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2-28 リア充、爆発しろっ
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◆リア充、爆発しろっ
リーリアに穴に落されて、すぐに脱出できたけど。校内に入る前に、雨にも降られちゃって。白い制服は泥汚れで、ドロドロ。
勘弁してください。これは洗濯で落とすのが大変ですよ?
まぁ、それで。こんな格好じゃ、陛下の前に立てないから。体操着に着替えようと思って。
更衣室の自分用のロッカーに、手をかけたのだけど。
そういえば、長袖長ズボンの体操着は、家で洗濯したまま置いてきてしまったのだった。
いわゆる、忘れ物、である。
でも、夏用の体操着はあるから、良いかと思って。それを着て、食堂に向かった。
まぁ、この世界では、みなさん、肌の露出を嫌がりますが。
ぼくは前世で、夏はTシャツとハーフパンツみたいな格好で、過ごしていたから。あまり抵抗がないんだよね。
体操着の短パンは、短いといっても、膝上くらいのズボンだし。
体のラインが、ぴったりしたやつだったら、ぼくも恥ずかしくなったかもしれないけど。
オーバーサイズの体操着だから、特に気にならなかった。
だけど、同じく、体操着に着替えたベルナルドが、ぼくを見て、ギョッとした。
「く、く、く、クロウ様。それは…ちょっと。あ、私の上着を…しかし、私のものを着せたら、陛下が怒りますかね? でも、このまんまよりは…あぁ、クロウ様…それは駄目ですぅ」
ベルナルドは、なんかいろいろ言っていたけれど。
あまり要領を得ないし。リーリアが陛下になにを言っているのか、それが気になってしまって。
早く、食堂に行きたかったから。無視しちゃった。
小走りで、廊下を抜けて、食堂へ入り。真っすぐに陛下の元へ。
あっ、リーリアが、ぼくの席に座っています。もう、やりたい放題ですね?
それよりも、陛下。リーリアの嘘話を信じないでくださいよ?
強制力も、ストップでお願いしますよ?
気が気でないぼくは、陛下のそばに立ち。まずは遅刻を謝った。
「ランチに遅れて、申し訳ありませぇん」
ちょっと屈んで、会釈するように小首を傾げる。
礼を取るほどじゃないけど、ちょっと膝を曲げて挨拶すると。
陛下が、目を丸くして、ぼくをガン見していた。
「ショタクロっ、それを愛でる陛下。激萌えっ」
マリーが、最早、しっかりした声でつぶやいた。
いえ、ショタじゃないです。ぼくは一応成人男子なので。
鳥ガラボディで、頼りなく見えても、二十歳越えですよっ?
マリーは知っているはずですが?
「クロウ、そのような、あられもない姿を、見せてはならぬ」
そう言って、陛下が制服の上着を脱いで、ぼくに着せてくれた。
体操着の上が、なかったから。半そでだったけど。急に雨に降られたから、少し肌寒くて。膝頭をこすっていたのです。
だから、袖を通した制服から伝う、陛下のぬくもりが、あったかぁい。
でも、陛下。あられもない姿って、なんですか?
一応、学校指定の体操着なんですけど。
イレギュラー入学だから、わかりやすいように。胸の名入れは、自分でつけましたけど。なにか?
「彼シャツならぬ、ブカブカの彼ジャケっ、袖余りッ、てぇてぇてぇてぇ…」
またもやマリーが、てぇてぇ言ってます。
つか、アレはオタク特有の発作ですね? 大丈夫ですか? マリー、こちらへ戻ってきてぇ。
マリーに目が釘付けになっていたら。
いつの間にか、陛下が、ぼくをお姫様抱っこして。
ギャッ、また、食堂なんか、人目のあるところで姫抱っこするなんて。陛下のバカぁ。
でも、すごい速さで食堂を出てくれたから。まぁいいか。
ぼくの羞恥心を慮ってくださって、ありがとうございます、陛下。
しかし、いったいどこへ?
つか、リーリア嬢の一件は、どうなったのでしょう?
陛下は、走ってはいないが、ものすごく早い、超俊足で、廊下を進むと。陛下が学園に借りている休憩室に、ぼくとともに入っていった。
扉に鍵までかけて。そして、陛下の大きな執務机の後ろにぼくをおろした。
なんか…いろんなものから、ぼくを隠そうとする気合を感じます。
そんなに、あられもない感じですか? おかしいなぁ。
床に座っている状態で、陛下はぼくに覆いかぶさるように、ぼくの体の横に手を突く。
これは、床ドン?
いえ、床ドンは、押し倒しているのと、同義では?
ぼくは床に肘をつき、かろうじて顔は上げているが。
近距離の陛下の麗しい顔の圧におされて、タジタジ状態です。
「へ、陛下?」
「クロウ、我は。おまえに言わなければならないことがある。クロウにとっては、聞きたくない話かもしれないが…」
とっても、深刻そうな顔つきで、陛下に言われ、ぼくは嫌な予感に、身を震わせる。
まさか、それって…別れ話、なのですか?
陛下は、やっぱり、リーリアの話を信じてしまったのでしょうか?
どんな話をしたのか、わかりませんが。ぼくがベルナルドと浮気、みたいなことを言っていましたから。そのようなことを?
別れるのは、嫌です。
でも、陛下のお言葉は、絶対で。
陛下が嫌なことを、無理強いすることなんか、できない。
でも。だけど。嫌って、言っちゃいそう。
世の、婚約破棄された悪役令嬢は。毅然とした態度で、受け止める人が多かったけど。
ぼくは、無理ぃ。絶対に、泣く。もう、泣きそう…。
「クロウ…王妃は。足首を見せてはならぬっ」
そう言って、陛下はぼくの足首を手で持って、高く上げた。
「ひえぇぇぇぇっ」
適度に体が柔らかいから、足がくの字に折れる。
ぼくの膝が、胸につきそうなんですけど?
「足首、細すぎ。我が握ったら、折れてしまいそうではないか? つか、この足首の筋が、色っぽくてけしからんっ。それに、なんだ? このピンクで小さな膝頭は? こんなエロいものを、食堂へ来る間、誰もかもに見せてきたというのか? けしからんっ」
そう言って、陛下は、ぼくの膝を舐めた。
舐めた?
陛下、言っていることと行動が合わなくて、ちょっとおかしいんですけど?
「せ、制服が汚れて、着替えたのですが。た、体操着の上着を忘れてしまったのです。ぎゃ」
今度は、少し開いたズボンの隙間に、手を入れてくる。へ、陛下ぁ?
「このような、隙間から、クロウの太ももが見えるなど。けしからん。首のラインもだ。色っぽいおまえの細い首は、襟の付いたもので、ちゃんと隠しておかなければダメではないか? 手首もだ。この細くて華奢な手首をさらせば、その手首を掴んでみたいと思う男どもが寄ってきて、おまえを…あぁ、駄目だ。首、手首、太もも、足首、見せるの禁止っ!」
そんなぁ、それでは、なにを着ればいいのかわからないではないですか?
どうすればいいのですかっ! 簀巻きですか?
つか、別れ話ではないんですか? それはそれで、良かったんですけど。
あぁ、ズボンをたくし上げて、太ももをかじらないでください。
くすぐったいし。それに、あ、あれです。なんか、もぞもぞしてきます。
「クロウ、我は。猛烈に、圧倒的に、おまえが不足している。クロウ不足だっ」
ぼくの太ももを甘噛みした陛下は、今度はチュプチュプと音を立てて膝を舐め。さらに唇を、ふくらはぎに移動し。ついばみながら、足首に向かっていく。
ふぁ…それは。刺激が強い、か、と。
足を、まんべんなく、貪られていますぅ。
「本当に、限界が近いのだ。それなのに、クロウは無防備に。そのような誘う姿で、我の前に現れるのだから。参ってしまう」
いえ、誘ってません。ただの体操着なのですけど。
「八月の結婚式など、とても待てぬ。おまえが、液体だったなら、と。以前言っていたな? マジで、クロウは液体なのではないか? だったら、ちゅうちゅう吸わせてくれ」
「いえ、あの。ぼくは、液体では…」
陛下は、ぼくの答えは求めていないようで。一心に足を舐めながら。目をグルグルさせている。
あぁ、本当に、限界だったのですね?
その気持ちはわかります。同じ男ですからね。
スイッチ、入っちゃいましたね?
「この前、おまえから、魔力を貰って。すごく心地よくて。寝落ちするほどだったが。あれでも足りぬ。いや、少しの供給により、一瞬満たされたことで。もっともっとと、クロウを求め。剣術大会では、ついに唇を奪ってしまった。だが、触れてしまえば、さらに、クロウが欲しくなる。どうしてくれるッ?」
「はぁ…申し訳ありませんん」
なんで、ぼくは謝っているのでしょう?
でも、まぁ。ぼくを求めてくれるのは、率直に嬉しいです。
特に、別れ話をされるのかと、思ったあとのことでしたから。余計に。
だから。陛下の顔が近づいてきて。唇と唇が触れ合って。深く、深く、陛下がぼくの口腔に舌をもぐり込ませて、きつく、束縛するように、舌を絡めてきても。
拒んだり、しなかった。
頭の片隅に、ここは学校の中だぞって、意識はあったけれど。
机の影に隠れて、チュウとか。学生恋愛の醍醐味じゃん?
陰キャのぼくが、そんな大胆なことが出来るとは、思わなかったけど。
学校で、キス。なんて。
昔のぼくなら『リア充、爆発しろっ』って思うところだけど。
前世のリア充様、申し訳ありません。学校でひそやかに行うキスは、背徳感マックスで、格別でした。
そして、ねっとりとしたキスで、ぼくをトロトロのデロデロにした陛下は。
ちょっと眉尻を下げた、可愛い顔で、ぼくに聞いてくるのだった。
「なぁ、クロウ? 我は、とっても我慢したと思わないか?」
そんな。金髪キラキラの狼さんが、懐いて、甘えるみたいに言われたら。
胸がぎゅーーんって高鳴って。
陛下をよしよしって、してあげたくなっちゃうよ。
だからぼくは。陛下の頭を手で優しくナデナデ…って思ったら。陛下の制服のジャケットが大きくて、袖から手が出ていなかった。
ズボッと袖口をまくって、手を出し。改めて、ナデナデ…。
「はい。よく頑張りましたね、イアン様」
陛下の頭は、大きな体躯に見合った、大きな頭。
でも、小顔に見えるのは、なぜなのか。得ですねぇ?
その頭を、優しく、優しく、髪をすくように、撫でていく。
気持ち良さそうに、目を細める陛下を見ると。なんだかぼくまで、胸がじんわりと温かくなっていくようだった。
すると、そのとき。扉を軽く、コココンとノックする音が聞こえた。
ひえっ、誰か来たっ、と思ったが。
陛下は、冷静な顔つきに戻って。ぼくを再びお姫様抱っこする。
「馬車の用意ができたようだ。城に戻るぞ。もう、我慢できぬ」
立ちあがった陛下は、大きなストライドで部屋を出て、車止めに向かって行くのだった。
えええっ、聞いてないよぉ? つか、午後の授業は? シオンたちは? 公爵家に連絡は?
あと…リーリア様の件は、どうなったのですかぁ?
★★★★★
別枠の『幽モブ アダルトルート』にて、2-28.5話、いけない気持ち、があります。
Rー18です。読まなくても本編に影響はありませんが。より、作品をお楽しみいただけます。Rが大丈夫な方は、よろしければ、ご覧ください。
リーリアに穴に落されて、すぐに脱出できたけど。校内に入る前に、雨にも降られちゃって。白い制服は泥汚れで、ドロドロ。
勘弁してください。これは洗濯で落とすのが大変ですよ?
まぁ、それで。こんな格好じゃ、陛下の前に立てないから。体操着に着替えようと思って。
更衣室の自分用のロッカーに、手をかけたのだけど。
そういえば、長袖長ズボンの体操着は、家で洗濯したまま置いてきてしまったのだった。
いわゆる、忘れ物、である。
でも、夏用の体操着はあるから、良いかと思って。それを着て、食堂に向かった。
まぁ、この世界では、みなさん、肌の露出を嫌がりますが。
ぼくは前世で、夏はTシャツとハーフパンツみたいな格好で、過ごしていたから。あまり抵抗がないんだよね。
体操着の短パンは、短いといっても、膝上くらいのズボンだし。
体のラインが、ぴったりしたやつだったら、ぼくも恥ずかしくなったかもしれないけど。
オーバーサイズの体操着だから、特に気にならなかった。
だけど、同じく、体操着に着替えたベルナルドが、ぼくを見て、ギョッとした。
「く、く、く、クロウ様。それは…ちょっと。あ、私の上着を…しかし、私のものを着せたら、陛下が怒りますかね? でも、このまんまよりは…あぁ、クロウ様…それは駄目ですぅ」
ベルナルドは、なんかいろいろ言っていたけれど。
あまり要領を得ないし。リーリアが陛下になにを言っているのか、それが気になってしまって。
早く、食堂に行きたかったから。無視しちゃった。
小走りで、廊下を抜けて、食堂へ入り。真っすぐに陛下の元へ。
あっ、リーリアが、ぼくの席に座っています。もう、やりたい放題ですね?
それよりも、陛下。リーリアの嘘話を信じないでくださいよ?
強制力も、ストップでお願いしますよ?
気が気でないぼくは、陛下のそばに立ち。まずは遅刻を謝った。
「ランチに遅れて、申し訳ありませぇん」
ちょっと屈んで、会釈するように小首を傾げる。
礼を取るほどじゃないけど、ちょっと膝を曲げて挨拶すると。
陛下が、目を丸くして、ぼくをガン見していた。
「ショタクロっ、それを愛でる陛下。激萌えっ」
マリーが、最早、しっかりした声でつぶやいた。
いえ、ショタじゃないです。ぼくは一応成人男子なので。
鳥ガラボディで、頼りなく見えても、二十歳越えですよっ?
マリーは知っているはずですが?
「クロウ、そのような、あられもない姿を、見せてはならぬ」
そう言って、陛下が制服の上着を脱いで、ぼくに着せてくれた。
体操着の上が、なかったから。半そでだったけど。急に雨に降られたから、少し肌寒くて。膝頭をこすっていたのです。
だから、袖を通した制服から伝う、陛下のぬくもりが、あったかぁい。
でも、陛下。あられもない姿って、なんですか?
一応、学校指定の体操着なんですけど。
イレギュラー入学だから、わかりやすいように。胸の名入れは、自分でつけましたけど。なにか?
「彼シャツならぬ、ブカブカの彼ジャケっ、袖余りッ、てぇてぇてぇてぇ…」
またもやマリーが、てぇてぇ言ってます。
つか、アレはオタク特有の発作ですね? 大丈夫ですか? マリー、こちらへ戻ってきてぇ。
マリーに目が釘付けになっていたら。
いつの間にか、陛下が、ぼくをお姫様抱っこして。
ギャッ、また、食堂なんか、人目のあるところで姫抱っこするなんて。陛下のバカぁ。
でも、すごい速さで食堂を出てくれたから。まぁいいか。
ぼくの羞恥心を慮ってくださって、ありがとうございます、陛下。
しかし、いったいどこへ?
つか、リーリア嬢の一件は、どうなったのでしょう?
陛下は、走ってはいないが、ものすごく早い、超俊足で、廊下を進むと。陛下が学園に借りている休憩室に、ぼくとともに入っていった。
扉に鍵までかけて。そして、陛下の大きな執務机の後ろにぼくをおろした。
なんか…いろんなものから、ぼくを隠そうとする気合を感じます。
そんなに、あられもない感じですか? おかしいなぁ。
床に座っている状態で、陛下はぼくに覆いかぶさるように、ぼくの体の横に手を突く。
これは、床ドン?
いえ、床ドンは、押し倒しているのと、同義では?
ぼくは床に肘をつき、かろうじて顔は上げているが。
近距離の陛下の麗しい顔の圧におされて、タジタジ状態です。
「へ、陛下?」
「クロウ、我は。おまえに言わなければならないことがある。クロウにとっては、聞きたくない話かもしれないが…」
とっても、深刻そうな顔つきで、陛下に言われ、ぼくは嫌な予感に、身を震わせる。
まさか、それって…別れ話、なのですか?
陛下は、やっぱり、リーリアの話を信じてしまったのでしょうか?
どんな話をしたのか、わかりませんが。ぼくがベルナルドと浮気、みたいなことを言っていましたから。そのようなことを?
別れるのは、嫌です。
でも、陛下のお言葉は、絶対で。
陛下が嫌なことを、無理強いすることなんか、できない。
でも。だけど。嫌って、言っちゃいそう。
世の、婚約破棄された悪役令嬢は。毅然とした態度で、受け止める人が多かったけど。
ぼくは、無理ぃ。絶対に、泣く。もう、泣きそう…。
「クロウ…王妃は。足首を見せてはならぬっ」
そう言って、陛下はぼくの足首を手で持って、高く上げた。
「ひえぇぇぇぇっ」
適度に体が柔らかいから、足がくの字に折れる。
ぼくの膝が、胸につきそうなんですけど?
「足首、細すぎ。我が握ったら、折れてしまいそうではないか? つか、この足首の筋が、色っぽくてけしからんっ。それに、なんだ? このピンクで小さな膝頭は? こんなエロいものを、食堂へ来る間、誰もかもに見せてきたというのか? けしからんっ」
そう言って、陛下は、ぼくの膝を舐めた。
舐めた?
陛下、言っていることと行動が合わなくて、ちょっとおかしいんですけど?
「せ、制服が汚れて、着替えたのですが。た、体操着の上着を忘れてしまったのです。ぎゃ」
今度は、少し開いたズボンの隙間に、手を入れてくる。へ、陛下ぁ?
「このような、隙間から、クロウの太ももが見えるなど。けしからん。首のラインもだ。色っぽいおまえの細い首は、襟の付いたもので、ちゃんと隠しておかなければダメではないか? 手首もだ。この細くて華奢な手首をさらせば、その手首を掴んでみたいと思う男どもが寄ってきて、おまえを…あぁ、駄目だ。首、手首、太もも、足首、見せるの禁止っ!」
そんなぁ、それでは、なにを着ればいいのかわからないではないですか?
どうすればいいのですかっ! 簀巻きですか?
つか、別れ話ではないんですか? それはそれで、良かったんですけど。
あぁ、ズボンをたくし上げて、太ももをかじらないでください。
くすぐったいし。それに、あ、あれです。なんか、もぞもぞしてきます。
「クロウ、我は。猛烈に、圧倒的に、おまえが不足している。クロウ不足だっ」
ぼくの太ももを甘噛みした陛下は、今度はチュプチュプと音を立てて膝を舐め。さらに唇を、ふくらはぎに移動し。ついばみながら、足首に向かっていく。
ふぁ…それは。刺激が強い、か、と。
足を、まんべんなく、貪られていますぅ。
「本当に、限界が近いのだ。それなのに、クロウは無防備に。そのような誘う姿で、我の前に現れるのだから。参ってしまう」
いえ、誘ってません。ただの体操着なのですけど。
「八月の結婚式など、とても待てぬ。おまえが、液体だったなら、と。以前言っていたな? マジで、クロウは液体なのではないか? だったら、ちゅうちゅう吸わせてくれ」
「いえ、あの。ぼくは、液体では…」
陛下は、ぼくの答えは求めていないようで。一心に足を舐めながら。目をグルグルさせている。
あぁ、本当に、限界だったのですね?
その気持ちはわかります。同じ男ですからね。
スイッチ、入っちゃいましたね?
「この前、おまえから、魔力を貰って。すごく心地よくて。寝落ちするほどだったが。あれでも足りぬ。いや、少しの供給により、一瞬満たされたことで。もっともっとと、クロウを求め。剣術大会では、ついに唇を奪ってしまった。だが、触れてしまえば、さらに、クロウが欲しくなる。どうしてくれるッ?」
「はぁ…申し訳ありませんん」
なんで、ぼくは謝っているのでしょう?
でも、まぁ。ぼくを求めてくれるのは、率直に嬉しいです。
特に、別れ話をされるのかと、思ったあとのことでしたから。余計に。
だから。陛下の顔が近づいてきて。唇と唇が触れ合って。深く、深く、陛下がぼくの口腔に舌をもぐり込ませて、きつく、束縛するように、舌を絡めてきても。
拒んだり、しなかった。
頭の片隅に、ここは学校の中だぞって、意識はあったけれど。
机の影に隠れて、チュウとか。学生恋愛の醍醐味じゃん?
陰キャのぼくが、そんな大胆なことが出来るとは、思わなかったけど。
学校で、キス。なんて。
昔のぼくなら『リア充、爆発しろっ』って思うところだけど。
前世のリア充様、申し訳ありません。学校でひそやかに行うキスは、背徳感マックスで、格別でした。
そして、ねっとりとしたキスで、ぼくをトロトロのデロデロにした陛下は。
ちょっと眉尻を下げた、可愛い顔で、ぼくに聞いてくるのだった。
「なぁ、クロウ? 我は、とっても我慢したと思わないか?」
そんな。金髪キラキラの狼さんが、懐いて、甘えるみたいに言われたら。
胸がぎゅーーんって高鳴って。
陛下をよしよしって、してあげたくなっちゃうよ。
だからぼくは。陛下の頭を手で優しくナデナデ…って思ったら。陛下の制服のジャケットが大きくて、袖から手が出ていなかった。
ズボッと袖口をまくって、手を出し。改めて、ナデナデ…。
「はい。よく頑張りましたね、イアン様」
陛下の頭は、大きな体躯に見合った、大きな頭。
でも、小顔に見えるのは、なぜなのか。得ですねぇ?
その頭を、優しく、優しく、髪をすくように、撫でていく。
気持ち良さそうに、目を細める陛下を見ると。なんだかぼくまで、胸がじんわりと温かくなっていくようだった。
すると、そのとき。扉を軽く、コココンとノックする音が聞こえた。
ひえっ、誰か来たっ、と思ったが。
陛下は、冷静な顔つきに戻って。ぼくを再びお姫様抱っこする。
「馬車の用意ができたようだ。城に戻るぞ。もう、我慢できぬ」
立ちあがった陛下は、大きなストライドで部屋を出て、車止めに向かって行くのだった。
えええっ、聞いてないよぉ? つか、午後の授業は? シオンたちは? 公爵家に連絡は?
あと…リーリア様の件は、どうなったのですかぁ?
★★★★★
別枠の『幽モブ アダルトルート』にて、2-28.5話、いけない気持ち、があります。
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