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49 ひと目で惚れたのだ
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◆ひと目で惚れたのだ
餃子を食べた俺は満足して、いい気分で。残った餃子を油で揚げていた。
揚げ餃子である。
騎士さんたちの夜食の差し入れを作っているところだ。
エルアンリ王子はまだ胃が弱い状態なので、揚げ物は負担が大きいが。
運動量の多い騎士さんは揚げ物のカロリーはすぐに消費される。
夜、スナック感覚で食べてもらおうと思いまして。いっぱい揚げています。
揚げ餃子には塩コショウが合います。
「大樹、なにをしているのだ?」
いつまでも俺が寝室に現れないから、殿下の方から厨房にやってきました。
「騎士さんの夜食を作っているんです。揚げ餃子です。味見してみます?」
殿下にそれはなんだと言われる前に答えました。
揚げたての餃子に塩コショウを振って、殿下の前に出す。
ディオンはハフハフしながら餃子を食べた。
「ガリっとするのが、いい歯ごたえだ。スイギョーザも美味しかったが、アゲギョーザはそれを揚げただけなのに全く違う食べ物になるな?」
ディオンは厨房にある椅子に腰かけ、俺が料理しているところを見ている。
ちなみに小枝は、レギの付き添いで寝室にて就寝。百オーベル獲得である。
「俺はアゲギョーザの方が好きだな。このザクザクで中がじゅわっとして、塩とコショウでガツンとくる感じがいい。もっと食べたいが。スイギョーザを腹いっぱい食べてしまったから、もう入らない」
「ふふ、ディオンは若いから、揚げ物が美味しいんだな? 今度はトンカツでも作ろうか。あ、ソースがないけど。トンカツは塩コショウでもうまい」
「トンカツ? ソース? なんだそれは?」
「いつか作りますよ」
「楽しみだ。大樹の作る料理はなんでも美味しいから…好きだ」
なんか、手放しの賛辞に照れてしまう。
あと意味深に好きだに熱を込めないでください。その分、頬が熱くなる。
「アンドリューに、決闘を挑まれた」
その唐突で物騒な言葉に、俺は箸を止めて、彼を見やる。
それ、厨房でするには重い話なんじゃ?
「今日、騎士団の本部に行っただろう? ひと月後ぐらいに国一番の剣士を決める剣闘士大会が行われるのだが、その話し合いの席でアンドリューと会って。そういう話になったのだ」
「決闘なんて、危ないじゃないですか? 怪我でもしたら…」
「模擬剣を使った模擬戦だ。本番の剣闘士大会の前の腕試しだな。決闘というのも、命を賭けるようなやつではなくて。勝者の望みを叶えるという賭けのようなものだから。安心しろ」
決闘なんて言うから、どちらかが倒れるまでというようなものを想像してしまったが。
それほど真剣なものではなさそうで。
ホッとして、餃子を油から取り出していく。少しコゲた。
「アンドリューさんはディオンの部下なんだろ? なんで決闘なんて話になったんだ?」
「そんなの、おまえのこと以外にないだろう。彼の望みは、大樹の奴隷解放だと思うが。それだけは出来ぬと明言している。許せよ?」
「それは、まぁ。金額に見合ったことをまだできていませんから、良いのですけど。とにかく無茶はしないでくださいよ? 手術してからまだ一ヶ月ほどです。傷口が開くことはなくても、まだ体は修復途中だと意識してくださいね? 本当はふたりともまだまだ安静にしていてほしい期間なのに。激しい運動ばかりするのだからっ」
全く、元気なのは良いことですが。
決闘だか模擬戦だか知らんがヤンチャすぎだ。
それとも、この世界の人が頑丈なのか?
しかし、俺はちょっとオコだというのに。殿下はやんわり微笑んだ。
「奴隷解放しないと言っている俺を、そのように心配するとはな。大樹は本当に優しいな?」
優しいんじゃなくて、医者的に怒っているんですけどぉ。
とは、口にはしなかった。
「そりゃ、奴隷解放されたら嬉しいですよ? でもこの国にはその制度があって。俺はそこに引っかかってしまったのだから、仕方がないし。ディオンを怒るのも筋違いだと思っているだけ。まぁ、この国の奴隷制度自体を廃止にしてくれたら、ディオンの好感度は爆上がりですけどね?」
人権を無視して人を売買するのは、普通に良くないことだという認識がある。
その国や、世界のルールというのがあるのもわかってはいるけど。
日本という、まぁまぁ平和な国で生きてきたからこそ。
奴隷制度は俺の中では相いれなかった。
「大樹の好感度が爆上がりするのか? それは聞き捨てならぬな。しかしそれをするには国王にならないと…」
「なればぁ?」
それが一番手っ取り早いし。順番的にもあっていて。
ディオンは普通に王の器があると、俺は思っている。
不遇を味わった者は、弱者に優しいし。
理不尽には厳しく対応してくれそうだ。
まだひと月ほどしか一緒に過ごしていないけど。
そばにいれば、ちょっと不器用だけど誠実な性格であることはわかる。
「簡単に言うな? 俺が国王ならおまえは王妃になるのだが?」
「おっさん奴隷が王妃? なにそれ、ウケるぅ」
鉄板の上で鍋を移動させながら油の温度管理をしつつ。
俺は殿下の荒唐無稽な話を笑った。
それはマズいだろ。
「俺は真面目にそれを目論んでいるが? この前大樹は、おっさんで男でパパだから好かれる要素がないなどと言っていたが。おまえの優しさだけでも充分好感に値するぞ。それにな。大樹はおっさんでも、俺より年下に見える。俺は女性嫌いだから、むしろ男の大樹が好きだし。パパな大樹も無論好きだ。スリーパーで眠らせてくれるのは、俺にとってはかけがえのない能力で手放せない。だが能力があるからではなく、大樹という存在が、俺にはかけがえのない者なのだ」
耳がこそばゆいと思いつつも。揚げるギョーザがまだあるので、逃げられんっ。
「戦場で、手術のあと眠りから目が覚めて、はじめておまえの顔を見たときに、ひと目惚れしたんだ。柔らかな笑顔で俺をまっすぐみつめてくれただろう? この国で、俺をそんな風にみつめる者はいなかったから」
「強面だから?」
俺はからかうつもりで言った。
つか、茶々を入れないと、恥ずかしくて聞いていられないじゃないか。
しかしディオンは苦笑してうなずくのだった。
「そうだ。騎士も恐れる凶悪な顔だから、女子供はみんな顔を引きつらせて泣くな」
俺は口をへの字にする。
冗談だったのに。実際にそうだとシャレにならないじゃん。
それに俺は、殿下を凶悪顔だとは思っていないのだ。
ちょっと目つきの悪いイケメン、くらい。
まぁ、不眠症の頃は、きっと寝不足でクマもひどくてイケてなかったのかもしれませんが。
今のディオンは、目の下のクマも取れ、血色もよく。
目つきや視線の鋭さは相変わらずだが。
逆に気品や威厳を増している、みたいな?
だから。冗談のつもりだったんですっ。
「でも、おまえは笑ってくれて。だからひと目で惚れたのだ」
まさかのひと目惚れだったとは…。
俺の顔なんてどこにでもいる普通のおっさんだと思うのだが。
つか、こんな好き好き言われて。普通に恥ずかしいんだが?
揚げ物しているからだけじゃなくて、顔が熱くなるっつうの。いい年したおっさんがっ。
「笑顔も好きだが、その目元はたまに色っぽく見えてそそられる。目鼻立ちのバランスが良くて、逆に埋没する印象かもしれないが。万民が好む顔貌だと思う。事実、俺はおまえの顔が好きだ。性格も入れたら良いところが多すぎて全部語る…」
「いい加減にしてください。もう無理ぃぃぃ」
俺は餃子を揚げきって、手のひらで顔を覆う。
すると殿下が『やはり可愛い』と言って笑うのだ。やーめーてー。
「話は戻るが。一週間後の模擬戦にはおまえに立ち会ってもらう。おまえ絡みの試合だからな」
はっ、褒め殺しターンが終了した。
よかったぁ、涙目。気を取り直して。
「しかしその日は、小枝がジョシュア王子のところに行く日では?」
小枝は顔合わせのあと、すでにジョシュア王子との遊び相手を二度ほど勤めている。
嫌そうにはしているが、小枝も同年代の子と遊ぶのはまんざらではない様子で。
今のところ、穏便にお相手できている模様。
フェードアウトを狙っているぅ、なんて言っているけど。
王子は小枝に会いたくて仕方がない様子だし。なかなか思うようにはいっていないね。
厨房の火を落としながら、スケジュールについて殿下にたずねる。
つか、勝手に俺絡みで試合しないでくれませんか?
「あぁ。だから小枝にはレギに付き添ってもらう。施設は違うが、それほど遠い位置ではないから。試合が終わればすぐに迎えに行ける」
まぁ、前世でジョシュア王子には因縁もあるから、ひとりで相対するのは心細いかもしれないが。
小枝は保育園の経験があるし。
普通に遊んでいれば、ギャン泣きやグズりなどはないだろう。と思うけど。
「そのことは小枝に聞いてみます。ダメと言ったら、無理ですからね?」
「おまえは俺の従者なのに」
「俺は小枝ファーストなんで」
むふん、と胸を張ると。
殿下はフと笑う。
「必ず勝つ。おまえにわずらわしい思いはさせない」
「なんですか? わずらわしいことって。怖いんですけど。でもアンドリューさんも紳士ですから、無茶なことは要求しないのでは?」
「勝つと言っているのに」
ディオンは少し唇を突き出す珍しい表情をした。
小枝がちょっと拗ねているときの顔みたい。
だから笑顔で励ました。
「はい。勝ってください、ディオン」
「…差し入れと火の始末はグレイに任せて。寝室へ行こう、大樹。おまえを抱きたい」
なんか、その言い方いやらしいんですけど。
抱きたいは抱き枕って意味ですよね? ねっ?
しかし。ディオンは小枝に言わせると。俺と一緒じゃないと眠れない赤ちゃんのようなので。
仕方がないですね。
俺は彼と連れ立って、厨房をあとにするのだった。
ちなみに揚げ餃子は騎士様たちの腹に秒でおさまったようです。
餃子を食べた俺は満足して、いい気分で。残った餃子を油で揚げていた。
揚げ餃子である。
騎士さんたちの夜食の差し入れを作っているところだ。
エルアンリ王子はまだ胃が弱い状態なので、揚げ物は負担が大きいが。
運動量の多い騎士さんは揚げ物のカロリーはすぐに消費される。
夜、スナック感覚で食べてもらおうと思いまして。いっぱい揚げています。
揚げ餃子には塩コショウが合います。
「大樹、なにをしているのだ?」
いつまでも俺が寝室に現れないから、殿下の方から厨房にやってきました。
「騎士さんの夜食を作っているんです。揚げ餃子です。味見してみます?」
殿下にそれはなんだと言われる前に答えました。
揚げたての餃子に塩コショウを振って、殿下の前に出す。
ディオンはハフハフしながら餃子を食べた。
「ガリっとするのが、いい歯ごたえだ。スイギョーザも美味しかったが、アゲギョーザはそれを揚げただけなのに全く違う食べ物になるな?」
ディオンは厨房にある椅子に腰かけ、俺が料理しているところを見ている。
ちなみに小枝は、レギの付き添いで寝室にて就寝。百オーベル獲得である。
「俺はアゲギョーザの方が好きだな。このザクザクで中がじゅわっとして、塩とコショウでガツンとくる感じがいい。もっと食べたいが。スイギョーザを腹いっぱい食べてしまったから、もう入らない」
「ふふ、ディオンは若いから、揚げ物が美味しいんだな? 今度はトンカツでも作ろうか。あ、ソースがないけど。トンカツは塩コショウでもうまい」
「トンカツ? ソース? なんだそれは?」
「いつか作りますよ」
「楽しみだ。大樹の作る料理はなんでも美味しいから…好きだ」
なんか、手放しの賛辞に照れてしまう。
あと意味深に好きだに熱を込めないでください。その分、頬が熱くなる。
「アンドリューに、決闘を挑まれた」
その唐突で物騒な言葉に、俺は箸を止めて、彼を見やる。
それ、厨房でするには重い話なんじゃ?
「今日、騎士団の本部に行っただろう? ひと月後ぐらいに国一番の剣士を決める剣闘士大会が行われるのだが、その話し合いの席でアンドリューと会って。そういう話になったのだ」
「決闘なんて、危ないじゃないですか? 怪我でもしたら…」
「模擬剣を使った模擬戦だ。本番の剣闘士大会の前の腕試しだな。決闘というのも、命を賭けるようなやつではなくて。勝者の望みを叶えるという賭けのようなものだから。安心しろ」
決闘なんて言うから、どちらかが倒れるまでというようなものを想像してしまったが。
それほど真剣なものではなさそうで。
ホッとして、餃子を油から取り出していく。少しコゲた。
「アンドリューさんはディオンの部下なんだろ? なんで決闘なんて話になったんだ?」
「そんなの、おまえのこと以外にないだろう。彼の望みは、大樹の奴隷解放だと思うが。それだけは出来ぬと明言している。許せよ?」
「それは、まぁ。金額に見合ったことをまだできていませんから、良いのですけど。とにかく無茶はしないでくださいよ? 手術してからまだ一ヶ月ほどです。傷口が開くことはなくても、まだ体は修復途中だと意識してくださいね? 本当はふたりともまだまだ安静にしていてほしい期間なのに。激しい運動ばかりするのだからっ」
全く、元気なのは良いことですが。
決闘だか模擬戦だか知らんがヤンチャすぎだ。
それとも、この世界の人が頑丈なのか?
しかし、俺はちょっとオコだというのに。殿下はやんわり微笑んだ。
「奴隷解放しないと言っている俺を、そのように心配するとはな。大樹は本当に優しいな?」
優しいんじゃなくて、医者的に怒っているんですけどぉ。
とは、口にはしなかった。
「そりゃ、奴隷解放されたら嬉しいですよ? でもこの国にはその制度があって。俺はそこに引っかかってしまったのだから、仕方がないし。ディオンを怒るのも筋違いだと思っているだけ。まぁ、この国の奴隷制度自体を廃止にしてくれたら、ディオンの好感度は爆上がりですけどね?」
人権を無視して人を売買するのは、普通に良くないことだという認識がある。
その国や、世界のルールというのがあるのもわかってはいるけど。
日本という、まぁまぁ平和な国で生きてきたからこそ。
奴隷制度は俺の中では相いれなかった。
「大樹の好感度が爆上がりするのか? それは聞き捨てならぬな。しかしそれをするには国王にならないと…」
「なればぁ?」
それが一番手っ取り早いし。順番的にもあっていて。
ディオンは普通に王の器があると、俺は思っている。
不遇を味わった者は、弱者に優しいし。
理不尽には厳しく対応してくれそうだ。
まだひと月ほどしか一緒に過ごしていないけど。
そばにいれば、ちょっと不器用だけど誠実な性格であることはわかる。
「簡単に言うな? 俺が国王ならおまえは王妃になるのだが?」
「おっさん奴隷が王妃? なにそれ、ウケるぅ」
鉄板の上で鍋を移動させながら油の温度管理をしつつ。
俺は殿下の荒唐無稽な話を笑った。
それはマズいだろ。
「俺は真面目にそれを目論んでいるが? この前大樹は、おっさんで男でパパだから好かれる要素がないなどと言っていたが。おまえの優しさだけでも充分好感に値するぞ。それにな。大樹はおっさんでも、俺より年下に見える。俺は女性嫌いだから、むしろ男の大樹が好きだし。パパな大樹も無論好きだ。スリーパーで眠らせてくれるのは、俺にとってはかけがえのない能力で手放せない。だが能力があるからではなく、大樹という存在が、俺にはかけがえのない者なのだ」
耳がこそばゆいと思いつつも。揚げるギョーザがまだあるので、逃げられんっ。
「戦場で、手術のあと眠りから目が覚めて、はじめておまえの顔を見たときに、ひと目惚れしたんだ。柔らかな笑顔で俺をまっすぐみつめてくれただろう? この国で、俺をそんな風にみつめる者はいなかったから」
「強面だから?」
俺はからかうつもりで言った。
つか、茶々を入れないと、恥ずかしくて聞いていられないじゃないか。
しかしディオンは苦笑してうなずくのだった。
「そうだ。騎士も恐れる凶悪な顔だから、女子供はみんな顔を引きつらせて泣くな」
俺は口をへの字にする。
冗談だったのに。実際にそうだとシャレにならないじゃん。
それに俺は、殿下を凶悪顔だとは思っていないのだ。
ちょっと目つきの悪いイケメン、くらい。
まぁ、不眠症の頃は、きっと寝不足でクマもひどくてイケてなかったのかもしれませんが。
今のディオンは、目の下のクマも取れ、血色もよく。
目つきや視線の鋭さは相変わらずだが。
逆に気品や威厳を増している、みたいな?
だから。冗談のつもりだったんですっ。
「でも、おまえは笑ってくれて。だからひと目で惚れたのだ」
まさかのひと目惚れだったとは…。
俺の顔なんてどこにでもいる普通のおっさんだと思うのだが。
つか、こんな好き好き言われて。普通に恥ずかしいんだが?
揚げ物しているからだけじゃなくて、顔が熱くなるっつうの。いい年したおっさんがっ。
「笑顔も好きだが、その目元はたまに色っぽく見えてそそられる。目鼻立ちのバランスが良くて、逆に埋没する印象かもしれないが。万民が好む顔貌だと思う。事実、俺はおまえの顔が好きだ。性格も入れたら良いところが多すぎて全部語る…」
「いい加減にしてください。もう無理ぃぃぃ」
俺は餃子を揚げきって、手のひらで顔を覆う。
すると殿下が『やはり可愛い』と言って笑うのだ。やーめーてー。
「話は戻るが。一週間後の模擬戦にはおまえに立ち会ってもらう。おまえ絡みの試合だからな」
はっ、褒め殺しターンが終了した。
よかったぁ、涙目。気を取り直して。
「しかしその日は、小枝がジョシュア王子のところに行く日では?」
小枝は顔合わせのあと、すでにジョシュア王子との遊び相手を二度ほど勤めている。
嫌そうにはしているが、小枝も同年代の子と遊ぶのはまんざらではない様子で。
今のところ、穏便にお相手できている模様。
フェードアウトを狙っているぅ、なんて言っているけど。
王子は小枝に会いたくて仕方がない様子だし。なかなか思うようにはいっていないね。
厨房の火を落としながら、スケジュールについて殿下にたずねる。
つか、勝手に俺絡みで試合しないでくれませんか?
「あぁ。だから小枝にはレギに付き添ってもらう。施設は違うが、それほど遠い位置ではないから。試合が終わればすぐに迎えに行ける」
まぁ、前世でジョシュア王子には因縁もあるから、ひとりで相対するのは心細いかもしれないが。
小枝は保育園の経験があるし。
普通に遊んでいれば、ギャン泣きやグズりなどはないだろう。と思うけど。
「そのことは小枝に聞いてみます。ダメと言ったら、無理ですからね?」
「おまえは俺の従者なのに」
「俺は小枝ファーストなんで」
むふん、と胸を張ると。
殿下はフと笑う。
「必ず勝つ。おまえにわずらわしい思いはさせない」
「なんですか? わずらわしいことって。怖いんですけど。でもアンドリューさんも紳士ですから、無茶なことは要求しないのでは?」
「勝つと言っているのに」
ディオンは少し唇を突き出す珍しい表情をした。
小枝がちょっと拗ねているときの顔みたい。
だから笑顔で励ました。
「はい。勝ってください、ディオン」
「…差し入れと火の始末はグレイに任せて。寝室へ行こう、大樹。おまえを抱きたい」
なんか、その言い方いやらしいんですけど。
抱きたいは抱き枕って意味ですよね? ねっ?
しかし。ディオンは小枝に言わせると。俺と一緒じゃないと眠れない赤ちゃんのようなので。
仕方がないですね。
俺は彼と連れ立って、厨房をあとにするのだった。
ちなみに揚げ餃子は騎士様たちの腹に秒でおさまったようです。
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