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20 これからは、大人の時間だ
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◆これからは、大人の時間だ
俺と小枝が子爵邸から戦場へ行く道程は、三日すべて野宿。というか馬車の中での就寝だったが。
王子御一行は大きな町を経由して、それなりに立派な宿屋に宿泊するようです。
そりゃそうだ。王族の方が野宿とか。しないよね?
でも王子が戦線を離脱するのは、極秘のようで。
俺はわからなかったのだが、馬車に王家の紋章はあしらわれていないんだって。レギがそう言っていた。
だからこの馬車を見かけた者も、そこに第二王子が乗っているなんて思わない。
護衛の人数もごく少数だし。
警護する供の者も、レギを入れて七人だけなんだ。
あぁ、俺や小枝は数に入れてないよ? 細腕の頭でっかちの素人が、警護なんかできないからね。
だから王子の護衛は七人ほどの少数精鋭みたいだ。
「戦争に勝ったのに、どうして殿下はババーンとパレードしないのです?」
馬車の中で仮眠していた王子は、町に入ると目を覚ましたので。たずねてみた。
日本では、オリンピックで金メダルを取ると、選手の地元でパレードをするだろう?
この国の王子が敵国を退け、侵略を防いだのだから。それはもう華麗に、国民が諸手を上げて祝福するものだと思ったんだよ。
もしかしたら、大怪我をしたからと言っても、最高司令官が途中で戦場から離れるのは体裁が悪いのかなぁ?
もうほぼほぼ戦争は終結したと、ディオン王子は言っていたし。ノベリア領主が後始末をするだけという状態になっているそうだから、胸を張って凱旋してもいいんじゃないかなぁ?
と俺は思ったのだが。
「…暗殺の隙を与えぬためだ」
なんか、殺伐とした答えが殿下から返ってきて。
俺は、どうもすみません的な感じで身をすくめる。
「基本、俺は。居場所をなるべく明らかにしないようにしている。まぁ、王宮勤めや最高司令官としての任を受けたときは、敵に居場所はバレバレだが。帰途を襲われるのは勘弁だ」
そう言って、殿下は傷のある腹に手を置いた。
腹の中を探るような手術は、この世界では一般的ではない。医者であるローク先生がドン引きだったくらいにね。
つまり殿下は、この世界ではありえないほどの手術をした、はじめての人物。
いわゆる、ダメージは肉体的にも精神的にも大きかったと言える。
まぁ俺の医術と小枝の魔法で、手術自体は完璧だったけどね。まだ軽い炎症と回復に伴う痛みが残っているからな、その状態で暗殺者と対峙したくないということだろう。
「殿下の敵というのは、レーテルノンじゃなくて。やはり王宮にいるのですか?」
「やはり、とは?」
寝起きのヤバい目つきで、ギロリと王子に睨まれてしまうが。
「すみません。診察のときに古い傷をいくつか目にしましたので…」
「…戦場に出た折のものがほとんどだが。まぁ、王宮に俺の敵がいるのは周知の事実だ。華々しいパレードは部下に任せ、俺は暗殺者の裏をかいて、人知れずこそこそと王都に帰るしかない」
王子の話を聞く限り、推測していた通りに、やっぱり王宮は殿下が用心するほど危険なところなんだなと思った。
小枝と平穏な暮らしがしたいだけなのに。
なかなかのほほんライフにはたどり着けないようだ。
まぁ、奴隷のうちは。自由やのほほんは遠い遠いところにある夢なのだけど。
というわけで、立ち寄る領に先触れなどはせず、お出迎えの国民などもなく。
どこかの貴族のお忍びのごとく、王子一行はとても静かに宿屋に入ったのだった。
ま、目立ちたがりではないし、俺も静かな方がいいので。お忍びチックはありがたい。
★★★★★
一日目の宿の、王子が泊まる部屋は。お忍びチックと言っても、やはり貴族や高貴な客人が泊まるような綺麗な設えで。
寝室と居間が分かれているので、いわゆるスイートルームだ。
この部屋をはさんで両隣に、護衛騎士の部屋。ふたり休み、ひとり廊下で警護、が二セット。計六人。警護は交代制だって。
人数は少なくても、やはり王族の護衛は物々しいね?
王子の部屋には、レギと、俺と小枝が過ごす。
そこで、まずはお着替えタイムです。
小枝はずっと、子爵家でもらった服を着ていたんだけど。ローディ子爵のバカ息子ベルナルドのお古だから。ちょっと気にはなっていたんだ。
服に罪はないけど、なんとなくね? 縁起悪くね?
そうは言っても、奴隷になってしまったから着替えをできるわけもなく。ずっとそのままだったのだけど。
ちなみに服の汚れやお風呂的なものも、小枝のクリーンがあったから。俺も小枝も常に清潔状態だったよ。
なんて便利な魔法なんだっ。
しかし。王宮に入る前に。俺たちの着替えは一新されるということです。俺も?
「古着で王宮を歩かれるわけにはいかないので」
レギはそう言って、子供用の貴族チックなお衣装を小枝に着せた。
今までは青地だったが。今度は紫色の地で、刺繍も綺麗に入っている、お高そうな服だ。
白シャツ襟のフリルとスカーフがボリューミーで、上着と同じ地のズボンは短い丈。
あああぁぁ、小枝ぁ、可愛いいよっ。
青も似合っていたけど。今度のは色味が紫で、ちょっと赤みがさしたから。陶器肌のプルプルほっぺが赤く色づいて見えて、天使の微笑みに磨きがかかりますっ。
レギ、小枝の良さをわかってらっしゃいますねっ。
小枝は薄焼き卵色の柔らかい癖毛がゴージャスだから、どの貴族の御子様より気品があるのですっ。
いや、貴族の子供見たことないけど。
いやいや、小枝以上に可愛い子供など存在しませんからぁ。
そのあと、俺も衣服を渡されまして。
漆黒の詰襟で、裾が長い上着。中に着るシャツもズボンも黒で、ブーツも黒。
「わぁ、真っ黒。でもパパの黒髪と同じでカッコイイね。悪の組織のボスみたい」
小枝は目をキラキラさせて言うけど、それ、褒めているのかい?
苦笑する俺に、レギが言った。
「タイジュは私と同じ役職ですが、私は騎士として殿下の護衛の役目もございますので。殿下と同じ軍服を着用しています。あなたは殿下の専属従者として、その衣装をいつも身につけていただきますので」
それはっ。
服を選ぶ手間がなくていいですね? 俺は気に入りました。
医者としては全身白とか薄青とか手術着のグリーンとかをよく着ているのだけど。
黒は、医者は避けがちだから、逆に新鮮だね。
それに襟が立っているので、首輪が見えないのも嬉しいです。
「レギ様、そろそろ髪を切りたいのですが。この町で散髪をしてもいいですか?」
異世界に来て一ヶ月、髪は伸ばしっぱなしで。そろそろ毛先が肩口にかかりそうだった。
オペをするのには、もう結んだ方がいいくらいの感じ。だから気になっていたのだ。
医者は清潔第一で。患部に髪が落ちるのはご法度です。
王宮に入る前に散髪したほうがいいかと思い、たずねたのだが。
レギは王子に目をやり、彼が首を振ったのを見て。答えた。
「髪は伸ばしてくれ」
ええ? 伸ばすの?
思わず王子に目をやってしまう。
俺は長いの、似合わないと思うけど。
それとも従者や、この国の人は、男の人でも髪を伸ばすのありがち? レギも長髪だしな。
でも兵士はみんな、髪短かったし、ローク先生も医者も短かったよ?
んん、医者は当てにならないか。みんな清潔に切り揃えている感じだからな。
しかしディオン王子は、俺と目を合わさないのだった。もうっ。
夕食の後。殿下は傷に熱を持っていて、お風呂は厳禁なので。
寝台の上で王子の傷口の消毒をして、ガーゼと包帯を変えたら。小枝に全身クリーンかけてもらった。
これで、完全に清潔、感染もなし。
俺の消炎鎮痛スリープで、痛みも消えたはずだ。
王子は肩と腿にも縫合するほどの傷があるが。そちらの治りはまぁまぁだ。赤みも腫れもない。
「いいですね。腹部の炎症がおさまれば、不快感はなくなるはずです」
「おまえの手は、気持ちが良いな」
救急キットをしまっているときに、王子が言う。
シャツとズボンをきっちり着込んだ王子は、つぶやいた。
「おまえが包帯を巻くときの所作が、手の動きが。触れる感じとかも、なにやら気持ちが良いのだ」
するとレギが、小枝を連れて部屋の外に出てしまった。
「パパぁ…」
心細そうな声を残し、続きの間に行ってしまった息子が心配だが。
席を立とうとする俺の手を、王子がつかんで止める。
「これからは、大人の時間だ」
意味深に、王子に言われ。俺は彼のアイスブルーの瞳に目が釘付けになる。
美しい色の、瞳。
ディオン王子は整った顔立ちで、ある意味精巧な人形のようだ。
一見、その瞳の色も氷のように冷たく見える。
けれど、氷色の瞳でも、その輝きは命の熱さを感じ。
確かに彼が人形などではなく、血の通った人間だと理解させられるのだ。
はじめて会ったときから、ずっと殿下をイケメンだと思っていた。目つきが悪すぎて半減していたけど。
でも少し血色の良くなった殿下は、イケメンでは軽すぎる。
美形、美麗? この世のものとは思えない美しさ、ってやつだな?
「これから毎日、コエダはひとりで寝ることになるから、慣れてもらわなければならない」
俺をじっくりみつめながら、王子は思いがけないことを口にする。
「小枝がひとりで? 夜、俺は部屋に戻れないということですか?」
「そうだ。おまえは私と寝るからな」
そう言って、王子はベッドの布団を持ち上げて、俺をうながす。
えぇぇ? 私と寝る? ここで、王子と寝るの? 俺が?
俺と小枝が子爵邸から戦場へ行く道程は、三日すべて野宿。というか馬車の中での就寝だったが。
王子御一行は大きな町を経由して、それなりに立派な宿屋に宿泊するようです。
そりゃそうだ。王族の方が野宿とか。しないよね?
でも王子が戦線を離脱するのは、極秘のようで。
俺はわからなかったのだが、馬車に王家の紋章はあしらわれていないんだって。レギがそう言っていた。
だからこの馬車を見かけた者も、そこに第二王子が乗っているなんて思わない。
護衛の人数もごく少数だし。
警護する供の者も、レギを入れて七人だけなんだ。
あぁ、俺や小枝は数に入れてないよ? 細腕の頭でっかちの素人が、警護なんかできないからね。
だから王子の護衛は七人ほどの少数精鋭みたいだ。
「戦争に勝ったのに、どうして殿下はババーンとパレードしないのです?」
馬車の中で仮眠していた王子は、町に入ると目を覚ましたので。たずねてみた。
日本では、オリンピックで金メダルを取ると、選手の地元でパレードをするだろう?
この国の王子が敵国を退け、侵略を防いだのだから。それはもう華麗に、国民が諸手を上げて祝福するものだと思ったんだよ。
もしかしたら、大怪我をしたからと言っても、最高司令官が途中で戦場から離れるのは体裁が悪いのかなぁ?
もうほぼほぼ戦争は終結したと、ディオン王子は言っていたし。ノベリア領主が後始末をするだけという状態になっているそうだから、胸を張って凱旋してもいいんじゃないかなぁ?
と俺は思ったのだが。
「…暗殺の隙を与えぬためだ」
なんか、殺伐とした答えが殿下から返ってきて。
俺は、どうもすみません的な感じで身をすくめる。
「基本、俺は。居場所をなるべく明らかにしないようにしている。まぁ、王宮勤めや最高司令官としての任を受けたときは、敵に居場所はバレバレだが。帰途を襲われるのは勘弁だ」
そう言って、殿下は傷のある腹に手を置いた。
腹の中を探るような手術は、この世界では一般的ではない。医者であるローク先生がドン引きだったくらいにね。
つまり殿下は、この世界ではありえないほどの手術をした、はじめての人物。
いわゆる、ダメージは肉体的にも精神的にも大きかったと言える。
まぁ俺の医術と小枝の魔法で、手術自体は完璧だったけどね。まだ軽い炎症と回復に伴う痛みが残っているからな、その状態で暗殺者と対峙したくないということだろう。
「殿下の敵というのは、レーテルノンじゃなくて。やはり王宮にいるのですか?」
「やはり、とは?」
寝起きのヤバい目つきで、ギロリと王子に睨まれてしまうが。
「すみません。診察のときに古い傷をいくつか目にしましたので…」
「…戦場に出た折のものがほとんどだが。まぁ、王宮に俺の敵がいるのは周知の事実だ。華々しいパレードは部下に任せ、俺は暗殺者の裏をかいて、人知れずこそこそと王都に帰るしかない」
王子の話を聞く限り、推測していた通りに、やっぱり王宮は殿下が用心するほど危険なところなんだなと思った。
小枝と平穏な暮らしがしたいだけなのに。
なかなかのほほんライフにはたどり着けないようだ。
まぁ、奴隷のうちは。自由やのほほんは遠い遠いところにある夢なのだけど。
というわけで、立ち寄る領に先触れなどはせず、お出迎えの国民などもなく。
どこかの貴族のお忍びのごとく、王子一行はとても静かに宿屋に入ったのだった。
ま、目立ちたがりではないし、俺も静かな方がいいので。お忍びチックはありがたい。
★★★★★
一日目の宿の、王子が泊まる部屋は。お忍びチックと言っても、やはり貴族や高貴な客人が泊まるような綺麗な設えで。
寝室と居間が分かれているので、いわゆるスイートルームだ。
この部屋をはさんで両隣に、護衛騎士の部屋。ふたり休み、ひとり廊下で警護、が二セット。計六人。警護は交代制だって。
人数は少なくても、やはり王族の護衛は物々しいね?
王子の部屋には、レギと、俺と小枝が過ごす。
そこで、まずはお着替えタイムです。
小枝はずっと、子爵家でもらった服を着ていたんだけど。ローディ子爵のバカ息子ベルナルドのお古だから。ちょっと気にはなっていたんだ。
服に罪はないけど、なんとなくね? 縁起悪くね?
そうは言っても、奴隷になってしまったから着替えをできるわけもなく。ずっとそのままだったのだけど。
ちなみに服の汚れやお風呂的なものも、小枝のクリーンがあったから。俺も小枝も常に清潔状態だったよ。
なんて便利な魔法なんだっ。
しかし。王宮に入る前に。俺たちの着替えは一新されるということです。俺も?
「古着で王宮を歩かれるわけにはいかないので」
レギはそう言って、子供用の貴族チックなお衣装を小枝に着せた。
今までは青地だったが。今度は紫色の地で、刺繍も綺麗に入っている、お高そうな服だ。
白シャツ襟のフリルとスカーフがボリューミーで、上着と同じ地のズボンは短い丈。
あああぁぁ、小枝ぁ、可愛いいよっ。
青も似合っていたけど。今度のは色味が紫で、ちょっと赤みがさしたから。陶器肌のプルプルほっぺが赤く色づいて見えて、天使の微笑みに磨きがかかりますっ。
レギ、小枝の良さをわかってらっしゃいますねっ。
小枝は薄焼き卵色の柔らかい癖毛がゴージャスだから、どの貴族の御子様より気品があるのですっ。
いや、貴族の子供見たことないけど。
いやいや、小枝以上に可愛い子供など存在しませんからぁ。
そのあと、俺も衣服を渡されまして。
漆黒の詰襟で、裾が長い上着。中に着るシャツもズボンも黒で、ブーツも黒。
「わぁ、真っ黒。でもパパの黒髪と同じでカッコイイね。悪の組織のボスみたい」
小枝は目をキラキラさせて言うけど、それ、褒めているのかい?
苦笑する俺に、レギが言った。
「タイジュは私と同じ役職ですが、私は騎士として殿下の護衛の役目もございますので。殿下と同じ軍服を着用しています。あなたは殿下の専属従者として、その衣装をいつも身につけていただきますので」
それはっ。
服を選ぶ手間がなくていいですね? 俺は気に入りました。
医者としては全身白とか薄青とか手術着のグリーンとかをよく着ているのだけど。
黒は、医者は避けがちだから、逆に新鮮だね。
それに襟が立っているので、首輪が見えないのも嬉しいです。
「レギ様、そろそろ髪を切りたいのですが。この町で散髪をしてもいいですか?」
異世界に来て一ヶ月、髪は伸ばしっぱなしで。そろそろ毛先が肩口にかかりそうだった。
オペをするのには、もう結んだ方がいいくらいの感じ。だから気になっていたのだ。
医者は清潔第一で。患部に髪が落ちるのはご法度です。
王宮に入る前に散髪したほうがいいかと思い、たずねたのだが。
レギは王子に目をやり、彼が首を振ったのを見て。答えた。
「髪は伸ばしてくれ」
ええ? 伸ばすの?
思わず王子に目をやってしまう。
俺は長いの、似合わないと思うけど。
それとも従者や、この国の人は、男の人でも髪を伸ばすのありがち? レギも長髪だしな。
でも兵士はみんな、髪短かったし、ローク先生も医者も短かったよ?
んん、医者は当てにならないか。みんな清潔に切り揃えている感じだからな。
しかしディオン王子は、俺と目を合わさないのだった。もうっ。
夕食の後。殿下は傷に熱を持っていて、お風呂は厳禁なので。
寝台の上で王子の傷口の消毒をして、ガーゼと包帯を変えたら。小枝に全身クリーンかけてもらった。
これで、完全に清潔、感染もなし。
俺の消炎鎮痛スリープで、痛みも消えたはずだ。
王子は肩と腿にも縫合するほどの傷があるが。そちらの治りはまぁまぁだ。赤みも腫れもない。
「いいですね。腹部の炎症がおさまれば、不快感はなくなるはずです」
「おまえの手は、気持ちが良いな」
救急キットをしまっているときに、王子が言う。
シャツとズボンをきっちり着込んだ王子は、つぶやいた。
「おまえが包帯を巻くときの所作が、手の動きが。触れる感じとかも、なにやら気持ちが良いのだ」
するとレギが、小枝を連れて部屋の外に出てしまった。
「パパぁ…」
心細そうな声を残し、続きの間に行ってしまった息子が心配だが。
席を立とうとする俺の手を、王子がつかんで止める。
「これからは、大人の時間だ」
意味深に、王子に言われ。俺は彼のアイスブルーの瞳に目が釘付けになる。
美しい色の、瞳。
ディオン王子は整った顔立ちで、ある意味精巧な人形のようだ。
一見、その瞳の色も氷のように冷たく見える。
けれど、氷色の瞳でも、その輝きは命の熱さを感じ。
確かに彼が人形などではなく、血の通った人間だと理解させられるのだ。
はじめて会ったときから、ずっと殿下をイケメンだと思っていた。目つきが悪すぎて半減していたけど。
でも少し血色の良くなった殿下は、イケメンでは軽すぎる。
美形、美麗? この世のものとは思えない美しさ、ってやつだな?
「これから毎日、コエダはひとりで寝ることになるから、慣れてもらわなければならない」
俺をじっくりみつめながら、王子は思いがけないことを口にする。
「小枝がひとりで? 夜、俺は部屋に戻れないということですか?」
「そうだ。おまえは私と寝るからな」
そう言って、王子はベッドの布団を持ち上げて、俺をうながす。
えぇぇ? 私と寝る? ここで、王子と寝るの? 俺が?
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