイだけだったから、小さな机で食べていたの。
でも今は。食堂の大きさに見合ったテーブルがデデンと中央にあり。そこに大勢の人が腰かけて食べています。
テーブルのお誕生日席のところに殿下がいて。
その左右の席に、エルアンリ様とジョシュア王子。王族ですね。
エルアンリ様の横にジュリア、ローク先生。
ジョシュア王子の横に、ぼく、パパ、ノアと座る。
騎士服を着るアンドリューさんは、殿下と王子の警護で、すぐ後ろに立っていて。
レギとグレイが殿下とエルアンリ様側の給仕に。
王子の執事が王子の給仕に。
という感じで。大所帯になったなぁぁ、と思います。
食堂には十二人いますよぉ? すごぉい。
ちなみに。本当は序列的に、公爵子息となったパパは王子の隣に座るものなのですが。
王子が『コエダがとなりがいい』って駄々をこねたから、こういう順番になりました。
もう、そういうところですよ、王子ッ。
テーブルの真ん中には、大盛りの生野菜。馬鹿みたいにブリブリしたソーセージの盛り合わせ。厚切りのハムがビロビロ―と並ぶ大皿。そして、甘いパンケーキのタワーと、甘さ控えめのパンケーキタワーがあって。
そこから好きに取って、パンケーキにはさんで食べる感じ。
ぼくと王子とノアという子供チームは、パパによって強制的に野菜を盛られちゃうけどね。
甘い方のパンケーキにバターと蜂蜜をたっぷりかけてくれるの。
ぼくはまだ、ナイフが上手に使えないから、パパに切ってもらうけど。
ホントは丸いまま食べたいお年頃。
「コエダ、なんだこれはぁ? 美味しいなぁ?」
ジョシュアが甘いパンケーキを頬張りながら聞いてきます。
それ、いつもは殿下のセリフなんですけど。セリフドロボーです。
ぼくもいつものように『端っこのカリカリって焼けたところが甘くて美味しいのぉお』と食レポをしたいところだがぁ。
でも、王子の口の周りがハチミツとバターでデロデロです。
「ほらぁ、お口が汚れていますよ? 王子なのだから、がっついて食べないのっ。もっと上品に食べてぇ」
ぼくは紙のナプキンで王子の口を拭いてやる。ゴシゴシ。
「ぷぁっ…だけどコエダァ、これは大きく切って口いっぱいに入れる方が、美味しいぞぉ?」
王子はもうナイフを使えるので、好きな大きさに切って、お口にたくさん詰め込む。
もう、そんなに頬張ったら、またお喉に詰まらせますよっ??
でもね。まぁ、それはそうなんですよぉ。
細かく切られたホットケーキほど美味しくないものはないというか?
いえ、パパのホットケーキは細切れでも美味しいですけど。
あぁあ、ぼくも。ナイフの使い方をパパに教えてもらおうかなぁ? 怖いけど。
まぁ、メイのときに使ったことはあるんだけどね。
ナイフがでかくて、すごく切れるから。ぶきっちょなぼくは怖いなぁって思って。
パパも危ないからって、切ってくれるんだけど。
でも、王子も使っているのだから、ぼくもできないことはなくもない?
ぼくの弟が殿下で、そのまた弟が王子なのだから。ぼくの下の下。
その王子がナイフを扱えて。ぼくができないのは、兄の威厳が揺らぎますぅぅ。
そんな、お口デロデロの王子だけど。
王子はね。
顔はいいんだよ、顔だけは。
金髪がするするぅのサラサラぁで。つぶらな瞳はスカイブルーで。
白いお肌に、ツンととがった生意気そうな唇。そこはちょっと勝気な性格を表していて。
顔だけならお上品で整った顔立ち、でもなよなよしてなくて。
男の子っぽい面が表に出ているの。
ザ、白馬に乗った王子様。になる予定の、未完成王子なのだった。
あれ。もしかしてこの未完成王子、ぼくが育てるの?
メイが十四歳のときに出会ったキラキラ王子に?
この口元デロデロ王子がなるの?
本当にぃぃ?
いや、素地はある。
うまくすれば、キラキラのクール王子になる。んだろうけど…。
ぼくは、いやだなぁ。
だって、あの王子は。メイの好意を踏みつけても、表情変えない王子だったもの。
ホットケーキ頬張って、美味しいって笑っている王子の方が。ぼくは好きだなぁ。
でも。王子が口元デロデロはいただけないけど。
「王子なんだから、お口の周りに食べ物をつけないようにして食べるのっ、みっともないでしょ?」
隣でパパが、クスクス笑っているけど。
ぼくもたまに、ほっぺに食べ物つけるから。それで笑っているんだろうけど。
いいのぉ、ぼくのことはッ。
今は、王子のお行儀の件ですから。
★★★★★
午前中は、王子のお部屋でお勉強をした。
ノアは、ぼくより年上のお兄さんだけど、勉強は始めたばかりだから、王子と同じくらいの学力で。
殿下が、まだ家庭教師は屋敷に入れたくない、セキュリティー的に。と言うので。
なんでか一番年下のぼくが、みなさまにお勉強を教える感じになります。
でもぼくは、メイの意識がある、中身は大人なのだからねぇ。小学生レベルのことなら教えられますよぉ?
だけど。まぁ、そばにパパはついているけどぉ。
今のぼくは、お医者で頭が良くて、ずのおめいせきなパパにお勉強を教わっているのだからねぇ。ばっちりです。
でもね、メイは。
あの子、頭はあまり良くなかったから。
パパにちゃんと教えてもらった方が確実なのです。
で、パパに教わったことを、ぼくがふたりに教える感じ?
家庭教師コエダ、です。
ノアは、教えたことをすうすう覚える感じで、脳みそ大きいからかなぁって思います。
王子は飽きっぽいから、集中力が続かないの。だからなかなか進まないんだよね?
やる気あんの?
って、ちょっとオコですぅ。
★★★★★
午後は外で遊んでから、昼寝しておやつです。それがルーティーンってやつ。
まずは、お庭の通路で追いかけっこします。
王子は、虫、虫、言っていますが。もう冬になりそうなので、チョウチョも飛んでいないのです。だからカブトムシはもちろん、虫が普通にいません。
王子は植物を手でガサガサかき分けて、しょんぼりしています。
どんだけ虫が好きなのかっ?
虫は、ぼくはあまり好きではない。足がいっぱいついているものは苦手です。
だけど、まぁ、さわれなくもないから?
夏になったら虫取りに付き合ってあげますよ。
そうしたら、王子は。
どこからか小さな青い花の雑草をみつけてきて、ピカリとした顔で笑って、ぼくにそれを差し出した。
「こ、こここ、コエダ。私と婚約してください」
雑草には、罪はないんです。だから受け取りますけど。
もうっ。王子の婚約して攻撃がウザいんです。
王子が北の館で暮らし始めてから、もう何回目かの婚約して、です。数をいちいち数えていられません。
「ぼくは男の子なので、男の子の王子とは婚約しませんんん」
そして、これも何度目かの断り文句です。えぇ、数えていません。
「えええぇぇぇぇ?? だって、コエダのパパは兄上と婚約したんだよ? だからコエダは私と結婚してもいいんだ」
「結婚してもいいって、なんですか? 上から目線ですよっ」
「だって、私は王子だし。王子の求婚をこばんだらダメなんだぞっ?」
腰に手を当てて、王子は言うけど。
なんで王子をこばんだらダメなの? ぼくわかんない。
「それが上から目線っていうのですぅ。選ぶけんりはこちらにあるんですぅ」
こちらは命がかかっているのだからねぇ。
王子をこばむけんりはありますっ。たぶん。
「えらぶ? じゃあコエダはどんな人が好みのタイプなのだ? どういう人だったら、婚約するのだぁ??」
どんな人? と王子に聞かれ。
ぼくは。手元の雑草をわしゃわしゃしながら、頭に思い描く。
「えぇっとねぇ。まず笑顔が優しくてぇ。頭が良くてぇ。ぼくのことが一番大好きでぇ。ぼくを一生懸命守ってくれる……パパッ」
そうです。ぼくの脳裏に思い浮かぶのは、パパだけなのです。
語尾にはもれなくハートがいっぱいつきますっ。
「パパ? コエダのパパにはかなわないっていうかぁ。肉親は禁止っ。パパとは結婚できないんだからなっ」
「わかっているけど、理想のタイプなの。パパ以上の人じゃなきゃあ、ぼくはラブにはなりません」
そうだ。パパとは結婚できない。しょぼりんぬ。
わかっているけど。
パパより好きになる人なんか、あらわれっこないとぼくは思うのだ。
だからぼくは、一生独身かもしれません。
それで一生パパのそばにいる…あら? それはそれでよいのではぁぁ?
「でも、今コエダが言ったのは、私にも当てはまるぞ? 母上は私の笑顔が最高に可愛いって言うし、父上は私が一番頭が良いって言ってくれるし、私はコエダのことが一番好きだし、一生懸命守るぞっ」
どやぁぁ、な顔で笑う王子。
その顔、まったくなっていませんっ。そういうところですよ?
ぼくは王子にこんこんと言い聞かせるのだった。
「ぼくのママは例外ですけどっ、世の中のたいていの母親はどんなにぶさいくでも、子供をかわいいって言って育てるものなのですぅ。それに王様は溺愛フィルターがはなはだしいのです。頭が良いとかは、かけ算ができるようになってから言ってくださいっ」
「か、か、か、かけざんんんっ? ムリムリ。あれ、全然意味わかんないもん」
「そしてっ、そのドヤッた笑顔は全然ダメです。もっと、柔らかくて、ほのぼのとしてぇ、こう、口角をやんわりあげてぇぇぇ…」
ぼくは王子の顔に手を当てて、頬をぐねぐねと動かした。
むぎぎ、うーん、うまく笑顔になりませんね?
「コ、コエダ? ホントか? ホントにこの顔か?」
王子の顔を、しばらくぐねぐねしてみたが。
「ダメです、ちがいます。引きつっています。パパの笑顔をみならってください」
そうして、背後にいるパパを、ぼくはビシィィと指差します。
そうです。今までのやり取りは全部、パパもノアもアンドリューさんも見ているのですっ。
なんというはずかしめでありましょう。
そしていつも優しいお顔で笑うパパは、ぼくに指差されて苦笑です。
「そういえば、コエダのパパは、いつもほんわか笑顔だな?」
ジョシュア王子も同意です。そうでしょう??
「そうなのです。患者さんにも、タイジュ先生の笑顔はいやされるわぁって評判だったのです」
ぼくはパパを褒められて、超ご機嫌です。
意気揚々と、パパのすごいぞエピソードを披露します。
「患者? タイジュはお医者さんなのか?」
「そうですよぉ、殿下もアンドリューさんもパパは治したんです。優秀なんですよぉ?」
「えっ?」
驚いた声を出したのは、ノアです。
ノアは口を手で押さえて居住まいを正しますが。
「ノアも、お話に入っていいんですよ? 専属騎士は、学園にも連れて行く従者のようなこともするし。王子と一番仲の良いお友達になるものなのでしょう?」
そう言って、ノアを誘った。
ふたりきりより、ノアが間に入った方が婚約して攻撃を回避できると思ったし。
ノアともっとお話したいっていう気持ちもあったんだよ?
王子が嫉妬するから、なかなか話しかけられないけどぉ。
「しかし、私は庶民ですし。王子のお友達など、恐れ多くて…それに、王子とコエダ様のお話の邪魔はできません」
でもノアは控えめだから、一歩下がっちゃうの。
「お友達になるのだから、邪魔とかないのぉぉ。ね、パパ?」
パパにたずねたら、いつもの優しいお顔でパパは答えてくれた。
「そうだよ。みんな友達。身分を超えて、心を開ける人がそばにいることが大事なことなんだよ?」
さすが、パパです。ぼくもそれが言いたかったのです。
「身分を超えて…」
ノアはパパの言葉に感じ入って、アンドリューさんをみつめます。
そうでしょう? パパはいいこと言うよねぇ?
「ぼくも治療のお手伝いをしたのです。ね、アンドリューさん?」
「あぁ、コエダちゃんの言うことは本当だよ、ノア。私はタイジュ様とコエダちゃんに助けられたのだ」
アンドリューさんがうなずくと、ノアはぼくをそんけーの眼差しでみつめた。キラキラです。
「とにかく、王子は医者のパパよりもかしこくならないとダメなので。お勉強をいっぱいしなきゃです。物腰が柔らかくてぇ、性格も優しくてぇ、誰にも好かれるスパダリにならなきゃ、ぼくの心は動きませんよぉ」
「すぱだり? それはなんだ、コエダ?」
「えぇっとねぇ、なんだっけぇ? パパ」
振り返ってパパに聞くと、小首を傾げた。
「ごめん、小枝。パパもスパダリはわからないなぁ?」
パパにわからないことがあるなんて、ぼくは衝撃です。
パパはなんでもできる、すっごい人だし。パパはなんでも知っていると思っていましたぁ。
しかし、わからないものは仕方がない。えぇぇぇ…。
「えぇっとねぇ。とにかく、スーパーすごいパパみたいな人って意味なのぉ」
なんとか絞り出して言いました。ま、ほぼほぼ合っているでしょう。
「そんなの、すぐはムリだよぉ」
王子は眉尻を情けなく下げて、もう降伏宣言です。
顔しか取り柄がないんだから、そこはいつもきれいにキープしなさい。
あと、あきらめるのが早いっっ!
「もちろん、時間をかけてスパダリになるのです。スパダリへの道は試練の道なのです。でも、一生懸命頑張ってくれるならぁ、ご学友にならなってもいいですよ??」
「本当かっ?」
ぼくが譲歩したら、王子はぱぁぁぁっと明るく笑った。
うむ、その顔は悪くない。
「でも、婚約はぼくが認めるスパダリになってからですよ?」
「うーん、わかったぁ…。じゃあ、まずはご学友から。よろしくな、コエダ」
さっそく不満げなわかったぁ…で。ぼくは目を吊り上げます。
「はい、だめぇ。わかったぁ…じゃなくて。もっと爽やかに、にこやかに。パパの笑顔のみたいになって、言い直して? はいっ」
ぼくがうながすと、王子は本領発揮のキラリン笑顔を浮かべて、言った。
「わかったよ、コエダ。私のご学友になってくれ」
「はい、よくできました」
「王子を手玉に取る俺の息子が末恐ろしい…」
パパがなんかつぶやいてますけど。
なんか言ったぁ?
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